こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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ドムドーラへ「契約を破ろうとしたらお仕置き、そうですよね、パチュリー様」

 次はラダトームから南に位置する砂漠の街、ドムドーラへ。

 

「ドムドーラ周辺に出るモンスターはキメラ、魔王の影、動く石像にスライムベス」

 

 割と種類は少ない。

 

「魔王の影は甘い息とザキを使って来る相手よ」

「はい? 甘い息で眠らされた上で、即死呪文をかけられちゃうんですか?」

「そうね、もっともマホトーンには無耐性だから魔封じの杖で先制すれば、無害になるのだけれど」

 

 しかし、

 

「素早さは80もあるから、素のあなたの素早さだとリアルラック次第で先制されるわね」

 

 というわけで交換していた星降る腕輪と豪傑の腕輪を元に戻し、魔封じの杖を持つ小悪魔の素早さを星降る腕輪で上げておく。

 マドハンド絶対殺す剣、つまり雷神の剣を手に入れたので、マドハンド対策も要らなくなったことではあるし。

 

「まぁ、それでも他のモンスターとの兼ね合いで優先的に対策できずにザキを食らうこともあるだろうから、命の石は必須ね」

 

 ラダトーム南西部に出現していた地獄の騎士が出なくなるため、不要になった満月草と持ち替えれば良い。

 また、

 

「ラダトーム周辺でも出て来ましたけど、相変わらずスライムベスが出るんですね」

「そうね、スタッフのこだわりもあるんでしょうけど、実はこのモンスター、地味にいやらしい存在なのよ」

「はい?」

「スライムベスのモンスターレベルはゾーマやバラモスなどといったボスキャラたちと同じ最高の63レベル」

「な、何ですかそれ!?」

「ドラクエ3では先頭のキャラのレベルが敵のモンスターレベルより10レベル以上、高い場合は確実に逃げられるけど、スライムベスが混ざっていると、それが妨害されるわけ」

 

 さらに、

 

「ファミコン版ではモンスター除けのトヘロスの呪文、そして聖水の効果で防げるのは、

 

先頭キャラのレベル≧モンスターパーティ内の最も高いレベル+5

 

 つまりスライムベスが1匹でも混じっていると、先頭キャラがレベル68以上ないとトヘロス、聖水が効かなくなってしまうの」

 

 ではスーパーファミコン版以降のリメイクではどうかというと、

 

「リメイクではエリアレベル制になって「このエリアはレベル○○以上ならトヘロスで敵が出ない」と一括で処理されることになったんだけれど、このエリアレベルって、その地域に出現するモンスターの中で最もモンスターレベルの高いモンスターを基準に設定されているわ」

「えっ、それってつまり……」

「スライムベスが出現するエリアのエリアレベルはスライムベスが基準になるから63に設定されているわけ。ファミコン版とは違って、スライムベスが敵パーティに含まれているかどうかにかかわらず、このエリアの敵はLv68までトヘロスで封殺できなくなっているわ」

「ダメじゃないですかー!」

 

 通常プレイだとこちらのレベルも低いのでそういうことに気付かないプレイヤーも多いかもしれないが、勇者一人旅など縛りプレイでこちらのレベルが上がっていると、普通なら聖水で封殺できる、無視して逃げられる相手と戦わなくてはいけないということに足を引っ張られる。

 マヒ=即死な一人旅で、やけつく息を吐く地獄の騎士にスライムベスが付いて現れた日には…… ということ。

 

 そうして南進して行ったパチュリーと小悪魔は、砂漠地帯へと差し掛かる。

 

「ここがドムドーラ砂漠、ファミコン版初代ドラクエの説明書ではドムドラ砂漠とされていたところね」

「設定が変わったんですか?」

「それとも誤植か…… でも私はこう思うの。現実でもこの程度の表記ゆれ、当たり前でしょう?」

 

 英語読みだとこうだけど、現地の言語の発音だと正確にはこう、などというのはよくある話で。

 そう考えると、いかにもそれっぽい。

 

 そうして砂漠に足を踏み入れる二人だったが、

 

「キメラです!」

 

 キメラ2匹とスライムベス2匹に遭遇する!

 キメラは火の息と火炎の息を吐く他、攻撃力120で痛恨の一撃を放つこともあるのだが、

 

「怖くないわ」

 

 その程度では今さらびくともしないし、最大ヒットポイント80では小悪魔のドラゴンテイルとパチュリーの炎のブーメランを重ねるだけで全滅する。

 

「実力はさほど高くないのにアレフガルドにしか居ないのは、スタッフのこだわりなのでしょうね」

 

 スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版だと上の世界で船を得た直後に行ける第3すごろく場の『?マス』において3匹で出現する場合があって。

 その時期だと苦戦は必至なのだが、バラモス撃破後ではさすがに……

 

「でも、強さのわりに経験値は美味しいですね」

「そうね、経験値は1780ポイントと弱い割には高めだから、ボーナスモンスターと思えば良いのかしら」

 

 そうしてモンスターの群れを退けたパチュリーたちは砂漠の中にある街、ドムドーラに到着する。

 

「この街の道具屋では性格を『いのちしらず』に変える本、『勇気100倍』が90ゴールドで買えるわ」

 

 とパチュリー。

 

「『いのちしらず』は力に-5%とわずかなマイナス補正があるけど、素早さ+20%、体力+15%と、非常に打たれ強く、呪文による先制も見込めるという魔法使いや僧侶、賢者向けの性格。必要ならいくらでも購入できるここで変えてしまうといいわ」

 

 ということだったが、かつてイシスの井戸の宝箱の中からこの『勇気100倍』を見つけた小悪魔は、

 

「本を読んだだけで勇気が手に入るはずがありません。そもそも『勇気100倍』とはア〇パンマンの最強状態を指す言葉!」

 

「そして『ア〇パン』とはシンナー吸引を指す隠語! つまりアサシンと呼ばれる死を恐れぬ暗殺者が大麻の投与で作られたという伝説のように、きっとその本にはシンナーのような薬物を吸わせて恐怖心を失わせ、勇気100倍にしてしまおうという方法が書かれているに違いありません! CERO年齢区分が全年齢対象のA区分、幼児もプレイするゲームに何て恐ろしい暗喩を込めるのでしょう、エニックスさんは!!」

 

「でも最初の性格診断で『いのちしらず』になれるのは砂漠での選択。『勇気100倍』を入手できる場所はここイシスとドムドーラ。すべて砂漠地方ばかりと縁がある性格です。そしてアサシン伝説の発端となった中東も砂漠の存在する土地柄。エニックスさんがそれを意識していないとは思えませんよね」

 

 と語っていた。

 つまり、

 

「人をたった90ゴールドで『いのちしらず』に洗脳し量産できてしまうって怖いですよね。はっ!? 実はこの街ではこうして暗殺者を育成している? ここが暗殺教団のアジト?」

「危ない話は止めろって言ってるでしょう!」

 

 またこの街には武器屋が二つあって、その内の一つを訪ねると主人が、

 

「ここは武器と防具の店だが、いま生まれてくる子どもの名前をかんがえてるので…… ゆきのふ……。うーん、いまいちかなあ」

 

 と言うだけで取引をしてくれない。

 二階には奥さんが居て、

 

「私に赤ちゃんができたんです! それで、うちの人ったら、ずっと名前を考えてばっかり!」

 

 と話してくれる。

 タンスからはおしゃぶりが見つかり、何だかんだ言って仲睦まじい夫婦と、やがて生まれてくる赤ん坊の幸せな家族風景がそこにはあったが、それを、

 

「赤ちゃんができても夫婦二人でベッドが一つ? まさか妊婦プレイ? それともおしゃぶりで赤ちゃんプレイをしているのかも……」

「何の話よ!?」

 

 台無しにする小悪魔の酷い妄想に、思わずおしゃぶりをぶん投げてしまいそうになるパチュリー。

 酷い話である……

 

 一方、もう一つの普通に営業している武器店では、

 

「ふおおおおおっ! 水着っ! 危ない水着ですよパチュリー様っ!!」

 

 危ない水着が売られていて小悪魔は大興奮。

 ファミコン版ではアッサラームでも買えたが、スーパーファミコン版以降のリメイク作ではここ、ドムドーラまで行って買うか、ジパングのすごろく場でマス目に止まって手に入れるかしか無かった品。

 この世界は携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版の流れをくむもので、すごろく場は無いため、ここでしか買えない、手に入らないものだ。

 

「買えます! 普通にプレイしていたなら到底買えない、全アイテム中最高金額の品ですけど、パチュリー様の財力なら余裕で買えるんですっ! ですから……」

「うるさい、これでもしゃぶってなさい」

「むぐっ!」

 

 先ほど見つけたおしゃぶりを咥えさせられる小悪魔だったが、

 

「うーうー! うー!!」

「うわ、こいつ、幼児のように床に転がってダダをこねてる!」

 

 呆れ果てるパチュリーは、

 

「仕方ないわね…… さすがにこのヒモみたいなのは無理だけれど、他の水着なら着てあげるから」

 

 と妥協する。

 

「うー♪」

「それはもういいから」

 

 きゅぽん、と小悪魔の口からおしゃぶりを抜く。

 

「それで、このお店の品揃えだけれど」

 

 守備力+1のネタアイテム、危ない水着だけではなく、ドラゴンキラー、吹雪の剣、魔法の法衣、ドラゴンメイル、力の盾が売られている。

 このうち、初めて目にするものは、

 

「吹雪の剣は勇者、戦士が使える攻撃力+90の武器で、道具として使用すると敵1グループに42~57のダメージを与えるヒャダルコの効果があるわ」

「攻撃力+95でベギラゴンが使える雷神の剣が手に入っていなかったら買う価値もあったかも知れませんが……」

「そうね、上の世界で手に入る稲妻の剣の攻撃力が+82だし、火炎呪文に耐性を持つモンスターに対してヒャダルコを使えるというのも長所かしら」

 

 今となってはダメージは物足りないがヒャド系に耐性の穴があるモンスターは結構居るので、あると便利、程度の利用価値はあるか。

 

「ファミコン版なら非売品だし、地獄の騎士が1/256の確率でドロップしたから頑張って上の世界で手に入れるというプレイヤーも居たけれど」

 

 リメイクでは地獄の騎士が落とさなくなり、ドロップは確率1/128で落とすソードイドのみとなった。

 すごろく場のモンスターマスでソードイドが出現した上でのドロップを狙うか、ソードイドに化けたあやしいかげがドロップするのを狙うという手もあるが、さすがに厳しく。

 上の世界で手に入れるのはまず無理だろう。

 低レベルでのやまたのおろち撃破チャレンジなどでは無制限に事前準備を行うために、よく使われてはいるのだが。

 

 あとは、

 

「力の盾は守備力+50の勇者、戦士が装備できるシールドで、またどんな職業でも戦闘中に道具として使用すると、自分にベホイミをかけたのと同じだけ回復できるというもの」

「それは便利ですね」

「そうね、ファミコン版だと戦士最強の盾だったし、呪文の使えないラダトーム北の洞窟では重宝するものだったけれど……」

「けれど?」

「リメイクでは耐性でドラゴンシールドや魔法の盾に劣り、守備力でオーガシールドに劣り、回復効果ではマイラまで行けば自分だけでなく誰にでもベホイミをかけることのできる賢者の杖を買うことができるし、戦闘中に回復させる必要が無いならふくろに大量買いして詰め込んだ薬草で間に合うしで、いいところが無いの」

 

 オーガシールド、勇者の盾を入手するまでの繋ぎ程度にしか使えない。

 

「あえて言うなら、マイラに行く前にラダトーム北の洞窟で勇者の盾を手に入れたい、またはマイラに行くには海路を行かなければならないのだけれど、アレフガルドの海にはだいおうイカ、テンタクルスの上位種で、最大ヒットポイント450、攻撃力150で1~3回攻撃をし、痛恨の一撃まで繰り出す上、最大3匹出てくるというクラーゴンが出現するから」

「ヒェッ」

「勇者の切り札である最強の攻撃呪文ギガデインにも2度は耐えるヒットポイント持ち。有効なのはヒットポイントに関係なく即死が狙える僧侶、賢者のザキ、ザラキだけれども、それを唱えている間の仲間の盾として少しでも守備力を上げておきたい、非常時には回復もしたい、ザキ、ザラキに使う分、僧侶、賢者のマジックパワーは回復に使わず節約したい、という戦士や勇者にはうってつけでしょう」

 

 しかし、

 

「私たちだと僧侶、賢者が居ないから、そこまで必要ともしないのだけれど」

 

 ということだった。

 なお、この街の外れには吟遊詩人とエルフが居て、

 

「吟遊詩人ガライ? ああ彼ならここから東、メルキドの町だと思います」

「わたし知ってるわ。マイラのおふろからみなみに10歩、ふえがうまっているのよ」

 

 と二つの街の話が聞けるが、当然小悪魔は、

 

「次は温泉(ポロリもあるよ)ですよねっ!」

 

 せっかくだから私はこのマイラの温泉を選ぶぜ!

 とばかりに望むので幻想郷の外、ドラクエが生まれた日本では「腎臓を売るか、マグロ船に乗るか」「多重債務者に残された最後の手段」などと言われ、都市伝説めいた扱いを受けてきたマグロ船、それに負けず劣らずの地獄のイカ釣り漁船コースが確定していたりする……

 

 また、武具屋に来ていた客からは、

 

「わたしはオリハルコンをさがして旅をしている。この町にあると聞いてきたのだが……」

 

 という話が聞けて、

 

「オリハルコン、伝説の金属ですね。見つけられたら借金が返済できるかも!?」

 

 興奮する小悪魔。

 街の中を探索し、

 

「やみの世界なのに、ときどき牧場のほうできらりと光るのを見たことがあります。ええ、しげみのなかだったと思いますわ」

 

 という女性の言葉に従って牧場のしげみを探すと、そのオリハルコンが手に入った。

 

「こんな貴重な物が、こんなに簡単に手に入っていいのかしら?」

 

 という話。

 パチュリーが鑑定してみると、

 

「お店に持って行ってもこれに値段はつけられないでしょうね」

 

 ということで、借金返済の足しにはならないのかと、がっかりする小悪魔だったが、

 

「……まぁ、持って行くべきところに持って行けば22500ゴールドで売れるのだけれど」

「パチュリー様、何か言いました?」

「別に…… 大したことでは無いわ」

 

 静かに首を振るパチュリーだった。

 

 他にも併設されている厩舎の馬房、

 

「馬房…… ああ、クシ状になっているこの壁、何だと思ったらお馬さんの個室でしたか」

 

 と気付く小悪魔。

 

「水飲み場もあるしね」

 

 ここからは小さなメダルが見つかる。

 ドラクエ4以降なら、うまのふんが見つかるような場面ではあるが、リメイクで反映されなかったのは幸いか。

 なお、

 

「まぁ、ドラクエ8では自主規制でうしのふんにされてましたけど」

 

 と小悪魔。

 

「ウマがウシに変わっただけじゃないの?」

 

 パチュリーは首を傾げるが、

 

「ドラクエ8だとメインヒロインはエンディングまでずっと馬のままの馬姫様(ミーティア姫)じゃないですか。特殊性癖のバーゲンセールなドラクエシリーズでも、さすがにそちらは……」

「止めなさいっ!」

 

 それ以上は聞きたくないと、小悪魔の口をおしゃぶりで塞ぐのだった……

 

 あとは、くしゃみばかりしている老人の家から、小さなメダルと『ユーモアの本』が手に入り、井戸の中、

 

「だめだ、ほとんど干上がっちまってるぜ。この町も長くねえかも知らねえな。もっともその前に、魔物に襲われて全滅、なんてこともあるけどよ」

 

 と男が言うように、干上がりかけた水場があって、その側から小さなメダルが手に入るが、

 

「実際、ドラクエ1だと魔物に襲われて滅びているのよね、この街」

 

 という話。

 さらに言えば、その滅びたドムドーラの街にロトの鎧を埋めたのが武器屋をしていた『ゆきのふ』という人物。

 その先祖が、あの武器屋の夫婦から生まれようとしているのだろう。

 ファミコン版ではゾーマ討伐後に訪ねると生まれていて、

 

「子供はゆきのふと名付けました」

「この名前はきっと、私の一族に引き継がれてゆくでしょう」

 

 と語っていたように。

 

「感じますねぇ、歴史」

 

 そして宿屋には、驚くことに上の世界のアッサラームから来た踊り子のレナが居た。

 

「あたしは昔アッサラームで人気だった、おどり娘のレナよ。

 でもいやなお客にせまられて、逃げて来たの。

 座長はお元気かしら? もし会うことがあったらよろしくいっておいてね」

 

 この部屋のタンスからは、うさみみバンドが手に入る。

 

「いったいどんなことをすれば、ここまでたどり着けるのかしら」

「座長さんによろしく、って言ってましたね」

「まぁ、ルーラなら一瞬だから行って来ましょうか」

 

 アッサラームに戻り、闇のランプで夜にすると、劇場の楽屋に居る座長に踊り子さんの消息を伝える。

 すると謝礼として魔法のビキニをもらうことができた。

 

「どういう品なんですか、それ?」

 

 ついでだから休もうと入った宿の一室、首を傾げる小悪魔に、パチュリーは商人の鑑定能力を使って調べてみせる。

 

「魔法のビキニは身を守る物のようね」

 

 女性なら誰でも着れる防具だが、

 

「でも、こんなの着て戦えなんて言わないわよね?」

 

 という話。

 

「お店に持って行けば3750ゴールドで売れるわね」

 

 とするパチュリーの手を、しかし小悪魔ががっしりと掴む。

 

「パチュリー様、さっき約束しましたよね、「他の水着なら着てあげる」って」

「む……」

 

 契約で小悪魔を縛り、使役しているパチュリーだったが、逆に言えば、パチュリーもまた小悪魔とかわした約束には縛られるということ。

 だから悪魔と迂闊に約束をしてはいけない。

 もっとも、

 

(今のは女商人の鑑定による固定セリフなんだけれど……)

 

 男商人だと「しかしこれはきわどいですね……」に変化するもの。

 しかし聞きようによっては確かに「着ない」「売ってしまおう」としているかのようにも取れるセリフで……

 

「契約を破ろうとしたらお仕置き、そうですよね、パチュリー様」

 

 約束を破ろうとしたとしてパチュリーに罰を与えるために、小悪魔はあえてそれを言わせるため鑑定するよう誘導したのだ。

 悪魔はこんな風に隙をついて逆に主人を契約で縛り、かんじがらめにして自分の色に染め上げようとしてくる、決して油断してはいけない存在。

 しかし本来なら「固定セリフでありそういう意図は無い」と反論すべきパチュリーは、

 

「……ええ、そうね」

 

 と甘んじて受け入れてしまう。

 その気になれば言い負かすこともできるし、何なら一方的に契約を破棄できるだけの力量差がある、その余裕が生む戯れ。

 まるで、一生懸命考えたトンチで大人を言い負かした、と思っている子供を見ているように微笑ましく感じ、ここで本気になって論破するのも大人げないだろうなぁ、とでもするかのように。

 そうして、

 

「さぁ、水着、着せてあげますから服を脱いでください」

「ぁ……」

「できますね、パチュリー様」

 

 抑えきれぬ悪魔の本性をさらけ出し、喜悦に爛々と瞳を輝かせながら、主に対して命じる小悪魔。

 だが…… これから自分に酷いことをしようとしている、しかし同時に余裕をなくすほど自分に魅了されている、欲情している小悪魔の顔を、可愛らしいなぁ、と思ってしまうのはおかしいことなのだろうか?

 そう自問しながらもパチュリーは、小悪魔の目の前で己の服に指をかけるのだった……




 隙をついて約束……『悪魔との契約』に条項を追加して行って、主を絡め取らんとする小悪魔。
 そして、その狡猾なはずの小悪魔の、従順な従者を装い取り繕っていた仮面が脆くも崩れ去る瞬間に、密かにゾクゾクするような興奮を覚えているパチュリー様。
 悪魔契約というとやはり、こういう背徳的で耽美なお話が似合いますよね。
 もちろん知的な頭脳戦でもあるので、このお話は健全ですが。

 次回は水着と温泉(マイラ)回の予定です。
 ポロリがあるかどうか、この先は君の目で確かめてくれ!

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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