また、カード名を〔〕で囲んでいる物は、OCGとは仕様が違います。そういう物とオリカに関しては、後書きに詳細を載せてます。
キーンコーンカーンコーン
ここは、デュエルアカデミアの教室、今は授業開始前なため、多数の生徒が会話をしている。
ザワザワ…ザワ…
プシュー
「静粛に~、皆さん、席に着くノ~ネ。」
教室の自動ドアが開き、金髪の教師、クロノスが入ってきた。クロノスの声を聞いて、生徒は一斉に自分の席に座る。
「え~、まずは皆さんにお知らせなノ~ネ、本日、デュエルアカデミアに新しいスチューデントが来るノ~ネ。」
クロノスの言葉を聞いてしゃべり出す生徒達。
『転校生…?』
『早くねえ…?』
『まだ5月だぜ…』
「先生、転校生ってどんな奴だ? やっぱ強いのか?」
十代が興味深々な様子でクロノスに聞く。
「……その実力はこれからわかります~ノ。シニョ~ル、入るノ~ネ。」
プシュー
自動ドアが開き、入ってきたのはアカデミアの校章が付いた赤い帽子を目深に被った男子生徒だった。
「はじめまして、僕の名前は、個浪 津(こなみ しん)です。」
ザワザワ……
『なんか弱そうじゃねえ?』
『顔がよく見えないなあ…』
生徒達は、津を見て各々の感想を述べる。
(確かに、おとなしそうな見た目だが……ここに編入したからには、相当の実力だろう……いったい、どんな戦術を…)
(まるで、強そうには見えないわね、なんというか…覇気……みたいな物も感じないし……)
三沢と明日香は、津を見て思った。
(……!? あの男……)
万丈目は、津を見て驚愕したような表情だった。
「静か~に、それデ~ハ、シニョ~ル個浪、早速です~が、アナタにデュエルしてもらいまス~ノ。」
「……?」
「生徒の皆さんに、あなたの実力をわかりやすく教えた方が良いと思いますカ~ラ、まずは手っ取り早くデュエルで教えまス~ノ。」
「……わかりました。それで、相手は誰ですか?」
「フ~ム……」
クロノスはしばらく考える。
「はい! はい! 先生! 俺にやらせてくれ!」
「あ、アニキ……」
大きな声で手を上げる十代、それを止める翔。
「シニョ~ル鼻高、相手しなサ~イ。」
「なに?」
「ありゃ?」
クロノスに呼ばれたのはオベリスクブルーの鼻高だった。ずっこける十代。
(編入試験ではなかなかの成績でしタ~シ、鼻高の代わりとして使えるかもしれないノ~ネ、今は訳あってオシリスレッドでス~ガ、いずれはドロップアウトボーイを追い出す切っ掛けに……ウッシッシッシ……)
「……良いでしょう。」
真ん中の席から下りてくる鼻高。
「あなたのデュエルディスクなノ~ネ。」
「……どうも。」
クロノスから学校指定のデュエルディスクを受け取る津。
「おい、お前。」
「……?」
「感謝するんだな、お前みたいなドロップアウトが、俺のようなオベリスクブルーのエリートと戦えるんだからな、ハハハハハハハ!」
「……」
しかし、津は鼻高の言葉を無視してデュエルディスクを展開する。
「……チッ、嘗めやがって……(まあ良い、転入早々で悪いが、貴様を倒して月一試験で遊城十代に負けた汚名返上をさせてもらうぞ。)」
鼻高も、怒りを感じた様子でディスクを展開する。
「準備は良いです~ネ? それデ~ハ……決闘開始!!」
「「決闘!!」」
「先攻はもらった、ドロー!!」
鼻高
LP 4000
手札 6
「俺は手札より速攻魔法、《手札断殺》を発動! 互いのプレイヤーは、手札2枚を墓地へ送り、カードを2枚ドロー!」
手札 5
鼻高は、津が手札からモンスターを墓地へ送ったのを確認する。
「フッ、かかったな。俺は手札より魔法カード、〔浅すぎた墓穴〕を発動! 互いのプレイヤーは墓地に存在するモンスター1体を、守備表示で特殊召喚する。俺は墓地より、《リボーン・ゾンビ》を守備表示で特殊召喚!」
手札 4
リボーン・ゾンビ
DEF 1600
「僕は、《ヘルウェイ・パトロール》を守備表示で特殊召喚。」
ヘルウェイ・パトロール
DEF 1200
「さらに俺は装備魔法、《早すぎた埋葬》を発動! 800のライフと引き換えに、墓地に存在するモンスター1体を特殊召喚! 出よ、《地獄戦士》!」
LP 3200
手札 3
地獄戦士
ATK 1200
「さらにこの瞬間、速攻魔法、《地獄の暴走召喚》を発動! 相手フィールド上にモンスターが存在する場合に、攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚に成功した時、そのモンスターを可能な限り、デッキ、手札、墓地から特殊召喚する! 出よ! 地獄戦士達よ!」
手札 2
地獄戦士×2
ATK 1200
「お前もそのモンスターをあるだけ並べるが良い。」
「……ヘルウェイ・パトロール2体を特殊召喚。」
ヘルウェイ・パトロール×2
ATK 1600
「互いの手札を墓地へ送ったのは、このためだったのか! でも、鼻高は何故あんなモンスターを……」
「向こうの方が、攻撃力高いのに……」
十代と翔が鼻高のプレイに疑問を抱く。
「ドロップアウトは黙って見ていろ! 俺は手札より魔法カード、《壺の中の魔術書》を発動! 互いにデッキから3枚ドロー!」
手札 4
津
手札 8
ドローしたカードを見て、目を見開く鼻高。
「クックックッ……ハッハッハッハッハ!! どうやら貴様は天にも見放されたらしいな! 手札より、《ライトニング・ボルテックス》を発動! このカードは、手札1枚をコストに、相手の表側表示モンスターを全て破壊する!」
手札 2
バチバチ……ピシャーーン
《ライトニング・ボルテックス》のカードから電撃が放たれ、津の場の《ヘルウェイ・パトロール》を全滅させる。
「ッ……!!」
衝撃に怯む津。
「ああ!」
「個浪君のモンスターが…」
十代と翔も驚いている。
「これで終わりではないぞ。俺にはまだ通常召喚権が残っている。リボーン・ゾンビを生贄に、《地獄将軍 メフィスト》を攻撃表示で召喚!」
手札 1
地獄将軍 メフィスト
ATK 1800
「さらに俺は手札より永続魔法、《幻惑のオーラ》を発動! 俺の場と墓地のモンスターの属性が統一されている時、フィールド上のモンスター1体につき、フィールド上のモンスターの攻撃力を、200ポイントアップする! 俺の場のモンスターは4体、よって、その攻撃力は、800ポイントアップだ!」
壺の中の魔術書で引いたのはこの2枚であり、《ライトニング・ボルテックス》は元々手札にあったカードである。
手札 0
地獄戦士×3
ATK 1200→2000
地獄将軍 メフィストATK 1800→2600
周りの生徒は今の状況を見て『終わったな』とか『どうしようもない』だの言っている。
「どうだドロップアウト、俺の軍勢は、潔くサレンダーするなら、とどめを刺すのは勘弁してやるぞ?」
「……」
しかし津は、その言葉を拒否して首を横に振る。
「……フン、良いだろう、ならせいぜい無様に足掻くんだな、ターンを終了する。」
津はデッキトップに指を置く……すると
ゴゴ……
(……!?)
(あの子……雰囲気が変わった!?)
三沢と明日香は、津の突然の変化に気付く。
「俺のターン、ドロー!」
津
LP 4000
手札 9
ドローした瞬間、一人称も変わった。
「魔法カード、《天使の施し》を発動! デッキから3枚ドローし、その後2枚を墓地へ。」
手札 9
「フン、早速手札交換とは、よほど引きが悪いよう 「ヘルウェイ・パトロールの効果発動!」 ……」
自分の言葉を無視されてイラついた様子の鼻高。
「墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事により、攻撃力2000以下の悪魔族を、手札より特殊召喚する。俺は手札より、クリッターを特殊召喚!」
手札 8
クリッター
DEF 600
「何を出すかと思えば、そんな雑魚に何ができ 「クリッターを生贄に捧げ」 貴様!」
またもや無視されて憤慨する鼻高。
「召喚! 《邪帝ガイウス》!」
手札 7
邪帝ガイウス
ATK 2400
帝モンスターの1体、邪帝ガイウスが漆黒の覇気を纏い現れた。
「ガイウスのモンスター効果発動! 生贄召喚成功時、相手の場のカード1枚をゲームから除外する! 対象はメフィストだ。ダークネス・コア!」
ガイウスが両手で漆黒のエネルギー球を作り出すと、メフィストがそれに吸い込まれた。
「何だと!? お、俺のメフィストが……」
「さらに、除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手ライフに1000ポイントのダメージを与える。」
ガイウスは、メフィストを吸収した球体を鼻高に向かって撃ち出す。
「ぐわああ!」
鼻高
LP 3200→2200
「場のモンスターが減った事により、お前の場のモンスターの攻撃力も下がる。」
地獄戦士×3
ATK 2000→1800
「クッ……いい気になるなよドロップアウト! 地獄戦士は、自身の戦闘によるダメージを相手にも与える! 俺の有利に変わりはない!」
「今は…な。」
「なに?」
「クリッターの効果発動、墓地へ送られた事により、デッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加える。俺が手札に加えるのは《スカル・ナイト》。」
手札 8
「そして俺は墓地に存在する《クリッター》、《冥界の魔王 ハ・デス》、《バイサー・ショック》、この3体をゲームから除外する事により、現れよ、《ダーク・ネクロフィア》!」
手札 7
ダーク・ネクロフィア
ATK 2200
おどろおどろしい雰囲気を纏いながら、ダーク・ネクロフィアは現れた。
「何だと!? レベル8のモンスターがいきなり……」
「《ダーク・ネクロフィア》は、通常召喚は出来ないが、墓地に存在する悪魔族3体をゲームから除外する事で、特殊召喚できる。」
(お、落ち着け……まだだ……まだ俺のライフは残る、地獄戦士の効果でライフを削り、次のターンに逆転を…)
「さらに俺は装備魔法、《D・D・R》を発動! 手札1枚をコストに、除外されている自分のモンスター1体を特殊召喚! 《冥界の魔王 ハ・デス》を特殊召喚!」
手札 5
冥界の魔王 ハ・デスATK 2450
「バトルフェイズ! 地獄戦士に、ダーク・ネクロフィアで攻撃! 念眼殺!」
ダーク・ネクロフィアの眼から放たれた波動が、地獄戦士を消し去る。
鼻高
LP 2200→1800
地獄戦士×2
ATK 1800→1600
「ガアッ……だ……だが、ここで地獄戦士の効果が発動! 自身による戦闘ダメージを相手にも与える!」
地獄戦士の効果を得意げに語る鼻高、しかし……
津
LP 4000
「!? 何故だ! 何故、ライフが減っていない! 地獄戦士の効果は発動した筈だ!」
「《冥界の魔王 ハ・デス》の効果だ。ハ・デスが場にいる限り、俺の場の悪魔族が戦闘で破壊したモンスターの効果は無効になる。」
「なん……だと……」
みるみるうちに青ざめていく鼻高。
「ハ・デスで追撃! 冥府の洗礼!」
ハ・デスの角から黒い雷が放たれ、地獄戦士を焼く。
「ガッ……」
鼻高
LP 1800→950
地獄戦士
ATK 1600→1400
「これで最後だ……邪帝ガイウスで攻撃! ディアブル・ストリーム!」
ガイウスが右手から闇のエネルギー波を放つ。
「ば…、馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿なああああああ!!!」
そして、エネルギー波は地獄戦士を砕いた。
「グワアアアーーーー!!!」
鼻高
LP 950→0
デュエル終了と共にソリッドビジョンも消える。津がクロノスの方を見ると、クロノスは口をあんぐりと開けて固まっていた。
「……クロノス先生?」
「……ァ?」
「終わりましたけど……?」
気が付くと、津が纏っていたオーラも霧散していた。
「あ……ゴ……ゴホン、し、勝者、シニョ~ル個浪なノ~ネ!!」
『……マジかよおい。』
『あの状況で……』
『しかもノーダメージで1ターンキル……』
「……え~、今見たとおり、シニョ~ル個浪の実力はとても高いノ~ネ、皆さんもシニョ~ル個浪を手本に、今後も精進するノ~ネ。」
負けた鼻高は、膝を着いてブツブツと呟いていた。
「負けた……この……俺が……1ターンで……負けた……」
「二人共、席に着くノ~ネ。シニョ~ル個浪は……(仕方ないノ~ネ。)そこの席なノ~ネ。」
「……はい。」
自分の席に戻る鼻高。津もまた、クロノスに言われた席(十代の隣)に座る。
「お前、すっげー強いんだな! 俺、遊城十代、よろしくな!」
「……うん、よろしく。」
「なあ、後で俺と…… 「ドロップアウトボーイ! 授業中なノ~ネ!!」 いけね!!」
クロノスに注意される十代。 こうして、赤い帽子の決闘者、個浪 津のアカデミア生活は始まった。そして、その日、津の噂はアカデミア中に広まった。
その夜、オシリスレッド寮の一人部屋で、津はノートパソコンを立ち上げ、マイク付きのヘッドホンを付け、パソコンを操作する。
「こんばんは、……さん。」
どうやら、誰かと通話をしているようだ。
「……はい、問題無く動きました…………はい、いくつか気になる点が……」
今回は遊戯王キャラしかいませんが、次回からだんだんとクロスして行く予定です。
カード詳細
浅すぎた墓穴(アニメGX版)
通常魔法
お互いのプレイヤーはそれぞれの墓地のモンスター1体を選択し、 それぞれのフィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。
十代VSエド(2戦目)で十代が使用。
幻惑のオーラ(オリカ)
永続魔法
自分のフィールドと墓地に存在するモンスターの元々の属性が1種類のみの場合、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターはそのモンスター1体につき攻撃力が200ポイントアップする。