ー紅蓮ー
指定された場所、廃墟へと来てみれば三人の人物がいた。此方へ向けて手を振っている風子という名の少女、母さんと共に病院へと運ばれた少年。そしてどうにも何処かで…見覚えがあるような女性、…少年と女性が俺を見て驚いているようだ。…まぁ驚かれても俺は気にしない、気にしないが名乗らねばならない。
「…風子さんは先程ぶり。そしてそこのお二方は初めまして、俺は立迫紅蓮という。」
俺は微笑を浮かべて名乗る、…が二人は固まったまま。特に女性の方は俺を見て震えている、恐怖とは違う感情を乗せて…。
…とにかくだ、固まっていようが此方も暇がない。故に俺は簡潔に要件を言う、母さんを傷付け父さんを拐った者達は何者だ…と。俺の言葉を聞いた二人は動き出す、先ず最初に女性が導具を宙に投げ………。
────────────────────
ー烈火ー
やはりこの男、いや…この人は立迫先生の息子さん! 立迫先生と奥さんの件でかなり怒っているようだ。…両親に害を為した者達のことを問い掛けてくる息子さん、それに対し若干…複雑な顔をした影法師が手に持っていた道具を宙に投げた。俺は首を捻る、…何で影法師の奴は複雑な、…悲しそうな顔で息子さんを見ているんだ? 関係があるようには見えねぇけど。
…っと、今はそんなんどうでもいいか! それよりも姫と立迫先生だ! 影法師の投げた道具がある光景を映し出す。豪華な部屋の中に姫の姿、…と仮面の男。姫が無事であることに安心はしたが、…この仮面の男は一体何者なんだ? 対面していないのに感じるこの悪寒は…。
影法師は言う、仮面の男の名は紅麗。姫と立迫先生は奴の配下によって拐われたと、…そして紅麗という男は危険すぎるから諦めなさい…と。………諦めろと言われて諦めるかよ、姫が君主で俺は忍なんだからよ! 例えこの命が…そう言う前に影法師が折れて、紅麗とかいう奴のいる場所を教えてくれた。…ありがとう影法師! 俺はアンタのことを誤解していたかもしれねぇ!
姫と立迫先生が囚われている場所が分かった、後は救出へ向かうだけだ! …と思った時、
「…俺も共に行かせて貰う。母さんに対する行為へのお礼参り、そして父さんの救出は絶対に成し遂げなければならない。」
立迫先生の息子さんが救出へ名乗りを上げた。続けて息子さんは影法師を見て、
「…あの仮面の男、俺は知っているかもしれない。…紅麗という名に覚えがある、閉ざされた記憶に繋がる名だ。それに貴女の声、…どうにも耳に残っている声と同じ。」
息子さん曰く、最近見る夢に紅麗という名の子供が出てくるのだとか。同じく夢に出てくる声だけの存在、その声が影法師に酷似している。失くした幼き日の記憶に関係があるのでは? …と考えているようだ。息子さんは子供の頃の記憶を失くしているらしい、そして立迫先生とは血の繋がりが無いんだと。…血の繋がりがない、…か。
まぁとにかく…だ、まだよく分からねぇけど息子さんも共に行くことへ。息子さんの記憶に繋がるかもしれない紅麗という男、そして立迫先生を救う。…俺は姫と立迫先生を救う、目的は一緒だからな! ………後は全てが終わったら、影法師に色々と聞かなきゃならねぇ。どうにもモヤモヤするからな!
────────────────────
ー紅蓮ー
映し出された光景を静かに見る。…少女のことは知らないが、…仮面の男を見た時に頭の奥がピキリと軋んだ。そして聞いた名は紅麗、…夢の中で俺なりに大切な存在であると思っていた少年と同じ名。どうにも気になる、…これは偶然ではない。それに影法師という名の女性の声、夢の最後に聞いた声と酷似している。………頭の奥がピキリピキリと軋む。
何というか…気持ち悪い、悪いが俺は紅麗という男がいる場所へ行かねばならない。母さんへの行為に対する報復、そして父さんを救出しなければならないから。余程のことが無ければ危険な場所へは行かないようにする俺だが、今の俺は危険を少なからず求めている。夢を見てから俺は変わった、炎を纏い母さんを襲った男をぶっ飛ばした時は満たされた。…俺は普通じゃない、…改めて自覚する。
少年と風子に俺は話した。紅麗という名が出てくる夢のことを、幼き頃の記憶が無いということを。それらを解決することが出来るかもしれない、勿論母さんと父さんの件も重要。よって共に行かせて貰うと、…そう言えば簡単に了承されたよ。目的は一緒であるから、…まぁそうだな。
…行動を共にすることとなった少年、…名を烈火。彼にも何かを感じる、…何というか歯車の一つが噛み合った…とでも言おうか。そして影法師、彼女とも何かしらの因縁めいたモノを感じる。…全てが終わったら問い掛けてみようか? 頭の奥がやはり軋む。
…目的地である場所へ着いた時、烈火が打ち上げ花火を上げた。…挑戦状代わり? ………最悪じゃんか、人の命が懸かっているんだぞ? …不安だ。
因みに主人公の『オロチ』はKOFの八神庵の戦闘スタイルです。