ウォズ「なになに…?
『今日はドラマのロケでした!情報解禁前なので詳しくは言えませんが、解禁されたら是非見て欲しいです!』…か。」
ソウゴ「コメントしよ!えっと…『ジオウですか?』」
ゲイツ「それは止めろ!!!!!」
始まります
「───────ふぅ。……おっと!
失礼…我が魔王と、智絵理君の美しき一時に水を差すのは無粋かと、出る機会を窺っていたのですが…。
時間潰しに智絵理君の歌を聞いていたら、思いの外聞き入ってしまいました。
……では、気を取り直して…。」
───────この本によれば。
王を目指す少年、『常磐ソウゴ』。
彼には魔王にして時の王者、『オーマジオウ』となる未来が待っていた。
他人を思い遣り、自分を傷付けていたアイドル『緒方智絵理』。そんな彼女の想いを肯定し、その夢を守ると決めたソウゴ。
一方、私達は警察の協力を得る事に成功。
駆け出しの歌姫と駆け出しの魔王の物語も、いよいよクライマックスに向けて進み始める……。
◆
『こちらD-3班。黒い怪物に近隣住民が襲われているとの通報有り。』
『こちらB-5班。通報に基づいて現場に駆け付けた所、怪物を発見。現在、警官隊が応戦中!』
『こちらC-2班。上空に怪物と思われる未確認飛行物体を発見。』
「……凄まじいスピードだな。俺達だけでは、こうも早くアナザーライダーを見付ける事は出来なかっただろう…。」
警官から寄せられた情報を基に現場へ向かうゲイツは、彼等の情報の早さに内心舌を巻いた。
仮面ライダーとしてアナザーライダー達と戦う彼は、心の何処かで一般人である彼等を侮っていたのかもしれない。そんな自身を反省しつつ、目的の地点へとライドストライカーを駆る。
「ッ!見えた…あれか!」
前方に、数人の警官達とアナザーゲンムが現れる。
警官達は人々を避難させながら、アナザーゲンム目掛けて発砲する。
が、流石に力の差は歴然。銃弾を喰らいながら、何事も無いかの様に彼等の元へと歩み寄るアナザーゲンム。
─────然し。それでも充分だった。
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
「はぁっ!」
仮面ライダーへ変身したゲイツはライドストライカーを加速させ、そのままアナザーゲンムへと突撃。警官達に気を取られていたアナザーゲンムは、抵抗する間も無く弾き飛ばされた。
「大丈夫か?」
ライドストライカーをウォッチへと戻しながら、傍に居た警官へと声を掛けるゲイツ。
「君のおかげでな…とはいえ、警察の目の前で人身事故とはな…。」
問い掛けられた警官は悔しさを隠す様に苦笑いしつつも、後は頼んだとばかりに彼の肩を叩いた。
「今のは見なかった事にしよう…正義のヒーローが免停は不味いだろう?…何も出来ずに、守るべき市民に頼るのは情けないが────」
「そんな事は無い。」
自嘲気味に軽口織り交ぜつつ、悔しさに歯を食い縛る彼の言葉を、ゲイツは遮り否定する。
「何も出来ない…?アンタ達のお陰で、罪も無い人々が無事避難出来た…俺はこの結果を、偉業以外に何と呼べば良いのか知らん。
────後は任せろ。」
自分が駆け付けるまで、無辜の人々を守り続けた彼等に彼なりの賛辞を送りながら。
ゲイツは起き上がろうと藻掻くアナザーゲンムの元へと駆け出した。
◆
『ファッション!パッション!クエスチョン!
フューチャリング・クイズ!クイズ!』
同時刻。既にアナザークローズと遭遇していたウォズは、敵の変幻自在な攻撃に苦戦していた。
オリジナルのクローズ以上に、守りを捨て徹底的に攻め続けるインファイトスタイル。苛烈なまでの拳の連打に、反撃の糸口を探るも中々隙を見出だせない。
かと思えば。ほんの些細な隙が生じただけでも、即座に翼を広げ宙へ逃れる。ならばと遠距離戦に持ち込もうとしても、強烈な火球を撃ち込み反撃するアナザークローズ。
近・中・遠距離。全てのレンジにおいて器用に立ち回るアナザークローズは、ウォズをしてかなりの強敵と認めざるを得なかった。
「問題!君は難敵だが、私は君を倒せる。〇か、×か?」
状況に変化をもたらそうと、ウォズは身に纏ったクイズの力を発動。
ウォズの問いと共に、アナザークローズを雷雲が包み込む。クイズに正解すれば解除されるが、不正解…または無回答の場合、アナザークローズ目掛けて強烈な攻撃が放たれる。
暴走する彼には、そもそも回答等不可能…そう判断しての一手。回答の残り制限時間をカウントしながら、ウォズはジカンデスピアを手にアナザークローズへと距離を詰めた。
「悪いね?頭を使うのは戦闘の基本。といっても…ウォッチの力に飲み込まれた君には難しいかな?」
────だが、予想外の事態が起こる。
「グォォ…ガァ…!…オレハ、バカジャネェ…ッ!!!」
「なっ!?」
全方向からの強烈な雷撃。それを受け、苦痛の叫びを上げながらも、なんとアナザークローズは力ずくで雷雲を突き破った。
想定外の事態に、思わず一瞬動きの止まるウォズ。ほんの一瞬とはいえ、アナザークローズはその隙を見逃す程甘い敵では無い。
「セメテ…キンニク…ツケロオォ…ッ!」
燃え盛るマグマの様な高熱のエネルギーを纏わせた拳を、アナザークローズはウォズの胴目掛けて叩き込む。
ウォズも咄嗟にガードしたものの、下手をすれば一撃で変身解除されかねないその攻撃を喰らい、いとも容易く弾き飛ばされた。
「ガッ…!それ…は……仮面ライダー、クローズ…万丈龍我の…口癖だね…。」
大ダメージを受けながらも。完全にアナザーライダーの力に飲み込まれている筈の敵が口にした言葉に、思わず呆れた様子のウォズ。
ライダーの本来の在り方、歴史を歪めた存在である筈のアナザーライダーから、オリジナルの口癖が出てくる等まず有り得ない。…けれど、現に敵はそれを口にした。
アナザー化してなお残る程、万丈龍我という人間の
「……人が真剣に戦っているのに、コメディにするのは止めてもらおうか。全く…これでは我が魔王に顔向け出来ない。ここから挽回しなければ…。」
『ギンガ!』
「さあ─────第二ラウンドと行こうか。」
◆
「……うん、分かった。そこなら、俺の居る場所から近い。アナザーギルスは俺に任せて。」
時間を少し遡り、ゲイツとウォズが現場へ向かっている頃。
ツクヨミからの電話を切り、ソウゴも告げられた地点へと向かうべく、ライドストライカーをウォッチの状態からバイクへと変形させる。
「…行くの…?」
「うん。敵の場所が分かった。王様として、皆を守らないとね。…だから、皆の事は俺達に任せて安心して。智絵理も、自分の務めを果たさないと。」
先程のやり取りで不安こそ薄まったものの、矢張り彼を心配せずにはいられない智絵理。
けれどソウゴは、彼女を安心させるべく笑い掛ける。
「……っと、そうだ。智絵理、行く前に…。」
ふと、何かを思い出したかの様に懐を漁るソウゴ。そんな彼に、智絵理は不思議そうに首を傾げる。
彼が取り出したのは、二つのウォッチ。一つは彼が元々持っていた物。もう一つは、今この時の為にゲイツから借り受けていた物だった。
「……?それ…ソウゴ君達の…。」
「うん、ライドウォッチ。仮面ライダーの力と、歴史を受け継いだ証。」
それを何故今取り出すのか、智絵理の謎は深まるばかり。
けれどソウゴは、自信に満ちた『いける気がする』時の表情で、そのウォッチを起動する。
「
『ウィザード!』
『鎧武!』
ウォッチの起動音と共に、智絵理の手の中へと小さな光が集まっていく。
そんな彼の思惑通りか。
─────或いは。
人々の希望を守る魔法使いと、誰一人見捨てない神様に、少女と少年の小さな願いが届いたのか。
智絵理の手に集まった光は、軈て小さな四つ葉のクローバーへと姿を変える。
「わぁ…!」
「智絵理、四つ葉のクローバー好きだったでしょ?これは俺からのプレゼント。
智絵理のステージが、夢が叶うように。」
上手くいった事に内心ほっとしつつ、ソウゴは彼女へ微笑みを向ける。
智絵理は先程までの涙が嘘のように目を輝かせ、大切そうにクローバーを両手で優しく包み込んだ。
「……ありがとう。ソウゴ君…私、頑張るから。だから、ソウゴ君も…皆さんも、無事に帰って来て。私のステージ…見に来てね。」
「うん。約束する。必ず見に行くから。
───────また後で!」
智絵理の目を真っ直ぐに見詰め、ソウゴは力強く応えた。
◆
ウォズ対アナザークローズ。
熾烈極まるこの戦いも、いよいよ大詰めを迎えていた。
「グァ…ク、ソ…!」
何やら敵の姿が変わったが、先程の妙な小細工同様恐れる事は無い。終始優勢を保っていたアナザークローズが、そう思うのも無理は無く。
けれど現状は、完全にウォズの手玉に取られていた。
「ナン…カラダ、オモ…グ…!」
「おや、先程から急に動きが鈍くなったね?最初に飛ばし過ぎてバテたのかな?」
「ウ…アアァ!!!」
ウォッチの力に飲まれ、完全に理性など失っている筈のアナザークローズ。然し、ほんの僅かに思考や感情が残っていたのか、その煽る様な物言いに反応し雄叫びをあげる。
怒る様な叫び声と共に、彼は
けれど。そんな敵の様子にも全く動じる事無く、ウォズは…宇宙の力を身に纏った『ウォズギンガファイナリー』は、ゆっくりと片手を差し出した。
「力み過ぎだよ、アナザーライダー君。そんなに力んでいては、勢い余って転んでしまう。」
その言葉と共に。アナザーライダーの身体を支配していた重さが消え失せる。───寧ろ彼の体は、今度は極端に
起き上がろうと足掻くも、軽過ぎる体で上手く起きられぬアナザークローズ。そんな彼を、ウォズギンガは容赦無く蹴り飛ばした。
「…絵面的にはどちらが悪役か分からないが…君を倒す事は、君を救う事にも繋がる。悪く思わないでくれ?」
「ガッ…ガァ…ウゥ…。」
種明かしをしてしまえば、ウォズギンガに備えられた宇宙の力。
彼の両肩に備え付けられたグラビコンソーサーには、内部に平衡状態で維持された超マイクロブラックホールが封入されており、その力を利用することで重力子の制御を行える。
つまり。あらゆる間合いを上手く立ち回り、隙を見せぬアナザークローズに対し。その身のこなしを、ウォズは重力操作で強制的に封じ込めたのだ。
重力の増減により動きを制限されたアナザークローズは、ウォズギンガの攻撃を一方的に受け続ける。
「ウォ……ゴガァァ!!!」
「おっと!」
彼は堪らず巨大な火球を闇雲に撃ち出すと、ウォズの怯んだ隙に乗じて翼を広げた。
「…空へ逃げるつもりか。
─────問題ない…想定の範囲内だ。」
ウォズの予想通り、一目散に飛び去ろうとするアナザークローズ。然しウォズは敢えて重力操作を解除し、代わりにビヨンドライバーを操作する。
『ファイナリービヨンドザタイム!
超ギンガエクスプロージョン!』
ドライバーから鳴り響く音声を引き金に、天高くからアナザークローズ目掛けて流星群が降り注ぐ。
想定外の出来事に、明らかに動揺した様子を見せたアナザークローズ。
だが彼は最後の力を振り絞り、全身からエネルギーを放出する。持てる全ての力で、流星群を迎え撃つつもりなのだろう。
けれど。
「残念。
─────それも、
『クローズ!』
『ライドウォッチブレイク!』
解散前、予め
「ガッ…!?」
「ちなみにさっきの問題の答えだが…見ての通り、正解は〇だね。
流星群ならぬ
驚愕に見開かれるアナザークローズの目。
それもその筈。既に放たれていた流星の合間を縫う様に、天から降り注ぐ龍の群れが彼目掛けて襲い掛かる。
大空を埋め尽くさんとばかりの巨大な力の奔流に、アナザークローズは為す術なく飲み込まれた。
「…おっと。花火大会を前にこれでは、本番の花火が霞んで見えてしまうかもしれない。
ま、───────私の知った事では無いが。」
誰が見ても一目でオーバーキルと分かる過剰な火力に、ドン引きした様子の警官隊。
そんな彼等の視線にも。我関せずとばかりの涼しい様子で、ウォズは小さく呟くのだった。
「…で?クローズアーマーは?ん?」
「何で出ねぇんだよォ!!!」
ゲイツくんウォッチ貸し出し過ぎ問題。
感想、評価等お待ちしております。