仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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東風の章
第1話 ♣︎A:フォース、継承(新)


 

 

 

「未確認生物出現!クローバー部隊、スペード部隊は出動せよ!」

 

それが私達の出動の合図だ。未確認生物、それは人ではない、つまり怪物に対してつけられる総称。私達の仕事は、その怪物を倒す事だ。

 

「仮面ライダーフォース、出動します。」

 

 

 

ビル街…

 

そこでは、すでに未確認生物と『仮面ライダー』の戦いが始まっていた。蜘蛛と飛蝗の特徴を併せ持つ未確認生物12号は、青い仮面ライダーやライドトルーパーに向かって糸を放つ。ライドトルーパーは次々とその糸に縛られる一方、青い仮面ライダーは右手に持つ剣で斬り裂く。

 

 

「風香、現場の状況は?」その時、私の耳元に通信が入る。彼の名は東薫…戦闘部隊の一つであるクローバーを纏め上げるリーダーにして、仮面ライダーフォース。彼は私に現場説明を求めた。

「現在、スペードだけで抑えていますが、そろそろ限界です。」私はそう答えた。スペードというのはジョーカーにある戦闘部門の一つ、先陣部隊と言えばいいだろう。

「わかった。もうすぐ着く。それまで耐えてくれ。一般市民の安全を最優先しろ!」

薫さんは、私にそう指示を出す。

「分かりました!」

 

私は、命令をすぐ様行動に移す。まず、目の前にいた親子らしき人物達に声をかける。

「大丈夫ですか!」「妻が怪我を…!」男性が答える。

「これは…とりあえず、応急処置を。」

倒れ込んでいる女性は左足が真っ赤に染まっている。私はすぐさま患部に布を当てる。

「歩けますか?」

「ちょっと無理かもしれないです…」女性は痛みに耐えながらも答える。

「分かりました。」

私は、目標を対策本部に定め救援のための通信を取る。「こちらクローバー10、左脚を負傷している女性がいます。自力での移動ができないので担架をお願いします。」

「こちらハート10、了解しました。担架を向かわせます。」

クローバー10、私のこの場での名前だ…クローバー部隊のランク10だからだ。

次に私は隣にいる男の子の方を向いた。

「僕は大丈夫?」

彼は答えなかった。親が怪我をしている状況を飲み込めないのだろう…落ち着かせなきゃ。

「君、泣かなくて偉いよ。お母さんは大丈夫だから…」

そういうと男の子はうんと頷いた。

 

「大丈夫ですか!」その時、担架を持った救護班の2人がやってきた。

「この人です。」私は手際良く彼らに託す。

「了解しました。すぐに病院に搬送します。」

彼らは、手際良く彼女を担架に乗せ運び出す。父親と男の子も一緒についていく。

とりあえずこれで一安心だ。

 

「はあっ!」その時、私の後ろから火花が散る音が響く。どうやらスペードはここまで押されていたみたいだ。もう少し遅ければあの人たちは…そんなことを考えていたその時だった。

 

12号は再び蜘蛛の糸の攻撃を繰り出す。そしてその流れ弾が私の方へ向かってくる。

 

「っ!」私は左腕で顔を覆う。

 

「おらっ!!」

 

「…薫さん!」私が顔を上げると、そこには攻撃を振り払うフォース…薫さんの姿があった。身長程はある棍棒クローバークローザーを振るい蜘蛛の糸を振り解く。

 

「油断は禁物だ。気をつけろ。」彼は私を叱った。

「すいません…」

「だが、対処の手際は良くなってきたな。成長したな。」彼はそう言って戦闘の中へと入っていく。

 

「あの人が…私を褒めた…」正直ちょっと意外だった…が、それをゆっくり楽しむよりも先に私は安全な方へと足速に進む。

 

 

「クローバー、総攻撃を仕掛けるぞ!」フォースは、後方のライドトルーパー達に指示を出す。

「クローバー9、了解した。」フォースの一番近くにいたトルーパー、雷田豪がうなずく。

 

そして、スペードが苦戦している所へ向かう。

 

「遅くなった、劔橋。」フォースは、青い仮面ライダーにいう。

 

「…まずは対処の方が先です。」劔橋と呼ばれた女は剣を構えた。

 

「分かっている。行くぞ!」そう言うと、2人の仮面ライダーはトルーパーと共に12号へ突撃する。

 

12号は、飛蝗の跳躍力を生かし後方へ回避、2人の攻撃を回避するが、その先で弾丸の雨が打ち付けられた。

「2人とも、待たせたな」今度は赤い仮面ライダーが銃を構え立っていた。その後方には、銃を構えているライドトルーパーの姿もある。

 

「金剛寺…遅かったな。」フォースは言う。

「貴方が言えた義理ではないのでは?」青いライダーはフォースに言う。

 

その間にも、12号は立ち上がり逃亡を図る。

 

「そうはさせるか!」赤いライダーは、その一瞬を見逃さなかった。

即座に銃を構え弾丸を連続して撃ち込む。

 

「私が決める!」青いライダーはそう言うと剣を前に突き出した。

光の反射で剣先が光る。それを12号に次々と斬りつける。

 

連続切りが炸裂し、12号は爆散した。

 

「もう終わりか…」赤いライダーは言う。

 

「…完璧…ではないか。」青いライダーが続けて呟いた。

 

フォースは帰還の連絡をしようと通信を始めたその時、彼らの影から黒い姿が現れる。

「…これより帰還…危ない!」

 

 

 

「どうしたんですか!薫さん!!」私はあの人の最期をこうして聞いていた。次々と彼の身体に突き刺さる針の音。彼は、その場にいた隊員を守るよう仁王立ちして守っていた。

 

「ぐっ…分からな、い…新たな未確にっ!!」ただでさえ痛々しさを感じる声に苦しみがより一層増す。

 

「どうしたんですか!」私は唯一あの人と繋がっている通信を焦りながらも聞き逃さないよう聞く。

 

「まさか…あの針に毒が…」青いライダーの声が聞こえる。

 

「早く運ばないとまずいんじゃないのか!」赤いライダーが続けて言う。

 

「風香…もし、俺がダメになったら、、その時は、フォースを頼ん、だ…」ここで、あの人の声は途切れた。

 

「薫さん?薫さん!!薫さん!!」私は通信を切らずひたすら呼びかけた。

 

 

 

 

しかし、薫さんはそのまま息を引き取ってしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その事件から1週間後、私は新たなフォース装着者、そしてクローバー部隊隊長へと昇格したが、喜ぶことはできなかった。

 

もちろん、この地位に憧れはあったし、ここに入った理由の一つでもある。でもそれが信頼していた先輩の殉職による物だ。

 

 

「風香…?」

 

その時、私の背後から声をかけられた。

 

「…豪か…。」食事中の私に声をかけたのは雷田豪だった。彼は、私と同じ時期に入社した仲間の1人だ。

 

「…相当お疲れみたいだな。好きな唐揚げも進んでないじゃないか。」そういえば、この席についてからずっと考え事してたような気がする…道理で腹も満たされないわけだ。

 

「…あの時のこと、まだ引きずってるのか?」

 

「…」図星だった。隠そうにも言葉が出ない。

 

「…俺も同じだ。しかもあの場にいながら、あの人を助けることが出来なかった。悔しいよ。」

 

「それは私も同じだ!私もあの場にいれば、助けることだってできた筈…なのに…!」私は悔しいと言う一言で片付けようとした彼に苛立ち声を荒げて言ってしまった。

 

「…ごめん。」私はすぐに謝罪した。

 

「…気にするな。だが、そろそろ進まないとな。出なきゃ、あの人が命を張って守った意味がない。」豪はそう言って昼食の味噌汁を啜り始めた。

 

「進む…か。」

 

 

 

午後、私は身体を鍛える為、会社備え付けのジムに入った。

社員であれば、戦闘部隊であろうがなかろうがただで使える。さりげなくすごい施設だ。しかも、専属のトレーナーがおり効率よく鍛えることだってできる。

ジョーカーには他にも道場、射撃場、弓道場、模擬戦訓練場など様々な施設がある。このうち私がよく行くのは道場と模擬戦訓練場、そしてこのジムだ。

 

私はいつものメニューを淡々とこなしていく。最初は筋肉が付いていくのに少し遠慮があったが、今ではむしろ筋肉を付けることにハマっていて、なんなら筋肉が付いてないと美しくないと感じるくらいになっていることはここだけの話だ。

私はベンチプレスの前に行くと、そこには既に先約がいた。

 

「…なんだ、お前か。」彼女は、私の存在に気づくと、ベンチプレスを中断して私の方を向いた。

 

「雪菜さん…まだやってても良かったんですけど…」

彼女の名は劔橋雪菜。スペード部隊の隊長であり、青い仮面ライダー、アーサーの変身者にして剣の使い手である。彼女の腕の筋肉量は私でも及ばない。現に私が持ち上げることのできない80kgのベンチプレスをやっていたのだから。

 

「構わない、ちょうど1セット終わった所だ。」そう言って彼女は立ち上がり、スポーツドリンクを勢いよく飲み始めた。

 

私は、自分が持ち上げることのできる70kgのバーベルに変えた。

「まだ、あの時の事を引きずっているのか?」彼女もまた、豪と同じことを言う…そう思った。

 

「…この世界は、人の入れ替わりが激しい、命をかけている仕事だ。居なくなるやつが居ても当然だ。」

 

「…冷たい、ですね。」私は素直に言った。そう言うと仕事だと言っても、人が居なくなったことにもっと考えたっていいはずだ…。

 

「…合理的な考え方、と言ってもらいたいな。大体、私にとって他の戦闘員はただの同業者に過ぎない、仲間でも、ましてやそれ以上の関係ではないしそう在りたいとも思わない。」彼女はそう言い切った。確かに、そうやって考えた方が楽かもしれない…けど…

 

私は何か反論しなければと思ったが、もう言葉が思いつかなかった。

 

「…私は行く。」そう言うと彼女はこの場を去ってしまった。

 

「…どうすれば良いのよ…!」私は心の中で半分泣きながらベンチプレスを始めた。

 

 

 

 

夕方、射撃場の前を私は通りかかった。

 

その時、丁度扉が開き中から男の人が出てきた。「黒羽じゃないか…鍛錬帰りか?」

 

「朔弥さん、お疲れ様です。」

金剛寺朔弥、ダイヤ部隊隊長であり赤い仮面ライダー、火縄の変身者である。元々ここにはメカニックとして入社したが、紆余曲折あって今は火縄として戦っている。彼は雪菜さんやもう1人の隊長である人物と比べると温厚な人だ。良く言えばの話だが。それと、彼は銃を持つと性格が少々好戦的になる…車でハンドル握ると性格が変わる人みたいに。

 

「そっちもお疲れ、なんか飲み物奢ってやるよ。」私はそう言われて自販機の前まで連れて行かれた。

 

「何飲む?」「コーヒーで」私はそう答えると彼はコーヒーのボタンを押した。そして出てきた缶コーヒーを私に渡した。

 

「…最近、疲れ気味だよな。今日の昼も色々あったみたいだしな。」どうやら昼の豪との会話を見られていたみたいだ…

 

「…誰だってそういう時くらいあるさ。人を悼むことは大切なことだ。その人は2度と、帰ってこないのだから。」いつも思うのだが、朔弥さんの言うことは雪菜さんとはまた違う重さを感じる…。

朔弥はそう言って自販機でココアを買った。

 

 

 

私達はそれぞれ飲もうとしたその時、サイレンが鳴り響く。敵の出現を知らせるそれは、私達を一瞬にして緊張感へ誘う。

 

[未確認生物出現、蠍型蜂種怪人通称13号と同一と思われる。戦闘部隊は直ちに出動せよ!]

 

「行くぞ。」朔弥さんは私を見て言う。

 

「はい。」私は走り出しながら答える。

 

 

 

 

私は急いでガレージに急いだ。長い廊下を走りながら私はフォースの変身に使うライダーベルトを腰に、ライダーブレスを左腕に装着した。

ライダーへの変身にはこの2つが必要だ。

そしてライダーブレスをベルトにスキャンした。

[Check!]

中華と近未来を掛け合わせたような待機音が鳴り響く。

風香「変身!」

私はブレスに右手の人差し指をスキャンした。これにより変身シークエンスが開始される。

[Change!rider FORCE!]

 

私の身体にはまず黒い素体が装着される。そこへ、金と紫の装甲が装着されていく。頭部には、フォースに与えられる属性『雷』を操るアンテナ2本が伸び、瞳が青く輝く。全体的に薫さんと比べて女性らしい体型になった。

仮面ライダーフォース、今の私の新しい名だ。私は愛車である金色のバイク『サンダークラウン(雷雲)』に搭乗、ガレージを勢いよく飛び出した。

 

 

 

現場に到着した時には、既に一般市民の死者もあった。私は、それを横目にクローバークローザーを構え、13号の元へ走る。

サソリの尾のような刺突もできる鞭を右手に、左腕には蜂の針を再現した射出装置が付いている。奴は、その射出装置から針を連射する。私はそれをクローバークローザーで弾き返しながら避ける。

 

「この攻撃、まさか!」これは、あの時薫さんを刺した攻撃と同じ、こいつが…

 

13号は今度は鞭を振るう。私はそれも避け、雷鳴の如く力強く、そして一瞬で奴の懐へ潜り込み、膝蹴りを喰らわせる。

 

その攻撃で13号は地面に倒れた。

 

トドメだ、私は武器をベルトにスキャンした。

「雷鳴の如く、お前を倒す!」

 

 

[Check!][Clover crash!]

ベルトは、私の必殺技名を叫ぶ。

13号は再び針を連射する。私はそれらを全て武器で弾き返す。流れ弾の一つが奴の右足に着弾、これは想定外だがこのまま押し切る。

 

「薫さんの仇だ!」私は雷撃を帯びた棍棒を奴の左脇腹に叩き込む。

13号は感電し、もがき苦しむ。

脇腹のあたりが黒焦げ、とてつもない痛みが奴を襲う。

「おりゃぁ!!!!」そしてもう一撃、私は左から右へ棍棒を振り払う。

 

13号は、その攻撃で爆散してしまった。

 

 

 

 

 

「こちらフォース、これより帰還する。」私はそう告げてこの場を背に去っていく。

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