「さて、みんなに集まってもらったのは他でもないこの怪物と半分この人ことや」
会議室に集まる機動六課の面々…部隊長の『八神 はやて』がそう言うとスクリーンにシャークドーパントとダブルの画像が映し出された。
それは、
リニアの中の物と思われる画像に映っている男が不気味なデザインのUSBメモリらしきもの…龍斗とマオが残骸を回収した『シャーク』のガイアメモリを取りだし、右の掌に刺し込む映像が映った。
「体の中に、あんな物を…。」
誰かかは分からないがそんな言葉が洩れた。
そして、ガイアメモリ…シャークメモリが男の掌の中に消えて行くと映像の中で男の姿がシャークドーパントと変わって行く。
「地上本部はこのUSBメモリらしきものをロストロギアに指定、確保に乗り出しとる。既に専属の捜査官も任命されたちゅう話や。」
シャークドーパントとサイクロンメタルへハーフチェンジしたダブルが戦っている映像へと代わる。
「あれ、こいつさっきと色が変わってないか?」
「はい、それに、さっきまで持ってなかった武器も装備していました。」
その場で一番年下に見える少女『ヴィータ』の言葉にティアナがそう答え時、映像の中のダブルは風を纏ったメタルシャフトを連続でシャークドーパントへと叩き付けている物が映る。
幸いにも、ダブルドライバーに指し込まれているガイアメモリについてはドーパントに変身する物とはデザインが違う事から同一の物とは認識されていないのだろう…。
「半分この人もあのロストロギアの重要参考人として確保に乗りだしとる。」
「でも、彼は犯罪行為は何もして無いよ?」
「でも、あの怪物やロストロギアの事を知ってるのは彼だけかもしれない。確かに、同行してもらうとかはあるけど、確保って言うのは……。」
はやての言葉に『フェイト・T・ハラオウン』と『高町なのは』の二人がそう言う。
「せやから、彼の事はうちらで保護したいんよ。」
シャークドーパントをリニアから叩き落し、レリックの入ったケースをスバル達に投げ渡し、飛び降りるダブルの映像を背景にはやてがそう言った。
「なるほどね…。」
路地裏に立ち、携帯電話に映し出される六課の会議室の映像とスピーカーから聞こえる声を聞きながら、管理局の制服を着崩した凍也がそう呟く。
「…『オウルアイ』帰還しろ…。これ以上は有意義な情報の入手は出来ないだろうからな。」
そして、携帯電話を閉じ、ポケットの中に押し込むとアタッシュケースを手に取る。
「…僅かに六課の動きはこっちの予想より速いな。中々優秀な様だ…タヌキさんは。」
『だが、それでも誤差の範囲だけどな。』と心の中で付け加える。そもそも、専属の捜査官である自分がミッドにおけるガイアメモリ流通を担っているのだから、捜査状況などどうにでもなる。
(…そろそろこっちの工場も軌道に乗ってきたし、父さんか冴子姉さんに頼んでセールスマンを何人か廻してもらうか…。次に戻った時にでも相談してみよう…。)
現在の風都から持ってきたガイアメモリの在庫はもう底を付き、現在はミッド製の物を流通させている最中なのだ。
ミッドチルダ…その世界で動く機動六課とミュージアムを始めとする幾つもの思惑、それを知らぬ、我等が
『午後一時になりました。園咲若菜の…ヒーリングプリンセス! 今日も元気130%でお送りします! えー、今から一時間、とってもとっても幸せな時間に皆さんをお連れします! まずは一曲お聞き下さい。』
「ん~…。」
「んふふふ…♪」
ラジオから聞こえてくる音楽をBGMに向かい合いながら、悩んでいると言う表情の龍斗と、余裕と言った表情のマオ。
(…どれだ…どれがオレの求めている物だ…二つに一つ…右か…左か…?)
「そんなに悩んでも意味ないわよ。さ、早く引いてね~。」
「…こっちだ!」
「うっ…あー!!!」
「よし! オレの勝ちだ!!!」
二人でババ抜きをしていた龍斗とマオだった。…どうでも良いが、二人でのババ抜きはあまり面白くないと思うのだが…。
「…うー…またマオちゃんの負けなの~!?」
「悪いな、常に偽りの霧の中に隠された真実を見抜くのが、探偵だ。」
「…偽りって、ババ抜きなんて運でしょう!?」
マオはそう言って、不機嫌そうに立ち上がりラジオの音量を上げると、再び椅子に座る。
「それじゃ、オレはこっちだな。」
箱に入れられたケーキを手に取り、残りをマオの方に差し出す。
「…♡ ありがと、龍斗♪」
「…いや、オレもこっちの方が好きだからな…。」
態々彼女の好きな方を残して渡している龍斗だった。
「それにしても…。」
『それでは、最初のコーナーは…『風都・ミステリーツアー』!』
「まさか、マオがタレントに興味を持つなんてな。」
「ん~…不思議なのよね~…同姓なのにどうしてこんなに惹かれるのか?」
「本当に珍しいな。」
龍斗がそう呟くとマオは悪戯っ子の様な笑みを浮かべながら、
「何でだろうね~。」
龍斗に向かってそう言った。
『若菜姫、聞いてください! やはり間違いなく実在する様です! 幻のカジノ…『ミリオン・コロッセオ』が!!!』
「「ミリオン・コロッセオ!?」」
龍斗とマオ聞こえてくる聞いたことのないカジノの名前を復唱する。
本来、カジノ等と言う物は有る意味、存在その物が珍しいと言ってしまえばそれまでだが、風都にそんな物が有るなど聞いた事もない。
そんな二人の困惑を他所にラジオではお便りの続きが読まれて行く。
『『兄の友達の友達が掛け金ゼロから行き成り大金を手に入れ、翌日には高級外車を買っていたと聞きました。彼が天国のカジノへ行き、勝ってきたのは事実です!』と言うお手紙を頂きました。また来ましたね、この噂。多いですよね。天国のカジノ…若菜も行ってみたいな。』
「ふ~ん、この風都にカジノが有るなんて、興味深いわね。」
マオが噂のカジノ、ミリオン・コロッセオに興味を持つ。
「そんな夢みたいな話、信じられるのか?」
完全に否定的な意見の龍斗は携帯サイトの依頼を確認している。そんな中で気になる依頼が一つ有った。
「…『天国のカジノへの行き方を知ってから、人が変わってしまった。』…か。」
そう、それは丁度ラジオの内容と同じミリオン・コロッセオに関係する依頼…。龍斗の直感が告げているのだ……ドーパントと関係していると。
次の日、その依頼を受けた龍斗と変装済みのマオは調査対象である『和泉 優子』の尾行を行っていた。
「はぁ~…私達みたいな探偵には縁の無さそうな店ねぇ…。」
「…同感だな…。」
調査対象の入っていった一目で高級と分かる品物を大量に扱っている宝石店を眺めながら、そんな事を呟く二人。
「…それで、今回の依頼の内容は噂のカジノに関係してるらしいけど?」
「ああ、『和泉 優子』。彼女の行動を調べるのが今回の依頼だ。一人娘が噂のカジノに関わってると両親は言っていた。」
依頼を引き受ける旨を伝えた時、詳しい内容を聞く為に呼んだ時、依頼主の彼女の両親からお土産に渡された饅頭を食べながら、そんな事を話していた。
「ハムハム…。龍斗に言われて検索したけど、和泉和菓子店は風都名物の風花饅頭の元祖と呼ばれている老舗で、和泉優子はそこの看板娘。常にお店の手伝いをしていたみたいよ。」
「なるほど…それが“ああ”なったら、幾らなんでも心配するよな。」
「ん~…良く分からないけど、そう言う物なの?」
「そう言う物だ。」
そんな会話を交わした後、龍斗は宝石店の方へと視線を向ける。
「すいません! 申し訳ございません、優子様!」
そこでは、優子が店員に対してクレームをつけていた。常連客からのクレームに対して店員はひたすら頭を下げていた。
「申し訳ないで済むか!!!」
そう怒鳴り、優子は店員にビンタをくらわせる。
「あたしを買う気にさせないなんて、それでも一流店!? こんな品揃えしか出来ないなら、贔屓先を変えるよ!」
「うわ~…本当に同一人物? 別人にしか見えないわね~。」
「ああ、聞いた話とは全然違うな。人は大金を手にすると、別人になるとは聞くけどここまでとは思わなかったな。」
「…『人は大金を手にすると、別人になる』か…興味深いわね。」
「おっと、出てきたぞ。」
優子が店から出てきたのに気付き、二人は影に隠れる。彼女の表情は見るからにイライラしていた。
「ああ、腹立つ~…! 気晴らしにまたあそこに行って儲けてくっか!」
そう言って優子は何処かへと足を進めて行く。
「“あそこ”?」
「まさか、本当に有るのか…天国のカジノ…“ミリオン・コロッセオ”。」
二人は気付かれない様に優子の後をつけて行く。途中、何度か彼らの気配に気付いたのか、何度か振り向くが二人は影に隠れてやり過ごす。
「…ところでマオ…一人より二人の方が気付かれる確立が上がるから…。」
「着いて来た私が言うのもなんだけど、一応、ミュージアムに狙われてる私が一人で帰るのも危険だと思うけど?」
マオのその言葉に納得しながらも、内心『そう思ってるならついてくるな!』と言いたくなったが、言葉を飲み込む。
「あ!」
「え…っと…。」
そんな会話を交わした後、影から出ると何時の間にか優子の姿は消えていた。そんな二人の横をバスが一台走り去って行った。
(…バス…? …なんだ…この違和感?)
「あ…その………。ごめんなさい。」
気まずそうな表情を浮かべて、マオはそう言って頭を下げる。
影も形もなくなっている優子を探して龍斗は周囲を見まわすが、見つからなかった。
「いや、気にする事ない。…対象が気付いた様子は無かった…。」
「だったら、何処に言っちゃたのかしら?」
そう話している時、龍斗のスタッグフォンが鳴る。それに気が付きスタッグフォンを手にとってディスプレイ部分に映る名前に視線を向けた瞬間、
「…マオ、手掛かりは他にも有る様だ。…もしもし…。」
「なるほど、流石ね、龍斗♪」
とある家の前…事前に依頼していた隼一と先ほどの電話でそこで待ち合わせをしたのだ。
「あ、マオちゃん、久しぶり~。」
「はぁ~い、隼一君。」
「隼一、それで頼んでいた事は…って、オイ!」
龍斗に目もくれず、マオの手を握っている隼一に向かってそう叫び、二人の間に割って入る。
「…それで、オレ達を呼んだって事は…見つけたんだろう? 天国のカジノから帰ってきた男を?」
「ああ…“天国”から帰ってきて…。」
そう言いながら待ち合わせしていた家の表札に張られている売却の札を捲る。…その表札は『村雨』。
「今は“地獄”に居る男だけどな。」
家の中に入ってみると、差し押さえや競売品の札があっちこっちに張られ、その一角にコンビニの弁当などのゴミと酒の空き瓶が散乱していた。
その中で自棄(やけ)酒をあおっている男が、この家の主で…天国のカジノから帰ってきたと言う男だ。
「あはは…!!! そうさ…よく聞いてくれた…オレは強かった…。…有り得ないくらい勝ち進んだもんさ。あの…黄金のカジノで…ひゃはははははは!!!」
不気味に笑う男を見て思わずマオは龍斗の後ろに隠れてしまう。
「…なるほど…噂のカジノは本当に有るみたいだな…。場所は何処だ?」
「え? あはははははは…!!!」
龍斗がそう問うが笑い声を上げるだけで、会話は成立していない。龍斗とマオは違いに顔を見合わせて外へ出る。
「結局、手に入ったキーワードは『村雨 悟郎』だけか…これだけじゃねぇ…。」
「あれは、まともに答えられる様子じゃないしな。」
手掛かりの少なさに龍斗は思わず溜息を付いてしまう。そして、言葉を続けて行く。
「賭けに負けて、家族に見捨てられて、我が家も失ってしまった男の末路か…。」
男が居る家を眺めながら『ギャンブルには手を出さない様にしよう』と考えつつ、龍斗はそんな事を呟く。
「…家族…? …我が家…? い…イヤァー!!!」
「っ!? マオ!? どうした、マオ!?」
龍斗の呟きからキーワード『家族』がインプットされ、マオの脳裏に家族の思い出の断片らしき映像が浮かび上がり、頭を押さえながら悲鳴を上げて崩れ落ちる。そんな彼女を慌てて受け止めて何度も名前を呼ぶが反応は無かった。
「ひゃははは!!! 次は勝つ…今度こそオレにツキが来る筈だ!」
二人がそんな会話をしている中、悟郎は懲りもせずそんな事を言っていた。…どうでも良いが、そんな事を言っている内は運は向いていないと思うのだが…。
そして、誰かの存在に気がつき、振りかえるとそこには一人の男が座っていた。
「あ、あんたは…。ま、待ってくれ! 金は必ず用意する!!! だから…。」
「私は三日も待って上げたんだよ? 村雨さん、あんたは全てをかけて勝負を楽しんだ! そして…負けた!」
男はガイアメモリを取り出しスイッチを入れる。
『MONEY!』
ガイアメモリ…『マネーメモリ』を首筋に指し込み、その姿を『イクス』の半身とは違う品の無い金色の醜悪な土偶のような姿をしたドーパント『マネードーパント』へとその姿を変えた。
「ひっ…ひぃ…。」
「潔く取立てを受けろ、きっちりとな!!!」
怯える男の額にマネードーパントは銀色のコイン『ライフコイン』を翳す。
『ぎゃあ~!!!』
意識を失ったマオを抱えていた龍斗は呼び出したハードボイルダーに彼女の体を預けていた龍斗は、意識の無い彼女を残して行く事に一瞬だけ躊躇を感じたが、家の中に飛び込んで行く。
「ドーパント!」
「チッ、面倒だ、逃げるか!」
既に意識を失っている男を残してマネードーパントは逃げ出して行く。
「っ!? 待て!」
そう叫びマネードーパントを追いながら、龍斗はダブルドライバーを装着する。だが、意識を失っているマオはダブルドライバーの出現にも気付いていない。
「こいつ!!!」
後からマネードーパントに跳びかかり、なんとか足止めに成功する。
「ッ!? さっき家に居た男か! 離せ、この野蛮人が!」
そう叫び、男は龍斗を振り払う、龍斗はそれに逆らわずに素早くマネードーパントから手を離し、疑似メモリを取り出そうとした時、
『龍斗?』
マオの声が聞こえた。意識を取り戻したマオはサイクロンメモリを取りだしスイッチを押す。
『よく分からないけど…ドーパントね?』
「ああ!」
『CYCLON!』
『JOKER!』
「ガイアメモリ!?」
「『変身!!!』」
転送されてきたサイクロンメモリを指し込み、更にジョーカーメモリを指し込むと、ダブルドライバーを展開させる。
『CYCLON!/JOKER!』
仮面ライダーW・サイクロンジョーカーに変身し、逃げ出したマネードーパントを追う。
「逃がすか!」
『逃がさないわよ!』
マネードーパントの背中にダブルが跳び蹴りを討ち込むと、そのまま顔面から地面に倒れる。
そして、ダブルは立ち上がったマネードーパントにパンチとキックを主体とした格闘戦を挑む。
「お、お前、一体、何者だ!?」
「オレ“達”はW、この町の悲しみを吹き飛ばす、二色の風だ!」
『うーん、悪くは無いと思うけど、ちょっとね~。五十点ってとこ?』
ジョーカー(龍斗)の側がマネードーパントを指差し宣言すると、サイクロン(マオ)の側が彼の発言にツッコミを入れる。ダブルが二人で一人と言う事を知らない者にしてみれば、一人で漫才をしているような姿である。
「ふん、私はバカと金にならない奴は嫌いでね。」
「ふっ、金にならない所か、大損させてやるよ。」
『私達が潰して上げるわよ、天国のカジノって奴をね! …ところで、龍斗…こう言う会話って、向こうから見れば、独り言を言ってる様に見えるんじゃ…。』
僅かな沈黙…そして、マオの言葉からマネードーパントの言った言葉の意味を理解する。
「…あの成金趣味の悪趣味ドーパント、トリガーで吹き飛ばして良いか? 跡形も無く。メモリブレイクとは言わず、本人毎…。(-_-#)」
『あー…凄く魅力的な提案だけど、それだと私達が風都の町を泣かせちゃうから、止めた方が良いと思うわよ♪ 回り気にしなきゃ、私も必殺技9回くらい叩き込みたい所だけど。(^_^#)』
(…あれ、なんか、言っちゃいけない事言っちゃった?)
不穏な龍斗とマオの会話を聞きながら、意味は分からないながらも色々と身の危険を感じ始めるマネードーパントだった。
どうでも良いがマオの言葉は九つのフォームを持つダブルの全必殺技を叩き込むと言う意味なのだろうが………生身で必殺技受けたら一度で死ねるのではないだろうか? いや、確実に二度目で死体も残りそうに無いだろう…。
「『殺す!!!』」
「ひぃー!」
ダブルの放つ通常の倍の殺気に曝されながら思わず逃げ出してしまうマネードーパントだった。そんなマネードーパントの頭に攻撃があたり動きを止めた瞬間、パンチとキックのラッシュをくらわせる。
『追加注文、受け取り拒否は出来ないわよ!』
ダブル(龍斗)に攻撃を任せ、ダブル(マオ)はヒートメモリを取りだし、スイッチを押す。
『HEAT!』
サイクロンメモリを抜き出し、ヒートメモリを指し込み展開する。
『HEAT!/JOKER!』
ヒートジョーカーに変わり、炎を纏ったパンチをマネードーパントの顔面に叩き付ける。
「ブヘェ!!! ヒ…ヒィィィィィィ!!!」
「『逃がすかー!!!』」
右手に炎を纏ったパンチをくらわせようとジャンプするが、その瞬間…。
『フリーズ・バレット。』
「うわぁ!」
『キャア!』
何者かの狙撃を受けそのまま地面に倒れてしまう。しかも、狙撃を受けた腕は手に纏っていた炎が消えている所か、炎が形を保ったまま凍り付いていた。
「チッ! 逃げられたか…。それより、大丈夫か、マオ?」
『大丈夫…私より龍斗は?』
「ああ、オレも大丈夫…だ!」
そう言って右手を地面に叩き付け氷を砕く。
「それにしても…もう一体いたのか?」
既にマネードーパントの姿も見えず狙撃したドーパントの姿も見えない。それを確認し、ジョーカーメモリを外すと風が吹き変身が解ける。
『…しかも、何処から狙撃して来たか分からないなんて…。あのカッコ悪いドーパントよりも、強いわね。』
ダブルドライバーを通じて二人はそんな会話を交わす。
「ああ。それより、お前は大丈夫か?」
『? ん~…心配してくれるのは嬉しいけど、私は怪我は無いわよ?』
「いや、お前…さっき気絶してただろう…。」
『気絶? 何の事?』
「…いや、知らないならいい…オレが行くまで大人しくしてろよ。」
『了解♪』
確かに気になってはいるが、それ以上追求しても意味は無いと判断し、ダブルドライバーを外し、マオとの意識のリンクを切断する。
先ほどダブルを狙撃した藍色の半身とクリアブルーの半身を持った仮面ライダーイクスが変身を解くと、スーツを来た凍也がその姿を見せる。そして、トランクを開け、サングラスとカツラを取り出して素早くそれを付ける。
「『サイクロン』、『ヒート』、『ジョーカー』か…。これで二度目だけど、あれが噂の『仮面ライダー』…ミッドの方にも現れたイクスの同型(タイプ)のドーパントか。」
「やぁ、さっきはすまなかったね、助かったよ。」
そこにマネードーパントが現われた。
「いえ、アフターサービスですよ。高額のガイアメモリだけでなく、他にも高価な品を買っていただいたあなたへの…。今後もお楽しみ下さい。」
凍也は営業スマイルを変身を解いたマネードーパントへと向けた。
その夜…園咲家
「イクスと同タイプのドーパントがいた…?」
「そいつは一体何者なんだ…?」
凍也は結婚式で使うアクセサリーを選んでいる冴子と霧彦にあいさつをするついでにその事を尋ねていた。
「ええ、ミッドの方でも存在を確認されたドーパントです。お二人なら何か知りませんか?」
「…確かに気になるな。」
「これでいいわ。」
「はい。」
見積書の作成の為に業者と話を進めた後、冴子は二人の近くによる。
「凍也、どれだけの力を持っていたとしても、所詮貴方の敵ではないわ。あなたは園咲家の所有する最強の二つのガイアメモリを与えられたんですもの。」
「はい。このソルメモリに見合うだけの力、必ず会得させていただきます。」
「…恐ろしいね、あれでもまだ底が知れないとは。」
凍也は二人に一礼して席を外す。
「ええ、霧彦さん、ガイアメモリの秘密はそこが知れない…。慌てて全てを知る必要は無いわ…。」
冴子は霧彦の口に人差し指を当てる。そして、微笑みながら霧彦の顎を持ち上げ言葉を紡ぐ。
「でも、大丈夫。貴方なら必ずこの町の暗闇を支配する男になる。」
「よろしく、ご教授を……。」
「あっ、若菜姉さん。」
「あら、凍也、貴方も帰っていたんですの?」
「ええ、結婚式には是非主席したかったので、明日は出資先に行く事になっていたので、丁度良かったです。式が終わり次第、向かう事にします。あと、まだ入らない方が良さそうですよ。」
苦笑を浮かべながら凍也は帰宅した若菜にそう話す。
「あら、本当に働き者ね。でも、無理はしないようにね。」
「はい。あ、あと、運良く今日の昼のラジオは聞けましたけど、素晴らしかったですよ。」
「あら、ありがとう。」
家の中に入っていく若菜を見送り、凍也は月を見上げた。
(…さて…。タヌキさん達の動きも気になるが…やはり…気にするべきは管理局如きではなくて、仮面ライダーの方か…“戦う者”としての完成度が違う…。)
「どちらにしても…管理局のエース達も、仮面ライダーもオレの敵じゃないか。」
冷たい笑いを浮かべ凍也は四つのガイアメモリを取りだしそれへと視線を向けた。
「いずれ、“太陽”の名の元に消してやろう…我等の世界の為に。しかし…“仮面ライダー”…か。…イクス…“仮面ライダーイクス”。そう名乗るのも悪くないな。」
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