最初に思ったことは―――暗い。
360度、どこを見渡しても真っ暗な回廊のような空間を私たちは漂っている。
それでも、いずれは
とある経緯から私たちは、ひとりの少年の記憶に潜り込もうとしている。
その記憶から、彼の過去を覗き見ようとしていた。
褒められたことではないことは承知の上だけど、思い悩んでいる彼の助けになるにはこれしかないと思ったから。
どんな時だって、彼は私たち全員と真正面から向き合ってくれた。
だから、今度は私たちの番。
今度は私たちが彼の心に寄り添うために。
そんな決意を胸に―――やがて、暗い回廊に一筋の光が差し込んだ。
どうやら到着したみたい。
ここまであっという間だったような気もするし、長い時間がかかったような気もする。
光の中に飛び込んだその先で、私たちは見た。
そして知ることとなる。
―――私の知らない、彼の歩み。一冊の本から紡がれた旅路の果てを。
『やかましいっ!オレ様が、なんであんな低レベルな奴らと友達になんなきゃいけねーんだよっ!!』
『コラ、貴様!母上に向かってやかましいとはなんだ!?』
心を閉ざしていた彼の前に、その子は現れた。
『これ以上私の友達を侮辱してみろ!おまえのその口、切り裂いてくれるぞ!』
いつか彼は言っていた―――あいつがいなければ、今のオレはいない。それくらいでかいことだったんだ、と
少年の輝きに触れ、彼はなくしたものを取り戻す。
しかし、彼らの出会いはこれから待ち受ける過酷な運命の幕開けでもあった。
『王を決める戦いが、千年に一度、この人間界で行われてるの』
それは、想像を絶する戦いの始まり。
『私が、やったんでしょ?私が……みんなを傷つけたんでしょ?』
罪悪で塗りつぶされる涙を見た。
『なんで他人のことを考えなきゃいけねえんだ?オレ様が楽しけりゃそれでいい……他に何がいるってんだ!?』
悪辣で独裁的な支配を見た。
『この人たち、戦うこと以外の感情は一切もってないもの』
理解を置き去りにするような狂気を見た。
『笑わせるぜ!虫ケラの無駄死にだ!なんともクソみてえな人間だ!アッハハハ、そうだ、クソ人間だ!』
死を嗤う邪悪を見た。
『お前がいたせいで、オレはお前の何十倍もの苦しみを受けた!お前がいたせいで!!』
身を焼き尽くすかの如き憎悪を見た。
『王様になったあなたが嫌いと思った魔物を全て消し去ることができます』
おぞましくも蠱惑的な地獄を見た。
『そんなの簡単だ。僕が魔物を滅ぼすために生まれてきたからさ』
冷酷で言を俟たない暴力を見た。
目を背けたくなる悲劇の連続だった。
心が引き裂かれるかのような惨劇の横行だった。
それでも、ふたりは歩みを止めることはしなかった。
どんな葛藤を抱えながらも、背負ったものを投げ出すことはなかった。
どんな苦悩に苛まれながらも、その心から光が失われることはなかった。
どんな逆境を前にしても毅然と立ち向かう姿がそこにはあった。
『ガッシュ!お前は俺の友達だ!バケモノだろうが魔物だろが関係ねえ!友達なんだよ!!迷惑がかかるから戦えないなんて言ってみやがれ!ぶっ飛ばすぞこの野郎!!』
心を繋いだ光り輝く絆があった。
『人の命がかかってるんだぞ!つべこべ言うな!』
諦観を振り払う叫びがあった。
『お前は、やさしい王様になるんだ……。俺たちの戦いで、関係ない人を傷つけちゃいけねえ……』
ただ一心に求め続けた理想があった。
『お前の中には無限の可能性が眠っている。お前自身が、その可能性を信じてやるんだ!』
必ず辿り着くと決めた彼方への一歩あった。
『負けられねえな……。そんな奴を、王にさせるわけにはいかねえなあああ!!』
不条理を殴りつける激情があった。
『リィエンやアリシエ、エリーも救い、世界中の人々も救う。……そうだろ?ガッシュ』
誰一人見捨てないという誓いがあった。
『いいか、ガッシュ。これから俺の体になにが起ころうと、俺を振り返るな。何が起ころうとだ……』
譲れない一線のために固めた覚悟があった。
『モモン―――がんばったな』
救いのない絶望すら覆す希望があった。
『ガッシュ!王となれ!お前がこの戦いで勝ち抜き……王となって、父親を超えろ!!』
託された願いのために貫く信念があった。
『財産はもう、俺の心に』
そして、どんな黄金にも勝る答えがあった。
彼の戦いの行く末を見届けて、言葉にならない感情が満ちてくる。
どうやら私の憧れた背中は、私が思うよりもずっと遠くにあるようだ。
それでも、彼の隣に立ちたいと思った。
それがどんなに無謀でも、どれだけおこがましくても、せめてそれくらい強がってみせなくちゃ。
どんなに険しい道のりでも、不敵に笑いながら前に進むその姿に私は惹かれたんだから。
そして、確かなものがもうひとつ。
胸の内に灯ったこの温かな想いに手を添えて、思う。
―――ああ―――
―――この人を好きになって、本当に良かった―――
これは、数多の絆を紡いだ心の旅路。
太陽のような少年とともに駆け抜けた約束の記憶。
奇跡に彩られた、金色の物語である。
とりあえず、この追憶の章に至るまでのざっくりとした流れをば。
・魔界にて事件勃発
・なんやかんやで人間界への扉が開き、追跡していたゼオンが巻き込まれる。
・疲弊し、倒れていたところをヒロインたちが発見、保護。
・すぐに清麿も駆けつけゼオンから事情を聴く。
・事件解決に乗り出すため、ヒロインたちと距離を置くようになる。
・清麿の突き放すような態度にケンカにまで発展し、ヒロインたちとの間に亀裂が走る。
・その後、ヒロインたちはゼオンのもとに訪れる。
・清麿の過去について問いただすも、『図に乗るなよ、小娘風情が』と脅しをかける。
・それでも気合いで持ちこたえたヒロインたちの前にカカシを残していく。
とりあえず、μ’s、五つ子、どちらでも違和感ないように仕上げました。
誰視点かは、みなさまのご想像にお任せします。
アンケートの結果は第1話投稿時に発表させていただきます。
たくさんの応募、ありがとうございました。
それではノシノシ