仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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第2話 ♠︎A:完璧なる、アーサー(新)

 

 

「未確認生物、我々の世界を侵食する悪き存在。特にここ数ヶ月間多発している『2種類』の生物の力を持つ怪人を『デュアルクリーチャー』、通称『DC』と呼んでいる。」

 

「奴らの出所、そして目的は不明。ただ一つ言えること、それは人間に危害を加える悪き存在。そこで我々は『ジョーカーライドシステム』、通称『仮面ライダー』を派遣し戦闘を行なっている。そして今現在も…」

 

 

 

秋の夜、満月が夜空の頂点で太陽のように輝いていた。灯りが少ない夜の湾岸沿いの遊歩道を照らす。

私は、今ここで新たなDCの捜索を行なっていた。

「通報があったの、本当にここなんだよな?リーダー(風香)。」豪は探し疲れ、半分諦め状態になっていた。

「…確かにここのはずなんだけど…」私も日が暮れた頃から捜索している為、不安になってきた。

 

『こちらアーサー、フォース。発見できたか?』無線で私を呼ぶ声、相手は2人目の仮面ライダー、アーサーだ。彼女が率いるスペード部隊は私達より少し南の臨海公園の捜索を行なっている。

 

「こちらフォース、まだ気配も感じません。」

そう私が言った頃、背後には水の中に身体を潜めタイミングを伺っているワニのような不気味な生物がいた。しかし、私がこちらを見るタイミングで再び水の中へ潜っていった。

 

『…捜索を続ける。』そう言って彼女は無線を切った。

 

 

「豪さん…あそこ変に水紋ができてますけど…」隊員の1人が豪に向かって先程まで怪物がいたところにできた水紋を指差しながら言う。

 

「魚が跳ねでもしたんだろ?」豪はそう言って適当にあしらった。

 

「…水の中か…!」盲点だった。ここは湾岸地域だったのに水の中という可能性を完全に見落としていた。

 

「みんな、離れて。」私はそう指示を出した。

私は、クローバークローザーを手にし水の中へ少し浸けた。そして環境に害がない程度の電流を流し込む。

 

すると、最初は小魚が水の中で混乱に陥っていたが、そのすぐ後海の中からワニと、そしてヘビの力を持った鰐型蛇種怪人、14号が現れた。

 

 

「こんな所に!」

 

私はすぐ様武器を構えようとしたが、敵の方が一瞬早かった。

左腕の蛇のような鞭が私の身体に巻きつき捕らえた。そして、左腕を引き寄せ右腕の鰐の顎のような拳を、鞭ごと引き寄せられた私に炸裂させる。

 

「きゃあっ!!」私は、その衝撃で地面に転がる。

「大丈夫か!」豪が私の前に立ち銃を構えた。

そして引き金を引き14号に連射する。しかし、鰐の硬い鱗を持つ奴には効く様子がない。

14号は、再び左腕の鞭をこちらに振う。

それは、豪の右腕に巻き付く。

「ぐぁぁっ!!」縛られることによる痛みで豪は銃を落としてしまう。このままでは豪まで私の様に…機会は今しかない。

「豪!」私は立ち上がり14号へ奇襲を仕掛ける。

私は豪の横を通り過ぎ雷を纏った右拳を14号の腹部目掛け振り下ろす。

 

そこまでが私の考えたプランだ。そして私は現に奇襲を仕掛ける。しかし、14号は即座に私に気がつくと右腕で私に対して攻撃を仕掛ける。私はその策にまんまとハマってしまった。私は空へと打ち上げられ、14号と苦しむ豪の姿を上から見た。

 

その時だった。2人の間に、新たな人影が迫った。それは、14号の鞭を一瞬にして切断、豪の前に立ち14号を睨みつけている。

 

「雪菜さん…!」そう、そこにいたのは雪菜さんが変身したアーサーだった。

「話は後だ。素早く片付ける!」アーサーは、自身の持つ専用剣、スペードブレイドを敵に突きつける。

 

「黒羽、これが完璧な戦い方だ。」

彼女は剣をベルトにスキャンし、エネルギーを剣に集中させる。

[Check!][Spade Strike!]

 

アーサーは、剣を大きく振りかぶり14号へ振り下ろす。

彼女の剣の軌道が、夜の世界に映る。それと同時に14号は火花を散らしながら海へと墜落、そして5mは有に超えるほどの水柱と共に爆散、消滅した。

 

 

 

「流石、雪菜さんですね。」

後処理を終え、帰る間際。私は丁度出くわした彼女に声を掛けた。いい返事は期待できないが。

「これぐらい当然だ。ジョーカーに仕える将として。お前が未熟なだけだ。」

あの人の叱咤は相変わらず痛いところを突く…ある意味未確認生物の攻撃より痛い…。

「…未熟な事は否定しません。でも、私もジョーカーに対する忠誠心と覚悟だけは…」

それが彼女の癇に障ったのか、ただでさえ厳しい彼女の顔が更に厳しくなった。

「口でならなんとでも言える。それを証明したいのなら、完璧を求めろ。それが全ての真理だ。」そう言って雪菜さんは自身が乗ってきた輸送車へ乗車した。

「口でならなんとでも言える…か」

そんな事を考えながら、私はバイクへまたがった。

 

 

 

 

「攻防に優れるクラップスネークを破るとは、総三はここまで仮面ライダーを『進化』させたか…だが、我々もまた『進化』している。水澤、次のを用意しろ。」

 

「了解しました。」

 

光のない研究室にいる男は隣に立つ水澤と呼ばれた人物に対して指示を出す。水澤はタブレットを取り出し、コード『フライングタイガー』と書かれた生物の詳細が載せられているページを開いた。そして画面下部にある『unlock』のボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、雪菜はいつもの様にトレーニングルームでメニューをこなしている。

彼女は、学生時代は水泳部で運動能力に自信があった。しかし、ジョーカーの訓練は水泳部の練習とは比にならない運動量だった。

その為、遅れを取らないために通い始めたトレーニングルーム。しかし今では、それと同時に仮面ライダーとしていつでも本気で戦える様調整する為の時間にもなっていた。

「お疲れ様です。劔橋さん。」そこへ1人の男がやってくる。彼女の部下である魚津公誠だ。彼は、風香と同期であり、尚且つ同級生でもあった。

「…魚津か、何か連絡か?」図星だったからか彼は一瞬ドキッとしたが、いつものことだからかそこまで気に留めなかった。

「はい、今日10時に予定していた会議ですが、社長の都合で15時に変更になりました。」

「…わざわざすまない。」

「いえ…それと、これは個人的な話なんですけど…」公誠が何かいつもと違う事を話すと思うと彼女の手は止まった。

「…こんな事を言うのを失礼だと思いますけど、ここ最近、風香に少し強く当たってませんか?昨日も、言い過ぎではないでしょうか?」

なんだ、そんなことかと彼女は声に出さずに言った。そして再び筋トレを始める。

「…奴は、戦士として甘すぎる。完璧を求める力が足りない。だからこそ、あれくらいの言葉は必要だ。」

「しかし…」

「…お前、黒羽とは同じ出、だったな。私情はこの戦場(世界)には必要ない。それが分かれば、二度と口にしないことだな。」

公誠は言い足りない気持ちになったが、これ以上何を言っても無駄と感じ退散した。

 

彼女は極度の完璧主義者だ。常に最高の力を発揮し、本気で物事に取り組む事こそが理想であると…。

 

 

 

昼時、いつもの様に食堂では風香が食事を摂っていた。今日のメニューは豚カツだ。いつもの様に2人前はありそうな定食を次々と頬張る。

 

「相変わらずの食べっぷりだな。」

彼女の隣に座ったのは公誠だった。

 

「…まあね。やっぱこれぐらい食べないとやっていけないから…」そう風香は返した。

 

「…お前は叱られて凹むとかないよな…」風香は突然そんな事を言い出した彼にびっくりした。

 

「…何を藪から棒に?」

 

「いや、昨日だって劔橋さんに叱られてたのに、全然弱音や文句を口にしないからさ…」

 

「…あの人が言っている事は、あながち間違いじゃないし。だからこそ、豪は右腕を怪我した。私に覚悟が足りないから…」そんな事を口にした彼女に彼は、彼女に何か言葉をかけてあげようと思考を張り巡らせる。しかし、その必要はなかった。

 

「だからこそ、私は雪菜さんみたいに強い人になりたい…」そう風香は言った。

 

 

 

 

 

その時だった。社内に鳴り響くサイレン、未確認生物の出現を知らせるものだ。

「時間か…」まだトレーニングルームにいた雪菜はそう呟くと筋トレを終わらせ、出動を急いだ。

 

 

 

その頃、出現した化学工場では、何人かの作業員が既に地面に倒れており、その先には巨大な爪を両腕に備えている未確認生物15号、鷲型虎種怪人だった。

 

「これは…!」風香はバイクで、雪菜は輸送車で到着し現場に降り立った時、凄惨な現場の様子に驚いた。

 

「…15号はこの先か…」雪菜はそう言ってベルトとブレスを構えた。

そしてブレスをベルトにスキャンする。

[Check!]

中世を彷彿とさせるファンファーレと共にブレスに指紋認証をし、ベルトが鎧を出現させる。

[Change!rider ARTHUR!]

「変身!」

彼女の身体に、重厚な鎧が装着される。左腕には小盾が装備され、右手にはスペードブレイドを手にする。彼女の身体を『風』が通り抜け、彼女の身体を青く染め上げる。橙色の複眼が現れ、彼女の変身した姿…強風の英雄王、仮面ライダーアーサーが爆誕した。

 

「スペード部隊、出撃。」その声に合わせスペード部隊は先攻部隊として出撃する。

 

「私達も…!」風香は、後方に構えている部下を促し、自身はベルトにブレスをスキャンする。

 

「変身!」[Change!rider FORCE!]

 

「クローバー部隊、出撃!」フォースはそう指示を出しスペードに続いて突撃する。

 

 

クローバーがスペード追いついた頃には、既に戦闘は始まっていた。場所を工場外から倉庫内へ移し15号とアーサーは戦っている。

 

15号とアーサーは互いに爪と剣を構える。15号は鋭い剣に怯える事なく爪を振り下ろす。しかし、アーサーの強靭な鎧はその攻撃に傷一つつかない。

彼女は剣を上から下へ振り下ろし15号の胸部から腹部へを斬り裂く。悲鳴を上げて15号は後退する。そして15号は自身が有利である空へ戦場を持ち込もうと翼を広げ飛ぶ。そして再び工場の外へ誘い込もうとクローバー部隊がいる出入り口の方向へ滑空する。

 

「今だ!」その15号を、フォースはクローバークローザーを構えながらジャンプしバレーのスパイクの様に勢いよく地面に叩きつけた。

 

「黒羽…!」アーサーは驚きの行動に出た彼女を見た。

 

「雪菜さん…私には、貴女の言うような覚悟や完璧さはない…そう思います。でも、その覚悟を決める覚悟はいつでもできています…クローバー部隊の隊長として、仮面ライダーフォースとして!」フォースはそう決意を口にし武器をベルトにスキャンした。

 

「…黒羽…」アーサーは心の中で感じた。やはり彼女は才能があると…。

 

[Check!][Clover crash!]

 

立ち上がった15号に対してフォースは雷を纏った棍棒の一撃を叩き込む。それを喰らった15号は勢いよく後方へくの字になって飛んでいく。

 

「…読めた!」アーサーは追い討ちをかけるべく武器をベルトにスキャンした。

 

[Check!][Spade Strike!]

 

アーサーは、吹き飛ばされている15号の身体に、重い一太刀を斬り込む。

 

15号は2人のライダーの必殺技を喰らい爆散した。

 

「…やりましたね!」フォースは2人で撃破したことに喜びを感じた。

 

「…まあまあだな。」アーサーもまた、彼女の成長を感じ少しくすぐったくなった。

 

しかし、そんな感情に浸っていられるのも一瞬だった。

 

その時、15号の身体が分離を始める。それらはそれぞれ巨大な物に膨れ上がり、そして巨大な鷲と虎に変異した。

 

「これは…『力の暴走』…!」

DCの身体が分裂し巨大化する。この事を力の暴走と呼ぶ…フォースは実際に見る初めての光景に息を呑んだ。

 

「…こちらアーサー、サイクロンキングは用意できているか?」

 

「もちろん、既に到着しています!」アーサーの無線に公誠が答えた。彼女が呼んだサイクロンキング、一見すると少し大きめの特殊な車にしか見えない。それにアーサーは乗り込み、運転台へブレスをスキャンした。

 

[Check!][Cyclone King!]

 

すると、その車の後方が脚部に、側面が両腕に、それは起き上がり、大きなアーサーの様なロボットへと変形を遂げる。

「モード変更、ロボモード」

力の暴走に対応すべく開発された戦闘ロボ、サイクロンキングはこの地に降り立った。

右手にアーサーブレード、左腕にキングシールドを装備し、巨大な鷲に対して剣を振り下ろす。

 

巨大な鷲は右翼を切り落とされ地面に墜落する。

 

「これで終わりよ。」アーサーはそう言うとロボのレバーを操作、右腕の剣を振り下ろし鷲を完全に撃破する。

 

 

 

 

一方、フォースは巨大な虎と交戦していた。

「こんな大きなの…!」虎はフォースへ突撃する。それを寸前で回避しフォースは棍棒を叩き込む。

 

「…仕方ない、後で倒れそうになるくらい疲れるけど、これを使う!」そう言うと、彼女はブレスの下に取り付けられたパーツを取り外した。金色の板の様なパーツでイナズマ模様が描かれているそれをベルトにスキャンした。

 

[Check!][Kicks ready!]

 

それを、右脚に装着する。すると、電撃が次々と彼女の右脚に集まっていく。

 

フォースは空へと飛ぶ。そして虎に向かって右脚を突き出す。彼女の超必殺、ライジングサンダーストライクが虎に激突、そして身体を貫き爆散させる。

 

キックを放った直後フォースは、爆炎だけが残る背後を見た。

「今度こそ、終わった。」

 

 

 

 

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