魔王と歌姫   作:banjo-da

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お話、ほぼ進みません。でも長いです。
もっとコンパクトに、でもって分かりやすい戦闘描写入れられたら…!

あとご質問の多かった時系列ですが、カブト編と電王編の間辺りで考えて書いてます。
ほろ苦失恋経験済ソウゴくん、果たして智絵理ちゃんとのフラグは立つのか。

ていうかツクヨミに関してもそうだが、まず異性を異性として意識してるのかソウゴくん。


2019:アナザー達の影

『常磐ソウゴ』。彼には魔王にして時の王者、『オーマジオウ』となる未来が待っていた。

そんな未来を、オーマジオウを越える為、大魔王たる力を得るべくウォッチ集めに奔走中のソウゴ。

ある日彼は、仲間達と共に出向いた祭りの会場で、幼馴染みの少女『緒方智絵理』と再会する。

 

訪れる束の間の平穏。思い出話に花を咲かせる、駆け出しのアイドルと駆け出しの魔王。

─── 然し、それも永くは続かない。彼等の前に、未知のアナザーライダー達が立ち塞がったのだった……。

 

 

 

 

 

 

【ギルスゥ…】【ゲンムゥ…】

 

ソウゴ達の前に現れた、二体のアナザーライダー。

一人は緑色の体色、他のアナザーライダー達と比較しても特に凶悪な鋭い牙が特徴的な怪人。爬虫類めいたヌメヌメとした質感の体表は、然しゴツゴツと頑丈そうな鱗で覆われている。

もう片方は、まるでドレッドヘアの様な、頭部から生えた毛髪?触覚?が特徴的。そして黒い体表の所々には、まるで剥き出しになった骨の様な白いラインが無造作に通っていた。

どちらも、これまでに撃破したアナザーライダーと酷似した姿をしている。

 

「アナザー…アギトと、エグゼイド…?あれ?エグゼイドって黒かったっけ?」

 

「我が魔王、彼等はアギトでもエグゼイドでもない。

…メタフィクション的な言い方をしてしまえば、彼等はアギトやエグゼイドの歴史におけるサブライダー…その紛い物だ。」

 

「サブライダー…?俺達で言う、ゲイツやウォズの事!?」

 

「誰がサブだ!しれっと脇役扱いするな!」

 

少し食い気味に反論しつつ、時計型のバックル『ジクウドライバー』を腰に当てるゲイツ。彼に倣う様にソウゴもジクウドライバーを。ウォズは二人とはまた異なる、スマートウォッチの様な不思議な形の『ビヨンドライバー』をそれぞれ腰に当て、そこから伸びたベルトが彼等の腰回りへと巻き付く。

 

「ゲイツ君…君の気持ちも分からなくも無いが、我が魔王の言葉はあながち間違いでもない。

これまで君達の継承してきたライダーの歴史には、それぞれの歴史を象徴する仮面ライダーが居る。我が魔王の集めるべき19のウォッチは彼等の力だ…ならば彼等を、その歴史における『主人公』と考えても何ら不思議では無いだろう?」

 

言いながら、ウォズは首に巻いたマフラーの先端を智絵理目掛けて飛ばす。すると彼の意に従うかの様に、マフラーは何処までも伸びてゆき、軈て智絵理の姿を覆い尽くす。

 

「そして私達の歩んで来た道を、他のライダーの歴史同様に考えるのであれば。我々の物語は、我が魔王を中心に回っている…そうは思わないかい?」

 

伸びきったマフラーを手元に引き寄せるウォズ。すると引き寄せられたマフラーは、今度は彼の傍で渦を巻き、軈てその中心から智絵理が現れた。

突然の出来事に、恐怖以前に理解が追い付かず呆気に取られる智絵理。まあ…怪物が現れたと思えば、今度は自分が瞬間移動していた…こんな非日常的な情報の大洪水に巻き込まれれば、思考が追い付かなくて当然だろう。

 

「え?あれ…?私、さっきまで…?」

 

「詳しい説明は後だ。ツクヨミ君、智絵理君を頼んだ。」

 

『ウォズ!』

 

手にした小さな時計型デバイス、『ミライドウォッチ』を起動するウォズ。

 

「…反論したい事は有るが、今は後回しだ。先ずはコイツらを止めるぞ。」

 

『ゲイツ!』

 

ツクヨミと智絵理を庇う様に、前へと歩み出るゲイツ。彼も手にした時計型デバイスを──但し、ミライドウォッチではなく『ライドウォッチ』を起動する。

 

「よし!行くよ二人とも!」

 

『ジオウ!』

 

ライドウォッチを起動したソウゴの号令に合わせ、三人はそれぞれウォッチをドライバーへと装填。彼等の背後に、それぞれ違った形の巨大な時計が現れる。

 

「「「変身!」」」

 

一斉にドライバーを操作すれば、彼等の身体を覆い尽くす鎧が形成され、その身を包み込む。

 

『フューチャー・タイム…。スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!!』

 

緑を基調に白銀の鎧を纏った戦士、仮面ライダーウォズ。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

燃え盛る闘志の如く、真っ赤なボディの仮面ライダーゲイツ。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ジオウ!』

 

そして、黒いボディにウォズと同じく白銀の鎧を纏いながらも。何処か他を圧倒する雰囲気を…王たる威厳を纏いし戦士。仮面ライダージオウ。

偽りの歴史を打ち砕く、三人の『真の英雄(仮面ライダー)』が今、ここに君臨した。

 

 

 

 

 

「それで!コイツらは!一体…っと。何なの!?」

 

アナザーギルスの攻撃を躱しながら、ジオウは声を張り上げる。どうやら凶悪な見た目に違わず、このアナザーライダーは一際狂暴らしく、中々反撃の隙を見出だせない。

 

「彼は恐らく、仮面ライダーギルスのアナザーライダー!」

 

『ジカンデスピア!カマシスギ!』

 

ジオウへ襲い掛かる隙を突き、背後から斬り掛かるウォズ。然しアナザーギルスは咄嗟に身を捩る事で、それを回避する。

その隙に一気に攻勢へと転じるジオウとウォズ。元々無理の有る体勢で回避したアナザーギルスに、体勢を整える暇を与えずパンチと斬撃を叩き込む。

 

「ギルス!?何それ!?」

 

「アギトと同じ力をルーツとしながら、別の存在へと変化したライダーさ!アギトの不完全体、或いは異なる進化の形と称される!例えば、アギトは攻守に優れた戦士だが…ギルスは攻め一辺倒。その攻撃力は時にアギトをも凌ぐが、代わりに守りは薄い!」

 

ウォズの言葉に反応したジオウは、ドライバーから愛刀を出現させる。

 

『ジカンギレード!ケン!』

 

見たままの通り『ケン』と刻み込まれたこの武器…ジカンギレードは。然しその可愛いらしい外見に反し、高圧エネルギーを刃部分『ギレードエッジ』へ送り込むことで生まれた共鳴振動を、刃全体に伝播することであらゆる物質の切断を容易にする。

 

「それじゃ、攻撃は最大の防御!一気に叩くって事だね!」

 

アナザーギルスへ畳み掛けるジオウ。

バランスを崩し、無防備になった肩へと刃が振り下ろされ───── 。

 

「いや、待つんだ我が魔王!そうとも限らない!」

 

「え?」

 

時既に遅し。咄嗟のウォズの言葉に反応は間に合わず、そのままジカンギレードはアナザーギルスの左腕を斬り落とす。

 

「でぇぇぇ!?うわ、え!?グロッ!?ゴメン大丈…」

 

「下がるんだ我が魔王!それがギルスの力を持つなら、恐らく─────」

 

ウォズが大きく呼び掛けるものの、またしても一歩遅かった。

想像以上のエグい姿に、思わずジオウの動きが止まる。その隙を突いて、アナザーギルスは斬り落とされた筈の左腕(・・)を突き出し、ジオウへ手刀を叩き込んだ。

 

 

「ぐぁあ!?…っ痛…な、何で…!?」

 

見れば、アナザーギルスの足元には確かに斬り落とされた腕が転がっている。───── だが、既に彼の肩から先には新しい腕(・・・・)が存在していた。

 

「あれがギルスの力だ。破壊されぬ頑丈な鎧ではなく、破壊されても再生する。まさに、肉を切らせて骨を断つ…というやつだ。」

 

「それ先に言ってよ!もぉ~!」

 

「おい、何をやっている!」

 

少々申し訳無さそうに告げるウォズと、手刀を食らった箇所を擦るジオウ。そんな漫才の様な光景に、一人でアナザーゲンムを抑え込んでいたゲイツは怒声を飛ばす。

 

 

「あ!ゲイツ、ごめーん!所で、そいつは何なの?」

 

「恐らくあれは、仮面ライダーゲンムのアナザーライダー。我が魔王、アナザーオーズの檀黎斗を覚えているかい?彼が本来の歴史で変身していた、エグゼイドと共に戦ったライダーだ。」

 

「ごめーん、じゃない!…全く、能天気な魔王だ。」

 

不満を垂らしながらも、ゲイツは自身の腕にセットされていたライドウォッチを取り外し、起動する。

 

『ゲンム!』

 

「サブライダーだろうが何だろうが、アナザーライダーなら対処は同じだ!」

 

そう言ってゲイツは、取り外した『ゲンムライドウォッチ』をドライバーへ装填。

再びドライバーを操作し、彼の腰でドライバーが円を描く様に一回転する。

 

『アーマータイム!レベルアップ!ゲンム!』

 

ゲイツの身体へ、まるで尖ったヘアースタイルの様な頭部が特徴的な、黒と紫を基調とした禍々しい鎧が装着される。

 

仮面ライダーゲイツ・ゲンムアーマー。

自他共に認める神の才能を持つ男。彼が本来の歴史で生み出し、身に纏って暗躍した姿…その力と歴史を受け継いだアーマーである。

 

「それなら、俺も!アギトと同じ力が元なら、コイツが効くかもしれない!」

 

「正直、それは賭けだね…だが試してみる価値は有る。なら、私は君を援護しよう。」

 

『アギト!』『シノビ!』

 

『アーマータイム!アギト!!』

 

ジオウの目の前に、神々しい黄金の戦士を模した鎧が現れる。彼がそれを蹴り飛ばせば、バラバラに飛び散った鎧の破片がジオウの身体へ収束していく。そうして全ての破片を身に纏ったジオウ。彼の纏う鎧は、まるで無限の可能性を感じさせるかの様な…眩い黄金の輝きを放つ。

 

「祝え!時空を越え、過去と未来をしろしめす時の王者…その名も仮面ライダージオウ、アギトアーマー!!今まさに、『仮面ライダーアギト』…その魂が、我が魔王の元で目覚めた瞬間である!」

 

『フューチャリング・シノビ!シノビ!』

 

自らも仮面ライダーシノビの力を身に纏いながら、然し自身の変身そっちのけで祝うウォズ。

 

「おはよー、俺の魂!」

 

「何だその間の抜けた台詞は!?真面目にやれ!」

 

「はーい。行くよ~~!」

 

ゲイツに叱咤されながらも、ジオウはアナザーギルスと対峙する。アーマーを身に纏う事で、普段以上に感覚が研ぎ澄まされていくのが分かる。

アナザーギルスがその鋭い爪を大きく振り下ろす。

─── が、ジオウはギリギリまで引き付け小さな動きで躱す。追撃で飛んで来た拳は、相手の腕コンパクトな手刀を打ち込み軌道を逸らす。そうして生まれた隙に、ジオウはアナザーギルスの胴へとボディーブローを叩き込み、体勢の崩れた所を一気に蹴り飛ばした。

 

「今だ!」

 

『フィニッシュタイム!』

 

アギトウォッチとドライバーを操作し、構えを取るジオウ。集中力を高める様に深呼吸しながら、足へとエネルギーを収束させる。

その隙を狙い、起き上がり脱出を図るアナザーギルス。

だが、ウォズが忍術で突風を巻き起こし、起き上がろうとしたアナザーギルスを再び抑え付けた。

 

「ガ…ァ…!?」

 

「残念だったね?─── さぁ、我が魔王!」

 

「ウォズ、ナイス!でりゃぁぁ!!」

 

『アギト!グランド!タイムブレーク!』

 

地に伏したアナザーギルスへ叩き込まれる、必殺の一撃。アギトの力を纏った飛び蹴り─── 冗談でも誇張でもなく、天の御使いから人々を守った戦士の奥義。

その在り方を歪め、人の造り出した異形に、それを打ち破れる道理は無い。

 

但し…。

 

「グ…ガァァ!!!グォォーーー!!」

 

こちらもまた、アナザーライダーを完全に撃破出来るか…はまた別の話だが。

全身ボロボロになりながらも、凶悪な闘争心を剥き出しに再び立ち上がるアナザーギルス。

その姿にジオウも困った様に頬を掻く。

 

「うーん…やっぱり駄目かぁ…。」

 

「矢張り、あくまで奴はギルス。そのアナザーライダーともなれば、最早アギトの力で倒す事は敵わない…か。仕方無い。我が魔王、ここはジオウⅡで…」

 

状況を冷静に分析していたウォズの姿が、突然空から降って来た蒼い炎に包まれるのと。

ジオウⅡウォッチを取り出そうとしたジオウの元へゲイツが吹っ飛ばされ、二人が衝突するのはほぼ同じタイミングであった。

 

「痛ってて…な、何…!?ゲイツ…!?ウォズ!?無事!?」

 

「何とかな…。」

 

「お気遣い痛み入るよ…我が魔王。然し、あれ(・・)は…。」

 

よろよろと立ち上がるジオウとゲイツ。どうやら変わり身の術で炎を躱していたらしいウォズも合流し、空を見上げれば 。

 

「ジオウ…恐らくだが、あのアナザーライダー…。」

 

「うん、分かってるよゲイツ。多分アイツの力…龍我(・・)の物だ。」

 

 

 

─────── 炎を身に纏い、まるで悪魔の様な歪な翼で宙を舞う、蒼い竜(・・・)の様な怪人がそこに居た。

 

「アナザー…クローズ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程の戦闘の後。智絵理や、近くに居た人々を避難させたツクヨミと連絡を取り、合流したソウゴ達。

結論から言えば。突如乱入してきたアナザークローズに完全に不意を突かれ、その隙にアナザーライダー達には逃げられてしまった。

流石の彼も、複数のアナザーライダーを取り逃がしたとあって表情は重い。

 

「ゴメン…逃げられ…─────!?えッ!?」

 

暗い声音で報告しようとしたソウゴは、謎の衝撃に呆気に取られる。

暫しの放心の後、漸く我に返ったソウゴは、智絵理が自身へ勢い良く抱き着いたのだと理解した。

智絵理は今にも泣き出しそうな顔で…否、既に頬へと涙を伝わせながら、抗議する様な視線をソウゴへ向ける。

 

幾らソウゴが世間一般の基準より少し鈍感気味で、相手が幼馴染みとはいえ、流石にこの状況は気恥ずかしい。

だが、そんな顔をされては下手に茶化して逃げる事も出来ない。

 

「えっと…智絵理?そのー…どしたの?」

 

「どしたの?じゃないよ…!最初は、何が起きてるのか分からなかったけど…。段々、落ち着いてきたら…ソウゴ君、死んじゃうかと思って…凄く、怖くなって…!」

 

彼女の言葉に、ソウゴは勿論ゲイツやウォズも驚愕する。

そもそも、最初に危険に晒されたのは彼女なのだ。その後も異形の怪人達に加え、幼馴染みの筈のソウゴでさえも彼女の目の前で変身した。

身の危険、恐怖を感じるのは当然。よく知る筈のソウゴへ不信感を抱いても仕方無い。

───── 或いは、彼等の変身を見て、『怪物から守ってくれる』と考え安堵するのなら未だ分からなくも無い。

 

だが、この少女は。自分の事より。状況の把握より。

彼が怪物と渡り合う力を有していると知ってなお。危険を冒した事に怒りを覚える程、唯ひたすらにソウゴの身を案じていたのだ。

 

魔王と戦ってきたゲイツも。

魔王の傍らで見守ってきたウォズも。

そんな人間は見た事が無かった。

 

「…ソウゴ。智絵理さん、ずっと貴方の事を心配してたよ。ほら。」

 

「……分かった。ゴメン、智絵理。でも心配しないで!俺はきっと大丈夫…今回は逃げられちゃったけど、次は何かいける気がするんだ!」

 

ツクヨミに促されながら、何処かぎこちない手付きで智絵理の頭を撫でつつ、安心させる様に微笑み掛けるソウゴ。

然しそれでも智絵理の不安そうな表情は変わらない。彼女はソウゴへ何かを訴え掛けようと口を開き ───────。

 

 

 

 

 

「若き二人の美しき時間に水を差して悪いが

─── この案件、俺も交ぜてもらおう。」

 

 

 

世界が、停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「異論は認めん。お前達の意見は求めていない。」

 




例えスーツは作れなくても、二次創作ならレジェンドライダーの力にアーマータイムしても良いよね。ちゃんと継承済みのやつだから許して。

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