こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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岩山の洞窟へ ドロドロに汚されて

(イギギギギギ…… お金がっ! 王者の剣を買うお金が無いっ!!)

 

 王者の剣の販売価格35000ゴールドを前に立ち尽くす小悪魔。

 素材であるオリハルコンの売却価格が22500ゴールドなので、実質的な価格は12500ゴールドとも言えるのだが。

 攻略情報を見ずに遊んでいたプレイヤーの中にはオリハルコンを売った金で装備を整えてしまい、後になって買う金が無い、となった者も居たという。

 そう、小悪魔のように……

 

「仕方ないわねぇ……」

 

 パチュリーはやれやれといった様子で小悪魔に言う。

 

「王者の剣が手に入るなら、雷神の剣を売ってしまっていいでしょう? 王者の剣のバギクロスは雷神の剣のベギラゴンよりダメージにムラがある上、平均値も低いけれど」

 

 しかし、

 

「バギ系に耐性の穴がある敵に対してはこちらの方が有効だし、火炎呪文に耐性の穴を持つ敵に対しては稲妻の剣と雷の杖の重ねがけで対処できる。さらに言えば雷神の剣はどうせまたルビスの塔で手に入るのだし」

 

 ということ。

 なお、雷神の剣は売却価格で譲ってあげたのだから、売ってしまえばその金がそっくり返って来る。

 つまりまったく損をしないということ。

 今までタダで雷神の剣をレンタルさせてもらっていたようなものなのだが。

 しかし……

 

「うううううううっ……」

 

 雷神の剣を持ったまま、王者の剣を見る小悪魔。

 

 目だよ目!!

 目!!

 この目ッ

 目!!

 雷神の剣を握りしめながら王者の剣を手に入れることを考えているこの目!!

 

 二つともか!? 二つとも今ほしいのか? 二つ…… イヤしんぼめ!!

 

 ということだ。

 理屈ではパチュリーの言うとおりではある。

 だが、雷神の剣のベギラゴンによる圧倒的な火力で薙ぎ払う快感を小悪魔は体験してしまった。

 その魅力に憑りつかれてしまっているのだ。

 

(なるほど、強力な武器に呪われ手放せなくなるってこんな感じなのね)

 

 と興味深いサンプルを見るような視線を小悪魔に向けるパチュリー。

 

「何とかならないんですか、パチュリー様」

 

 そう、言い募られ、

 

「うーん、ギリギリでどうにかなる手段はあるのだけれど」

 

 とパチュリー。

 

「アレフガルドで金策と言えば、初代ドラクエからの伝統、岩山の洞窟が有名よ」

 

 

 

 そんなわけでラダトームの南西、ラダトームとドムドーラの中間に在る岩山の洞窟にやってきたのだ。

 

「ホロゴーストが出るからザキ、ザラキ対策に命の石を、地獄の騎士が出るからマヒ対策に満月草を、ガメゴンロードが出るから眠りの杖と草薙の剣を用意して」

「あれ? それって……」

「そうね、ネクロゴンドの洞窟で出るモンスターだから今さらね。あとは踊る宝石も出るし」

「踊る宝石!」

「金策が捗るわね。新規のモンスターとしてはダースリカントとマドハンド。もちろんマドハンドに仲間を呼ぶことを許すと大魔神が出てくるわ」

「まじんはひまじん……」

「そして気付いたと思うけど攻撃呪文を使って来る手合いが居ないから、魔法耐性防具は要らないわ」

 

 ということで魔法のビキニ姿で先頭に立ち、洞窟に突入するパチュリー。

 

「ビキニに盾とヘルメット……」

 

 その恰好に顔をしかめるが、しかし、

 

「よく考えれば、別にこれって女戦士の格好と大して変わらないわよね」

 

 という話。

 いや、ビキニアーマーの下どうなってるの? 下着穿いてるようには見えないんだけど? みたいな女戦士よりは水着姿の方がまだ安心感があるというか。

 まぁ、その後ろに続く小悪魔は、パチュリーのお尻にだらしなく笑み崩れているのだったが。

 そしてパチュリーはとりあえず5回だけ、あなほりをするが、

 

「ラックの種を見つけたわ」

 

 これはガメゴンロードが1/64の確率でドロップするアイテム。

 

「素早さの種を見つけたわ」

 

 こちらはダースリカントが1/64の確率でドロップするアイテム。

 

「フロアが切り替わるついでのたった5回のあなほりでそれですか……」

 

 小悪魔は呆れるほか無いが、

 

「ともかく種を使ってマッサージですね、パチュリー様」

 

 とビキニ姿のパチュリーに迫る。

 しかし何かを思いついた様子で、

 

「あ……」

「なに?」

「いえ、この間、『喘息持ちで不健康な生活を続ける魔女が身体を楽にするために普通のマッサージ店と思って入ったところ「これに着替えてください」って際どい水着に着替えさせられて、そのままエッチなマッサージで堕とされる』という本が入りまして…… これって、その本と同じパターンですよね」

「そんなの知るわけ無いでしょう!?」

 

 悲鳴交じりの声を上げるパチュリー!

 そもそも、

 

「何そのピンポイントに不純な内容!? 図書館の蔵書に、そういう卑猥な本を混ぜるのは止めなさいって言ってるでしょうが!!」

 

 という話だったが、

 

「そうです、アレフガルドに降りて久々にスライムを倒せましたので、スライムローションを使ったマッサージを」

「要らないわよ!?」

「せっかく濡れても大丈夫な水着を着ていることですし」

「そのためのものじゃないから!」

「えっ、無数のマドハンドの手が全身をまさぐる、泥パックマッサージの方がお好みでしたか!? エッロッ!!」

「勝手に人を痴女扱いするな! というか、何でそういう選択肢しか無いの!?」

「『ドラゴンクエストタクト』ではマドハンドがヌメヌメボディを習得するので」

「説明すればいいとかじゃない」

「でも小さい子が泥遊びで土や泥の自然な感触を楽しんだり、自分の手や身体、服をわざと汚す、親から叱られるようないけない遊びに興奮したりするのと一緒で、割とプリミティブな喜びに基づくものなんですけどね」

 

 そう言われてみると、そんなものなのか、とも感じられるが、

 

「どうせ、今のパチュリー様のヒットポイントと守備力ならマドハンドから集中攻撃を受けたとしても、マッサージにちょうどいい程度の刺激しか受けないじゃないですか」

 

 そう言い募る小悪魔。

 

「泥パックとか、泥を使った美容法、健康法もありますし、ここは童心に帰ったつもりで、ね」

 

 とささやくと細い指先がパチュリーの頤を捉え、

 

「んっ……」

 

 口移しに、素早さの種を飲み込ませる!

 

「う……ぁ……」

 

 そうして筋肉を短期間に鍛えるための筋肉痛を凝縮したような痛みに苛まれるパチュリーをよそに、銀の竪琴をかき鳴らしてモンスターを呼び寄せる!

 

「引きがいいですね、パチュリー様。もしかして司書権限で干渉しましたか?」

 

 にぃっ、と嗤う小悪魔。

 最大登場数、上限7体のマドハンドが現れ、

 

「さぁ、パチュリー様、WAM、ウェット&メッシーと呼ばれる世界をお楽しみください!」

 

 小悪魔はそれに向かってパチュリーを押しやった。

 最大登場数の7体が出てきているということは、仲間を呼ぶなどの戦闘オプションは選ばれず、ただひたすらに集中攻撃を受けることになる!

 

 ビチャッ、ビチャ、ビチャッ……!

 

 あっという間に身体が、顔面が重く泥臭い、粘性の汚物に征服され、青臭い土の匂いが鼻腔を満たす。

 

「うあっ…… うああぁぁぁ…………」

 

 へたり込み、ぶるぶると身体と、真っ赤に紅潮した顔を震わせる。

 その顔面に乗った重量感と、暴力的なまでの汚泥の匂いに、ガーンと殴られたように頭が真っ白になる。

 粘り、顔をゆっくりと流れ落ちてゆく、異様な感触。

 まるで毛穴の一つ一つに入り込み、汚されてゆくような。

 惰弱に潤む瞳で歪んだ視界にマドハンドの姿が映る。

 獲物を嬲らんとする汚れた指先。

 そして入れ替わるように後ろに控えていたマドハンドが同じく泥にまみれた腕を振り上げ近づいてくる。

 ただ『顔』を『身体』を汚すために。

 

「ああ…… ああぁぁぁ…………」

 

 完全に頭がやられていた。

 自分でも不思議なほど沸き立つ甘美な絶望感に人知れず身体を震わせる。

 立ち替わり、また別のマドハンドが汚泥をひっかけに来る。

 彼女はただ、薄汚く汚された可憐な面差しを上に向け、さらなる陵辱を待ち続けた。

 

 ベチャッ、ドロォグプッ! グチュグチャッ!

「うっ…… うあぁぁあああっ…… はあああぁぁぁ………!!」

 

 次から次へ、休む間もなく茶色いヘドロの侵攻にさらされる。

 意識は完全にブッ飛んでしまい、顔面を多い尽くさんとするその限りなく固体に近い液体の重量と粘性と匂いに恍惚とするばかりだった。

 自分はどうしてしまったのだろう。

 そんな疑問も大量の汚泥と強烈すぎる臭いに犯し尽くされてしまったようだった。

 薄く開いた目に、こちらを向いたマドハンドが飛び込む。

 その手が狙うところ。

 それにより、すなわち自分の顔が、これ以上に汚されようとされていることを自覚させられる。

 

 ドロォォッ、グチュッ、グポッビチャッ!

「あひィッ……!! あ、あはあぁぁぁぁ……」

 

 汚泥の中に沈められていく。

 

 グチャーーーッ! ヌルッグチッグチャッ、ベチャベチャベチャッ!

「あッあうッ! あむあむあむうぅぅッ! むはああぁぁぁぁッ……」

 

 

 

「どういうことなの……」

 

 泥の海に沈められていく小悪魔を、呆れた目で見ているパチュリー。

 そう、マドハンドが集中攻撃の標的に選んだのは小悪魔の方だったのだ。

 集中攻撃の対象は完全にランダムで決定され、パーティの隊列には関係しないのだし、実際、こうなる確率は五分五分だった。

 

「あ、素早さが3ポイント上がったわ」

 

 

 

「ぬわーーっっ!!」

 

 そんなわけで、集中攻撃に沈みかける小悪魔だった……

 

 

 

 素早さの種とラックの種でパチュリーの能力値を上げたら再出発。

 ホロゴーストや地獄の騎士、マドハンドを蹴散らしながら進み、宝箱を見つける。

 

「祈りの指輪です!」

「そうね。じゃあ、リレミトを唱えて頂戴」

「えっ?」

「次は最初の分岐まで戻る必要があるから、リレミトで一度外に出た方が早いのよ」

 

 というわけで、小悪魔のリレミトでいったん外に出て、再び洞窟へもぐる。

 ついでにまた5回だけ、あなほりをするが、

 

「あら、所持金の半額が出て来たわね」

「うぇえええっ!?」

 

 そんなわけで、ますます広がる経済格差。

 再度進み、最初の分岐を今度は北進すると、

 

「ホロゴーストとダースリカントよ!」

 

 それぞれ2体ずつの群れ。

 しかし、

 

「リカントって、ライカンスロープ、狼の獣人ですよね?」

 

 実際、初代ドラクエではそうだったが、

 

「あれ、クマさんじゃないですか!!」

 

 叫ぶ、小悪魔。

 

「そうね、ドラクエ3のダースリカントは豪傑熊、グリズリーの上位種よ。制作元のエニックスが出版した書籍『ドラゴンクエスト モンスター物語』だと、その辺の変化の理由が書かれていたわ」

 

 ゾーマ討伐後、人間たちの残党狩りにあって最後の一匹となったダースリカントが、金色の狼に自分の肉を食べさせることでキラーリカントを生んだ、という話。

 

「ともかく、攻撃力が高くて痛恨の一撃も繰り出すけど、マヌーサ以外の補助呪文には弱耐性、攻撃呪文にも弱耐性、ヒャド、デイン系には無耐性だから」

 

 小悪魔の雷神の剣とパチュリーの炎のブーメランで一気になぎ倒す。

 ホロゴーストが辛うじて1体生き残ったが、

 

「あなたは装飾品をパワーベルトに切り替えて!」

「はい?」

 

 そうやって倒すと、

 

「3120ポイントの経験値!?」

「ダースリカントは倒しやすい割に、一体2080ポイントもの経験値を持つの」

 

 それゆえ、

 

「レベルアップしましたー!」

 

 小悪魔はレベル36に。

 

ちから+4

すばやさ+1

たいりょく+10

かしこさ+2

うんのよさ+2

 

 結果、ステータスは、

 

 

名前:こあくま

職業:ゆうしゃ

性格:セクシーギャル/タフガイ

性別:おんな

レベル:36

 

ちから:139

すばやさ:200

たいりょく:152

かしこさ:85

うんのよさ:105

最大HP:302

最大MP:172

こうげき力:234/191

しゅび力:217/210/202

 

ぶき:らいじんのけん/ドラゴンテイル

よろい:やいばのよろい/まほうのよろい

たて:ドラゴンシールド/まほうのたて

かぶと:オルテガのかぶと

そうしょくひん:ほしふるうでわ/パワーベルト

 

 

「以前の私はまさに貧弱なドラクエ勇者の見本でした」

 

 と小悪魔。

 まぁ、パチュリーが2のローレシアの王子なら、小悪魔はサマルトリアの王子、それぐらいのヒットポイント差があったわけだが。

 

「ますます自信を無くしていたある日、装飾品のパワーベルトに出合いました」

 

 過去に思いを巡らせる。

 

「私と同じ、いえそれよりも不健康体であったはずのパチュリー様が…… パチュリー様はすっかり変わって高ヒットポイントな強キャラになっていました。性格『タフガイ』のおかげだと聞き、私もさっそく性格をタフガイに変えてくれるパワーベルトの期間限定有料試用を申し込んだのです」

 

 そして、

 

「まったく」

 力強い腿をつくる運動。

「簡」

 引き締まった腕をつくる運動。

「単だ」

 たくましい胸をつくる運動。

 

「効果はすぐに現れました。今では誰もが私をたくましい勇者と認めてくれる」

 

 そんなわけで、

 

「体力とヒットポイントが跳ね上がりましたよ!」

「パワーベルトで性格を『タフガイ』に切り替えたおかげね」

 

 勇者はレベル35から45まで、体力が爆発的に伸びる期間がある。

 その間だけパワーベルトを身に着ければ、ヒットポイントを大幅に伸ばすことができるのだ。

 前回のレベルアップはバラモス戦の時だったので、さすがに使えなかったのだが。

 

 そして次に現れたのはガメゴンロードだが、

 

「眠りの杖で眠らせてしまえばね」

 

 万が一先行されてマホカンタを張られても、道具使用による効果は反射されない。

 そしてガメゴンロードは催眠に弱耐性なので二人がかりで眠りの杖を使えばほぼ確実に眠らせることができるわけで。

 そうしておいて、正義のそろばんと雷神の剣で叩けば、割とあっさり倒せるわけである。

 

 戦闘が終わりさらに奥へ。

 途中にあった下りの階段を降りて、

 

「行き止まりですね」

「そうね、でもエンカウントまでの歩数、それにあなほりのカウントもリセットできるから」

 

 残念ながら今度のあなほりでは良いものは出なかったが。

 さらに進み、下への階段と奥の宝箱への分かれ道に差し掛かり、

 

「ゴールドの出る宝箱は無視……」

 

 と、つぶやくパチュリーだったが、

 

「パチュリー様ぁ……」

「できないわよね、やっぱり」

 

 パチュリーだけならもうゴールドは要らないので無視するところだが、小悪魔の金策のため潜っているのだからそうも行かない。

 途中、ホロゴーストや地獄の騎士を蹴散らしながらも宝箱から1016ゴールドをゲット。

 そうしてから分岐点まで戻ろうとするが、

 

「ダースリカント!」

「送り狼…… じゃなくて送りクマさんですねっ!」

 

 誰が上手いことを言えと。

 ダースリカント3体の群れだが、やはり、

 

「ラリホーに弱耐性だから」

 

 二人がかりで眠りの杖で眠らせ、炎のブーメラン、雷神の剣のベギラゴンで倒す。

 火炎呪文には弱耐性を持っているので3割の確率で無効化される…… 1体だけ生き残るが、それも叩いて終了である。

 そして下りの階段で地下二階に。

 まずは小さなメダルが入った宝箱を目指し、無事入手。

 そして後は最奥の宝箱目指して進むのだが、

 

「ホロゴーストです!」

 

 ホロゴースト4体の群れと遭遇。

 しかしパチュリーの炎のブーメランと小悪魔のドラゴンテイルだけで一掃できる。

 

「あなたの攻撃力も上がって来たから確実に倒しきれるわね」

 

 さらにはホロゴースト、ガメゴンロード、ダースリカント各1体の群れも、

 

「まぁ、押し切れるわよね」

 

 とあっさりと倒す。

 そして、

 

「レベルが上がったわ」

 

 パチュリーはレベル38に、

 

ちから+2

すばやさ+3

たいりょく+1

かしこさ+1

うんのよさ+1

 

 結果、ステータスは、

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:ごうけつ/タフガイ

性別:おんな

レベル:38

 

ちから:176

すばやさ:126

たいりょく:206

かしこさ:54

うんのよさ:66/116

最大HP:407

最大MP:106

こうげき力:301/233

しゅび力:201/171

 

ぶき:せいぎのそろばん/ほのおのブーメラン

よろい:まほうのビキニ/まほうのまえかけ

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ミスリルヘルム

そうしょくひん:ごうけつのうでわ/しあわせのくつ

 

 

「もう完全に能力値が伸びなくなってきてるわね」

「それでも、あなほりで得られる種があればまったく問題ありませんよね」

「そうね、能力値の成長上限は上がり続けることだしね」

 

 ということだった。

 後はマドハンドを蹴散らしながら最奥の部屋まで進み、宝箱から破壊の剣と地獄の鎧を手に入れて終わりである。

 小悪魔のリレミトで地上に出て、ルーラでマイラに戻る。

 

「地獄の鎧は勇者と戦士が装備できて、守備力は+65。リメイク版の女性専用装備を除けば、これは戦士にとって最強の鎧。さらに呪文のダメージを1/4に軽減するという効果を持つわ」

「凄いじゃないですか!」

「でも呪われて、3/8という高確率で行動できなくなるの」

「ダメじゃないですか!」

 

 しかし、

 

「この呪い、直接攻撃を選ばず、呪文やアイテム使用をするなら通常通りに行動できるのよ」

「ああ、勇者、戦士は呪文の効果を発揮する剣を多く使用できますから行けそうですよね」

「そうね、それにゾーマなど、この後に待ち受けるボスキャラ戦では、常に賢者の石を使って回復し続けるメンバーが一人は必要でしょうし」

「その人に着せるというのはアリなのかも知れませんね」

 

 そういう選択もあり得るのかも知れない。

 

「勇者に着せるのも有効よ。特に耐性が累積しないファミコン版なら光の鎧にブレス耐性があるから勇者の盾のブレス耐性が無意味になっていたのだけれど、この地獄の鎧との組み合わせならそれが生かせるようになるし、耐性で光の鎧装備を上回ることができるわ」

 

 ファミコン版の場合は、

 光の鎧+勇者の盾では、呪文のダメージ2/3、ブレスのダメージ2/3

 地獄の鎧+勇者の盾では、呪文のダメージ1/4、ブレスのダメージ2/3

 

 耐性が掛け算で累積するリメイク以降なら、

 光の鎧+勇者の盾では、呪文のダメージ2/3=33.3パーセント、ブレスのダメージ2/3×2/3=4/9=44.4パーセント

 地獄の鎧+勇者の盾では、呪文のダメージ1/4=25パーセント、ブレスのダメージ2/3=66.6パーセント

 なので、強力なブレスを使って来るゾーマなどには不利になるが。

 

「攻撃ではギガデインと呪文の効果を発揮する剣を、回復では賢者の石を使う。瀕死に陥ったら奥の手のベホマズンをという具合に物理攻撃ができなくても十分活躍させる事が可能だし、打撃についてはその分、もう一人アタッカーを増やせば良いだろうし」

 

 あとは、

 

「ゲームボーイカラー版なら『混乱中でも一人になったら通常通り行動できる』という判定が優先されるから、一人旅で般若の面とセットで運用するというのもアリなのかもね」

 

 使いどころを考える必要があるだろうが。

 なお、この破壊の鎧、商人の鑑定で見ると、

 

「お店に持っていけば5250ゴールドで売れるわね」

 

 と通常品と同じように言われるが、実際には岩山の洞窟で拾えるだけの完全な一品ものである。

 呪いの品だからだろうか?

 

「破壊の剣は勇者と戦士が装備できる剣で、攻撃力は+110、会心の一撃が1/8の確率で発生するけれど、1/4の確率で行動できなくなる呪いの武器」

 

 公式ガイドブックでは、憎しみが込められた邪剣とされていたもの。

 武骨なブロードソード状の刀身側面には骸骨と骨のような文様があり、柄にも同様の意匠が。

 そして先端の片側に斧状の刃が付いており、逆に言うとそこだけしか刃の無い鈍器とも言える。

 

「会心率が1/8に上昇するボーナスもあるけれど、当然呪いで動けないリスクの方が大きくてダメージ期待値もがくんと下がる。それに会心が出るはずの時に硬直することもあるから、実際の会心率は1/10程度にまで下がってしまうわ」

「使えないじゃないですか」

「それがそうでもないの」

 

 とパチュリー。

 

「ファミコン版では武器に限っては呪われても戦闘中の持ち替えで代償無しに外すことができたわ。そしてこの剣はリムルダールで店売りされていたから、確実に手に入れることができた」

 

 すなわち、

 

「勇者が会心率を上げることができる唯一の武器としてメタル狩りで重宝されたわ。勇者一人旅なら、誘惑の剣や毒蛾の粉で混乱させたモンスターをけしかけるぐらいしか効果的な手が無いからなおさら」

 

 また、

 

「戦士が複数居る場合もまた、会心率を上げる魔神の斧はバラモス城で手に入るものの他は数の限られるミミックから1/256の確率でドロップさせるより無かったから、店売りで買える破壊の剣は利用されたわ」

 

 ということもある。

 

「でも、リメイクだと……」

「そうね、リムルダールでの販売は無くなり、外すには呪いを解くほかなく、そうすると呪いのアイテムは消えてしまう」

 

 スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ならクリア後にしんりゅうを規定ターン以内で倒した場合に開いてもらえる第5のすごろく場のマス目でもう一つ拾えるが、ドロップはバラモスゾンビが1/256の確率で落とすだけ。

 ゲームボーイカラー版なら氷の洞窟にて通常の敵として現れるので商人のあなほりで量産もできるのだろうが、そうでないと高レベルの盗賊を揃えてゾーマの城でひたすら戦うなどしないと入手できないものだ。

 

「また、多くの強力な武器が追加されたり、従来あった武器の攻撃力が強化されたりした結果、元のままの性能を保ったこれは相対的に弱体化して、デメリットに目をつぶりメタル狩り以外にも使う、というような選択も苦しくはなったわね」

「苦しく? 皆無じゃないんですか?」

「破壊の鎧同様、この呪い、直接攻撃を選ばず、呪文やアイテム使用をするなら通常通りに行動できるのよ」

「なるほど、通常時はアイテムと呪文で戦えばいいと」

「ちなみに呪いの効果は累積するから、破壊の鎧と同時に身に着けるとシャレにならない確率で身体が動かなくなるわ」

 

 それはさておき、

 

「さらに言えば、リメイクでもPlayStation 4、ニンテンドー3DS版では呪いを解いても呪いのアイテムが無くならないようになっているのよ」

「それじゃあ……」

「そう、魔法使い、賢者がLv30で覚えるシャナクがあればタダで、そうでなくとも教会でレベル×30ゴールドを払えば切り替えることができるわけ」

 

 と、そこで気付くパチュリー。

 

「そう言えば、この世界だと解呪してもらうとアイテムが消えていたわね。なら、ここはスマートフォン版を元にしたものなのかしら?」

 

 すごろく場が無くなっているなど、まったく同じ仕様だと思っていたスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版だったが、相違点はある模様。

 いや、アップデートが簡単なスマホ版が後からプログラム修正でも行ったのかもしれない。

 まぁ、それはともかく、

 

「だからPlayStation 4、ニンテンドー3DS版ならメタル狩りに使うという選択も有り得るわけね」

 

 ということだった。

 なお、

 

「お店に持っていけば33750ゴールドで売れるわね」

「たっか!」

 

 という具合に超高額商品である。

 

「これがあるから、時間短縮にシビアなRTA(Real Time Attack)、ゲームスタートからクリアまでの実時間(時計で計測した現実の所要時間)の短さを競うプレイでも、必ずしも入る必要の無い岩山の洞窟に金策のため潜るということをするわけね」

 

 また、

 

「初代ドラクエでも岩山の洞窟はクリアに必要が無い、けれど金策のために使われていたものだったし」

 

 そんなわけで精算であるが、

 

「岩山の洞窟で手に入れたアイテム、祈りの指輪はエルフの隠れ里の時と同様、私が買い取って、必要な時に売ることにするわね」

「助かります」

「あと、地獄の鎧も貴重な研究材料だから私が買い取っておくわ」

 

 今後、使い道が生じるかもしれないし。

 そして、

 

「破壊の剣も、今後のレベル上げのため、買い取っておくわね」

「は?」

 

 ぽかんとする小悪魔。

 

「メタル狩りって短期集中的にレベルを上げるためにするでしょう? 少なくとも1度はそれに使えるってこと」

「ああ……」

 

 と、納得しかける小悪魔だったが、しかし、

 

「えっ、それじゃあレベル上げの作業のために使い捨てにするって言うんですか? 売値で33750ゴールドもする破壊の剣を」

「そうね、問題無いでしょう?」

 

 確かに商人の、パチュリーの財力があれば十分に可能な手法ではある。

 あるのだが……

 

「それって……」

 

 顔を青ざめさせ、恐る恐るといった様子で聞く小悪魔だったが、

 

「ええ、祈りの指輪と同じく、必要になったら売ってあげるから」

「ぐはっ!?」

 

 嫌な予感が現実となり、即死の一撃を受けたように胸を押さえながらくずおれるのだった。




 岩山の洞窟に潜って金策をする二人でした。
 とはいえ、通常プレイだとお金に替えて終わりの呪われた武具も、使い方次第では役に立つのが面白いですよね。

>「でも小さい子が泥遊びで土や泥の自然な感触を楽しんだり、自分の手や身体、服をわざと汚す、親から叱られるようないけない遊びに興奮したりするのと一緒で、割とプリミティブな喜びに基づくものなんですけどね」

 こういった経験が子供の情操教育に役立ち、また大人であっても童心に帰って癒しを受けることができる。
 健康な心と身体をつくるのに有効なんですね。
 そういう、とっても健全なお話でした。

 次回、王者の剣を買ったら、まだ行っていなかった城塞都市メルキドを目指したいと思いますが。
 とりあえずは途中、精霊のほこらに立ち寄るところまでですかね。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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