「はふぅ…ん~美味しい♡」
駐車場を改造したのか、ホワイトボードが多く見える秘密基地の様な印象を与える部屋。そこで、のんびりとたこ焼きを食べているマオの姿が有った。
「ん~♪ やっぱり、たこ焼きは興味深いわね~♪ たこ焼き、神戸、出汁、これだけでも、沢山の検索結果が…。」
「それはいいから、メモリの検索を頼めるか?」
マグマドーパントに襲われた捜査の帰り道に買ったたこ焼きを幸せそうに食べているマオを一瞥しつつ、龍斗はそう呟く。
「マグマよね? その検索結果は、十五万三千件。成分は検索済みよ。」
「あのなあ、お前が検索してくれないと、ドーパントの事件は追えないだろう!?」
「でも、流石に今日はもう動かないんじゃないの? 動くとしたら…。」
「夕方から夜に動いた所で…。…あのドーパントが動くとしたら明日か…。」
「そうね。はふ。今日は帰って手に入れたキーワードの整理をした方が良いんじゃない? 多くても、検索はし難いのよ♪」
食べ終わったたこ焼きの箱をゴミ箱に捨ててマオは伸びをする。
「そう言う訳で、帰って夕飯にした方がいいんじゃない? 買い物もしてないんでしょう?」
「そうだな。じゃあ、買い物しながら帰るか。」
「了解♪ 御飯、御飯~♪」
「…マオ…。お前食べたばかりじゃないのか?」
「大丈夫よ、食べてもそれ以上にカロリーを消費すれば良いんだから。」
そう言って二人は駐車場を改造した部屋を後にする。
翌朝…
再び事務所の駐車場を改造した一室に二人は集っていた。
「それじゃあ、始めましょうか。」
龍斗と距離を取り、ダンスのステップでも取るように、軽やかにその場で一回転し龍斗の方へと向き直る。
「ああ、頼んだ。早速、地球の本棚に入ってくれ。」
「OK!」
マオが目を閉じて意識を集中させると、彼女の意識が脳内の本の世界…『地球の本棚』へと入る。
無限とも呼べる大量の本が収められた本棚が並ぶ白い空間…マオはそこに紫色のドレスで髪をツインテールに束ねて佇んでいた。
「さあ、検索を始めましょう。メモリは…『マグマ』…。」
星の本棚の中に有る該当しない本が飛んで行く。ここから先の検索のキーワードを見つけるのは龍斗の役割。既に見つけているマグマドーパントの次の検索場所を見つける為のキーワードを言う。
「…次に奴が襲う場所を知りたい。最初のキーワードは…『戸川陽介』。」
該当しない大量の本や本棚が一気に飛んで行く。
「行き成り減ったわね~。」
「まあ、人名だからな。次のキーワードは…『ウインドスケール』。」
「OK、今まで襲われていた企業ね。」
先ほどの様に大量に減る事はない物の、本や本棚の数が減って行く。
「そう、そして、戸川がリストラされた会社でも有る。…最後に次の数字を入れてみてくれ。『WS-09K-097T』。」
最後のキーワードを言った瞬間、マオの前の本が一冊を除いて全てが飛び去って行き、最後に残った本にタイトルが浮かぶ。タイトルの文字は『PLACE』。
その本のページを捲った瞬間、マオの意識が本の世界から戻ってくる。マオは微笑みながら、次の襲撃場所を告げる。
「流石、龍斗ね。タグの商品番号を入れるなんて♪ これは特定の店舗だけで限定販売されてる限定商品。これを取り扱っていてまだ襲われていない店舗は、『ウインドスケール風谷支店』だけ。」
「よし! 行くぞ、マオ!」
「OK! 私達は二人で一人の探偵だ・か・ら・ね♪」
そう言って何故か龍斗だけが外へと向かって行く。そんな龍斗の背中を見送りながら、マオはお茶を飲みながら手を振っている。
そう、『二人で一人』…この二人の『1+1』は2ではないのだ…。
龍斗はヘルメットを被り、表に停めてい有るバイク『ハードボイルダー』を走らせる。
ウインドスケール風谷支店前
龍斗は目的地に着くとハードボイルダーを停車させる。周囲を見てみると何も燃えておらず、幸いにもまだドーパントは現われていない様だ。
(…間に合ったか…。『奴』は何処に…?)
二、三度周囲を見渡し目的の人物を探す。探し人の名前は『戸川 陽介』。その戸川の姿は簡単に発見できた。
立ち止まってウインドスケールのビルを凝視している男…戸川陽介。写真で見た時よりも人相が歪んでいる上に、顔は青ざめていた。だが、それは間違いなく目的の人物。
「…アンタが戸川陽介だな?」
「お前も、ここの社員か…?」
「………。」
龍斗の問いかけに低い声で…威圧感を感じさせる様な声で男は喋る。それを見て、龍斗は何かを確信した表情で男を睨みつける。
「ならば。」
龍斗の返答を聞かず、男は左腕の袖を捲り上げる。すると、左腕に浮き出ている刺青のような何かを差し込む様な印が有った。
「…燃えろ…!!!」
男はガイアメモリを取り出し、
『MAGMA!』
そこへとガイアメモリ『マグマ』を差し込んだ。
男の体にガイアメモリが入っていき、炎が体の中から噴出し、その姿を溶岩が体表に纏っている怪人『マグマドーパント』へとその姿を変えていく。
周辺の社員や客達は悲鳴を上げながら逃げて行き、龍斗を除いてその場から人は居なくなった。
龍斗はマグマドーパントを睨みつけながら、最小限の動きで噴出した炎を避け、宣言する。
「止めてやる…オレが。…いや、オレ達が!!!」
龍斗が取り出すのは己へと力を与える道具。赤と銀で構成されたそれを腰の位置へと持って行く、その瞬間、それから帯が伸び、腰へと巻きつきベルト『ダブルドライバー』となる。
「出番みたいね♪」
駐車場でお茶を飲んでいたマオの腰にベルトが現われる。
マオは楽しそうに微笑みながら、緑色のガイアメモリ『サイクロン』を取り出し、スイッチを押す。
『CYCLON!』
「それじゃあ、行きましょうか♪」
龍斗はポケットの中から黒いガイアメモリ『ジョーカー』を取り出し、そのスイッチを押す。
『JOKER!』
「それは!?」
「行くぞ、マオ!」
龍斗はここには居ないマオへとそう語り掛ける。
「OK! 龍斗!」
ここに居ない龍斗の声にマオは答える。
龍斗とマオの二人は遠く離れながら、変身の構えを取り、示し合わせて居る様に左右対象に動く。
「「変身!!!」」
二つの場所で二人は同時に叫び声を上げる。
最初にマオがダブルドライバーへとサイクロンメモリを差し込む。その瞬間、サイクロンメモリは消え去り、マオの瞳が完全に閉じられ、その場に倒れ込む。
マオの魂はサイクロンメモリと共に龍斗の元へと送った事で、マオの体からは意識を失ってしまったのだ。
そして、龍斗の腰のダブルドライバーの右側の差し込み口にサイクロンメモリが出現する。龍斗はそれを押し込み、黒のジョーカーメモリを左側に差し込む。
そして、龍斗はそれを左右に展開し、『W』の文字を描く様な形になる。
『CYCLON!/JOKER!』
その瞬間、龍斗の体を包み込む、緑と黒の閃光。暴風が吹き、風車が回り始め、マグマドーパントの炎さえも消化させる。
その中に佇むのは、風を司る緑の右半身『サイクロン』。切り札を司る黒の左半身『ジョーカー』。それは最も肉弾戦に優れた基本フォーム。
体の右側サイクロンのマフラーが風に吹かれて揺れている。
『仮面ライダーW・サイクロンジョーカー』
ダブルは右腕を大きく振り上げ、ゆっくりと左側を見せ左腕で力強くマグマドーパントを指差す。
「『さあ、お前の罪を数えろ!!!』」
ダブルはマグマドーパントへと一気に距離を詰め、パンチとキックを混ぜたラッシュを叩き込む。
「はぁ!」
そして、強力なキックを打ち込み、吹き飛ばす。
「ガアァー!!!」
マグマドーパントの全身に再び炎が燃え上がり、火炎弾を発射する。雨の様に乱射されるマグマドーパントの火炎弾。スピードの高いサイクロンジョーカーの姿で有っても、それらを回避しきれず顔を庇う様に守る。
「あつ! どうする…。」
『う~…髪が燃えちゃうー。髪は女の子の命なのに!』
「いや、お前の髪は燃えないだろう。」
『う~…気分の問題よ! これで…。』
マオの意識が右のサイクロンメモリを外し、ミッドチルダでのシャークドーパント戦でも活躍した黄色のメモリ、ルナメモリを取りだしスイッチを押す。
『LUNA!』
それをサイクロンメモリを外した部分へと差し込み、もう一度展開する。
『LUNA!/JOKER!』
電子音が響いた瞬間、右半身が黄色のルナの姿に変わり、派生フォームの一つ、『ルナジョーカー』へとその姿を変える。
「って、マオ! 勝手に!」
『女の子の髪を燃やした罪は重いわよ!』
「いや、髪は燃えてないし…。燃えても、オレの髪だろうが。」
『だから、気分の問題なのよ!!!』
「そうですか。」
呑気な会話を交わしながらも、右手を鞭の様に振るいながら撃ち出される火炎弾を次々と叩き落して行く。そして、
「はぁ!」
『たあ!』
一度のスイングでの数回の打撃を浴びせ、体を回転させ追撃、更に回転させ連撃を打ち込む。
そして、右腕を伸ばし、マグマドーパントの頭を鷲掴みにして、引き寄せると同時に跳び蹴り放ち、再びマグマドーパントを捕獲し、放り投げる。
『さ、龍斗…どうする?』
「当然、メモリブレイクだ!」
ルナメモリをダブルドライバから外し、
『CYCLON!』
もう一度サイクロンメモリを入れる。
『CYCLON!/JOKER!』
基本フォームのサイクロンジョーカーへと戻り、ジョーカーメモリを右腰のマキシマムスロットへと差し込む。
『JOKER MAXIMAM DRIVE!』
「『これで決まりだ!』」
音声と宣言が響くと同時に風を巻き起こしながら、ゆっくりとダブルは上昇していく。
「『ジョーカーエクストリーム!!!』」
空高く浮かび上がったダブルの体が一直線にマグマドーパント目掛けて加速していく。更に加速されて瞬間、その体が中央で分割され、時間差を付けて放たれたキックがマグマドーパントへと突き刺さる。
直撃した瞬間、巨大な爆発音が響き、ダブルはゆっくりと着地する。マグマドーパントの存在していた場所には、怪人としての姿を失った戸川の姿が有った。
そして、彼の体から抜けたガイアメモリは地面に落ち、砕け散った。
「さて、あとは警察の仕事だ。…それにしても、今回は恋人がドーパントだったなんて、依頼人にはどう説明するか?」
予想していたとは言え、依頼人に対しては残酷な事実を告げなければならない。ガイアメモリは既に破壊されたのだ。何時か罪を償えば、やり直す事も出来ると考えて依頼人に全部説明しようと覚悟を決める。
龍斗がそう考えた時、突然地震が起こった。
「な、なんだ!?」
突然の轟音と共に地面が弾け飛び、そこから巨大な怪物の頭が顔を出した。それは一言で表現するならば…
「恐竜!? しかも、あれは…ティラノサウルス!?」
そう、恐竜の頭。そんな…既に絶滅して生存していない生物の頭が、地面を砕きながら目的地へと向かって進行する。その狙いは…。
「まさか!」
『っ!? 事件の共犯者!?』
「止めろォォォォォォォォォォオ!!!」
ダブルは走り出すが、一足遅く戸川の足を恐竜が噛みつき、尻尾の一撃で邪魔しようとしたダブルを大きく吹き飛ばす。
「くそ!」
『龍斗、リボルキャリーを。』
マオの言葉に従ってスタッグフォンを操作する。
駐車場
マオが倒れているスペースがせり上がり、下からタイヤが装着される。更に左右から壁が迫り、前輪、後部のハードボイルダーの換装パーツが収められたリボルバーキャリーが展開し、変形、装着される。部屋の一部が僅かな間に大型の四輪車両へと姿を変えた。
そして、巨大車両…ダブルの母艦(?)リボルキャリーは爆音と共に発進する。
『…私の体、リボルキャリーの変形に巻き込まれてないわよね?』
「いや、それは自分で気を付けろよ。」
不安そうに呟くマオにそんな突っ込みを入れる龍斗。…そんな主達の会話を知らずに呼び出されたリボルキャリーは自分を呼んだ主人達の元へと急ぐのだった。
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