横須賀に帰ってからの数日間、横女に関する仕事を一通り終え、始業式を迎えた。
真雪「ロイ君。大変かもしれないけど、真白を送って行ってくれない?」
ロイ「分かりました。しっかり連れてきますよ」
真霜「にしても、始業式の日もその格好ね・・・」
ロイ「これこそが、ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフですから」
ミーナの持っているコートが無いため、
黒のトレンチコートを着て黒で固められた服装、
そこに仮面が加わることで、不審者感を出している。
しかし仮面を付けてスーツだと、それはそれで事案である。
真雪「それじゃ、先に行ってるわね」
真霜「私も時間だから、行ってくるわ」
ロイ「それじゃ、もう少し待って、遅刻しそうなら起こします」
真雪「頼んだわ」
それから、遅刻するまで後25分という所で真白は準備を終えた。
真白「初日から遅刻だなんて、ついてない・・・」
ロイ「目覚ましの電池が切れてるのも・・・」
「「ついてない(な)」」
息が合う二人。尤も、合っているのは溜息だが。
真白「もうダメだ・・・どう頑張っても間に合わない」
ロイ「車で行っても間に合わないな」
真白「初日から遅刻するのはイヤだああぁぁ」
ロイ「勤務初日から遅刻するのは、俺も嫌だな」
真白「何とかならないの、ロイさん?」
真白はロイに助けを求める。
車もスキッパーもダメでも、ロイは頼りになるのだ。
ロイ「しっかり荷物は持ったか?、忘れ物は?、身嗜みは完璧か?」
真白「大丈夫だから、急いでよ!!」
ロイ「分かったから、怖いと思うけど耐えてくれよ」
真白「え?」
そう言うや否や、ロイは真白を抱きかかえ、跳躍した。
広い宗谷邸を優に超え、ビルとビルの間を飛ぶ。
途中何度も建物の壁を蹴り、向きを修正、衰えた勢いを蘇らせる。
そうこうしているうちに横女に着く。5分しか掛かっていない。
地上に降りて、真白を下すと・・・バックを振り回される。
真白「ななな・・・なにをするんですか!!」
ロイ「何って・・・お姫様抱っこ?」
真白「そういう問題じゃない!!」
ロイ「じゃあどういう問題なのさ・・・」
高校生をお姫様抱っこ。そしてビル街を跳んで学校に行く。
普通に考えればかなり可笑しいことだが、ロイにとっては「その程度」のことである。
ロイ「はいはい落ち着いて、俺は職員室だから、じゃあな」
真白「また後でね・・・」
二人は別れたが、直ぐにまた問題が起きる。
「うわっ!!」
バナナを持ったツインテールの少女が、ぶつかってきたのだ。
「イタタ・・・ごめん、大丈夫?」
真白「大丈夫だ・・・それよりも前を・・・キャッ!!」
「あっ・・・」
真白は不幸にも、バナナの皮を踏んで滑る。
踏ん張ろうと頑張るが、虚しくも足は止まらず、振り回されていたバックを少女が持った瞬間、
真白は海に落ちていく・・・・・・・・はずだった。
海に落ちる数瞬前、黒い物が真白を巻き込んで通り過ぎていった。
そしてツインテールの少女の隣に、真白は現れる。
「えっ、なんで・・・」
真白「海に落ちたはずじゃ・・・」
周りでその様子を見ていた人達も、訳が分からず立ち止まってしまう。
するとそこに、職員室とは反対の方向から、ロイがやってくる。
ロイ「バナナの皮踏んで滑るのは、アニメでしか起きないと思っていた」
真白「ロイさん!!」///
「あっ、ロイさんだ」
ロイ「ああ・・・岬さんか」
明乃「うん。もしかしてだけど・・・ロイさんのお知り合い?」
真白「あ・・・ああ。まあそうだな」
ロイ「真白は・・・まあ頑張れ。きっとその内良いことがあるよ」
真白「そんなこと言われても・・・」
ロイ「岬さんは周りに気をつけてな」
明乃「はぁ~い」
ロイ「んじゃ、今度こそ職員室行くわ」
真白「頑張ります・・・」
明乃「大丈夫だよ!!、私も頑張るから」
真白「お前が言うな!!」
ロイは職員室へまた歩いていく。
真白と明乃も入学式のため、目的地へと歩き始める。
入学式。
ここ横須賀女子海洋学校では武蔵の甲板上で行われる。
新入生はこれからのことに期待と不安が広がる。
それは新しく入った先生も同じだ。そしてブルーマーメイドから来た人は不安に潰される。
・・・・・・・のが、普通である。
だがロイは着任挨拶を一週間目の海洋実習には参加できないことと
「これからもどうぞ、よろしくお願い申し上げます」
で済ました。これには真雪も眉間を押さえたが、
降壇する時に跳んで潜水艦に入っていったから、何も言えない。
太平洋の何処かにある島 横七
艦長妖精「まもなく横七の潜水艦ドックに入ります」
ロイ「分かった。お前達は暫くここで休養だ」
艦長妖精「感謝します。当番制の休憩も、限界が近かったので」
ロイの乗っていた潜水艦。
武装は魚雷一本のみの居住性を重視した潜水艦。
お陰で必要な人員はなんと4人。当番制にしても余り休めないのが、問題である。
潜水艦を降り、エレベーターに乗ると、そこには一体の妖精がいた。
「本来の時刻よりも6時間と7分の遅れです、主」
ロイ「・・・もうその関係は終わっているんだ、ジョニー」
ジョニー「まだその名には慣れないのです」
ロイ「相棒とかの肩書が変わっただけだ、まあ頑張れ」
ジョニー「分かったのです」
前世では相棒、今回は副総司令の役職を持つ妖精。
MSや最新の科学技術を優に超える超科学技術を持ち、
航空機のパイロットとしても優秀。
そしてロイが初めて出会った妖精である。
ロイ「報告を」
ジョニー「はい。MSの再現が成功。現在ケンプファー、ザクⅡ改、ズコックEを主流に生産しております。
その他にスラスターを改造することで地球の裏にも30分で行けるようになります」
ロイ「マッドアングラーは?」
ジョニー「既に出来ています。ヨーロッパやアフリカ支部にもう配備されています」
ロイ「そうか・・・」
ジョニー「あの・・・本当に来るのでしょうか、深海棲艦が」
全世界に宣戦布告しても、余裕で勝てる程の軍事力。世界各地にある拠点。
世界征服なんて簡単に出来るが、総司令のロイは唯一つ、唯一つの戦いの為に軍事力を高めた。
相手は深海棲艦、前世の敵であり、忠誠を誓った女王とその国民達。
ロイ「来るだろう。何となくだが分かるんだ。アベルが来る。部下を連れて」
ジョニー「・・・」
ロイ「だがもうそれも今年で終わりにしよう、来年からは軍拡を止める」
ジョニー「分かりました。こっちに調整待ちの物があります」
ロイ「分かった。工具箱を持ってきてくれ」
横七で機械関係の仕事をし始めて二日が経とうとした時、
日本から傍受した一つの電文に、焦ることになる。
『学生艦が反乱。さるしまは轟沈。艦長以下乗組員は全員無事』
この電文を詳しく調査した所、横女所属の直教艦「晴風」が反乱したと分かった。
そしてその艦長が岬明乃、副長が宗谷真白だと分かった瞬間、
ロイは出撃準備に入った。