「本日はホワイト・スター・ライン社設計のJBIに御乗船いただき、
大変ありがとうございます」
ああ・・・またこの夢か。
豪華客船の一室から、楽しそうな声が聞こえる。
「ありがとう、裕兄」
一人の少女と一人の少年。
その二人は兄妹にしては距離があり、
かといって他人にしては近い。
「もかを呼ばなくていいのか?」
少年のその質問に少女は慌てて答える。
「そうだった!!、モカちゃん呼んでくるね」
少女は扉から勢いよく飛び出していった。
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「キャア」
揺れる船内、泣き叫ぶ人々。
まだ空きがあるが、それでも下りていく救命ボート。
甲板には大勢の人が残っている。
「大丈夫なんだよねえ・・・?」
「兄さん、私達って・・・」
「・・・二人とも、ここから飛び降りて空きのある救命ボートに行け」
ああ・・・やっぱりこの夢だ・・・。
少年は二人の少女に飛び降りろと言う。
「裕兄?」
「・・・分かったよ」
「もか。ありがとう。ミサは大丈夫か?」
静かに震えるツインテールの少女。
「--------」
「えっ?」
「キャアアアアア!!」
少年に押され、海に落ちていく少女達。
そんな二人が見たのは、転覆していく船と、
自分達を押してきた少年の左腕だった。
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「はあっ!!」
勢い良くベッドから飛び起きるツインテールの少女、岬明乃。
彼女の顔から碌な夢を見ていないことが容易に分かる。
「またあの夢・・・裕兄・・・」
夢を思い出し感傷に浸って数秒後、彼女のスマホが音を出す。
「あ、モカちゃんからだ」
親友である知名もえかからのメールを見て、彼女は動き出す。
部屋の隅には二人の少女と一人の少年が映った写真が飾られていた。
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5年前 日本海 旧種子島沖
ブルーマーメイドの艦隊、任務は海賊の討伐。
だが旗艦艦長の宗谷真霜は何かが起こりそうな予感がしていた。
ブルマー「前方から接近してくる艦あり」
ブルマー「該当する艦、それに類似する艦はデータベース上にはありません」
真霜「海賊船にしてはかなり手が入れられている。
かといって軍とは違う。あの船は一体・・・」
ブルマー「不明艦から人が来ます」
艦橋組はその言葉を聞いた瞬間、海面を見た。
すると仮面を被り、黒を基調として所々緑の線が入ったコートを着た人がこっちに
向かってきている様子を見る。
ブルマー「ねえ、あの速度じゃぶつかるんじゃない?」
真霜「総員、衝撃に備えて!!」
全員が近くにあったものに掴まったりする。
だが一向に衝撃は来ない。するとそこに声が響く。
「監視していた物から目を離しちゃぁダメじゃあないのか?」
ブルマー「いつの間に!!」
真霜「くっ・・・」
焦って銃を構える真霜。だが仮面を被った人物は動揺せず、
真霜を見て言う。
「あなたの母、宗谷真雪に伝えたいことがある」
真霜「母さんに?」
突然母の名前を言われ、驚いてしまう真霜。
「あの時の少年が帰ってきたと、そう伝えれば理解してくれると思います」
真霜「・・・あなたは、一体?」
「・・・ロイ、ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフ。私はある人を探しています」
真霜「・・・」
構えていた銃をしまい、ロイに向けて真霜は言う。
真霜「分かったわ、母さんに伝えるわ、それであなたはどうするの?」
ロイ「あの船にいます。何かあればこの周波数で通信してください」
そう言って出ていくロイ。艦橋はまだ混乱している。
それを静めるために真霜は説明を始める。
真霜「お母さんが昔、現役だった頃、ロイと名乗る人に助けられたみたいなの。
それで『もし次、会うことがあるなら、私は必ずロイと名乗る』、
って言われて、でも会うことは無かったけど、私達はその話を何回もされたから、
遠回しに『ロイと名乗る人と会ったら絶対連れて来なさい』、て言われてるみたいで」
ブルマー「じゃああの人は取り敢えず味方と考えていいんですか」
真霜「ええ。任務が終わったら横須賀に帰ってからが、大変よ」
その後の海賊討伐は、何も問題なく完了した。
そして艦隊は横須賀へと帰還する。