「うーん…やっぱり、キーワードが全然足りないわね~…。」
探偵事務所のガレージを改造した部屋の中、意識が地球の本棚から戻ってきたマオはそう呟く。
「やっぱり、『炎のドーパント』と『放火事件』、それから依頼人のアパートの名前ってキーワードだけじゃ、無理だよな。」
「ダメ元でやってみたけど、ダメだったのはやっぱり落ち込むわね。」
膨大な情報を持つマオの地球の本棚でも、絞り込む為の検索のキーワードが無ければ逆に情報が多すぎる故に、分からないのも無理も無いだろう。
「…もう一つのストーカー事件の依頼の方は、予備のバットショットに周りを見張ってもらってるから、変な事が有れば連絡が来るはずだから、こっちの方に専念できるからいいんだけどね~。」
「そうだな。」
「「はぁ…。」」
そんな先の見えない現状に対して、思わず二人揃ってため息を付いてしまう龍斗とマオで有った。
「…仕方ないな、少しその放火事件について調べてみるか。」
「そうね、炎のドーパントの事を調べるならそれが一番速そうだしね~。依頼人の友達の名前でも分かればもう少し違うんだろうけど…。」
「…まだ、そっちの方は顔写真が無いから、受けるか受けないか決めかねていたからな。まあ、まだ放火事件の事に付いて調べる必要も有るし、名前を聞くのはその時で良いだろうな。」
「ん~…行ってらっしゃ~い。」
そう言ってガレージを出て行く龍斗を手を振りながら見送るマオで有った。
風麺…風車をイメージさせる丼よりも大きなナルトが特徴的なラーメンを食べさせてくれる風都の人気スポットの屋台である。
「頂きます。」
「よう、隼一。」
出されたラーメンを食べようとした友人…隼一に後から龍斗が話しかける。
「ん? 龍斗か? 何のようだ?」
ラーメンを啜りながら隼一は彼にそう問いかける。
「オレも同じのを一つ。ああ、実はお前に聞きたい事があるんだ。…情報代は…。」
龍斗が言い切る前に隼一は手を翳して彼の言葉を遮り、
「なるほどな。
「OK。…実はな…。」
隼一の言葉に頷いて龍斗は情報屋である彼に聞きたい事…『炎のドーパントが起こした放火事件』の事を説明する。
「ああ、成る程。例の“連続”放火事件の事か。」
「連続放火事件!?」
思わず隼一の言葉に思わずそう叫んでしまう龍斗だった。
「まだ公にはされて無くて、お前の依頼人が知らないのも無理は無いと思うけどな…。実はな…。」
隼一から話を聞く限り、ここ週毎に一ヶ月間放火事件が起こっていたと言う事だ。警察では最初の頃は単なる火事と思われていたが、火の気の無い部屋からも出火した事で、放火として判断したそうで、火事の状況は炎のドーパントの存在こそ確認されていないが、それ以外の状況は全て同じらしい。
一週間の間隔で放火され建物は全焼、かなりの人数が犠牲になったそうなのだが未だに犯人は捕まっていない…。
「…時期的に依頼人の放火事件は一番新しい物か…。」
「そうなるな。」
情報通の友人なのだが、何故か警察の内部の情報にまで詳しいのが気になる。だが、既にその理由を追求するのを諦めている。そもそも、下手に知ってしまって最悪の場合、共犯者にされるのだけは御免なのだから。…いや、最悪は全て罪を着せられるかもしれない。
だが、彼が知っている事は幸運だった。彼がダメだったら、最悪、刃野を頼ろうとも思っていたのだから。
「それで、事件について他に何か情報は?」
「うーん、事件が毎週火曜日の夜…丁度22時から23時59分までの間に燃え尽きているって事位なものかな、オレもこれについてはまだ調べてる最中だからな。」
そう言って隼一は手をひらひらと振る。
「そうか、サンキュー。それで情報代は…「要らない。ここのラーメン代で良いぜ。調査途中の情報にそんなに高い値は付けられないからな。」…そうか。」
「ご馳走さん。」と言って空になった丼に割り箸を乗せて手を合わせると、隼一は手帳を取り出し、何かをメモするとそれを龍斗の方に押し付けると立ち上がる。
「それが今までの放火事件の起きた場所だ。お前ならそれからでも何か分かるだろ? じゃ、何か分かったらオレにも教えてくれよな。」
「ああ、それじゃ、情報代はここのラーメン代で。」
「ああ。」
そう言って立ち去ろうとした時、隼一は立ち止まり龍斗の方を振り返ると…
「ああ、折角だから情報代はやっぱり、あのマオって子の…「ラーメンの代金だけだったな! すいません、代金先払いで!」…分かったよ。」
有無を言わせず先に代金を支払う龍斗に、そう言って隼一は渋々ながら立ち去っていった。
ミュージアムの幹部がそんな隼一のブログを見ているのかは疑問だし、イメージ的に見ていないで欲しいと言うのも有るが、マオの存在を隠す以上なるべく人の目に触れない方が良いのだろう。………ドライバーを付けた幹部ドーパントが隼一のブログを見ている姿を想像して噴出してしまったものだ。
第一、幹部が見なかったとしても、ミュージアムの組織の規模が分からない以上、どこで組織の目に触れるか分からない事でもある。最悪の場合下っ端から幹部に情報が流れていく可能性だって有るのだから。
「それにしても…。」
そう呟き、龍斗は隼一から渡されたメモに視線を向ける。日付と建物の名前と住所が四つ。最後の一つには確かに最近の日付と、依頼人のアパートの名前が書かれていた。
「…連続放火事件か…。知らない内に随分と大変な事になった…。」
ドーパント関係と言うだけでも楽な事件は無いというのに、余計に面倒になった事件の全貌の一部に、思わず溜息をついてしまう龍斗で有った。
だが、それでもこれで検索のキーワードは増えたのだから、少しは検索を絞り込めるだろうと考え、それをポケットの中に押し込んだ。
風都某所…
一通り土産を買い揃えた凍也の帰宅途中、彼の肩に機械仕掛けの蟷螂の様な物が飛び乗った。
「ん? 着信か?」
凍也の言葉に頷くような動作で答えると機械仕掛けの蟷螂は彼の肩から飛び降り、携帯電話に変形しながら、彼の掌に収まっていくと同時に蟷螂の絵が書かれた擬似メモリが排除された。
メモリガジェット『マンティスフォン』…凍也の持つ携帯電話に変形するイクス用のメモリガジェットの一つ。オウルアイから転送された映像を受信するだけでなく、地下等でも通信可能。メモリガジェットとしては高い戦闘力を持ち、並みのドーパントを数分間足止めする程度の事は可能。また、小規模で短時間ながらAMFも発生可能な高性能ガジェット。また、イクスの武器と合体する事により、AMFの規模と時間も増強可能である。
「冴子姉さんからか…何のようだろう…? もしもし。」
マンティスフォンのディスプレイに書かれている名前を見てそう呟くと、電話に出る。
『凍也、一つさっきあなたのガジェットから送られてきた映像を見たんだけど…少し拙い事になったわ。』
「拙い事ですか?」
そう言っているが、冴子の言葉には焦りの色は無い。凍也としては何が有ったのか気になる所だ。
『ええ、実は監視対象をドーパントが狙っているみたいなの。』
「………。」
電話の向こうから聞こえてくる姉の言葉に暫く黙り込んでしまう。
「…姉さん、部下か霧彦義兄さんにも話したんですか…ライフのメモリの事? もう回収命令でも出したんですか?」
『残念ながら、対象を狙っているのは一般のドーパントよ。組織の人間じゃないわ。』
「なるほど。」
貴重で希少なメモリを使用しているデータが収集できているのだから、態々それを破壊させる訳が無く、それを破壊させる訳にも行かない。
「分かりました。…その一般のドーパント…ミュージアムの邪魔者として、始末してきましょう。」
『ええ、お願いするわね、凍也。』
そう告げて電話が切られると、マンティスフォンのディスプレイにオウルアイからの映像を表示させる。
「…場所は…この近くか。」
近くに止めておいた白いバイクへと乗り込み、『X』を象ったドライバー《イクスドライバー》を取り出し腰に装着する。そして、銀、クリアブルー、藍色の三色のメモリを取り出し、
『EDGE!』
『ACQUA!』
『GUARD!』
流れるような手付きで三つのガイアメモリ、『エッジメモリ』『アクアモメリ』『ガードメモリ』の三種のメモリのスイッチを押しながら、バックル部分のガイアメモリの挿入口を回転させながら順番に差し込んでいく。そして、最後に金色のガイアメモリを取り出し、
『SOL!』
「変身!!!」
その叫び声と共に最後のメモリ《ソルメモリ》をイクスドライバーの挿入口に刺し込み、Xをイメージさせるメモリの挿入口を一回転させる。
『SOL!/EDGE!』
ソルとエッジのメモリが上になり回転が止まると、太陽をイメージさせる金色の右半身、騎士をイメージさせる銀の左半身、左腕には折りたたまれた剣…専用武器『エッジブレード』が装着され、胸部にはプリズムの色彩でXを描かれ、頭には青い複眼とXを象った黒い触角を持った仮面ライダー…太陽の騎士『仮面ライダーイクス・ソルエッジ』へと変身した。
それと同時に凍也が乗っていたバイクも形を変える。通常のバイクへの偽装が解かれ、白い車体の鳥をイメージさせるイクス専用マシン『イカロスレイダー』へとその姿を変えた。
「さあ…行こうか…。」
そう呟くとイクスはイカロスレイダーを疾走させる。
別の場所…
「ん?」
スタッグフォンの着信音に気がつき、ハードボイルダーを止めると電話に出る。
「もしもし…って、マオか?」
『うん。って、それどころじゃないわよ、龍斗!?』
電話の向こうから聞こえてくるマオの声には明らかに焦りの色が見えた。
「何が有った?」
そんな彼女の様子に自然と龍斗の声にも真剣さが増して行く。
『バットショットから最初の依頼人を狙ってるドーパントの映像が届いたのよ、急がないと…。』
「っ!? おいおい…まさか、宮子って人の方にもドーパントが関係していたなんてな。」
『ホ・ン・ト♪ 良い感してるわね~、龍斗。それと、もう一つよく聞いて…向こうに出てきたドーパントって、“炎のドーパント”よ。』
「なに!? それは好都合だ、二つの依頼…纏めて解決してやる! 行くぞ、マオ!」
ダブルドライバーを装着し、ジョーカーのメモリを取り出す。
『OK。じゃ、行きましょうか。』
ソファーに座りながら、マオは自分の腰にダブルドライバーが出現した事を確認すると、サイクロンのメモリを取り出し。
『CYCLON!』
スイッチを押す。
「ああ!」
『JOKER!』
ガイアメモリのスイッチを押し、離れた場所であるというのに左右対称の動きで二人は、ガイアメモリを振り上げる。
「「変身!!!」」
『CYCLON!/JOKER!』
風が吹き荒れ、龍斗は仮面ライダーW・サイクロンジョーカーへと変身した。
「急ぐぞ、依頼人が危ない!」
『OK。ここからだと、少し遠いけど、私が誘導するわ。急ぎましょ。』
「ああ!」
龍斗とマオ、二人の意思がそう会話し、ハードボイルダーを疾走させる。
別の場所…
二人の仮面ライダーが動き出した時、奇しくもドーパントも動き出していた。
「…何故だ…?」
「こ、来ないでよ…。」
全身を炎で包まれた人型のドーパントはそう呟きながら、少女…宮子へと近づいていく。
「…何故生きている…。…お前は死んだはずだ!」
「やだ…やだやだ、来ないで!!!」
「生きていてはいけない…死ね!」
振り上げた手に火炎の球体を作り出し、宮子へと叩きつけようとした時、
『邪魔だ!』
「ぐはぁ!!!」
白い車体のバイクがドーパントを跳ね飛ばした。
「お前は…仮面ライダー!?」
「…ああ、そう言えば、オレもそう名乗っていたな…。オレはイクス…仮面ライダーイクスだ。中々、いい名前だろう。」
炎のドーパントの言葉に笑いを浮かべながらそう答え、イクスはそう名乗りながらイカロスレイダーから降りるとゆっくりと左腕で炎のドーパントを指差し、
「さあ、太陽に挑む…己の愚を悔いろ。」
左腕に装着されたエッジブレードの柄をイクスが握ると形を変え展開される。そして、左腕から外れ、抜き放った瞬間、エッジブレードの刀身は伸びる。
「黙れ、何が太陽だ!!! 死ね!」
炎のドーパントが口から炎を吹き出す。普通の人間ならば一瞬で焼死してしまうであろう炎の中で、イクスはゆっくりと炎のドーパントとの距離を詰めて行く。
「…随分と温い…な!」
「ぐわぁ!!!」
炎のドーパントとの距離を詰めるとそのままエッジブレードによる斬激を連続で浴びせる。
「き、貴様ぁ!!!」
イクスの腕を掴み、動きを止めるとそのまま空いた手で首を掴み、
「このまま焼き尽してやる!!! 灰になってしまえ!!!」
「…悪いが男に抱きつかれて喜ぶ趣味は…。」
イクスドライバーに触れるとそのまま
「ない!!!」
180度逆に回転させ、下に有った二つのメモリの位置が上になる。
『ACQUA!/GUARD!』
金からクリアブルー、銀から藍色に色が変わると、同時にエッジブレードが消え、ガードの半身の専用武器の盾『ガードブレイカー』が左腕に現れる。
これこそが守りに秀でたイクスのもう一つの姿…流水の守護者『仮面ライダーイクス・アクアガード』。
「な…なに!?」
イクスを燃やし尽くそうとしていた炎のドーパントの体が逆に凍りつき始めていく。慌てて離れようとするが、逆に腕をイクスに押さえられ逃げる事は出来ずに掴まれた腕から凍結していく。
「は、はなせぇ、離してくれ!!!」
「ああ、分かった。」
炎のドーパントの言葉にそう答え、イクスは捕獲していた腕を放し、
「フリーズバレット。」
「ぐがぁぁぁぁぁぁあ!!!」
イクスから離れようとした炎のドーパントの体へと冷気を直接撃ち込む。自身の体へと撃ち込まれたそれによって、炎のドーパントの体は凍結していく。
「終わりだ。」
『SOL!/EDGE!』
イクスドライバーを回転させ基本フォーム『ソルエッジ』へと戻り、ドライバーからソルメモリを外し、エッジブレードのマキシマムスロットへと差し込む。
『SOL MAXIMAM DRIVE!』
鳴り響くのは最大の一撃を放つ為の電子音。
「消えろ…『ソルエクスプロージョン』!!!」
エッジブレードを真上へと振り上げ、刀身が高温で発光するエッジブレードをそのまま一回転させると一気に凍りついた炎のドーパントへと振り下ろす。それが仮面ライダーイクスの必殺技の一つ『ソルエクスプロージョン』!
「…手応えが無い…逃げられたか。」
エッジブレードを振り下ろした場所に有ったドーパントの氷像は一瞬で蒸発し、地面に剣の跡を刻むだけとなったそれを地面から抜きながらそう呟く。
その場にはドーパントになっていた人間も、メモリブレイクされたガイアメモリも存在していない。
(…逃げられた…。いや、最初からこのドーパントは分身だったのか? だとしたらこいつのメモリは…オレの持ち込んだ…“あのメモリ”か!?)
己の戦ったドーパントの正体に気づきながら、イクスがバイクへと戻ろうとした時、
『居たな、ドーパント! って、あれ?』
緑と黒の半身を持った仮面ライダーダブルの姿があった。
龍斗side
イクスが炎のドーパントと戦っていた時…トドメを刺す前まで遡る。
ダブルに変身した龍斗は炎のドーパントの居る場所へと向かってハードボイルダーを走らせている。
『そこを右、次の角を左に曲がって!』
「ああ!」
『龍斗、落ち着いて、そんなんじゃ、しなくてもいいミスをするわよ。』
「…分かってる…。」
そんな
『そ・れ・と、もうすぐ着くわよ、龍斗。』
「よし! 居たな、ドーパント! って、あれ?」
ダブルがそこに着いた時、既に金と銀の二色に彩られたダブルに似た仮面ライダー『イクス』の姿が有った。
「あれは…仮面ライダー…なのか?」
『見て、龍斗…あのドライバーって…私達と同じタイプ…。』
side out
(…ダブル…オレと同タイプのドーパント…いや、仮面ライダーか。)
目の前に現れたダブルに視線を向けながら、イクスは仮面の奥で笑みを浮かべる。
(…一度戦ってみるのも面白いだろう…。あの時は“ホーン”のメモリが反応したから、見ていただけだったからな…。)
エッジブレードを握る手に自然と力がこもる。
(…今後の事を考えて戦闘データを収集しておくか…。…オレも興味が有った事だしな…同タイプのドーパントには。)
「はぁ!」
ダブルへと向かってイクスの振るうエッジブレードが振り下ろされる。
(こいつ、なんで行き成り!?)
突然攻撃を仕掛けられた事に戸惑いを感じながら、ダブルはイクスの振るう剣を避ける。
「くっ! 何で仮面ライダー同士で戦う必要が有る!?」
イクスの振るう剣を避けながらそんな叫び声が出てしまう。
(…さて、態々オレから組織の事も、親切に説明してやる必要は無いか…。)「さあな。」
そう考えてダブルの言葉に惚ける事に決めたイクスはダブルの言葉にそう軽口で答えながら、尚もエッジブレードの斬撃を繰り返す。
『ジョーカーじゃ、リーチ的に不利ね、話を聞くにしてもこのままじゃ不味いわ、ルナかメタルを使った方が良いわね。私の方を変える?』
「いや、オレの方を変える。」
イクスの攻撃を避けながらドライバーからジョーカーメモリを外し、メタルメモリを取り出し、
『METAL!』
ドライバーへと刺し込み、再び展開する。
『CYCLON!/METAL!』
サイクロンメタルへとフォームチェンジし、振り下ろされたエッジブレードを風を纏ったメタルシャフトで受け止める。
「なに? (メモリを取り替える事でのフォームチェンジか…そこまでイクスと同じとはな…。だが、僅かにフォームチェンジまでのタイムラグがある。)」
「はあ!」
ダブルはイクスのエッジブレードを弾き、風を纏ったメタルシャフトでの素早い連続攻撃を叩き込む。
「くっ。(なるほど…少し本気を見せてやるか。)」
「はあ!」
「ふっ!」
叫び声と共にダブルとイクスは互いにエッジブレード、メタルシャフトで切り結ぶ。
「こいつ…。」
「残念ながら…こう言う戦い方も有る。」
『っ!? ダメ!!!』
相手に押し勝とうと更に力を込める
「はあ!!!」
そのまま無防備なダブルのメタルサイドへと右腕でのパンチを撃ち込む。
「うわぁ!」
『きゃあ!』
ダブルはメタルシャフトを手放して吹き飛ばされる。
「い、今のは…。」
『パワーだけならヒート、スピードはサイクロンと同レベルって…嘘でしょう? どんなメモリを使ってるのよ?』
壁に叩きつけられたダブルはそのまま地面に倒れる。そんなダブルに対してイクスは追撃を加えるまでも無く、ゆっくりとダブルと反対側に飛ばされたエッジブレードを拾い上げる。
「あいつ…余裕のつもりか?」
『でも、ヒートだとスピードで負けるし、サイクロンじゃパワーで負ける。仕方ないわね…依頼人も含めて怪我させないように十分に気を付けて…トリガーを使うわ。』
「いいのか?」
どの組み合わせでもイクスと戦うのには不利と言うのは理解出来るが、トリガーの威力も十分過ぎるほど理解しているのだから、マオのこの判断に思わず聞き返してしまう。
『仕方ないって所ね。残念だけど、今の私達の力じゃ……トリガーの遠距離攻撃と威力で圧倒するしかないわ。』
「分かった。マオ…地獄の底までエスコートしてやるよ!」
『オッケー、その時は地獄でデートね。』
マオの言葉に答えながら、龍斗は銃で描かれた『T』の字が書かれた青いガイアメモリ『トリガー』を取り出し、メタルメモリを外し…。
『TRIGGER!』
『CYCLON!/TRIGGER!』
スイッチを押したトリガーメモリをダブルドライバーへと刺し込み、サイド展開させると、右がサイクロンの緑、左がトリガーの青のダブルの派生フォームの一つ『サイクロントリガー』へとフォームチェンジした。
トリガーメモリは『銃撃手の記憶』を記憶している。
対応カラーは青、トリガーマグナムが使用可能になり、銃撃戦に特化した能力が付加される。
高い威力を持つ反面、爆発物の記憶も有している為に暴発の危険性も持っており、穂ディメモリの中で最も扱いづらい。
サイクロントリガーはサイクロンメモリとトリガーメモリを使ったダブルの派生フォームで、トリガーマグナムを使った風属性の銃撃を得意としている。
だが、パワーの高いトリガーメモリに対して、身軽なサイクロンメモリの組み合わせは、サイクロンの側がパワーで負けている為に、精密射撃には向いていない。だが、風の属性による拡散攻撃は、広範囲に渡っての銃撃ができる。
(…なるほど…それが六つ目のメモリか…。)
ミッドチルダでのダブルの戦闘データから確認できた五つまでのメモリの存在を知っていたが…各メモリ同士の相性を見ていると『ルナメモリ』が余ると考えて『六つ目のメモリ』の存在を推測していた。
(…見せてもらおうか…お前の能力を…。)
「行くぞ!」
そう叫び、左胸部のマグネホルスターからトリガーマグナムを外し、トリガーを引き風の弾丸を放つ。
それに対してイクスはソルの高温を刀身に集中させたエッジブレードで己へと放たれた風の弾丸を切り払いながら、ダブルへと近づきエッジブレードを振るうが、ダブルは後に跳ぶ事でそれを大きく回避する。
「『このぉ!!!』」
「オォォォオオ!!!」(まだだ…この程度が全てではないはずだろう…仮面ライダーダブル!!! 見せてみろ、お前の力を!!!)
新たにヒートのメモリを取り出すダブル、なおもそれを受けて立とうとするイクス。
『HEAT!』
『HEAT!/TRIGGER!』
ダブルドライバーを展開させ、赤いヒートの右半身と、青いトリガーの左半身を持つ派生フォーム『ヒートトリガー』へとフォームチェンジする。
凍也の思惑のまま、WとX、二人の仮面ライダーの戦いは尚も続く。
EX03 END