仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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第51話 ♣︎Q:もう1人のワード

「なんだかんだでここまで来てしまいましたね…」

 

先程の電光掲示板の立っていた場所から、少し離れた空き地に、2人は来ていた。

 

そこから白銀の面積の大きい建造物が見えていた。アトランティスの科学実験場、先程広告で流れていた場所だ。

 

そもそも何故2人がここまで来たのか。それを簡潔に説明すると「白夜総三の元へ行き、敵の目的を探ること」だ。

 

 

そもそもこのタイムジャッカーが介入したのは彼が死してから、それならこの事件の核には白夜総三が関わっているはず、そう考えたからだ。どちらにしろ行く当てのない彼女らがこの時代で頼れるのは彼しかいない。

 

 

しかし…

 

 

「さて、会いに行こう。」

 

風香はとりあえずその建物に入ろうと向かう。

 

「ちょっと待ってください。どうやって入るんですか?」

 

「そんなもの、『白夜総三さんの知り合いなんです。』って言って入ればいいんじゃないの?」

 

「はい分かりましたどうぞ…ってなるわけないですよ。下手すれば警察送りですよ。この時代の博士は僕たちのこと知らないんですから。」

 

「そう言われてもね…どうしようも…」

 

 

その時だった。凄まじい爆発音と共に白銀の建物の手前側から黒煙と炎が現れた。

 

「何事?」

 

風香は一瞬にして脳を切り替え、先程のふざけた雰囲気は消え、煙の立ち登る方を見た。

 

「とりあえず、行ってみましょう!」

 

 

2人は走り出した。

 

 

 

 

その黒煙が上がっているところは、実験場の敷地内にある駐車場だった。数台の車が既に黒焦げになっており、周りの常緑樹や草木にも広がっている。

 

その周りには、ホッパー達が占拠し、火事の様子を見に来た者や火を消そうとする者達に次々と襲いかかっていた。その奥で、それを傍観している男の姿もあった。その男は不気味に笑みを浮かべ、右腕に持っているアナザーウォッチを見た。

 

消火器を持った1人の男にホッパーが近づいていた。

 

ホッパーは、男に掴みかかり、黒くねっとりとした手で男の頭を持とうとしたその時、横から強い衝撃を受け、倒れ込んだ。

 

 

フォースとワードだ。2人は、それぞれ身長くらいある長い武器を構え、人を襲うホッパー達を薙ぎ倒していく。

 

 

ホッパーは無謀な戦いを彼女らに挑むが、身体に触れることすら出来ずに振り払われ、胸を突かれる。

 

又は、足を振り払われ、腹部に棒の先端を打ち付けられる。そうして徐々にホッパーも数を減らし、残ったのはアナザーウォッチを持った男だけになった。

 

「あんたもタイムジャッカーか?」

 

フォースが、男の首元にクローバークローザーを近づける。

 

「そうだ。といえば?」

 

男は余裕そうに聞く。

 

「何故このような事をした?」

 

「お前達をこうする為だよ!」

 

男は、そういうと人間とは思えないような力でフォースを右脚で蹴り上げた。

 

[ワード…]

 

そして、アナザーウォッチを起動させ、自らを怪人態へと姿を変える。

 

右腕にはクワガタムシの顎のような盾があり、胸部や脚部には焼かれた書物のようなものが散りばめられている。盾と矛の形をした眼は、ワードを見つめていた。紫色のアナザーライダー、アナザーワードだ。

 

「俺はタイムジャッカーのオーム。アナザーワードだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、2026年では…

 

 

「とりあえず、全員無事だな。」

 

赤い仮面ライダーが、ウォーズ、アーサー、火縄、ホープを見て言う。そこは先程の現場近くにある林の中だった。

 

「どうやら、間に合ったみたいだな。」

 

ウォーズがそう言い、変身を解いた。他の3人は何のことか分からない。彼らは誰なのか、敵ではないこと以外は全く。

 

「唐突に東京に来てくれって連絡寄越すなよ。」

 

赤いライダーが変身を解くと、高校生くらいの男が姿を現した。厳つい顔と、鍛えられた身体から何か運動系の部活をやっていることは容易に想像できた。

もう1人の青いライダーも変身を解いた。こちらも高校生くらいで女だった。雪のように白く美しい肌に、氷のように透き通った目が特徴的な人だ。

 

アーサー達も警戒の必要はないと変身を解いた。

 

「悪かった。でも、仲間がピンチなら手を貸してくれるだろ?」

 

康介が言う。

 

「こちら2人は、ワード、塾屋ゴンと共に戦い抜いた仮面ライダー達。男の方は片名勝治、グレン。彼女は冬川刹那、コンボだ。」

 

「初めまして。」

 

刹那は、頭を軽く下げた。勝治もよろしく、と流した。

 

「この3人はジョーカーの仮面ライダー。左から劔橋雪菜、アーサー。金剛寺朔弥、火縄。清野心、ホープだ。」

 

 

6人は顔合わせを済ませた。そして、作戦会議を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はあっ!!」」

 

アナザーワードの右腕の刃がワードの盾に激突。ワードも反撃のために矛をアナザーワードに突き刺す。

 

その攻撃は効果があったのか、矛を無理矢理引き抜き、後ろに下がった。

 

その時、影からフォースがライダーキックを仕掛ける。

 

その稲妻は、敵の顔面に激突。轟音と共にアナザーワードが破裂…

 

「何!」

 

アナザーワードは、右腕の武器の形状を弓に変え、フォースの装甲に放つ。

 

フォースは、その衝撃で地面に倒れる。彼女が顔を上げると、アナザーワードはキックによって曲がった首を、元の位置へ乾いた音と共に治す。

 

「…不気味な奴め!」

 

フォースは立ち上がり、アナザーワードに拳を向け、電撃を纏った右ストレートをぶつける。

 

アナザーワードはそれを手のひらで受け止めた。そして、右腕の盾で彼女の顔面を殴り、回転蹴りをする。

 

「風香さん!」

 

ワードは、左手に剣を持ち、アナザーワードに攻撃を仕掛ける。

 

しかし、これも盾で防がれる。

 

「お前を倒して、力を返してもらう!」

 

剣を防ぐことに気が回っていたアナザーワードに矛を胸に突きつける。

 

しかし、ワードも攻撃する事に夢中で防御を忘れていた。アナザーワードも盾を刃に変え、左腕の盾ごとハサミで切るように剣を一刀両断した。

 

そして、その刃を、そのままワードの首元に近づける。

 

「この刃でお前の首を飛ばしてやる…」

 

その言葉とともに二股の刃が首にかかる。

 

 

その時、ワードの後方から弾丸が数発、解き放たれ、アナザーワードに激突。首にかかろうとしていた刃も外れ、ワードは一安心した。

 

 

「誰だ…」

 

「ここは人間の未来を創る場所だ。破壊が目的なら他所でやってもらう。」

 

ワードの後ろにいたのは、漆黒の戦士、プロトタイプのウォーズだった。

 

ワードはその姿に見覚えがあった。初めて白夜総三と出会った時、彼が纏っていた鎧と同じ者だった。

 

「邪魔か…まぁいい。これで目的の80%は達成した。」

 

そう捨て台詞を吐くと、アナザーワードは塵のように風にのって姿を消した。

 

 

 

プロトウォーズは、変身を解き、人間の姿を見せた。その姿は紛れもなく白夜総三だった…

 

「ありがとう、君達。義理もないここを守ってくれて。」

 

そう言ってワードに手を差し出した。

 

ワードも変身を解き、その手を取った。

 

「あの、貴方が、白夜総三さん…ですよね?」

 

「ああそうだ。」

 

フォースは変身を解くと、「ようやく会えた!」と叫んで地面に寝転んだ。

 

 

 

 

「なるほど、君達は未来から来た仮面ライダーで、敵の狙いが私であると踏んだからここに来た。でも、どうやって会えばいいか分からず途方に暮れていたところで敵の幹部に出くわし、交戦していたと。」

 

白夜総三は、敵かも分からないのに、ここを守ったと言うだけで中に招き入れ、応接室に招き入れた。

 

応接室には、総三と風香、ゴンの3名で総三に向かい合うように風香達は座っていた。

 

彼女達はこの事件についてのここまでの経緯を話した。

 

 

「何か、心当たりはないんですか?」

 

総三はしばらく考え込んだのち、こう口を開いた。

 

「心当たりが多過ぎて、分からん。」

 

その回答に2人は苦笑いした。

 

「まぁ、あり得るとしたら、この武装システムか、時間移動のできるタイムマシン、或いは並行世界への移動が可能となるかもしれない時空移動装置か…でも、後者の2つは時間を移動できる彼らには不必要だろう。だとすればやはり…」

 

「仮面ライダー、ですね。」

 

ゴンは続けて言う。

 

「でも、何か引っかかるんですよね。」

 

「それ私も思った。」

 

風香も違和感は感じていた。

 

「もし、ライダーの歴史を奪うだけなら、この武装システムの歴史を奪えばいいはず。何で僕たちの歴史を予め奪っておくんですかね…」

 

3人は、しばらく考え込んだ。

 

歴史を奪う…それが彼らの目的…プロトタイプのウォーズを奪えばそれでいいのに…

 

ゴンはこの時、ある事に気がついた。

 

彼らが奪うのはライダーの歴史、そしてこのウォーズはまだ仮面ライダーじゃない。つまり…

 

「もしかして、この武装システムを、『仮面ライダー』にすることが目的なのかもしれません。」

 

その思考を口に出すと、2人は彼の方を見た。

 

「具体的に教えてくれないか?」

 

総三は聞く。

 

「彼らタイムジャッカーは、この力が何らかの理由で欲しかった。でも、この力はまだ仮面ライダーではない。だからウォッチで歴史を奪えない。だから、未来仮面ライダーとして戦う僕たちを総三さんに見せて、その武装システムを仮面ライダーと名づけさせる。」

 

「確かに、それならタイムジャッカーがここを狙うのも納得いくな。でも、それなら君達が歴史を奪われる必要はないんじゃないのか?」

 

「それは、私達の弱体化が目的なのかも。それに力も手に入るから一石二鳥…繋がったわね。」

 

総三と風香もゴンの考えに納得の表情をした。

 

「君達は頭の回転が早いね。」

 

総三はゴン達を褒めた。

 

「いや、それ程でも…」

 

風香は頭を掻きながら返答する。貴女のことじゃないよ、と心の中でゴンは呟きながらも、彼に褒められたことが嬉しかったのか少し笑った。

 

 

 

その時だった。扉をノックする音と共に所長と呼ぶ声が聞こえた。

 

「入りたまえ。」

 

そう言うと、扉を開け、研究員の1人が総三の元に駆け寄り、何かを小声で話す。話を聞いた総三の表情は険しいものになっていた。

 

「2人とも、緊急事態だ。」

 

話を聞き終えた総三が2人を見る。

 

「何か、あったんですか?」

 

風香が聞く。

 

 

「どうやら、先程の男がここに乗り込んできたらしい。」

 

 

 

 

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