ロキファミリアの雷兎   作:ネヘモス

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時間を飛ばして怪物祭の前日。


白兎と妖精ーベストマッチなコンビと黄泉の女神の接触

怪物祭(モンスターフィリア)が翌日に迫ったある日の出来事。

 

朝の5時にアイズさんに起こされて起床。その後準備運動後に戦闘訓練。ちなみにLv3になってから連携を取ることを課題としてレフィ姉(流石にお姉ちゃんは恥ずかしいと本人が言ったので短縮)と一緒にアイズさん、リヴェリアさんのタッグを相手にする。

はっきり言って物凄くきつい。自分の得物は相変わらず制限付き(ラストボルトの使用許可が降りた。ちなみに初めて刀の名前を聞いたと言ったらリヴェリアさんが頭を抱えていた)で今は風の呼吸の練習をしている。アマテラス様から全集中・風の呼吸のコツを教わり、以下のことを念頭に置いて特訓している。

・ベルは雷の呼吸の型の使用禁止。

・アイズ、リヴェリアのどちらかに傷を負わせた時点で終了。

・朝食(7時)に間に合わなかったらベルは食事のおかわり禁止。

 

実は最後の条件はロキの提案で「絶対に100%の実力を出す」とお墨付きを貰っているからで、実際間に合わなかった時(ベート、ガレス、ヒュルテ姉妹が手加減を知らない)は大抵リヴェリア、レフィーヤが自分の分を少し恵んでいる。

 

「今日こそは!」

 

ーーー風の呼吸、秘剣…

 

アイズからある程度の距離を取り超速の動きで不規則に間合いを詰める。元々の異常な敏捷により更に目で追うのが困難なのでアイズもリヴェリアもここ最近ではこのコンビに手を抜けないという状態になっていた。

 

そして、いつの間にか間合いを詰められていたアイズ。遅れてリヴェリアが障壁を展開しようとしても、

 

「ー穿て、必中の矢。アルクス・レイ!」

 

「っ!?」

 

レフィーヤの魔法に妨害される。つまり、神速のベルの剣戟に気を取られるとレフィーヤのアルクス・レイが、逆だとベルの神速の剣戟が飛んでくる。

そう、この2人何気にロキファミリアの中級冒険者の中で群を抜いて相性が良い組み合わせなのである。

 

そして、障壁魔法を妨害したのとほぼ同時。ベルがアイズとほぼゼロ距離に来ていた。

 

(しまった!?)

 

アイズは防御しても弾き飛ばされると思い、ベルから距離を取るが、少しだけ遅かった。

 

ーーー昇り飛竜!

 

ギリギリで直撃は避けたが、アイズの頬から極僅かに血が流れていた。

 

「あ!?すみません!アイズさん、怪我させてしまって…」

 

咄嗟にベルが謝るが、周りで訓練してる他の冒険者はこう思う。

 

逆に剣姫に一撃与えるだけでも凄えよ、と。

 

朝7時にファミリア揃って朝食。なおベルが来てから食費が心無しか3割ほど増えているが、ロキは別段心配していない。むしろ、これでも安いくらいである。何故なら、ベルは発展アビリティ「幸運」の恩恵で稼ぎが群を抜いてファミリア上位だからである。

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そして9時からダンジョンの探索。途中で豊饒の女主人によってシルさんの弁当(重箱5段)を受け取る(何故かレフィ姉が睨んできたのは何故だろう?)。Lv3になってから探索範囲が一気に広がったため、とりあえず10階層までの探索が許可された。が、その前にギルドに招集されたのでギルドへ。

実はベルがダンジョンで二つ名のミノタウロスを討伐した後、ダンジョンで青い熊型のモンスターの目撃情報が相次いだ。そこでギルドはベルを呼んで情報を入手する。

 

そのモンスターの名前はアオアシラ。推奨Lv2のモンスターで、ベル曰く「ダンジョンが読み取ったベル自身の記憶」に存在するモンスター。5階層から見つかってるが、実際はそこまで強い訳ではなく、刺激さえしなければ大人しい上に、もし見かけてもハチミツを少量置いていけばやり過ごせるので比較的危険度は低い。

だが、襲ってきたが最後、強固な前脚から繰り出される一撃はスタン付与の効果があるため直撃は避けないといけない。しかもその前脚は非常に頑丈で初心者向けの武器だと弾かれることがある。

 

「じゃあ弱点はどこ?」

 

エイナに弱点の部位を聞かれると

 

「え?前脚以外全部弱点ですよ?上手く立ち回れれば鈍器使いならLv1でも単独撃破出来ると思います」

 

あっさりと言ってのけた。

 

「ですがもしも、赤い個体(・・・・)が出たら速攻撤退するように言ってください。僕の推察通りなら今ダンジョンは」

 

ーーー僕の覚えているオラリオの外にいたモンスターをダンジョンに出している可能性があります。

 

長々と引き留められてレフィ姉とダンジョンに潜る。雑魚を蹴散らしつつ、魔石や鉱石を集めたりする。そして、7階層でそれを見つけた。光の当て方で色を変えるそれを見たレフィーヤは嬉しい悲鳴を上げた

 

「これは、緋緋色金(ヒヒイロカネ)の塊!?超レアの鉱石じゃない!ベル、ヘファイストスファミリアに売りに行く?」

 

「あれ?レフィ姉は聞いてない?緋緋色金を見つけたら報告しろってロキ様から言われてるんだけど?」

 

「…あ、そうだった…」

 

しょんぼりするレフィーヤ。すると、

 

アオォォォォン

 

「あれ?狼型のモンスターってこの階層にいたっけ?」

 

「…うん、薄々気づいてたよ…。アオアシラが5階層に出現したって報告を聞いた時点で。何でここで出会うかな…」

 

声の主は赤い体躯のエリマキトカゲの様な見た目のモンスター。そして、わらわらと小さなトカゲのモンスターがぞくぞくと現れた。

 

「ベル…。コイツら、何なの?」

 

「説明はギルドに報告する時でいい?群れると面倒だから僕が囮になって注意を引くから、合図したらアルクス・レイをでかい奴に叩き込んで」

 

「了解、行くよ!」

 

そして、ベルは取り巻きの小型モンスターを次々に薙ぎ倒す。そして、わざと隙を作る。好機と思った中型モンスターは突進しようと身構える。

それが、最悪の一手だったことに気がつくことは無い。ベルはラストボルトを水平に構える。そして、突進が当たる直前でベルはそれを斬り裂く。そして、大きくモンスターが怯んだのを見計らい、レフィーヤの得意魔法がそのモンスターの息の根を止めた(取り巻きは全てベルが倒していた)。

 

「凄いわねベル。最後の技もスキルなの?」

 

「あれは技術かな?ベートさんと戦ってた時に使えるようになって、リヴェリアさんが『鏡花の構え』って名付けたんだ」

 

鏡花の構えはモンスターの攻撃の寸前に刀を水平に構えてモンスターの力を利用して大ダメージを与えるカウンター技。高確率で怯みが発生するので上手いこと立ち回れれば咆哮すらも攻撃に変えられる。その代わりタイミングがかなりシビアでしかも複数体を相手すると体勢を崩されるリスクがある。

 

「なるほどねぇ…うん?ねえ、あそこに光ってる玉は何?」

 

「え?あ!あれは…幻鳥竜玉!レフィ姉!あれを売ろう!」

 

そして、10階層でモンスターを狩り続け(何度かお互いポーチの容量が無くなっていったギルドとダンジョンを2回ほど行き来した)なんと、1日で9万ヴァリスを稼いでいた。ちなみに、幻鳥竜玉はヘファイストスファミリアに持ち込んで1万ヴァリスで買い取ってもらった。今日の2人の稼ぎは合計10万ヴァリスになっていた。

 

夕方6時、黄昏の館に帰る。するとロキが出てきて今日の稼ぎを聞いて驚いたのは言うまでもない。そして1時間後、豊饒の女主人。

紆余曲折あってすることが出来なかったベルの歓迎会兼偉業達成の祝賀会の飲み会を催すことになっていた。

最初ベルに対して嫌悪感を抱いていた眷属達もその実力を評価しており、ベルの周りにはいつの間にか色々な人が集まっていた。

そして宴もたけなわ、今日のベルとレフィーヤの稼ぎを聞いた冒険者は負けてられないと意気込んでいるのを見てロキは満足そうに酒を煽っていた。すると、

 

「さて、お待ちかね!飲み比べ対決をやるでー!今日の商品は、リヴェリアの胸を自由にする権利やー!」

 

『うおぉぉぉぉぉ!』

 

フィン、ガレス、ベート、そしてベル以外の男性冒険者が名乗りをあげる。無論、それをさせまいと女性冒険者も名乗りをあげる。意外だったのはレフィーヤとアイズが参加していたことだった。ちなみにベートは食うだけ食うとそのまま店を後にした。その時ベートの目は闘争心に燃え、口角が上がっているのをフィンに見られていたので恐らくダンジョンに向かったと思われる。そして、

 

「ベル?お前は参加しないのか?」

 

すました顔でベルを見るリヴェリア。

 

「いや、僕はお酒は飲めないので…」

 

「そうか、私のことをお母さんと呼んでくれるベルはどこに行ってしまったんだ…」

 

この時、ロキファミリア一同がギロりと視線を向ける。ベルはこのような事態に慣れておらず、どうにか逃げる算段考えていた。その時、

 

「ベルさん。飲み物のお代わりです」

 

シルがベルに目配せで飲み物を給仕する。目配せで礼を言うとベルはそのコップの中身を飲み干す。そして、

 

その場にバタリと倒れ込んだ。ロキが中身を調べようとした時、強烈なアルコールの匂いがした。

 

「これ、龍殺しとちゃうか?えげつないもん飲ませるなあ、メイドちゃん」

 

「いえ、ベルさんはあまりお酒が強くないらしいので、ロキ様の悪ふざけを回避させるにはこうするしかないかと思いまして…」

 

ベルに向いていた視線がロキに注がれる。結局お開きになり、二次会組とホームに帰る組、そしてベルを休ませる組に別れた。

 

そして、ロキは店を出る時にローブの人物に話しかけた。

 

「そのローブ、自分の力を抑える代物やろ」

 

「すみませんね。こうでもしないとオラリオには来れませんし、このローブも長くは持ちません。今日中にはオラリオを出ていきます」

 

「で?何の用や、いやそれ以前にアッチの管理は大丈夫なんか?」

 

「あなたでしょ?クラネルの血筋を持つ者を眷属に加えているのは。アマテラスから聞いてるわ」

 

あのアマテラスにタメ口を叩ける女神、力を抑えないと地上にすら出られない神。つまり、

 

「単刀直入に聞くわ。どうやって黄泉の鍵をベルに預けたんや?イザナミ(・・・・)

 

ローブで顔が見えない女性、黄泉の女神・イザナミはこう答えた。

 

「やっぱり知らないのね。ロキ、だったかしら。あなたは何度もベルが死にかけてることは聞いてるのかしら?」

 

いや、何となく分かってはいた。高レベルの冒険者は何度も冒険する(死にかける)事でそのレベルに達していた。

 

「私は何でも知ってる。そうあの子が一体何者なのか、何故天空神(ゼウス)に会う前の、物心つく前の記憶があやふやなのかも…。これをベルに」

 

それだけ言い残すとメモをロキに渡してイザナミは消えた。恐らく黄泉に還ったのだと思われる。そして、メモには共通文字で短い文が書かれていた。

 

「何や…?ヨミカミ神楽・火之迦具土(ヒノカグツチ)!?」

 

恐らくスキルを封じ込めた紙だろうが、こんな得体の知れんもの渡せるか!ロキは捨てるか迷ったが、ロキに向けたであろう神聖文字のメッセージが書いてあった。

 

『捨てたら自動的にベルの所に行くから気をつけて』

 

他人の事言えた義理ではないが、意地の悪い女神やなと心の底で呟いた。




イザナミ
種族:神
性別:女
年齢:不明
詳細:現在の姿は不明。理由は黄泉の女神の側面が強い為に地上に出る時は常に「真言のローブ」を羽織っている。死んでから常に下界の更に下の黄泉の管理をしている。ベルの全てを知るという謎の女神。生前の地母神の時の姿は「よう実」より「櫛田桔梗(表)」の姿をイメージしてください。

真言のローブ
・イザナミの呪い「幾千の呪言」を打ち消す為にイザナギの「幾万の真言」の力を宿したローブ。イザナミを地上に出す事が可能だが、効果は持って1日。

ヨミカミ神楽・火之迦具土
・詳細不明。ベルに渡す事でスキルとして発現するらしい。

風の呼吸
・コツは掴んでいるが、型が分からないので自分の知ってる剣技で代用している。
・秘剣・昇り飛竜:GOD EATER 2のロング(モンハンの太刀みたいな物)の刀身のブラッドアーツ。3回踏み込んで4回目で斬り上げる。ベルが行う時は3回の踏み込みを不規則に、高速で行い、4回目の斬り上げで神速の斬撃を与える。
・4回目の斬撃は剣風すら斬撃になるので飛び退いて回避すると必ず当たる(その時には斬撃が速すぎて回避自体不可能の場合もあるが)。

零の型・烈風想起
・風の呼吸の技使用時のチャージ権。
・秘剣・昇り飛竜に限り3回チャージ可能(踏み込み1回がチャージ1回)。

鏡花の構え(モンハンX)
・刀を装備してる時のカウンター技。技術なので習得は誰でも可能。

アオアシラ(モンハン)
・青いプーさんでお馴染みの青熊獣。推奨Lv2。二つ名個体がいる。
・鈍器をある程度使いこなせればLv1でも単独撃破は可能。

ドスジャギィ(モンハン)
・作者曰く「ヘタレラプトル」。とにかく手下のジャギィを増やす。推奨Lv2だが、ある程度敏捷があれば上位個体だろうとLv1で倒せる事がある。稀にレアアイテムの鳥竜玉、極稀に幻鳥竜玉をドロップする。今回ベルとレフィーヤを襲ったモンスター()

緋緋色金
・レア鉱石。見つけたらロキに渡すようにファミリアに命令が行ってる。用途は不明。

今後の展開をどのルートにするべきか

  • アイズルート
  • レフィーヤルート
  • リヴェリアルート
  • リリルカルート
  • ハーレムもしくは作者に任せる

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