………当の龍斗達も自覚している事だが、街中でコレだけ派手に暴れていれば普通は通報しない方が可笑しい。
まあ、機動六課が来たのは……例のリニアの一件が原因となっているのだろう。ロストロギアと思われる謎の道具を使った怪物を倒した怪人と同じく謎の怪物が戦っているのだから。
現在はヒートサイドの腕がトリガーメモリを使おうとしているメタルサイドの腕を止めている。トリガーメモリを使おうとしている龍斗をマオが留めていると言う訳で。
『ちょっと、龍斗、落ち着いて! ここが風都じゃないからって、こんな所で魔導士相手にドーパントでも無いのにトリガーメモリは…。』
「放せ、マオ! あいつ等は…あいつ等は…!」
それは端から見ればヒート側がメタル側の腕を押さえて一人で言い争いしていると言うある種コント染みた状況だった。
『TRIGGER!』
『HEAT!/TRIGGER!』
ダブル(マオ)の静止を振り払いガイアウェスパーと共にダブルHMの半身がトリガーの青に変わり、ダブルは同時に出現したトリガーマグナムを手に取る。
マオの意志の宿ったヒートの腕がトリガーマグナムを龍斗の意志の宿ったトリガーの腕を必死に押さえている。
???SIDE
ミリオン・コロッセオが造られていた廃墟の近くから一台のトリケラトプスの様なメモリガジェットがダブルの元へと向かおうとしていた。それをフードの着いたマントの様な物を着た男が捕まえるとダブルから離れた廃墟の一部へと叩きつける。
「チッ!」
廃墟の壁を砕きながらも、トリケラトプスの様なメモリガジェットはその場で一回転しながら着地し、目のような部分を光らせながら威嚇する様に唸り声をあげるトリケラトプス型のメモリガジェットを見て舌打ちする。
マントを纏った男がメモリガジェットを今度こそ完全に破壊する為かガイアメモリを取り出すと、メモリガジェットは警戒したのか、そのままそこから立ち去っていく。
メモリガジェットが居なくなった事を確信するとマントを纏った男はダブルの方へと向き直ると丁度ダブルがトリガーメモリを使った瞬間だった。
ダブルside
『ちょっと! 幾らなんでも、何もされて無いのにこんな所でヒートトリガーで先制攻撃は拙いわよ!』
「…放せ、マオ!!!」
『(…仕方ないわね…ちょっと面倒な事になりそうだけど…。)そこの時空管理局の人達、“私”を止めて!!!』
「「「「「「「「え?」」」」」」
『バインドとか色々有るでしょう!? この際だから、非殺傷の攻撃魔法でも何でも良いから、青い方が持っている銃を撃たせないで!!!』
「え、えーと…。」
「じゃあ、放せば良いんじゃ…。」
『それが出来たらやってるわよ! 良いから早く!!!』
ダブル(マオ)の言葉に思わず呆けた声をあげてしまう機動六課のスターズ&ライトニング分隊のみなさんでした。流石に自分から捕まえろとか、攻撃しろとか必死に頼む相手は初めてなのだろう。一種のコントを見せられている気分と言うのが一番近いのではないのだろうか?
『SKULL!』
ダブル(龍斗)を止めるダブル(マオ)が響いた瞬間、聞きなれた電子音が響く。
「い、今のは…?」
聞こえるはずの無い電子音、そのメモリを持っていた相手は…持っていた男は…既にこの世に居ないはずなのだから…。
後ろから静かに響く足音が聞こえるとダブルHTは後ろを振り返る。
『う、嘘…?』
「ど、どうして…。」
ゆっくりとした足取りで近づいてきたのは…マフラーと帽子の色こそ二人の記憶の中の姿とは違うが…その姿は確かに帽子を被った骸骨の様な仮面の仮面ライダー…『仮面ライダースカル』だった。
「えっと、貴方は…?」
突然の乱入者に問い掛けるフェイトの声に一度だけその仮面ライダー…『仮面ライダースカル・アナザー』は視線を向けると直にダブルHTへと向き直り、スカルマグナムを向けてその引き金を引く。
「うわぁ!!!」
『キャア!!!』
正確な射撃でヒートの方には当てずにトリガーの側にスカルマングナムの射撃を集中させる。
そして、ダブルHTからトリガーマグナムを弾くとスカル・アナザーはダブルHTの懐に飛び込むと、そのまま格闘戦に持ち込む。
「ぐっ!」
ダブルHTの頭に廻し蹴りを打ち込み、体制が崩れた所にボディにラッシュを打ち込む。そして、ダブルHTの体は吹き飛ばされて地面を転がりながら倒れる。それと同時にダブルHTはスタッグフォンを落としてしまう。
スカル・アナザーはダブルHTの落としたスタッグフォンを操作すると、ロストドライバーからスカルメモリを外し、
「少しは頭を冷やせ。」
『SKULL MAXIMAM DRIVE!』
曇った声でそう呟き、スカルメモリを腰のマキシマムスロットに装填した瞬間に鳴り響くマキシマムドライブのガイアウェスパー。
「ふっ!」
スカル・アナザーの胸から出現する紫の骸骨型のエネルギー、それをダブルHTへと向かって飛び回し蹴りの容量で蹴り飛ばす仮面ライダースカル、仮面ライダースカル・アナザーの必殺のキック技。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
『キャアァァァァァァァアア!!!』
スカル・アナザーの必殺技の直撃を受けたダブルHTから龍斗とマオの二人の悲鳴が響くと、ダブルへの変身が解除されたと同時に吹き飛ばされる龍斗。そんな龍斗の体を背後に現われたリボルキャリーがボディを展開させて受け止めた。
「ゲホ…ゲホ…。」
「ちょっと、龍斗、大丈夫?」
何時の間にか回収されていたハードボイルダーに手を付きながら龍斗は立ち上がると、スカル・アナザーとなのは達へと視線を向ける。
「え?」
「お前は、風凪の弟の…。」
「龍斗…くん…なの?」
「お前があの半分この仮面の野郎だったのかよ?」
スカル・アナザーのマキシマムドライブによって変身を強制解除させられた龍斗の姿を見たなのはとフェイト、シグナムとヴィータと言った面々が驚きの声をあげる。
「え? あの人ってなのはさん達の知り合いなんですか?」
「ちょっと、龍斗、知り合いなの?」
なのは達の言葉を聞いたスバルがなのは達に、マオが龍斗へと問い掛ける。
「う、うん。彼は…。」
「知り合いだと…? ふざけるな!!!」
なのはの返答を遮る様に龍斗の叫び声が響く。
「お前達は…兄さんを殺した片棒を担いでおいて、今更友達面かぁ!?」
「「「「っ!?」」」」
龍斗の言葉になのは達は絶句する。
「う、嘘…天馬くんが…。」
「うそ…だよね…うそって言ってよ…天馬が…。」
龍斗の叫びを聞いて蒼白になった顔で呆然とするなのはとフェイトの二人。
「まて、風凪が死んだとはどういう事だ!?」
「猿芝居は止めろよ…。特にお前だ、フェイト・T・ハラオウン!!! お前が知らないはずが無いだろうが!!! お前の兄のクロノ・ハラオウンが天馬兄さんを殺した仇の一人なんだからな!!!」
「!?」
ただでさえ悪かったフェイトの顔色が更に悪くなり乾いた音を立てて彼女のデバイス『バルディッシュ』が地面に落ちる。
「…嘘…。」
「「フェイトさん!!!」」
「さあ…兄さんを殺した…お前達の罪を数えろ!!!」
突きつけられた現実に耐え切れなかったと言う様子でフェイトの体が地面に落ちる。それを見たエリオとキャロの二人が慌てて彼女に駆け寄る。
「ま、待てよ…クロノ君が天馬君を殺した仇の一人って…どう言う事…? 私達は罪なんて…何も…。」
「それは…。」
「喋りすぎだ。」
突きつけられた真実に既に先ほどまでの様子が感じられないなのは達に更に言葉を続けようとした瞬間、
『SMOG MAXIMAM DRIVE!』
それ以上龍斗が言葉を続ける前にスカル・アナザーは新たなガイアメモリを取り出しスカルマグナムのマキシマムスロットへと装填し、なのは達と龍斗達の間へと銃口を向ける。
スカル・アナザーがスカルマグナムの引き金を引いた瞬間、スカルマグナムから放たれた光弾が中央で破裂し、黒い煙が完全に姿を包む。
「早く行け、探偵ってのは受けた依頼は必ず達成するものだ。」
龍斗へとそう言い放ちスカル・アナザーはスタッグフォンを龍斗達の居るリボルギャリーへと投げるとそのまま立ち去っていく。
「今がチャンスね。逃げるわよ。」
「ああ。」
龍斗達もリボルギャリーを走らせ、地球へと帰還する。
それを確認するとスカル・アナザーはベルトからスカルメモリを外し、地面に落ちたフェイトへと一言だけ告げ、その場を立ち去っていく。
後に残されたのは…知らなかった友人の死…しかも、それに自分達のよく知っている人間が関わっていると言う真実が突きつけられたなのは達だけだった。
『その後、ミリオン・コロッセオが潰れた事を刃野へと伝えた。ライフコインは優子の物だけ受け取って後は刃野を通じて警察に渡した。それによって、ミリオン・コロッセオに行った客からも事情聴取が行われたが正確な位置は分からずに終わった。当然だろう、警察には次元世界と言う概念を知らないのだから。優子は泣きながら両親に謝り許してもらえた様だ。それだけは今回の事件の…救いに思える。』
『ライフコインの命は全て持ち主に返還した…。そして、これからも変わらずに借金の山が待っているだろう。だけど、家族や大切な人達と一緒に居られる事に意味があると思いたい。オレと違って…生きているんだから。家族が揃っている限り何とかなる。』
そう打って探偵事務所の中で今回の事件の報告書を作成し終える。マオは和菓子店に行って構成した優子や彼女の両親からお礼の風花まんじゅうを貰って食べている。
「っと、余計な事が混ざったな。」
そう言って龍斗は報告書の一部の分に斜線を引く。
「…あいつら…。」
「ねえ、龍斗。彼女達とどう言う関係なの?」
いつもなら多少の嫉妬心を抱くマオだが、今回の龍斗の態度から明らかにそれほどいい関係ではないだろう事は理解できる。…相手とは違い少なくとも、龍斗にとっては。
「……これを見ろ……。」
そう言って龍斗はマオに一枚の写真を見せる。そこに映し出されていたのは…幼い日の龍斗だけでは無く龍斗によく似た少年と彼と一緒に映っている幼い日の機動六課の隊長の二人と部隊長のはやての三人。楽しそうに笑いあっている龍斗の兄と彼女達の姿は…。
「これって…。」
「捨ててしまおうと思ったけどな…兄さんが大切にしてた写真だから、捨てられなかったんだ。兄さんは昔住んでいた海鳴市で事件に巻き込まれて、時空管理局に協力した。」
そう言うとその写真を机へと投げる。
「二度目の事件が終わってから、管理局に入る事を誘われたけど…『探偵になる』って言う夢を追う事と風都に引っ越す事を理由に相棒だったデバイスを返して、魔法との関りを断った。」
龍斗にも兄に負けないほどの魔力量が有るらしく、一度はそれが原因で二度目の事件に巻き込まれた事を付け加えておく。
「そして…あの日…兄さんはクロノ・ハラオウンにメモリとドライバーを奪われた事を告げて、オレに先生の所に逃げる様に言った。」
「それじゃあ、仇って言うのは…?」
「兄さんはもう一つの『W』のメモリについて調べていた。その中で『G』のメモリの男に出会って、殺された…。少なくても…兄さんがドライバーとメモリを持っていれば…殺される事は無かったかもしれない…。」
「つまり、クロノ・ハラオウンが仇の一人って言うのは…。」
「兄さんの『W』のメモリを奪って、兄さんが死ぬ切欠を作ったんだ…あいつが!!! あの男が!!!」
血が出るほどに手を握りながら龍斗は拳を壁に叩きつける。龍斗が憎しみをぶつける理由は分かる。
…兄の死を知っていて、兄のメモリを奪い死ぬ切欠を作った男の事を知っていながら、ニコニコと笑っている人間を見て怒りを感じない訳が無い。(龍斗は知っていると誤解しているし。)
…全員が同じ組織に属しておいて、しかも一人はその内の身内なのだから、何も知らないと考える方が不自然だろう。
「…クロノ・ハラオウン…あいつだけは…絶対に許さない!!!」
心に誓いながら、龍斗はそう宣言する。
まあ、そのクロノも天馬の死の原因だと告げられて知り合い達から精神的に追い詰められているのだが…それはクロノを究極の『G』のメモリの男と並んで仇の一人としている龍斗としては現時点では知った事ではないだろう。
「でも、もう少しよく調べた方が良いわよ。」
「そうだな。しっかりとあいつに罪を突きつけてからだ…仇を討つのは。」
(…マオちゃんが言いたいのはそう言う事じゃないんだけどね。でも、ちゃんと調べれば誤解なら誤解だって理解できるから心配は無いわよね…?)
そう言って投げた写真へと視線を落とす。……兄の死を知っていながら、何も感じずに居る(と誤解している)なのは達へと怒りに満ちた表情を向けながらそう告げる。
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