日本の何処かに有る科学実験都市『風都』、最先端の科学が支配するはずのこの町では様々な怪事件が起こる。
謎の怪物『ドーパント』によって、ビルが溶け、人が死ぬ…そう、
「そう、そして、そんな怪事件を解決する探偵がオレ達…。」
ガン!!!
「なに格好付けてるのよ、龍斗。」
龍斗を殴り倒したのは、脳内に『
「いや、なにって…マオ。いきなり何するんだよ、お前は?」
師より預かった探偵事務所の臨時所長を務める漆黒の髪の少年、高校生探偵『風凪 龍斗』。
「なにって? 大丈夫、『これ』で殴っただけだから。」
「いや、全然大丈夫じゃないから!? そんな物に殴られたら普通は怪我するから、マオさん!」
そう言って手に持っているバットを見せるマオに空かさずツッコミを入れる龍斗。
「大丈夫、『
「いや、その知識色々と間違ってるから!?」
えーと…色々と不安は残るが…この二人こそが二つの世界を巡り、ドーパントと戦い、謎の組織『ミュージアム』を追う、仮面の戦士。二人で一人の仮面ライダー…『仮面ライダー
「えー、『
「その『
大丈夫なのだろうか…? …はっきり言って不安しかないコンビである。
緑の半身と黒の半身を持つ異形の存在がバイクを停車させ、崖の下を走るリニアを見下ろしていた。そのバイクは異形の存在と同じく前半分が黒で、後ろ半分が緑という奇抜なデザインをしている。
「あのリニアに…この世界に持ち込まれたガイアメモリが有るのか?」
『うん、間違いない。ガイアメモリの種類も検索済み。あとはガイアメモリを回収するだけ。』
黒の半身から響く少年の声に、緑の半身から響く少女の声が聞こえる。
「…しかし、どうやって回収する気だ? 下手に駅に着いてから手を出す訳にも、リニアに飛び乗っても…。」
『やっちゃったら、私達が犯罪者だね~♪』
「気楽に言うな!」
『別に良いじゃない、悪者になっても♪ 全然
「って、こっちの事はお前の記憶に関係しているんじゃないのか?」
思わず能天気に犯罪行為を推奨してくれている少女…マオの声に、少年…龍斗の声がツッコミを入れる。そんなマオの言葉に
『冗談、冗談♪ 大丈夫、もうすぐ派手な事が起こるから、それのドサクサに紛れてメモリブレイクすればいいよ♪』
「派手な事? それより、マオ。リボルギャリーとお前の体は大丈夫なんだろうな?」
『心配無用♪ それより、あと…5、3、2、1、0。』
ダブル(マオ)の声で始まるカウントダウン、それが0になった瞬間、爆発が起こる。
「何が起こった?」
『あのリニアについて上手くガイアメモリを回収できるチャンスが無いか検索してみたのよ。それで…あのリニアには、『ロストロギア』と呼ばれている古代遺産『レリック』と呼ばれている物が乗っているらしいの。リニアを襲っているのは、その宝物を狙った『ガジェット』って言う機械…これは私達にとっては雑魚にもならないから、特に情報は要らないわね♪』
確かに以前、『与えられた情報の重要と思われる部分を掘り下げ、より真実に近づく情報を得るのは探偵の基本』と教えた事も有る。しっかりとマオは龍斗の言葉通り、リニアに関する情報、その中の乗客と積荷、そして、積荷と乗客の情報等から自分達に与えられる最適なタイミングを推測していたと言う訳だ。
「ナイスだ。
『お褒めの言葉ありがとう、龍斗♪ ここまでは私の仕事…それで、ここからは…。』
「オレの仕事だろう!」
『任せたわね、龍斗。あと、飛行できるガジェットと戦う時は『メタル』か『トリガー』のメモリを使う事をお勧めするわね、素手じゃ不利よ。』
「了解!」
マオの言葉にそう答え、
「…なあ、なんか戦っているみたいだけど、あれは…この世界の『魔術師』か?」
ハードボイルダーを疾走させ、ダブルはリニアに追いつくと明らかな戦闘の形跡を確認し、リースへと問いかける。
『うん。それも検索済み、時空管理局って言う所のレリック専門の部隊『機動六課』よ。』
「…情報が古いぞ。」
『なるべくなら関わらない方が良いと思ったから。私達の目的は飽く迄ガイアメモリだけよ。』
「分かってる。邪魔になるガラクタは薙ぎ倒して行くぞ!」
『OK!』
ダブルはハードボイルダーを更に加速させ、戦闘中のリニアへと追いつくとハードボイルダーをジャンプさせ、更にそれを踏み台にして手頃な所に有る丸い形のガジェット3型を足場として蹴り飛ばし、それを踏み台にしながら一つ一つ破壊しながら、リニアへと着地する。
そして無言のまま立ち上がると、ダブルはポカンと口を開けている二人の少女と目が合った。
「あー…はじめまして。」
「え!? あ、はじめまして!」
取り敢えず初対面の相手に挨拶したダブルに青い髪の少女『スバル・ナカジマ』が挨拶を返してくれる。
『って、そう言う場合じゃないと思うけど。』
「あの…あなたは?」
突然の乱入者で有るダブルに対してもう一人の少女『ティアナ・ランスター』がそう問い掛ける。
「オレか? オレは『ダブル』…真実の探求者…通りすがりの探偵だ。」
『なに格好付けてるのよ。』
ポーズを決めながらティアナの問いに答える
「そんな事を聞いてるんじゃない! 何故ここにいるのかを聞いてるんです!?」
「テ、ティア、落ち着いて。」
「ああ、悪い、悪い。オレはちょっとこのリニアに用が有ってね。ちょっとした探し物だ。」
ダブルの態度に腹が立ったのかそう叫ぶティアナをスバルが宥める。そんな時、ダブルが答えた時、空気が変わる。
「探し物って…。」
「まさか、レリック?」
「ああ、違う、違う。オレが探しているのは…。」
ダブルの言葉に反応する二人を見て自分の答えが拙かった事を悟るとそれを否定して、自分が探している物を告げようとした時、
『SHARK!』
そんな音が響く。
「っ!? 拙い!」
『メモリは《鮫》…ドーパントが出てくる。』
聞こえてきた音とリニアを襲う内部からの振動…それの理由を知っているが故に警戒を露にするダブル。
「え?」
「な、なにが?」
次の瞬間、リニアの天井を破って人型の何かが飛び出してくる。刃の様な鋭さを持った背鰭と鰭…人型をした鮫とでも例えられるであろう異形の怪物《シャークドーパント》がその姿をあらわした。しかも、
「なによ、こいつ?」
「見てよ、ティア、あれ!」
しかも、シャークドーパントはレリックのケースを抱えての登場である。
「やれやれ、向こうから出て来てくれたのは有りがたいんだけどな…。」
冷ややかにシャークドーパントを眺めながら、銀色のガイアメモリを取り出しスイッチを入れる。
『METAL!』
そして、ダブルドライバーからジョーカーメモリを抜き取り、メタルメモリを指し込む。
『CYCLON!/METAL!』
ダブルの左半身が黒の『ジョーカー』から銀色の『メタル』へと変わる。
先ほどのダブルの基本フォーム『サイクロンジョーカー』からの派生フォームの一つ『サイクロンメタル』へとハーフチェンジした。
メタルメモリは『闘士の記憶』を記録したメモリで、対応カラーは銀。
変身者の筋肉を変質させパワーを高める効果を持ち、腕力と防御力が非常に高いボディを作り出すと同時に専用武器であるメタルシャフトも出現する。
本来、サイクロンメモリのスピードとメタルのパワーとのバランスが悪い為に繋ぎのフォームとしての使用が多いのだが、メタルシャフトに風の属性を付加させる事が可能で、風を纏った打撃武器として使用が可能となる為に龍斗は比較的好んで使用している。
そして、二人よりも先にダブルは手に取り伸ばしたメタルシャフトを構え、動き出したシャークドーパントへと風を纏ったそれを叩き付ける。
「はぁ!」
休み無いメタルシャフトを使った打撃の乱打から、振り上げたメタルシャフトでシャークドーパントの持っていたケースを弾き、
「ぐわぁ!」
そのまま突きの形でシャークドーパントをリニアの天井の端まで弾き飛ばし、頭を踏み台にして相手を叩き落すと同時に上空へと跳び、
「危険物は預からせてもらうぜ!」
弾いたケースを受け止め、そのままリニアから落下したシャークドーパントへと言い捨てる。
「あ! それをどうするつもりですか!?」
シャークドーパントがリニアから突き落とされて再起動したスバルがダブルに向かってそう告げると、
「ん? ああ、これが欲しかったんだろう? ほら。」
缶ジュースでも渡す様に気軽な態度でダブルはケースを投げ渡した。
「わ、わわ~!」
「ど、どう言うつもりですか!? そんな風に扱うなんて!?」
『どう言うもつもりも何も…ねえ?』
「オレ達の目的は初めから目的は持っていたドーパントの方だからな。さて、これで心置きなくドーパントを倒せるな。」
そう言い残してダブルはシャークドーパントを追い、リニアの屋根から飛び降りて行く。
「な、なんだったんだろう?」
「さあ。取り敢えず報告しときましょう。」
「き、貴様、あれはオレの物だぞ!」
「あー、はいはい。だったら、後で受け取りにでも行ってくれ。オレには興味無いしな。」
ポンポンと擬音でも付きそうな軽い態度でメタルシャフトを玩びながら激昂するシャークドーパントに軽い口調で答え、メタルシャフトを付きつけると、
「オレが用があるのは、お前とそのガイアメモリだ。渡してもらうぞ、それを。」
『それから、答えてもらいましょうか、それを誰から手に入れたのか?』
シャークドーパントを指差すダブル、その左の半身から響く少年龍斗の声と、右の半身から響く少女マオの声がシャークドーパントに向かって付き付けられる。
「ふ、ふざけるな! これはオレが高い金を出して買ったんだ! 誰が渡すか!!! 全部、オレの物だ!」
「やれやれ、交渉決裂だな。」
『って、交渉なんてしてないでしょう。それに、あれが交渉だなんて言ったら、真面目に交渉する人達に失礼よ。』
「それもそうだな。」
シャークドーパントを一瞥しながら、仮面ライダーダブルの…二人で一人の仮面ライダーの真実を知らない者からすれば一人で漫才をしている様にしか見えない様子で余裕その物の会話を交わす龍斗とマオ。
「ふっ、ふざけるな!!!」
当然かもしれないが、激昂する叫び声を上げて動き出すシャークドーパント。
「なに!?」
動き出したシャークドーパントはそのまま地面へとダイブし、海を泳ぐ鮫の如く大地を泳ぎ始めた。しかも、背鰭の部分は刃の様な鋭さを持ち、鋼鉄さえも容易く切断してしまえる程の不気味な輝きを宿している。
「っ!? 鮫が陸を泳ぐな!」
ダブルの周囲に円を描く用に泳ぐシャークドーパントに対して叫びながら、大地へとメタルシャフトを叩き付けるが、それは地面を叩くだけの結果に終わってしまう。
「くっ!」
口を大きく広げてダブルを食らおうとでもする様にシャークドーパントが飛び出してくる。それを後に大きく跳んで避けるが、今までダブルが立っていた地面を大きく抉り取り、再びシャークドーパントは地面へとダイブする。
「くそ、どこから来る?」
今度は刃の様な鋭さを持った背鰭を使いダブルを切り裂こうと向かってくるが、それは簡単に回避する。
そして、ダブルの背後で魚が飛び出すような音を立ててシャークドーパントが跳びかかってくる。だが、
「そんな手を食らうか!?」
再び飛び出してきたシャークドーパントを横に避け、真横からメタルシャフトを叩き付ける。だが、
「な!?」
ダブルのメタルシャフトはシャークドーパントを傷付ける事無く、逆に弾かれてしまう。
「攻撃が効かない!?」
『…鮫特有の『盾鱗』って奴ね。リニアから叩き落した時は攻撃が効いたから、盾鱗の能力を持っているのは背中から頭にかけて…お腹の部分は攻撃が効くみたいね。』
「本来なら正面を全く守れていない癖に、逆に地面に弱点部分を隠せる潜行能力と合わせると、厄介な能力だな。」
『そうね。だったら、私の方のメモリも変えて、鮫の一本釣りと行きましょうか。』
「そうだな…魚は釣る物だ!」
龍斗の答えを聞き、マオの意思によって右半身がサイクロンメモリを外し、黄色のメモリ『ルナメモリ』を取り出して、スイッチを入れる。
『LUNA!』
それを外した右の部分へと指し込みもう一度展開する。
『LUNA!/METAL!』
右半身が黄色の『ルナフォーム』…ダブルの派生フォーム『ルナメタル』へとハーフチェンジする。
ルナメモリは『幻想の記憶』を記録したメモリ。
対応カラーは黄色、超常的な力を変身者に付加する効果を持ち、ダブルの肉体や専用武器を自在に形状変化させる能力を与える。
ルナの右半身とメタルの左半身を持つ『ルナメタル』は主にメタルシャフトにルナのアメイジング属性を加える事によって、鞭の様に変化したメタルシャフトを使用した戦闘を得意とする。
ウィップスタイルに変化したメタルシャフトとメタルのパワーで、敵を拘束、吊し上げたり、投げ飛ばしたりなどの豪快な戦い方を得意とする。
ダブルはメタルシャフトを構えて意識を集中させながら、シャークドーパントの動きに注意を払う。
そして、動きを止めているダブルを食らおうと飛び出してくるシャークドーパントに向かってメタルシャフトを振るい、鞭の様に動くメタルシャフトを胴体に巻きつける。
「『フィーッシュ!!!』」
そして、そう叫びダブルは上空へとシャークドーパントを投げ捨てる。そして、メモリを抜き、二つのメモリを同時に取りだしスイッチを入れる。取り出したのは緑のサイクロンメモリと黒のジョーカーメモリ。
『CYCLON!』『JOKER!』
『CYCLON!/JOKER!』
右半身が黄色のルナから緑のサイクロンへと、左半身が銀のメタルから黒のジョーカーへと姿を変える。
ジョーカーメモリは『切り札の記憶』を記憶している。
対応カラーは黒、変身者の運動性を極限まで高める効果を持ち、素手での打撃によるアクロバティックな接近格闘に特化した能力を与える。
更にスピード、パワー共にバランスがとれているので全てのメモリとの相性は良い。
サイクロンメモリは『風の記憶』を記録したメモリ。
対応カラーは緑、風の力を変身者に付加する効果を持ち、ダブルのスピードを極限まで高めると共に『風の記憶』と周囲から強制吸入した空気によって気圧の変化を促し、強烈な風を発生させる能力を与える。
そして、この『サイクロンジョーカー』は最高の相性を持つ、三つの基本フォームの中の一つであり、最も肉弾戦に優れた基本フォームである。
「『さあ、お前の罪を数えろ!』」
サイクロンジョーカーに戻り、身動きの取れない空中のシャークドーパントを指差し、そう宣言すると、ジョーカーメモリを右腰のマキシマムスロットへと指し込む。
『JOKER MAXIMAM DRIVE!』
「『これで決まりだ!』」
音声と宣言が響くと同時に風を巻き起こしながら、ゆっくりとダブルは上昇していく。
「『ジョーカーエクストリーム!!!』」
空高く浮かび上がったダブルの体が一直線にシャークドーパント目掛けて加速していく。更に加速されて瞬間、その体が中央で分割され、時間差を付けて放たれたキックがシャークドーパントへと突き刺さる。
巨大な衝撃音と共にダブルは地面へと着地する。すると、異形の表皮が剥がされ、一人の男が地面に叩き付けられた。そして、男と同時に地面に落ちるガイアメモリをダブルがキャッチするとそれはダブルの手の中で砕け散った。
「回収完了。壊れたけどな。それに…この調子じゃ、ガイアメモリの事を聞くにしても直には無理だろうな。」
倒れている男を一瞥しながら、ダブルは溜息を吐きながらそう言い切った。
『それじゃあ、帰りましょうか、私達の街に。この世界はどうも好きになれないのよね。』
「了解。余計な連中が集まる前に退散しますか。怪物を倒す仮面のヒーロー、『仮面ライダーW』の存在は飽く迄都市伝説だからな。」
そう言って振り返り携帯電話らしき物を取り出す。
『それに、『ミュージアム』と繋がっている相手が分からない以上、向こうでもこっちでもダブルの事は秘密にするしかないわね。』
「…そうだな…。」
ダブルは立ち去って行く。後に残るのは戦いの傷痕とドーパントであった男の存在だけ。
NEXT
シャークドーパント
備考
一話で登場。実は元は幹部(雇用)クラスのミュージアムの構成員が『メガロドン』のメモリで変身する『メガロドンドーパント』の劣化版。水中戦用のドーパントであるが能力としてどんな場所でも水中の様に『泳ぐ事』が可能である為に地上で戦った方が強かったりする。また、頭から背中、四肢を『盾鱗』に包まれている為に防御力としては何気に生物系のドーパントの中では最強クラスのドーパントである。盾鱗に包まれていない腹が弱点。後にこの潜行能力は幻獣型ガイアメモリの中の『完成型』の一つ『人魚姫(マーメイド)』のメモリに受け継がれる。