仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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第12話 ♦︎9:彼の決断

壮介「俺と戦って大丈夫なのか?」

朔弥「どういう事だ?」

壮介「俺はあんたの子どもの頃のトラウマを知ってるんだぜ。

 

 

 

 

 

 

火事で全てを失った事をな。」

 

 

朔弥「…だ、だからなんだ!!」

壮介「ほう、あくまで隠すって訳か。なら、俺が思い出すまで何回も炎を見せてやるよ!」

壮介は弓を剣がわりにし、火縄に向かった。

火縄は必死に銃で抵抗しようとした、が、動揺している火縄は全弾を外してしまった。

ホープは弓を突き刺そうとした。

 

雪菜「金剛寺、大丈夫か!」

2人の間に割って入ったのはアーサーだった。剣をホープの方に向けた。

 

壮介「チッ、邪魔が入ったな。お前との決着はまた今度だ。」

壮介は自らの身体を液状化させ、姿を消した。その時、金属の何かが落ちたような気がした。

 

 

 

 

雪菜「大丈夫か?」

2人は変身を解いた。

朔弥「…すまない、俺が弱いばかりに…」

雪菜「金剛寺、その様子、何かあったらしいな。私で良ければ話を聞くぞ。」

 

朔弥は一瞬迷った。が、ここで話すことにした。火事のこと、その悪夢を見ること、火がトラウマであることを。

 

雪菜「そうだったのか…」

朔弥「俺はただ強がっていただけだ。今までの振る舞い全て。火を纏う事は俺にとって恐怖そのものだ。正直、逃げたいと思ったことも沢山あった。でも、出来なかった。でないと、お前や風香に見せる顔がないからな…」

雪菜「…弱点は、克服するべきだろうな。」

雪菜は呟いた。

朔弥「だよな。我慢しないとな…」

雪菜「だが、金剛寺の場合は違う。」

雪菜は朔弥の言葉を遮った。

雪菜「お前はアレルギーを無理矢理克服しようとするのと同じだ。アレルギーを克服しようとすれば逆に酷くなり、下手をすれば死に至る。お前のトラウマも同じだ。無理に克服しようとするな。なんなら、逃げたっていい。私も、黒羽も、金剛寺を恨んだりはしない。」

雪菜は、朔弥にそう言い放った。

朔弥はしばらく悩んだ。

そして、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

総三「そうか…それが君の答えか。」

俺は社長に辞表を提出した。

朔弥「これ以上、迷惑かける事なんて出来ません。受け取ってください。」

社長は俺の辞表を手に取った。そして目の前で破り捨てた。

 

総三「確かにトラウマの事を隠していた事には問題がある。もっと早く言って欲しかった。だがそんな事で私は社員をクビにはしない。」

朔弥「しかし…」

総三「君は今日から仮面ライダーのサポートに回って欲しい。」

朔弥「でも…」

総三「何か異論があるのかい?」

朔弥「…はい、分かりました。ただ、今日からではなく、明日からにしてもらえませんか?」

総三「何か問題でも?」

朔弥「一応、ある程度の決着はつけなければならないので。本当は辞めてから個人的に決着付けようと思ってましたけど、せっかくなので。」

決着、それは壮介との決戦の雌雄ではない。また別の事だ。彼の言葉が本当なのか…

総三「ならビシッと行ってこい!」

 

 

 

 

俺は再び神方の元に赴いた。

神方「どうしたんですか?」

朔弥「…率直に聞きます。神方さん、犯罪に加担して居ますよね。」

神方は一瞬動揺したが、直ぐに隠した。

神方「どういう事ですか?」

朔弥「ここの会社に以前勤めていた男はこの会社の事をこう言っていた。『俺が神方を辞めたのは、あいつらが未来ある人達を所詮研究材料としか見ていない。』と。」

神方「…証拠は!証拠はあるのか?」

その反応、図星だな。

俺は証拠になるものを取り出した。一つのボイスレコーダーだ。

これはあの時、壮介が落とした鍵で壮介のロッカーを開けた時、目の前にあったものだ。

俺はそれを再生した。

『飯塚さん、今度100万円投資しますから、このサプリ試してくださいよ…』

『も、もうやめてくれ!そんな怪しい薬、もう飲めない。』

『飲めって言ってるだろ!!』

他にもこれと似たような音声が沢山入っていた。

朔弥「これに出てきたあなた以外の人物は全員意識不明や死亡している。それはお前が新種の薬物の実験台として起業家達を利用してきた証拠だ。」

 

神方は地面に膝をついた。

神方「…だってさ、あいつら、俺が金貸してやってるのに全く返さないんだぜ。だから逆に利用してやったのさ。邪魔なんだよ、俺の思い通りにならない奴はすべて!」

朔弥「…あとは警察に…」

その時、後ろから誰かが近づいてきた。

??「ようやく白状したか…神方。」

振り向いた先には壮介が変身したホープの姿があった。

朔弥「血城!」

ホープは弓を引いた。

壮介「じゃあな、神方。」

朔弥「やめろ!」

神方「うぁぁぁ!!!!!!」

 

[待て、神方充を殺すな。]

突然、ホープから別の声が聞こえた。

壮介「なんだと!」

[今は引け。]

壮介は舌打ちをし、その場を去った。

 

 

 

 

総三「今回集まってもらったのは他でもない。ライダーシステム向上計画がもうすぐ完了を迎えるからだ。」

総三の隣にあるパネルには、2人のライダー像が映し出された。




次回
第13話 ♣︎J :フォース2nd、参上!

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