魔王と歌姫   作:banjo-da

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ソウゴ「あ!智絵理がSNS更新してる!」
ウォズ「なになに…?
『今日はドラマのロケでした!情報解禁前なので詳しくは言えませんが、解禁されたら是非見て欲しいです!』…か。」
ソウゴ「コメントしよ!えっと…『ジオウですか?』」
ゲイツ「それは止めろ!!!!!」


始まります



2019:天駆ける龍、地を駆けるライダー

「───────ふぅ。……おっと!

失礼…我が魔王と、智絵理君の美しき一時に水を差すのは無粋かと、出る機会を窺っていたのですが…。

時間潰しに智絵理君の歌を聞いていたら、思いの外聞き入ってしまいました。

 

……では、気を取り直して…。」

 

───────この本によれば。

王を目指す少年、『常磐ソウゴ』。

彼には魔王にして時の王者、『オーマジオウ』となる未来が待っていた。

 

他人を思い遣り、自分を傷付けていたアイドル『緒方智絵理』。そんな彼女の想いを肯定し、その夢を守ると決めたソウゴ。

一方、私達は警察の協力を得る事に成功。

駆け出しの歌姫と駆け出しの魔王の物語も、いよいよクライマックスに向けて進み始める……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらD-3班。黒い怪物に近隣住民が襲われているとの通報有り。』

 

『こちらB-5班。通報に基づいて現場に駆け付けた所、怪物を発見。現在、警官隊が応戦中!』

 

『こちらC-2班。上空に怪物と思われる未確認飛行物体を発見。』

 

 

 

「……凄まじいスピードだな。俺達だけでは、こうも早くアナザーライダーを見付ける事は出来なかっただろう…。」

 

警官から寄せられた情報を基に現場へ向かうゲイツは、彼等の情報の早さに内心舌を巻いた。

仮面ライダーとしてアナザーライダー達と戦う彼は、心の何処かで一般人である彼等を侮っていたのかもしれない。そんな自身を反省しつつ、目的の地点へとライドストライカーを駆る。

 

「ッ!見えた…あれか!」

 

前方に、数人の警官達とアナザーゲンムが現れる。

警官達は人々を避難させながら、アナザーゲンム目掛けて発砲する。

が、流石に力の差は歴然。銃弾を喰らいながら、何事も無いかの様に彼等の元へと歩み寄るアナザーゲンム。

 

─────然し。それでも充分だった。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

「はぁっ!」

 

仮面ライダーへ変身したゲイツはライドストライカーを加速させ、そのままアナザーゲンムへと突撃。警官達に気を取られていたアナザーゲンムは、抵抗する間も無く弾き飛ばされた。

 

「大丈夫か?」

 

ライドストライカーをウォッチへと戻しながら、傍に居た警官へと声を掛けるゲイツ。

 

「君のおかげでな…とはいえ、警察の目の前で人身事故とはな…。」

 

問い掛けられた警官は悔しさを隠す様に苦笑いしつつも、後は頼んだとばかりに彼の肩を叩いた。

 

「今のは見なかった事にしよう…正義のヒーローが免停は不味いだろう?…何も出来ずに、守るべき市民に頼るのは情けないが────」

 

「そんな事は無い。」

 

自嘲気味に軽口織り交ぜつつ、悔しさに歯を食い縛る彼の言葉を、ゲイツは遮り否定する。

 

「何も出来ない…?アンタ達のお陰で、罪も無い人々が無事避難出来た…俺はこの結果を、偉業以外に何と呼べば良いのか知らん。

────後は任せろ。」

 

自分が駆け付けるまで、無辜の人々を守り続けた彼等に彼なりの賛辞を送りながら。

ゲイツは起き上がろうと藻掻くアナザーゲンムの元へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

『ファッション!パッション!クエスチョン!

フューチャリング・クイズ!クイズ!』

 

同時刻。既にアナザークローズと遭遇していたウォズは、敵の変幻自在な攻撃に苦戦していた。

 

オリジナルのクローズ以上に、守りを捨て徹底的に攻め続けるインファイトスタイル。苛烈なまでの拳の連打に、反撃の糸口を探るも中々隙を見出だせない。

かと思えば。ほんの些細な隙が生じただけでも、即座に翼を広げ宙へ逃れる。ならばと遠距離戦に持ち込もうとしても、強烈な火球を撃ち込み反撃するアナザークローズ。

近・中・遠距離。全てのレンジにおいて器用に立ち回るアナザークローズは、ウォズをしてかなりの強敵と認めざるを得なかった。

 

「問題!君は難敵だが、私は君を倒せる。〇か、×か?」

 

状況に変化をもたらそうと、ウォズは身に纏ったクイズの力を発動。

ウォズの問いと共に、アナザークローズを雷雲が包み込む。クイズに正解すれば解除されるが、不正解…または無回答の場合、アナザークローズ目掛けて強烈な攻撃が放たれる。

暴走する彼には、そもそも回答等不可能…そう判断しての一手。回答の残り制限時間をカウントしながら、ウォズはジカンデスピアを手にアナザークローズへと距離を詰めた。

 

「悪いね?頭を使うのは戦闘の基本。といっても…ウォッチの力に飲み込まれた君には難しいかな?」

 

────だが、予想外の事態が起こる。

 

「グォォ…ガァ…!…オレハ、バカジャネェ…ッ!!!」

 

「なっ!?」

 

全方向からの強烈な雷撃。それを受け、苦痛の叫びを上げながらも、なんとアナザークローズは力ずくで雷雲を突き破った。

想定外の事態に、思わず一瞬動きの止まるウォズ。ほんの一瞬とはいえ、アナザークローズはその隙を見逃す程甘い敵では無い。

 

「セメテ…キンニク…ツケロオォ…ッ!」

 

燃え盛るマグマの様な高熱のエネルギーを纏わせた拳を、アナザークローズはウォズの胴目掛けて叩き込む。

ウォズも咄嗟にガードしたものの、下手をすれば一撃で変身解除されかねないその攻撃を喰らい、いとも容易く弾き飛ばされた。

 

「ガッ…!それ…は……仮面ライダー、クローズ…万丈龍我の…口癖だね…。」

 

大ダメージを受けながらも。完全にアナザーライダーの力に飲み込まれている筈の敵が口にした言葉に、思わず呆れた様子のウォズ。

ライダーの本来の在り方、歴史を歪めた存在である筈のアナザーライダーから、オリジナルの口癖が出てくる等まず有り得ない。…けれど、現に敵はそれを口にした。

 

アナザー化してなお残る程、万丈龍我という人間の個性(バカ)は強烈なのだろうか…そんな事を思い、ピンチにも関わらずウォズは仮面の下で苦笑する。

 

「……人が真剣に戦っているのに、コメディにするのは止めてもらおうか。全く…これでは我が魔王に顔向け出来ない。ここから挽回しなければ…。」

 

『ギンガ!』

 

「さあ─────第二ラウンドと行こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、分かった。そこなら、俺の居る場所から近い。アナザーギルスは俺に任せて。」

 

時間を少し遡り、ゲイツとウォズが現場へ向かっている頃。

ツクヨミからの電話を切り、ソウゴも告げられた地点へと向かうべく、ライドストライカーをウォッチの状態からバイクへと変形させる。

 

「…行くの…?」

 

「うん。敵の場所が分かった。王様として、皆を守らないとね。…だから、皆の事は俺達に任せて安心して。智絵理も、自分の務めを果たさないと。」

 

先程のやり取りで不安こそ薄まったものの、矢張り彼を心配せずにはいられない智絵理。

けれどソウゴは、彼女を安心させるべく笑い掛ける。

 

「……っと、そうだ。智絵理、行く前に…。」

 

ふと、何かを思い出したかの様に懐を漁るソウゴ。そんな彼に、智絵理は不思議そうに首を傾げる。

彼が取り出したのは、二つのウォッチ。一つは彼が元々持っていた物。もう一つは、今この時の為にゲイツから借り受けていた物だった。

 

「……?それ…ソウゴ君達の…。」

 

「うん、ライドウォッチ。仮面ライダーの力と、歴史を受け継いだ証。」

 

それを何故今取り出すのか、智絵理の謎は深まるばかり。

けれどソウゴは、自信に満ちた『いける気がする』時の表情で、そのウォッチを起動する。

 

魔法使い(・・・・)と、植物の力を操る神様(・・)。今の俺でも、二つ使えば…。」

 

『ウィザード!』

 

『鎧武!』

 

ウォッチの起動音と共に、智絵理の手の中へと小さな光が集まっていく。

 

未来の自分(オーマジオウ)の様に、ウォッチを起動するだけでライダーの力を十全に使いこなす事は無理でも。魔王へと至りつつある今の自分なら、二つのライダーの力を借りれば…。

 

そんな彼の思惑通りか。

─────或いは。

人々の希望を守る魔法使いと、誰一人見捨てない神様に、少女と少年の小さな願いが届いたのか。

智絵理の手に集まった光は、軈て小さな四つ葉のクローバーへと姿を変える。

 

「わぁ…!」

 

「智絵理、四つ葉のクローバー好きだったでしょ?これは俺からのプレゼント。

智絵理のステージが、夢が叶うように。」

 

上手くいった事に内心ほっとしつつ、ソウゴは彼女へ微笑みを向ける。

智絵理は先程までの涙が嘘のように目を輝かせ、大切そうにクローバーを両手で優しく包み込んだ。

 

「……ありがとう。ソウゴ君…私、頑張るから。だから、ソウゴ君も…皆さんも、無事に帰って来て。私のステージ…見に来てね。」

 

「うん。約束する。必ず見に行くから。

 

───────また後で!」

 

智絵理の目を真っ直ぐに見詰め、ソウゴは力強く応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウォズ対アナザークローズ。

熾烈極まるこの戦いも、いよいよ大詰めを迎えていた。

 

「グァ…ク、ソ…!」

 

何やら敵の姿が変わったが、先程の妙な小細工同様恐れる事は無い。終始優勢を保っていたアナザークローズが、そう思うのも無理は無く。

けれど現状は、完全にウォズの手玉に取られていた。

 

「ナン…カラダ、オモ…グ…!」

 

「おや、先程から急に動きが鈍くなったね?最初に飛ばし過ぎてバテたのかな?」

 

「ウ…アアァ!!!」

 

ウォッチの力に飲まれ、完全に理性など失っている筈のアナザークローズ。然し、ほんの僅かに思考や感情が残っていたのか、その煽る様な物言いに反応し雄叫びをあげる。

怒る様な叫び声と共に、彼は重くなった(・・・・・)体を無理矢理動かし、ウォズへと襲い掛かろうとする。

 

けれど。そんな敵の様子にも全く動じる事無く、ウォズは…宇宙の力を身に纏った『ウォズギンガファイナリー』は、ゆっくりと片手を差し出した。

 

「力み過ぎだよ、アナザーライダー君。そんなに力んでいては、勢い余って転んでしまう。」

 

その言葉と共に。アナザーライダーの身体を支配していた重さが消え失せる。───寧ろ彼の体は、今度は極端に軽くなり過ぎた(・・・・・・・)。今まさにウォズの元へと飛び掛かろうとしていたアナザークローズは、バランスを崩してその場にゆっくり(・・・・)倒れ込んでしまう。

起き上がろうと足掻くも、軽過ぎる体で上手く起きられぬアナザークローズ。そんな彼を、ウォズギンガは容赦無く蹴り飛ばした。

 

「…絵面的にはどちらが悪役か分からないが…君を倒す事は、君を救う事にも繋がる。悪く思わないでくれ?」

 

「ガッ…ガァ…ウゥ…。」

 

種明かしをしてしまえば、ウォズギンガに備えられた宇宙の力。

彼の両肩に備え付けられたグラビコンソーサーには、内部に平衡状態で維持された超マイクロブラックホールが封入されており、その力を利用することで重力子の制御を行える。

つまり。あらゆる間合いを上手く立ち回り、隙を見せぬアナザークローズに対し。その身のこなしを、ウォズは重力操作で強制的に封じ込めたのだ。

重力の増減により動きを制限されたアナザークローズは、ウォズギンガの攻撃を一方的に受け続ける。

 

「ウォ……ゴガァァ!!!」

 

「おっと!」

 

彼は堪らず巨大な火球を闇雲に撃ち出すと、ウォズの怯んだ隙に乗じて翼を広げた。

 

「…空へ逃げるつもりか。

─────問題ない…想定の範囲内だ。」

 

ウォズの予想通り、一目散に飛び去ろうとするアナザークローズ。然しウォズは敢えて重力操作を解除し、代わりにビヨンドライバーを操作する。

 

『ファイナリービヨンドザタイム!

超ギンガエクスプロージョン!』

 

ドライバーから鳴り響く音声を引き金に、天高くからアナザークローズ目掛けて流星群が降り注ぐ。

想定外の出来事に、明らかに動揺した様子を見せたアナザークローズ。

だが彼は最後の力を振り絞り、全身からエネルギーを放出する。持てる全ての力で、流星群を迎え撃つつもりなのだろう。

 

けれど。

 

「残念。

─────それも、想定内(・・・)だ。」

 

『クローズ!』

『ライドウォッチブレイク!』

 

解散前、予めゲイツから借りていた(・・・・・・・・・・)クローズライドウォッチを起動。素早くビヨンドライバーのウォズギンガミライドウォッチと入れ換え、再び必殺技を発動する。

 

「ガッ…!?」

 

「ちなみにさっきの問題の答えだが…見ての通り、正解は〇だね。

流星群ならぬ龍星群(・・・)…とでも言っておこうか。」

 

驚愕に見開かれるアナザークローズの目。

それもその筈。既に放たれていた流星の合間を縫う様に、天から降り注ぐ龍の群れが彼目掛けて襲い掛かる。

大空を埋め尽くさんとばかりの巨大な力の奔流に、アナザークローズは為す術なく飲み込まれた。

 

「…おっと。花火大会を前にこれでは、本番の花火が霞んで見えてしまうかもしれない。

ま、───────私の知った事では無いが。」

 

誰が見ても一目でオーバーキルと分かる過剰な火力に、ドン引きした様子の警官隊。

そんな彼等の視線にも。我関せずとばかりの涼しい様子で、ウォズは小さく呟くのだった。




「…で?クローズアーマーは?ん?」
「何で出ねぇんだよォ!!!」

ゲイツくんウォッチ貸し出し過ぎ問題。
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