仮面ライダーフォース   作:津上幻夢

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ジョーカー、それはデュアルクリーチャー(DC)など人類を脅かす敵と戦う組織。そこには4人の仮面ライダーがいる。フォース、アーサー、火縄、そしてホープ。彼女達は、それぞれの力を駆使して戦ってきた。
エクストリームクリーチャー(EC)と呼ばれる人体改造を受けた人間が変身する敵も現れ、戦いは徐々に激化していく。そんな中で起きたある事件について話をしよう。





Joker Story
Joker Story 仮面ライダー火縄


「一沙さん、朔弥さんが来ましたよ。」

 

俺…金剛寺朔弥はこの日、谷川一沙に呼ばれ研究室に来ていた。

 

「金剛寺君、わざわざ悪いね。」

 

「いえ、構いませんが。それより、今日はどのような用件で?」

 

彼女は、俺が来たや否や別室へと案内した。

鉄製の扉を開けた先には、よく創作であるような巨大なロボットの格納庫があった。そして、そこにあったのは一台のロボット[フレイムファイター]、俺のマシンだった。しかし、左腕が外され、様々なコードがパソコンに繋がれていた。

 

「…俺のマシンが…これは?」疑問に思った俺は聞いた。

 

「この前、重役会議で巨大ロボ系統への投資を終了するってなったでしょ。でも、このまま処分するのも勿体無いから私達研究部で引き取ったのよ。そして、この強大なパワーをライダーに凝縮できないか調べているのよ。」一沙は説明を終えて、凄いでしょ?と言っているかのような顔をした。

 

「そうだったのか…」俺は、再びフレイムファイターを見上げた。

 

そもそも、フレイムファイターは変異して巨大化するDCに対抗する為に作られた物だ。

しかし、今はDCの巨大化はバージョンアップしたライダーで対応できるし、更に強力なECとの戦いも避けられなくなる。折角捨てられるならこうやって有効活用される方がコイツの為にもなるんだろうな、と心の中で思った。

 

 

 

「新たなEC?」総三は、飲んでいたコーヒーの手を止めた。

 

その頃、社長室には白夜総三と劔橋雪菜の姿があった。

 

「ええ、まずこれを見てください。」そう言って彼女が見せたのは、どこか工場の監視カメラだった。そこには、黒い翼を生やした明らかに人でないものが写っていた。

 

「これは?」「先日起きた工場火災が起きた現場で確認されたものです。」

 

それは1週間前に起きた出来事だ。東京都心から少し離れは場所に位置していた化学薬品の工場で起きた。夜中、突然火災が発生し工場の殆どを焼いた大きな事故だった。この火災は、工場内の薬品管理の不手際が原因だったとされている。

 

「これは調べる必要がありそうだな。頼めるか?」総三は、彼女を見た。

 

「はい、もちろんそのつもりです。」雪菜は強く頷いた。

 

 

 

 

夜、俺はいつものように社宅へ向かって歩いていた。

 

会社から社宅は少し離れており、歩いて20分くらいかかる。まぁ、通る道にスーパーやらコンビニやら便利な場所が多いから帰宅ついでに買い物なんて事ができるから満足だがな。

 

今日もいつも通り買い物も終えて社宅の目の前に着いた時だった。俺と同い年くらいの女の人が社宅の周りをウロウロしていた。下手すれば不審者と間違えられるくらい。

 

気になった俺は声をかけた。

 

「どうかしましたか?」

 

「あっ、朔弥君久しぶり!覚えてる?」

 

朔弥君?俺を知っているのか?顔を見ただけでは誰なのかさっぱり分からない。

 

「ほら、燈だよ。星野(ほしの)(あかり)、小学校の頃一緒だった。」

 

小学校の頃一緒だったという言葉でようやく思い出した。

 

「燈か…久しぶりだな。」

 

 

 

星野燈は、俺が小学校の頃近所に住んでいた少女だった。名前の通り明るく誰にも好かれるような子だった。人付き合いが苦手な俺にもよく話しかけてきた。

 

「どうしてこんなところに?」

 

「決まってるじゃない、朔弥君に、会いにきたんだよ。」

 

 

 

 

俺は彼女を部屋に入れた。そして、夕食の準備をした。

 

ジョーカーに入ってからは自炊をするようにしていた。と言っても1週間に2、3回程度だ。今日がその自炊の日で良かったと少し思った。

 

俺が玉ねぎを切っているところへ彼女が物珍しそうに見てきた。

 

「私も手伝おうか?」

 

「…ルーの用意をしてくれないか?買い物袋の中に入ってる。」

 

「りょーかーい!」彼女は俺の買い物袋を漁り、ハヤシライスのルーを取り出した。

 

「今日はハヤシライスなんだ。」彼女は子どものような笑顔を見せた。

 

「…そういえば、ハヤシライスが好きだったな。」

 

「覚えててくれたんだ。」

 

「たまたま思い出しただけだ。」俺は玉ねぎを切り終え、冷蔵庫の中から豚肉を取り出した。

 

 

 

こうしてハヤシライスが完成した。本来なら、明日の昼飯用に2人分作っていたのだが、仕方ない。明日の昼は近くのコンビニで買っておこう。

 

「いただきます!」

 

彼女は、スプーンでハヤシライスをすくい上げた。そして、口の中に入れた。

 

「美味しい!」今まで食べた中で1番美味しいみたいな顔を彼女はしていた。

 

「市販のルーを使ってる、そりゃ美味いだろう。」

 

「違うよ。朔弥君が作ったから美味しんだよ。」

俺が作ったからか…ちょっぴりくすぐったくなった。

 

「こんな料理上手くてイケメンなんだから誰にも渡したくないな…」

 

「…そう言うなって。俺は俺のものだ。」俺は冗談だと思ってそうあしらった。しかし、彼女はその言葉で少し不機嫌になった。

 

 

 

その日の夜、彼女は夜遅いから泊まっていくと言い出した。まぁ、流石に21時近く、女を一人で連れ出すわけにはいかないと仕方なく泊めた。明日が休みでよかった。

 

部屋が多いわけでもない為、同じ部屋に布団を二つ敷いて寝た。

 

俺はすぐにウトウトしてしまった。だからはっきり覚えていないが、彼女はすぐ部屋の扉を開けて外に出たような気がした。まぁ、トイレに入ったのだろうと思い特に気にもしなかった。

 

 

 

 

その頃、劔橋雪菜はいつものように帰路についていた。

 

「今日は遅くなってしまったな。」そう早歩きで家に向かっていた。その時だった。突然近くのアパートから炎が上がった。

 

「火事か!」彼女はすぐに携帯を取り出し消防に通報した直後だった。

 

火元の2階の部屋から、黒い鳥人間が姿を見せた。彼女はふとあの防犯カメラに写っていた怪物を思い出した。そして、その鳥人間は特徴が一致していた。

 

その鳥人間は飛び立とうとしていた。

 

「待て!何者だ!」

 

「…八咫烏…かな。もしかして、遊んでくれるの?」八咫烏と名乗った怪物はそういうと彼女の目の前に降り立った。その怪物は、右腕が変異しており、鉄砲の先端の様な筒が付いていた。

 

「ジョーカーだ。この火事は貴様の仕業か?」

 

「お姉さんジョーカーの人なんだ。噂に聞いてるよ。私みたいな怪物を倒してる仮面ライダーの。ねぇ、変身してみてよ!」

 

八咫烏は茶化すかの様に話していく。

 

「…そこまで言うなら変身してやる。そして倒されてもらう!」

 

[change!rider arthur!]

 

アーサーに変身した雪菜は剣を手にした。そして、剣を振り下ろすべく八咫烏に迫る。

 

「そんな攻撃見切れちゃうよ!」八咫烏は迫るアーサーに翼を使い風を起こし地面に倒した。そして右腕の筒から火球を放ち倒れているアーサーにぶつけた。

 

アーサーは、一瞬の出来事に対応できず変身解除してしまった。

 

「今日は疲れちゃったし帰る!」八咫烏はそう言うと夜空へ飛び立った。

 

「待て!…」雪菜は、遠くから聞こえる消防車のサイレンを薄れる意識の中聞き、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば夢を見ていた。あの日の…家が燃え、親が死んだあの火事を…

 

時々、こうしてみるんだ。あの日の火事のことを、戒めの様に。だが今日は何か違った。誰かがずっと監視している様に感じた。

 

 

それが何か探そうとした。しかし、そうしようとした時、地面が最初からなかったかの様に崩れ落ちた。

 

そうして目が覚めた。全身汗びっしょりだった。隣をふと見た。こんな姿を見られたくないと思った。その不安は、彼女の姿がないことで無くなった。

どうやら彼女は置き手紙だけ残して部屋を出ていた。置き手紙には、

 

[昨日はありがとう、また会えるといいね。]と書かれていた。

 

その置き手紙を読んだ直後、テレビをつけた。

 

[昨日夜、東京都でアパートが1棟全焼しました。火元は不明で、アパートに住む男性1人と連絡が取れていません。消防は、引き続き調査を行っています。]

 

そのアパートを俺は知っていた。この社宅より少し先の西にある小さなアパートだ。

 

すると、そのニュースを見て電話をかけてきたかの様に電話が鳴り響いた。社長からだった。

 

俺はその電話に出た。

 

「もしもし、おはようございます。社長。」

 

『おはよう朔弥君。昨日夜の火事のニュース見たかい?』社長の声は心なしか余裕がない様に感じた。

 

「はい、それが?」

 

『EC絡みの事件だ。雪菜君が負傷している。すぐに来てくれ。』

 

 

 

 

俺がジョーカーに着いた頃には、すでに赤石蓮と真田昌巳の姿があった。2人とも俺の部下だ。

 

「こっちです。」蓮が呼んだ場所はミーティングルームだった。

 

部屋の中には、社長と黒羽風香、清野心、魚津公誠の姿もあった。そして画面には昨晩のアーサーから映された怪物の映像写真があった。

 

「お待たせしました!」

 

「いや、丁度私達も来たところです。」風香が答え、心も頷いた。

 

「それで、劔橋の容体は?」

 

「今病院で治療を受けている。右腕に軽い火傷を負った。」社長はそう言うと、画面に写っている映像について話を始めた。

 

「アーサーから撮られた映像には、八咫烏と名乗るECが確認されている。右腕には、炎を放つ事ができる砲台を装備しており、背面の黒い翼で飛行や風を巻き起こす事ができる。」

 

「八咫烏って、あの神話に出てくる足が3本ある烏のことですよね。」心は自身の博識を述べた。

 

「太陽の化身とも呼ばれていますよね。」蓮が付け加えた。

 

「…名前の通り放つ炎は太陽の様に熱い。現時点で対抗できるのは同じ炎の力を持つ君だけだ、朔弥君。」社長は俺の目を見た。

 

「…やれるだけの事はします。」俺はそう言った。

 

ライダーには元となる属性が割り振られている。例えば俺が変身する火縄は炎。黒羽風香が変身するフォースは雷、劔橋雪菜が変身するアーサーは風、清野心が変身するホープは水。『風』香なのに風じゃない、『雪』菜なのに水や雪じゃないのは言わない約束だ。

そして、その能力をそれぞれの武器や装甲に生かされている。火縄の場合は、強力な火力で敵を撃ち倒す銃だ。また、火縄のスーツは他のライダーよりも耐熱温度が1000℃も高い。まさに火を持って火を制す。

 

 

 

ミーティングを終えた俺は廊下に出た。

 

「金剛寺君、丁度良かった。」その時、谷川一沙が声をかけた。

 

俺は彼女に連れられ前の格納庫まで歩いた。

 

そこには、すでにフレイムファイターの姿はなかった。

 

ちょっと待っててと言って彼女はそう言うと暗証番号で施錠してあるスーツケースを俺に渡した。

 

「これは?」

 

「開けてみて?」彼女に言われた通り『0205』と暗証番号を入力してスーツケースを開いた。

 

その中には、ライダーブレスに似た真紅のアイテムが入っていた。

 

「フレイムフォームへ変身する為のアイテム、フレイムブレスよ。」

 

「これを俺に?」俺は聞いた。てっきり風香や劔橋に渡されるとばかり思っていた。

 

「当然よ。あなたの乗っていたフレイムファイターから作ったのだから。」一沙は、頑張ってと最後に言った。

 

 

 

 

 

それから数日後、俺は帰り道を歩いていた。丁度建設中のマンションの側に差し掛かった頃、後ろから俺を呼ぶ声がした。振り返ると星野燈が立っていた。

 

「また会ったね。」彼女はいつもの笑顔で声をかけた。

 

「ああ、この近くに住んでるのか?」

 

「…うん。」返しがワンテンポ遅かった気がした。

 

「…今日は急いでるんだ。また今度ゆっくり話そうね。」彼女はそう言うとそそくさとその場を後にした。

 

俺は彼女を見送ると再び社宅に向かって歩き始めた。

 

その時だった。突然俺の周りが明るくなった。周りを囲う様に炎が上がっていた。

 

上空を見ると、資料で見たまんまの八咫烏ECの姿があった。

 

「狙い撃ちかよ、変身!」[change!rider HINAWA!]

 

俺は火縄に変身すると、炎から抜け出しダイヤリボルバーを構えた。そして引き金を何度も引き八咫烏を撃ち落とそうとする。

 

連続して放たれる球に八咫烏はバランスを崩して建設中のマンションの敷地内に落下した。俺もそれを追いかけた。

 

八咫烏は、資材置き場に墜落していた。

 

「…まさか……君がライダーだったなんて…」微かにそういった気がした。

 

「八咫烏、ここで倒す!」俺はフレイムブレスを装着した直後だった。

 

「…あなたは誰にも渡さない…何にも縛らせない。」突然訳の分からない事を言った。そして俺は『八咫烏の正体』に気づいた、気づいてしまった…

 

「待って!」俺はそう言った。しかし、八咫烏はそのまま空へと飛んでいった。それもジョーカー本部がある方向へ。

 

「まずい!」俺は全速力で八咫烏を…彼女を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

八咫烏は、ジョーカーの屋上に着陸した。

 

「……君…」

 

八咫烏が下を見上げると、火縄に変身している朔弥がこちらを見ているのに気づいた。

 

「…私を、倒すのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

俺は、彼女が屋上にいる事を確認して急いで屋上へ上がった。

話す時間が欲しかったから変身は解いた。

 

 

 

屋上の扉を開けると、そこには彼女がいた。いつもの笑顔に一瞬見えたが、どこか寂しそうな気がした。

 

「…朔弥君。」

 

「燈…お前が八咫烏の正体だったんだな」俺は事実を突きつけた。しかし彼女は答えない。

 

「前のアパート火災も、さっきの襲撃も、たまたま居なかっただけだと思った。でも違うんだろ。どうしてこんな事を?」

 

「…私は貴方が好きだった。私の物にしたかった。だからさっきは攻撃した。ちょっと驚かした隙に攫って閉じ込めようって。仮面ライダーだったなんて予想外だけど。アパート火災は、私が外に出た時に会ったナンパしてきた男に、練習台になってもらおうと思ったの。」

やっぱり、俺が欲しいって言うのは本心だったんだな。

「…工場火災は、何故起こした。」

 

「…あの地下には、私をこの体にした機関の研究室があったの。そこで私は暴走して、あんな事に…」

 

「…なんで、俺がそんなに欲しい。」1番気になっている事を聞いた。

 

「…私が初めて貴方を見た時、一目惚れしたのと同時に、窮屈そうにしていたから。クラスにいる時、騒がしい雰囲気を苦手にしていて。何かに縛られている様な気がして。だからあの日も火を放った。」

 

待った…あの日も?まさか…

 

俺はふとこの前の夢を思い出した。あの火事の日、誰かに監視されている、それは彼女だったのか…そして、それ自体を引き起こしたのもまた…

 

「お前が…お前が犯人だったのか。」

 

「ええ…私は貴方が何かに縛られているのを見たくないから…」

 

しばらく、俺たちは黙った。何を話せばいいのか、このまま倒すのか。そう考えていた。

 

「朔弥君は、今の私をどう思ってるの?」

 

その質問に俺は少し考え、それを口に出した。

 

「…昔は、俺に良くしてくれる友達だと思ってた。でも、今は悪魔にしか見えない。」その言葉に、彼女は何か覚悟を決めたのか、八咫烏の姿に変わった。

 

「そっか…なら、私を倒して。」

 

俺は、都合の良い女だと思ってた。彼女はそう思っていないかもしれないが、勝手に見下し、勝手に欲して暴走して家族を殺した。それがバレた今は倒せだなんて…本当に都合のいい…

 

「…俺は、様々な事に縛られている。だけど、それを窮屈だとは思わない。その縛られた中でも自由に動けるからな。変身!」

 

[The rider is next stage! Hinawa 2nd!]

 

火縄弐に変身した俺は、ライダーバスターガンモードとダイヤリボルバーを手にした。

 

八咫烏ECは夜空に黒い翼を広げると空へと飛んだ。俺も翼を広げ彼女を追いかけた。

 

追いかける途中、両手の銃から次々と弾丸を放つ。しかし、安定しない攻撃を八咫烏は全て回避してこちらを向いた。そして、右腕の大砲から火球を放つ。俺はそれを回避できず、攻撃を喰らってしまった。その勢いでバランスを崩して俺は廃工場に墜落した。

 

 

 

俺が瓦礫をどかして、立ち上がったその目の前に彼女は居た。

 

「貴方の本気は、その程度なの?」

 

「そんな訳…ないだろう。『憎き敵』を前にして、本気を出さない奴なんて居ない。」俺はフレイムブレスを装着した。そして、ベルトにスキャンした。

 

[Check!][Limit Over!HINAWA・Frame Fighter!]

 

俺の周囲に、フレイムファイターを彷彿とさせる鎧が出現した。そして、それらは俺に次々と装着される。脛、脹脛、胸部、腕、肩、そして頭部には、武人の様な兜が上から被さった。兜には『炎』の飾りが施されている。背面には、収納式のキャノンが二つ、両腕にはガトリングが装備された。

これが火縄・火炎将軍( フレイムファイター)か…

 

俺はガトリングを構えた。相手も大砲を構えた。そして、それぞれ引き金を引く。互いの背後に爆発が起きる。俺たちは廃工場を走り、互いの姿が見えたらすぐに引き金を引く。

それを繰り返した。周りが炎の海になるまで。

 

先に止まったのは彼女だった。

 

「このままじゃ決着はつかない。一撃で終わりにしましょう。」

 

そう言うと、彼女は俺の方に砲台を向けエネルギーチャージを始めた。

 

俺は、背面に装着されている二つのキャノンを前に展開してエネルギーチャージを始めた。

 

[Frame direct burst!]

 

チャージし終えたキャノンから赤い閃光が放たれる。

相手の大砲からも太陽の様に輝く炎の帯が放たれる。それらは激突した。

どちらも一歩も譲らない、攻撃を緩めれば負ける。

 

俺は、100%に近い状態を維持しながら耐えた。好機が到来するその瞬間を待って。

 

「…ふっ…」突然、彼女の攻撃の手が緩んだ。

 

「今だ!」俺は俺の全力を彼女に叩き込んだ。

 

 

 

 

赤き閃光が収まったその先には、翼が焼き焦げ、砲台も破壊された八咫烏の姿があった。しかし、それでも立ち上がる力はあった。

 

「まだ、生きていたのか…」

 

「…そうね。私でも驚いてる。」彼女は、そう言うと両手を広げ大の字になった。

 

「もう、終わりだから…私を撃って。」

 

そうか…

 

「言われなくても、分かってる。」俺は、バスターリボルバーを構えた。

 

「さようなら、朔弥君…」

 

「さようなら、燈。」

 

 

 

俺は、その銃の引き金を引いた。

 

 

 

僅か一瞬だ。その弾丸は、彼女の心臓を撃ち抜き、生命活動を停止させた。

 

変わり果てた姿の彼女は、その場に倒れたまま動かなかった。

 

 

俺は彼女の亡骸に近づき、見つめた。

 

その時、本部からの無線がかかってきた。正しく言えば、さっきまで来ても無視していたから、初めて取ったと言った方がいいか。

 

『こちら本部です。先程から戦闘を行なっている様ですが、何かあったのですか?』

 

俺はありのままの事を答えた。

 

「八咫烏ECを確認した為、攻撃しました。八咫烏ECは、撃破しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この戦いで失った物は沢山あった。俺の親友が死んだこと、数カ所が火事で焼けたこと、そして全力で使い過ぎた為フレイムブレスが破壊してしまった事。これらだけを並べれば、マイナスに思うかもしれない。だが、得た物もある。それはECに対抗するには、二つの力を一つにして戦う事が有効であると。それがのちのフォースⅢに活かされる事となる。またこの事件の後、不思議なことにあの火事の日の夢を見なくなった。全てにかたをつけたからかもしれない。

 

 

彼女はやはり悪魔だと思う。誰かの為なら平気で人の命を奪う。だが、それでも一緒に過ごした日々を忘れようとは思わない。それもまた、大切な物だから…

 

 

 






仮面伝説シリーズ、外伝補完計画…

第二弾、製作中…




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