ロキファミリアの雷兎   作:ネヘモス

9 / 12
天界、高天原。1柱の男神が自分の力が微量に吸われるのを感じた。

「まさか、スレイ以外に日の呼吸を使える奴が…!?」

その男神の名をスサノオ。アマテラスの弟にして極東で有名な英雄、そして雷神である。

※戦闘シーンは完全にアニメ「鬼滅の刃」の十九話がモチーフです。


雷速白兎ー雷の呼吸・零の型

リリは冒険者が嫌いだ。いつも私のような弱者(サポーター)から搾取するクズしかいないから。

 

リリは冒険者が嫌いだ。手に負えないモンスターが出てくれば決まって囮にするようなクズしかいないから。

 

リリは、冒険者が大嫌いだ。自分を強敵(ミノタウロス)から守るような、そんなお人好しを見たことがなかったから。

 

だけど私はひたすら走る。あの白兎のような少年を助けるために。ポーチ(道化師)のエンブレムと同じ冒険者を探すために。ロキファミリアの、高レベル冒険者を探すために。

バベルのダンジョン入口に辿り着き、私は自分でも泣きそうな声で叫んだ。

 

「ロキファミリアの冒険者の方はおられますか!?」

 

「えっ?私がそうだけど、どうかしたの?」

 

反応したのはブロンズ髪のエルフの女性。千の妖精(サウザンド・エルフ)の二つ名を持つレフィーヤ・ウィリディスその人だった。

 

「ミノタウロスが、上層に…。兎の様な冒険者の人が、私を庇って…」

 

「大丈夫だって、ミノタウロス程度で倒れるような奴じゃ」

 

「見たことないミノタウロスなんですよ!!」

 

喉が枯れるような大声で柄にもなく私は泣き叫ぶ。すると、

 

「まさか、亜種…?」

 

「知りませんよ!でも、青黒い体毛のミノタウロスなんて聞いたことないです!!」

 

「…そのミノタウロスが出たところまで案内…」

 

「その前に言い訳を聞こうか?レフィーヤ?」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

レフィーヤは声がした方に恐る恐る振り向く。そこには般若の形相のリヴェリアとフィン、何か言いたげなアイズの姿があった。

 

「嫌な疼き方をしたと思って来てみれば…」

 

「レフィーヤ?私が今朝言ったことを忘れたとは言わせないぞ?」

 

「…ベルに何があったの…?」

 

そして、先程のパゥルムが事の経緯を説明する。

 

「青黒い体毛のミノタウロス。まずい、通常のミノタウロスだったら兎も角、あの個体(・・・・)はベルには早すぎる」

 

「上層にミノタウロスがいるのも考えものだが、よりにもよって二つ名個体とは…」

 

「『青猛牛(あおもうぎゅう)』ミノタウロス。確か、Lv5の私でも苦戦は強いられる相手」

 

「兎に角、団長命令だ。急いでダンジョンに急行する。ベルを助け出す…」

 

すると、

 

シャン、シャン…

 

バベルに鈴の音が鳴り響く。そして、ダンジョン入口に一筋の雷光が迸った。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

これは、夢か?いや、死にかけてるから走馬灯でも見ているのか?僕の目の前で舞を舞っている人がいる。僕は赤子の身体で、僕を抱いている赤い髪の女性が僕に話しかけた。

 

「ベル。あれはね、とある神様が八つの首の怪物を倒してるところを真似してるのよ」

 

舞を舞っている人物は片手に鈴を持ち、もう片手に七支刀のような祭具を持って八つの斬撃を繰り出すように舞を舞う。

 

突然場面が変わり、今度は祖父と雷の呼吸を修行している場面。

 

「いいか、ベル。イメージじゃ。自身を雷だとイメージするのじゃ。そうすれば、お前の霹靂一閃は、誰にも止められない超神速の一撃と化す」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「っ!?」

 

まだだ…。まだ終わってない!集中しろ、そして、イメージしろ!!

ベルは現実世界に意識を戻し、雷の呼吸で四肢の損傷をカバーする。それにより、振り下ろされる刃は紙一重で躱すことができた。その刀身は地面に深々と大きな傷跡を残す。まともに食らったらやばかった。隙を見てベルは保険としてリヴェリアに持たされた万能回復薬を飲んで傷を治す。

振り出しに戻ったのはいいのだが、さっきの大技の疲れでまともに技を繰り出せるのはあと一回。正直逃げたいと思ったが、ここでコイツを足止めしないと他の冒険者に危害が及ぶ。

 

だからこそ、全てを出し切ろう。ベルは刀を再び鞘に戻す。構えは霹靂一閃と同じように、そして、イメージする。自分が雷そのものになりきる様子を。

 

シィィィィ…

 

まだだ。もっと集中しろ。もっと速く、もっと鋭く、もっと疾く!なりきるんだ、「雷光」そのものに!!

 

ーーー雷の呼吸、(ぜろ)の型、雷光想起(らいこうそうき)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

『…!?』

 

第5階層に到着したフィン達一行は感じたことの無い重圧に押し潰される。

 

(何だ…!?この、疼きは…。モンスターとは違う。まるで、神の力(アルカナム)が使われたような…!?)

 

その重圧は一瞬で、動けるようになった一行はリヴェリアの持たせた道化印のポーチ(マジックアイテム)でベルの場所に到達する。そこに居たのは、

 

目撃証言通りの青黒い体毛のミノタウロス、そして、それに対峙するベル。立っているところを見ると、恐らく隙を見て万能回復薬を飲んだのだろう。だが、不可解な点がある。ベルから、神の力に似た何かが漏れだしている。何だこれは…?

長い呼吸音の末に、ベルが消えた。そして、気づいた時にはベルはミノタウロスの背後に、しかも、抜刀した構えで立っていた。

 

「ヒノカミ神楽、雷神、須佐之男剣舞(すさのおけんぶ)

 

ベルが静かに呟いた刹那、ミノタウロスの至る所から血が吹き出し、同時にベルの刀が砕け散った。ベルはその場に膝をつくが、ミノタウロスは立ち上がる。アイズがデスぺレートを手にミノタウロスを倒そうとするが、フィンはそれを制す。そして、ミノタウロスがベルに凶刃を振り下ろす。

 

だが、斬られたのはベルの残像であった。どこに消えたとフィンが探した時、アイズがミノタウロスの真上を見ていた。そして、

 

ーーー雷の呼吸、虚の型、天雷突閃

 

ミノタウロスに白銀の稲妻が走る。ベルが取り出したファミリア支給品の短剣は的確にミノタウロスの頚部を貫き、大きな魔石がその場に残っていた。そして、ベルはその場に倒れ込んでしまった。




雷の呼吸・零の型・雷光想起
・本作オリジナルの技。霹靂一閃を覚える過程で身につけた型。自身を雷そのものと認識することで霹靂一閃及び、雷の呼吸の全ての技に威力上昇補正をかける。原作における英雄願望(アルゴノゥト)ポジション。

日の呼吸・雷神・須佐之男剣舞
・ヒノカミ神楽として代々クラネルの一族に伝わる舞のひとつ。日本神話における須佐之男が八岐大蛇を倒した時のエピソードを真似ており、七支刀の祭具を超速で8回斬るように舞う。雷の呼吸と相性が良いため代々雷神の舞として継承されている。本当は酒に酔わせて首を1つずつ切り落としただけだが、スレイはこれを使う際に使用制限を設けることで倒した過程を超速の斬撃に書き換えた。

「青猛牛」ミノタウロス
・ミノタウロスの二つ名個体。ギルドのお尋ね者。推奨Lv5。
・見た目はSAOのボスキャラ「ザ・グリームアイズ」

スサノオ(オリジナル設定)
種族:神
性別:男
年齢:2000歳以上(本人談)
詳細:神々の争いに興味が無い男神。容姿はSAOのキリト。下界には八岐大蛇を倒した時しか降りていない。伝承では穀物の神・ウカノミタマの親とされており、穀物の神の親=稲の神の親=雷の神だと言われている(Wikipedia及びYahoo知恵袋より引用)

今後の展開をどのルートにするべきか

  • アイズルート
  • レフィーヤルート
  • リヴェリアルート
  • リリルカルート
  • ハーレムもしくは作者に任せる

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。