こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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アレフガルドへ このさきはやみのくに、いくのはやみろ

 ゾーマを追う前に、ポルトガに向かう。

 そこでは、昼は剣士カルロスが、夜はその恋人サブリナが動物になるというバラモスの呪いに隔てられていた恋人たちが再会を喜び合っていた。

 

「ああ、私のカルロスにまた会えるなんて…… ありがとうございました」

 

 と、恋人との再会に歓喜するサブリナ。

 

「そうですわ! お礼にこの誘惑の剣を差し上げましょう」

 

 そう言って一振りの剣を渡してくれる。

 

「私の家に昔から伝わるものですけど…… 誘惑の剣は女だけが使える不思議な剣なのです。きっとあなたがたの旅の助けになると思いますわ」

 

 こうして誘惑の剣を手に入れたパチュリー。

 鞘から抜き放ち、手に取って見定めるが、

 

「うわ、真ピンクな剣ですね」

 

 と小悪魔が言うとおり、刀身がドピンク。

 

「攻撃力は+50、戦士、商人、遊び人、盗賊の女性のみが装備できる剣で、ファミコン版では遊び人の最強武器ではあったのだけれど」

 

 この剣の真の価値は、そこには無い。

 

「道具として使うだけなら女性ならどんな職業でも可能。妖しい霧を立ち昇らせ、敵の心をかき乱すことができる妖刀という話だけれど、実際、道具として使うと「剣からピンクの霧が流れ出す!」となって相手をメダパニの効果で混乱させるものなのよね」

 

 装備できるのがビキニアーマーの女剣士、アラビアンな薄絹の女商人、バニーガールな女遊び人、レオタードめいた全身タイツの女盗賊と、軒並みセクシー路線な格好をしているように女の色気で混乱させるというものらしい。

 

「『ピンクは淫乱』ってやつですね」

 

 と納得する小悪魔だったが、幻想郷にはそれを口にすると説教をしに来る仙人とかが居るので注意が必要だったり。

 

「ちなみにゲームボーイカラー版だとどういうわけか、男性でもこのメダパニの効果を使えるようになっているわ」

「それは筋肉ムキムキのマッチョな戦士やヒゲの僧侶、商人なんかがピンクい誘惑をして来たら、逆の意味で混乱しますよねぇ……」

 

 何その地獄絵図、という話。

 しかし、

 

「どういうことなの……」

 

 パチュリーには想像もつかない世界のようだった。

 

「それじゃあ、精算をしましょうか」

 

 不用品を売り払い、薬草を補充してから精算を始める。

 前回精算時の所持金は、

 

小悪魔:21459G

パチュリー:282630G

 

「できれば先に、不幸の兜の呪いを解かせて下さい」

「それもそうね」

 

 小悪魔は不幸の兜の代金13ゴールドの半額6ゴールドをパチュリーに支払い、また所持金から35レベル×30=1050ゴールドを払って教会で呪いを解く。

 すると、

 

小悪魔:20403G

パチュリー:282636G

 

 それに、ここまでの収入をそれぞれ足すと、

 

小悪魔:27233G

パチュリー:289466G

 

「ここからあなたは私があなほりで拾った命の石の売却価格600ゴールドの半額300ゴールド、二個分を私に払う必要があるわ」

 

 合計600ゴールドを差し引く。

 

小悪魔:26633G

パチュリー:290066G

 

 となる。

 

「それで、売却価格7350ゴールドの誘惑の剣の扱いはどうすべきかしら? これは二人に所有権があるから、半額の3675ゴールドを相手に支払えば自分のものにできるわけだけど」

「今なら払えますけど、アレフガルドに降りたらラダトームでお買い物ですよね?」

「そうね、あなたなら9800ゴールドのドラゴンメイル、18000ゴールドのミスリルヘルム、8800ゴールドの水鏡の盾が買えるわ」

「合計で36600ゴールド!? 到底買えませんよ!!」

「でも誘惑の剣を私が得ると、毒蛾の粉があなた専用の使いきりの道具になってしまうわよ。これまでは共同の消耗品だったから、お互い同額を出し合って折半していたのだけれど」

 

 とパチュリー。

 

「今ある在庫も買値310ゴールドの半額…… だと可哀想だから売却価格232ゴールドの半額116ゴールドを私に払って買い取ってもらう必要が」

「ヒエッ」

「そんなお金も無いでしょうから、使った分だけ都度払ってもらうことにする?」

「ぐぅ……」

 

 酷なようだが、パチュリーたちは公平配分をして勇者と商人の比較検証をしている。

 

 MMORPGで言うなら報酬の公平配分をした上で、弓職の矢の代金や、魔術職、回復職のMP回復アイテムはその自分への報酬から出すことになっているのと一緒。

 パーティに貢献しているのだし必要経費としてパーティ全体から出す、というのも一つの考え方だが、それを言うなら例えばタンク、盾役の防具だってパーティ全体に貢献しているし、金だってかかるのだから皆で出すべき、などとなるのできりが無い。

 結局はその職の力を発揮するのに装備に金がかかるのか、消耗品に金がかかるのかの違いでしかないから個人で負担する、ということだ。

 またモンク、武闘家系等、金がかからない職業や商人、生産系など金策に優れたキャラが、その金でいいアイテムを手にしゲームを有利に進める、進められるというのもそのキャラの強み、力であると言えるだろうし。

 

 この辺、テーブルトークRPGやMMORPGなど『個人』が『他人』と集まってプレイすることに慣れている、メンバー間で多少の不満は出るにせよ、それでも一番もめごとが少なく処理できる、つまりは大多数が公平だと認める最大公約数的な報酬の分配方法がこれであると理解している者なら納得できる感覚なのだが。

 パーティ全体をプレイヤーが操作し財布も一つなオフラインRPGの経験だけ、その延長線上にあるような価値観に基づいている典型的な異世界もののネット小説の感覚が身についている者には理解しがたいだろうか?

 

 いや、それはそれでパチュリーたちのように細かい計算をせずに済む、分かりやすいというメリットはあるし、パーティ全体で見た全体最適が図れるため攻略面では有利ではあるので、そうすることでゲーム世界に転生してTUEEEするのがそういったネット小説の定番であり、醍醐味、楽しさではある。

 

 そうではあるが、それではパチュリーたちがやっている勇者と商人の比較検証にはどう考えても不適当だということも理解できるだろう。

 どちらか一方が正しく、どちらかが間違っているのではなく、目的が違っているだけでどちらも正しいのだから、別に対立するものではない。

 

「ああ、もう一つ方法があったわ。今持っている毒蛾の粉の半分は私のお金で得たものだから、半数を私が処分して、残り半分をあなたが使えばいい」

 

 これなら公平だし、一々精算しなくても良い。

 

「それに誘惑の剣は他では入手できない非売品ではあるのだけれど、サタンパピーが1/255でドロップするものだから、マイラかルビスの塔まで行けば、あなほりで私がもう一本手に入れられるから。そうしたらあなたも余った毒蛾の粉を処分できるようになるし」

「それまでいくつ毒蛾の粉を使うかですか……」

 

 なお、パチュリーがあなほりで手に入れたものを小悪魔が使う場合、売却価格7350ゴールド全額の支払いが必要だし、それまでに消費した毒蛾の粉の代金が返ってくるわけでもない。

 金が無いために金がかかるという負のスパイラルである。

 

 幻想郷の外の世界でも、金持ちは省エネ住宅を買うので光熱費が安くなりトータルでは得をするが、貧乏人は買えないので光熱費が余計にかかり、ますます貧乏になる、という話があったが。

 それに似た、世知辛い話であった。

 

 しかしそれでも……

 そもそも1/255という低確率でドロップするアイテムなど、クリア後に高レベルの盗賊を4人そろえて盗むのに期待する、とでもしない限り入手は困難。

 商人のあなほりが無ければ攻略中に入手することはまず期待できないアイテムである。

 そんなアイテムを入手できる。

 しかも買値ではなく売却価格で、という点で既に商人の恩恵にあやかっているのであり、それでも不公平だと言うのはいくら何でもおかしいだろう。

 

 ともあれこれで、

 

小悪魔:30308G

パチュリー:295207G

 

 ということになった。

 

 

 

「それじゃあ、アレフガルドに……」

「行く前に、竜の女王の城に行きましょうか」

 

 小悪魔のルーラでカザーブへ。

 そこからラーミアに乗って東に進むと、険しい山に囲まれた場所に城がある。

 ラーミアでないと行けない場所にある、そこは竜の女王の城だった。

 

「ここは天界に一番近い竜の女王様のお城です」

「馬がしゃべりました!?」

「スーの村のしゃべる馬って、ここの出身なのかしらね」

 

 また、ファミコン版では居なかったエルフの姿があって、ステンドグラスから差す光の脇で、

 

「ここは天界に一番近い城。もし真の勇者の称号を得た者が居たならその光の中で天界に導かれるそうですわ」

 

 と教えてくれるが、

 

「えっ、死んじゃうんですか?」

 

 と小悪魔。

 しかしそうではなく、

 

「天に召される、昇天するって意味じゃなくて、ゾーマを打倒してロトの称号が得られたら、ここから天界の裏ダンジョンへ行くことができるのよ」

 

 とパチュリーが言うように、リメイクで追加されたゲームクリア後のお楽しみ要素である。

 

「「真の勇者の称号を得た者が居たなら」と言ってるけれど、勇者抜きのパーティでも行けるのだけれどね」

 

 勇者がロトの称号を得ることができたらパーティから外せるようになるのだが、そうしても裏ダンジョンへは行ける。

 勇者の有無は関係無いのだった。

 なお、この光が差している場所からは小さなメダルが手に入る。

 

「ところで……」

 

 と小悪魔。

 

「ここ、北方に位置するお城ですよね。どうして北側にあるステンドグラスから床に光が差しているんですか?」

「それは言わない約束よ」

 

 まぁ、そもそも、

 

「地面は本当は丸くて、ぐるぐる回っているのです。地面が回っているから、お星さまやお日さまが動いているように見えます。でもだれも信じてくれず、私はこの島に流されました。しかし…… それでも地面は回っているのです! そして丸いのです!」

 

 などと言われつつも、北端と南端がつながっている、矛盾した構造を持つ世界。

 北から日差しが降り注ぐこともあるのかも知れない。

 

「はずかしーっ! 光源の方向まちがえてやんの」

 

 などとツッコむのは早計だろう。

 

 そしてここでは、竜の女王から光の玉をもらうことができる。

 

「私は竜の女王。神の使いです。もし、そなたらに魔王と戦う勇気があるなら、ひかりのたまをさずけましょう。このひかりのたまで、ひとときもはやく平和がおとずれることを祈ります。生まれ出る私の赤ちゃんのためにも……」

 

 そう告げて光の玉をパチュリーに手渡した女王は、最後の力で卵を産んで、息を引き取った。

 そっと卵に触れてみるパチュリー。

 

「安らかな寝息が聞こえたような気がしたわ……」

 

 

 

 ラーミアに乗ってネクロゴンド地方の山奥、バラモス城のすぐ隣にある、湖と毒沼に囲まれた謎の大穴。

 ギアガの大穴へ行くパチュリーと小悪魔。

 バラモス討伐前なら石壁で囲まれていたそこは、穴が広がると同時に壁も崩れていて、

 

「大変だ! ものすごい地ひびきがして、ひびわれが走ったのだ。

 なにか巨大なものがこの大穴に通っていったようなのだ!

 そして私のあいぼうがこの穴に…… ああ!」

 

 監視の兵士が、うろたえながら説明してくれるが、それを横で聞いていた小悪魔は、

 

「『巨大なモノが穴に』とか『私の愛棒が穴に』とか、エッチ過ぎですね、パチュリー様」

 

 などとほざく。

 

「そんな話はしていない!」

 

 叫ぶ、パチュリー。

 

「では「サトシです! こっちは愛棒のピカチュウ!」的な?」

 

 有名なアニメの字幕誤植ネタであるが、

 

「何の話よ!?」

 

 パチュリーに分かるはずも無い。

 そんな主に小悪魔は、

 

「どうやってここまで来たんだという秘境に兵士が二人。性欲を持て余す彼らに何も起きないわけがなく」

「は?」

「戦場には女性を連れて行けませんから、衆道、ホモセッ〇スは武人のたしなみと言われていましたし、そんな相手を失った彼の悲しみはいかばかりかと……」

「やめろォ!」

 

 なんて話をするのだこの使い魔は。

 おかげで残された兵士の、

 

「私のあいぼうがこの穴に…… ああ!」

 

 という嘆きが意味ありげに聞こえるようになってしまったではないか。

 

 それはともかく、何でこんな辺境に兵士が詰めているのかという話はある。

 リメイクではバラモス討伐前にやって来ると、

 

「ときどきやってくる者がいるのだ。人生をはかなんで身を投げようとする者がな」

 

 という自殺の名所の監視員みたいなセリフが聞けるのだが。

 なお、もう一人の兵士に話を聞くと、この大穴についての話と共に、

 

「もしそなたの仲間が混乱して穴に飛び込もうとしたときなどは、叩いてでも正気づかせることだ。混乱は叩いて治す。これは戦闘中でも言えることだがな」

 

 とパーティアタックにより混乱状態が解除されるという情報を教えてくれる。

 上の世界も終盤にしか来れないここで、ラーミアを入手してからバラモスを倒す間にしか聞けない話で説明されても、ということだが、バラモスはメダパニを使うので、混乱しても逃げられないボスキャラ戦では有効な話か。

 パーティアタックができなくなった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版でも同じ話をするのがアレではあるが。

 

「もう、さっさと行くわよ」

 

 と穴に近づくパチュリーだったが、その先は……

 

「真っ暗で何も見えませんね」

 

 と怖気づく小悪魔。

 

「闇の世界アレフガルドへ続く穴だものね」

「「このさきはやみのくに、いくのはやみろ」ですね」

 

 小悪魔は幻想郷の外の世界のレトロゲーム『源平討魔伝』のだじゃれの国のセリフで恐怖を紛らわせようとするのだが、

 

「さっさと行く」

 

 とパチュリーに手を引かれ諸共に落ちる!

 

「「やみろっつーの」! ですよぉぉぉぉっ!!」

 

 ドップラー効果の尾を引きながら落ちて行く小悪魔だった。

 

 

 

「デビルウィーング!!」

 

 悪魔の翼を背から生やし、何とかパチュリーを支えて軟着陸する小悪魔。

 そして、そこに住んでいた男が教えてくれた。

 

「おや? またお客さんか。そうか! あんたも上の世界からやってきたんだろう。ここは闇の世界アレフガルドっていうんだ。おぼえておくんだな」

 

 と。

 

「Welcome to the Undergroundですね」

「文字どおりのね」

 

 ここではタンスからラックの種、建物の脇から力の種が、そして港に居る子供から、

 

「ここから東に行くとラダトームのお城だよ。あのね。父さんが 船なら自由に使っていいって」

 

 と許可を得て船に乗り、堤防の先、船で渡らなければ行けない場所から小さなメダルを手に入れる。

 なお、この使ってもいいという許可のセリフはリメイクで追加されたもの。

 ファミコン版ではこれが無かったので、勇者たちは何の断りもなく持ち逃げしていたのだが、さすがにそれはマズいということなのだろう。

 そしてパチュリーは、

 

「さぁ、パチュリー様。先ほど手に入れた種を使いましょうね」

 

 と、酷く優し気な笑顔を浮かべた小悪魔に促され、薄暗い船倉へと連れ込まれていくのだった。

 

「あおおおっ! かっ、はっ……」

 

 パチュリーの悲鳴が、閉ざされた船内に嫋々と響き渡る……

 

「ああっ! あああーっ!」

 

 

 

 船で出ると、今まで居た場所は小島にあるラダトーム西の港だったということが分かる。

 子供から言われたように、まずは東に広がる陸地に上陸し、

 

「ラダトーム南西部は地獄の騎士が出るからマヒ対策に満月草を持って。あなたはサラマンダーの激しい炎対策にドラゴンシールド。あとはマドハンド対策に、あなたの星降る腕輪と私の豪傑の腕輪を入れ替えて持ちましょう」

「はい?」

 

 地獄の騎士とサラマンダーへの対策は理解できるが、マドハンドのため装飾品を入れ替えて身に着けるという意味が分からない。

 首をひねる小悪魔に、パチュリーは説明する。

 

「そうね、マドハンドは同種呼びのほか、2匹分のスペースが空くと優先行動に指定されている大魔神を高確率で呼び出すの」

 

 大魔神は動く石像の上位種で、攻撃力は驚異の200。

 1~2回行動で殴りかかってくるうえ、1/4の確率で痛恨攻撃を放つ。

 

「ヒエッ」

「マドハンドの判断力は最高の2でターン中、自分に行動順がまわって来た時に行動が決まるから、その時点でスペースがあれば200/256、約8割の確率で大魔神を呼ぶわ」

「隙間あらば大魔神、ですか」

 

 誰が上手いことを言えと、という話だが、実際にそのように行動するのでシャレにならない。

 

「だから倒す時は一気に倒さなくてはいけないのだけれど、ダメージが減って行くムチやブーメラン、弱耐性を持っているヒャド、バギ、ザキ系呪文なんかを使うと半端に生き残ったマドハンドが、倒されて空いたスペースに大魔神を呼ぶって結果に……」

「ひぃ……」

「幸い、勇者のデイン系と火炎系呪文には耐性が無くて、あなたの稲妻の剣と私の雷の杖を重ねれば倒せるけど、問題はマドハンドの最大ヒットポイントが70だということ」

「それが何か? イオラのダメージが52~67ですからそれだけで倒せる場合も……」

 

 と言いかけて小悪魔は気づく。

 あ、これダメなやつだ。

 と……

 パチュリーはその様子を見てうなずき、

 

「そう、稲妻の剣のイオラの効果だと半端に倒されるマドハンドが出て、雷の杖を使って残りに止めを刺す前にマドハンドの行動順が回ってきたら大魔神を呼ばれてしまう」

 

 マドハンドの素早さは59なので今のパチュリーと小悪魔なら割り込まれる可能性は低そうに思えるが、ドラクエ3の行動順は割とランダム性が高いためリアルラック次第では先攻を許してしまう可能性がある。

 

「だから星降る腕輪の付け替えで素早さを調整して、まず私が雷の杖でマドハンドのヒットポイントを削ってから、あなたの稲妻の剣で止めを刺すようにするわけ」

「なるほど」

「これができない場合は催眠に弱耐性だから、ラリホーや眠りの杖で眠らせてから倒すのがいいのかも」

 

 とはいえ、

 

「同時に出て来た他のモンスターとの兼ね合いもありますしね……」

「あ、そうそう、あと集中攻撃の能力があるから、仲間を呼ぶだけのスペースが無いから放置してもいいだろう、というのは止めておいた方がいいわよ」

 

 集中攻撃とは一人をそのモンスターのグループ全員で、

 

 君がッ、泣くまで、殴るのをやめないッ!

 

 とばかりにタコ殴りにする能力。

 なお、泣いても死ぬまでやめない模様。

 対象の決定は完全ランダムのため、ヒットポイントや守備力の低い後衛が狙われると大変だし、

 

「仲間を呼べない状態ってことは、攻撃力90で必ず殴りかかって来るということだから、最大7体まで登場するマドハンドにこれをされると……」

 

 まぁ、逆に狙われていることが分かったらそのキャラはひたすら防御するとか。

 ヒットポイントと守備力が低い後衛は、最初のターンは防御で様子を見るとか対策はあるのだが。

 

 ということで装備を整えた上で、

 

「鉄の爪が出たわ」

 

 とりあえずパチュリーは5回だけあなほりをする。

 これはマドハンドが1/64の確率で落とすアイテムであり、652ゴールドで売却できる。

 それを見て思いつく小悪魔。

 

「あっ、だったらパチュリー様のあなほりで大魔神のドロップアイテム、雷神の剣を……」

 

 雷神の剣は別名、マドハンド絶対殺す剣。

 戦闘中に道具として使うと引き出せるギラ系最上位の火炎呪文ベギラゴンは敵1グループに88~111のダメージを与えるもの。

 これなら討ち漏らしも無くマドハンドをノーコストで全滅させられる。

 しかし、

 

「仲間に呼ばれて出るだけのモンスターは、あなほりの対象にならないから無理よ」

「そんな上手くは行きませんか」

「ちなみに盗賊の『盗む』も呼ばれて出て来たモンスターは対象外よ」

 

 ということ。

 さらに言えば、

 

「特定の固定パーティでのみ出現するモンスターも、あなほりの対象リストからは外れるわ。大魔神はゾーマの城の地下2階~地下4階でのみ通常エンカウントするけど、地下2階では必ず大魔神×1とマドハンド×5(バージョンによってはマドハンドの数が増える場合も)、地下3、4階ではアークマージ×2の固定パーティで出現するから」

 

 これがプログラム的に固定指定されているならば、あなほりでは得られないことに。

 ネット上では「大魔神もしくはトロルキングとエンカウントする場所で『あなほり』を使いまくると得られる」という情報もあるが……

 実際には、ゾーマの城であなほりをして雷神の剣を得た、という報告があるのはトロルキングが出現する1階、地下1階の浅い層でだけの話。

 大魔神のみが出る地下2階~地下4階での取得報告は上がっておらず、つまり、あなほりで大魔神のドロップアイテムである雷神の剣を得ることはできないというのが真相であるらしかった。

 

「それじゃあ、あなほりでは大魔神のドロップアイテム、雷神の剣は狙えない?」

「そうね、トロルキングを狙った方がいいでしょう。リメイクでは大魔神もトロルキングもドロップ率は1/256と変わらないところまで下げられてしまっているし」

 

 そう、ファミコン版では大魔神のドロップ率は1/64だったし、ドロップでしか入手できないアイテムだったので、戦闘でマドハンドに呼ばせて倒すのが一番確実。

 そして乱獲されたわけだが、リメイクではドロップ率を下げられたうえ、

 

「スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ならマイラのすごろく場内でよろず屋のマスで止まれば買えるし」

 

 と別の入手手段も用意されていた。

 ただ、

 

「とはいえ65000ゴールドという超高額商品。金策のことを考えるとやはりトロルキングの出るゾーマの城等で商人があなほりするか、商人のあなほりで所持金の半額や高額商品を掘り当てて買うのが一番早かったりもするけれど」

「この世界…… すごろく場の無くなった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版だと?」

「ルビスの塔の宝箱から1つ拾えるから、複数欲しいという場合じゃなければ要らないわよ。スーパーファミコン版であった、剣の効果が盗賊でも使えるっていうバグも修正されているし」

 

 というか、

 

「欲しいの?」

「それは、早めに手に入るのなら欲しいですよね?」

「ふぅん……」

 

 すっと瞳を細めるパチュリー。

 その仕草に、とてつもない悪寒を覚え身体を震わせる小悪魔!

 

(なになになに、今の何ですか、パチュリー様っ!?)

 

 しかし小悪魔から視線を逸らし、顔を背けるパチュリー。

 その表情をうかがい知ることは、小悪魔にはできなかったのだった。




 アレフガルドへと落ちるパチュリー様と小悪魔でした。
 新しい、なつかしい世界ですね。

 なお、ラストのパチュリー様は次回のオチへの伏線だったり。
 どんな展開となるか、ご期待ください。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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