紅蓮の紫炎   作:ユキユキさん

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第8話 ~烈火と紅麗、そして紅蓮。

ー烈火ー

 

もうすぐ姫に会える、…助けることが出来る! (はや)る気持ちを抑えることが出来ず、我先にと廊下を走り抜け辿り着いた部屋。その扉を開けた時に解き放たれた殺気、それを放つ主は仮面の男…紅麗! …遂に奴をこの目で捉えた、コイツを倒せば姫を!!

 

紅麗の放つ殺気に怯まず対峙していると、

 

「…四〇〇年ぶりですね、烈火!」

 

といきなりワケの分からねぇことを言ってきた。テメーと俺は初対面だコラ! それよりも姫、姫は何処だ! …と凄んでみても何処吹く風、奴は俺の言葉を聞き流してあるモノを投げてきた。

 

俺達の目の前にゴロリと転がったモノは、…息子さんが倒した石王の…首! それが転がって…、風子は青褪め願子は悲鳴をあげた。息子さんは無表情、そして俺は…、

 

「…テメェ、何様のつもりだこの野郎!!」

 

何も殺さなくてもいいだろ! …許せねぇ!! 激昂した俺は昂るままに炎を出して紅麗に飛び掛かったんだが、奴は余裕の笑みを浮かべてそれを受け止めた。そして為す術もなく弾き飛ばされる、…見た目通りにツエー!!

 

 

 

 

 

 

紅麗の野郎は余裕の笑みで語る。姫を拐ったのは治癒の力が欲しいから、奴の親父が永遠の命を求めているんだとよ! …で立迫先生を拐ったわけは火影忍軍を調べていたから、…ここで息子さんの顔が険しくなった。火影忍軍の宝である魔導具、それを暴かれない為に。…何が導具だ、何が火影忍軍だ! …俺達には関係のねぇことじゃんかよ!!

 

そう叫んだ時、…間を空けて紅麗が言った。

 

「私と君、そしてもう一人いますが我々は火影一族の人間だ。時を流れて来た忍なんですよ…。」

 

それを聞いた時、悔しいけど少しだけ納得しちまった。火影は炎を操ると聞いていたからな、実際…俺は炎を操るし。

 

炎を操る…か、…ということは息子さんも!? そう思い視線を向けるも息子さんは紅麗を見ている、何かを見透かすような目で。…その目を見た時、俺の中のナニカ(・・・)が蠢いた…ような気がした。

 

 

 

 

 

 

俺に繋がる情報を得て、ちょいと考える俺に紅麗は問い掛けてきた。導具は何処で入手したのかと、…まぁ素直に言わせて貰ったよ。風子の導具は影法師に貰ったってな! 他は知らねぇ!! …何? 口元にホクロが二つあるかって? あったらどうした!! って言い返したら奴からの圧が上がった。

 

…コイツ、影法師のことを知っているのか!? そう思った直後に抜ける床、落ちる俺達に見下ろす紅麗。落とし穴とかってセコすぎるんだよ、…チクショー!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー紅蓮ー

 

走り抜ける烈火の後を追い、そして辿り着いた先で邂逅した仮面の男。対峙して分かったが…紅麗、俺はお前を知っている。やはり夢は俺の過去なのではなかろうか? そう思った矢先に響く願子の悲鳴、意識を戻せば石王の首。怒って先制攻撃を仕掛ける烈火を余所に、俺には怒る理由が分からない。殺された石王は懲役二〇〇年の男、大きな罪を犯してきたと思われる。そんな男が死んだのは当然のこと、それに対して何故怒る?

 

…永遠の命を求めるか、紅麗の父は欲望に忠実なクズか。…そして父さんを襲った理由は火影忍軍を調べていたから…か、それ故に母さんがあのような目にあったと。これは俺と父さんの失態ではあるが、…許せないな。

 

それと同時に紅麗と烈火が火影一族、我々(・・)の中に俺も含まれているだろう。彼の口から発せられた言葉、それが俺の中を駆け巡る。…俺は火影一族が炎術士、紅蓮であると。

 

 

 

 

 

 

頭の中の軋み、それが頻発している。烈火達は落とし穴によって下階へ、この場に残るは紅麗と俺。静かに見詰め合い、先に口を開いたのは紅麗の方だった。

 

「…久しぶりですね紅蓮、私を覚えていますか?」

 

烈火と対峙していた時とは違い、その声には優しさが含まれていた。俺はその問いに対し首を振り、

 

「…見覚えがある、聞き覚えがある。それは間違いない、間違いないのだがね。」

 

そう答えれば、

 

「…そうですか、少し残念ですが仕方ありませんね。あれほどの怪我を負っていたのですから、生きていてくれただけで………。」

 

悲しみの籠った言葉で返してきた。

 

…沈黙後、次にそれを破ったのは俺。

 

「…とりあえず交えようか。両親を傷付けたことに対しての報復、それに交えればきっと思い出す。」

 

俺は右手に紫色の炎を纏い、ギロリと紅麗を見据える。対する紅麗は、

 

「…ですね。報復を歓迎しますよ、貴方に今の私の力を…見せたい!!」

 

そう言って同じく右手に炎を纏った。


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