仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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第3話 ♦︎A:火縄、出陣(新)

 

 

俺の周りは炎に囲まれていた。

「朔弥!早く逃げなさい!」「私達のことは良いから!」

「でも…」

「早く!」

 

燃える家、俺の見つめる先で炎に包まれていく家族…

 

父さんと母さんは、幼い俺を置いて先に逝ってしまった…会いたい…また…!

 

 

 

俺は目を覚ました。目の前に見えたのは『炎』ではなく、白い天井だった。ここはジョーカーの仮眠室だ。

 

またあの『夢』を見たことによって俺は不愉快な気持ちで朝を迎えた。

 

 

 

俺は朝食を済ませ、いつもの様に射撃訓練場へ向かう。

 

 

 

「おはようございます!」

俺は廊下で目の前からやってきた風香とすれ違った。

「…風香、少し雰囲気変わったな。」彼女は不意な質問にキョトンとした顔を浮かべた。

「そうですかね?」

まあ、それもそうか。少し前までただの隊員だったのが、今じゃクローバー部隊のリーダーだ。多少は逞しくなるか。

 

 

 

俺は彼女と別れダイヤ部隊の控室に入った。

ダイヤ部隊はクローバー、スペードとは役割が違う。

クローバー、スペードは『前線へ真っ先に向かい市民の安全を確保し未確認生物と戦闘する』と言うのが第一の役割なのだが、俺達ダイヤは『不審地点への偵察、前線部隊の支援』、つまりクローバーとスペードの補佐的な立場だ。だからこそ、その2つとは違いダイヤにはスナイパーライフルなど遠距離向きの武器が多く支給される。

更にジョーカーにはもう一つ部隊がある。それはハートだ。主に『一般市民、負傷兵の応急処置、病院への救急搬送』が目的であり、武器はリーダーに配られたベルトとブレスのみ。

ジョーカーはこの4種類の部隊で未確認生物との戦闘を繰り広げている。

 

 

「…朔弥さん、先程上層部から届いた新たな未確認のデータです。」

そう言って俺のデスクに来たのは部下の1人、赤石蓮だ。彼は、そう一言告げ俺に資料を手渡した。

 

「16号、か…」その資料には、孔雀型海蛇種怪人という名称が付けられている。ここ最近、北関東にある橘山付近で多く目撃されており、現在人に危害は加えていないが、要警戒。と報告書には書いてある。

 

橘山は、ここ周辺でも特に紅葉が綺麗だと言われている場所だ。見頃はもう少し先だが、それでも登山目的で向かう観光客も多い。早々に討伐すべきだが、ジョーカーの戦士は特例がない限り通報のない事件に出動はできない。

 

ジョーカーは、民間企業といえど、軍隊にも勝る戦力を持っている。国がそう易々と出撃を許せる筈がない。

個人的には、解し難いことだが。

 

 

 

俺は、気を紛らわすために射撃訓練場へ足を進めた。基本的に、出動待機中の戦士はジョーカー内で拘束されている。だが、特に不自由はない。娯楽は流石にないが、出動までの緊張感を紛らわすものは沢山ある。射撃訓練場もその一つだ。

 

 

「…ダイヤの隊長じゃないか。」

 

訓練場へ向かう俺を、別の人物が止めた。

 

「…壮介。俺に何のようだ?」

 

彼の名は、血城壮介。風香、雪菜、俺に続く4人目のリーダー格…つまりハート部隊のリーダーである。そして、俺含めるリーダー3人が最も嫌悪する問題児でもある。

 

「…いや、訓練帰りで暇だったから声をかけただけだ。用はない。」

 

「そうか…」

 

「…俺は、お前らを蹴落として戦闘部隊のリーダーになる。覚悟しておけよ…」そう言って壮介は、俺とは逆方向に歩いて行った。

 

彼が俺達に嫌悪される理由、それは簡単に言えば嫉妬だ。ハート部隊は先程言った通り戦闘には余程のことがない限り参加しない。彼はそれがどういうわけか気に食わないらしい。どの部隊にも果たすべき使命がある。それに従わない彼はなぜ仮面ライダーになれたのか…。

そもそも、彼がここに入ってきた経緯も気になる。そもそも彼は社長が連れてきた人物で、ライダーに変身する人物としては最年長だ…と言っても二十代後半だが。

 

 

 

[緊急指令、橘山付近で孔雀型海蛇種怪人16号が出現!クローバー、スペード、ダイヤ部隊は直ちに出動して下さい!]

その時、俺は怪人の出現を示すサイレンを聞いた。通報が入ったという事は誰か見知らぬ人が…そう考える余裕もなく俺は急いで輸送車にベルトとブレスを持って乗り込む。

 

 

 

 

 

橘山の麓、登山口では既にフォースとアーサーが戦闘に入っていた。

 

16号は、2人に対して猛毒を持つ触手を使って戦闘していた。

その触手はアーサーの剣に絡みつく。

 

「何…!」そして僅か数秒でボロボロにしてしまう。アーサーは触手から離れるが剣が無くなってしまった彼女に戦う術はない…

 

「黒羽!」

 

「分かってます!」アーサーは『猛毒に注意しろ』と『私はもう戦えないからお前1人で戦え』という意志を伝えようとしたが、この一連の光景を見たフォースはその事を既に感じ取っていた。

 

フォースは、棍棒を使って攻撃を仕掛ける。その突きは当たったかのように見えたが、翼を広げて後方へ回避した。

 

そして、虹色に輝く翼を再び広げフォースとアーサーに向かって羽根の様な弾丸を放つ。

 

「キャ!」「ぐっ…!」毒こそ持ってはいなかったが、鋭い一撃は2人の鎧に火花を散らす。

 

 

「…何か…打開しないと…」フォースは倒れた身体を起こしながら考え込む。しかし、戦力が実質1人で、尚且つ有効な攻撃がない…近接攻撃だと毒を食らってしまう。遠距離はそもそも攻撃手段を持っていない…ダイヤが…朔弥さんが来るまで持ち堪えないと…

 

その時だった。目の前に居座っていた16号の身体から突然火花が散る。

 

この攻撃は…そう思って後ろを振り返った。

 

そこには、銃口を16号に向けているトルーパーと朔弥の姿があった。

 

「遅くなった…後は俺達に任せろ!」朔弥はそう言ってベルトを起動した。

 

「変・身!」

[Check!]

和風な音楽と共に彼はブレスに指を置き、認証した。

[Change!rider HINAWA!]

彼の身体は炎に包まれていく。黒い素体に炎のような赤とオレンジのアーマーが装着されていく。頭部には炎を操るアンテナが日本天に向かって伸びる。炎のような顔面に白い複眼が現れ、変身を完了させる。

彼は豪火の武将、仮面ライダー火縄へと変身する。

そして『ノーマル』のバレットが装着された銃、ダイヤリボルバーを素早く構える。

そして一瞬のうちに弾丸を放った。その攻撃は、16号の胸部を貫いた。

「後はお願いします…!」フォースはそう言って彼らの前から負傷したアーサーと共に去っていく。

「お前は、俺の()の餌になってもらう…!」普段は優しい口調の彼だが、戦闘時は一変して荒々しい性格の持ち主となる。簡単に言えば、「車のハンドルを握ると性格が変わる」というのに近い…のだろうか。

火縄は16号の懐まで潜り込む。その隙にバレットを複数銃口の付いたガトリングに変え、腹部に連射する。

 

強烈な一撃に16号は、焦りと恐怖を感じ、冷静な判断を欠き自身の最大の武器である毒を忘れ羽根の攻撃を仕掛ける。

しかし、それらは全て火縄の弾丸で撃ち落とされていく。

火縄は、銃口を重い一撃を得意とするブレイズに変更する。そして、16号の本体に射撃する。16号はその攻撃に勢いよく後方に吹き飛ばされる。

「…お前は死ね…」そういうと、そのまま銃をベルトにスキャンする。

[Check!][Dia Direct!]

ブレイズの名の通り、何物も焼き尽くす火球を火縄は連続して16号に撃ち込む。

16号は触手と翼ごと焼かれ、爆砕…火柱が天に向かって伸びていく。

 

「これで終わりか。」

彼が銃をしまおうとしたその時、16号の身体が変異を始める…力の暴走だ。奴は一瞬にして巨大な孔雀と海蛇に変身する。

「2回戦…その勝負、乗った!」

 

火縄がそう言った直後、前回のアーサーのようなマシンが到着する。火縄はそれに乗り込み変形させる。

[Check!][Frame Fighter!]

マシンは形状を変え、巨大な火縄のようなロボ、フレイムファイターへと変形する。

右腕の巨大な火縄銃で孔雀に攻撃を仕掛ける。孔雀は飛ぶ事で逃げようと試みるが、銃の餌食となり爆散する。

 

 

フレイムファイターは銃口を海蛇に向ける。

海蛇は水のない場所だからか、地震でも起こすかのように暴れ回っている。

 

「こいつ…!」その時、海蛇が牙を剥けこちらへ迫る!

 

しかし、それは横から激突した白い矢によって防がれ、海蛇は地面に倒れる…

 

「あの攻撃…」火縄は、その事を頭の片隅に置き、海蛇に再度銃口を向ける。そして火を吹かせ海蛇を撃退する。

 

夕焼けに、フレイムファイターが輝く中、今回の戦闘は終わりを告げた。

 

その山の中、白い仮面ライダーがフレイムファイターを見上げていた。まるで睨みつけるかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

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