晴風の何処か ――――――視点
「もう夜か・・・ミケの奴、当直のことで怒られてたな・・・」
まだ陽が出ているときに、横女所属艦の寄港が禁止、
晴風に至っては抵抗した場合撃沈の許可が出た。
そんな中ミケは艦橋の当直当番を無視し引き受けようとした所、
真白に怒られて休むよう言われていた。
・・・なんでそんな事が分かるのか、だって?、
そりゃ勿論盗聴器をばら撒いたからよ。
だけど話し声はヨーゼフに送られてからこっちに来るので、
若干のタイムラグはあるけどね。
序に検閲もされてるから一部の盗聴器が無意味になったよ。チクショウ
まあ全くもって、問題ないけどね。問題ないけどね!!。
ぬ?、ヨーゼフから通信だ。
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真白視点
副長室
真白「なんだ・・・こんな夜中に」
艦橋から呼び出しが掛かり、ジャージを着る。夜の海は春でも寒いらしい。
眠いけど、いくしかないか・・・。
ロイ「それを持って行って大丈夫なのか」
真白「大丈夫だよ・・・ロイ兄さん・・・」
ロイ「くくく・・・そうか」
私は何も変な物なんか持って行って無いのに・・・酷いな、ロイ兄さんは。
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真白視点
艦橋にて
本当についてない。まさかこんな真夜中に潜水艦と戦うことになるなんて。
伊201には魚雷を多く積めないみたいだけど、こっちには爆雷が一個しかないんだ。
艦長は全部避ければ良いっていうけど、無茶だって・・・。
真白「各部・・・配置に就きました・・・」
それにロイ兄さんの言う通りだった。
まさか部屋からぬいぐるみを持ってきてしまうなんて・・・。
あれ・・・でもロイ兄さんは晴風には居ない・・・
き、きっとあれは冷静な自分が注意する為に見せた幻覚だ、
そうだ。そうだな。そういうことにしておこう。
楓「魚雷音聴知、本数4、真後ろからいらっしゃいました」
明乃「また見つかった・・・、回避行動を取る、面舵一杯、ヨーソロー」
鈴「面舵一杯、ヨーソロー」
楓「!、また魚雷音聴知、本数3、左舷の方角よりいらっしゃいます!!」
真白「潜水艦は・・・二隻居たのか!!」
楓「さらに魚雷音聴知、本艦前方をお通りします!!」
明乃「そんな・・・」
一体・・・どうすればいいんだ。停まっても動いても確実に当たる・・・。
それに幾ら三重の安全システムがあるとはいえ、何度も撃たれたら沈んでしまう・・・。
もし沈んだら、どうなる。きっと、きっと、きっと。・・・・・・・・・・・・・死んでしまう。
マチコ「魚雷が爆発しました。本艦には大きい被害なし」
魚雷が・・・爆発した?、自爆したのか?
「夜戦で照明を点けるな、直ぐに消せ。航海灯もな」
ああ・・・この声は・・・。
真白「ロイ兄さん・・・!!」
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ロイ「何をぼさっとしている。さっさと灯りを消せ!!」
明乃「けど・・・今潜水艦と」
ロイ「夜戦で灯りを点けるのは自殺行為と同じだ、さっさと消せ!!」
突然の乱入者に困惑する中、照明を落す。
「何にも見えない!!」
ロイ「夜目を慣らしておかないからだ!!何故航海灯を点けている、早く消せ!!」
幸子「す、すみません・・・」
ロイ「取り敢えずこれで一旦は大丈夫だな」
芽依「あ・・・あなたは一体・・・」
ロイ「入学式の時に覚えとけよ・・・
取り敢えずは「ここの艦長はド素人か!!」ミーナ、落ち着け」
ミーナ「マスター⁉」
本日二度目の乱入者。扉から勢いよく出てきてのは良いが、ロイを見て固まってしまう。
明乃「あ、ドイツ艦の子だ、目が覚めたんだ」
ミーナ「わしのことより今のことだ。潜水艦戦を早く終わらせんかい!!」
鈴「ど、どう逃げればいいかな」
ミーナ「逃げてたまるか!!、ここで沈める!!」
鈴「逃げないの!!」
志摩「うい!?」
逃走方法を聞く鈴だが、ミーナに大声で否定されてしまう。
そしてそれに驚いた鈴の声で志摩も驚いてしまう。
ロイ「俺もここで潜水艦を片付けるのには賛成だ。
魚雷を全て避けれる保証は無いからな」
真白「だけど爆雷は一発しかないよ、ロイさん・・・」
ロイ「大丈夫、それにロイ兄さんで良いんだよ」
真白「もう!!///」
ミーナ「・・・マスターなら、いけますよね?」
ロイ「ふっ・・・問題ない」
緊張している艦橋組に対し、余裕の笑みを浮かべるロイとそれを見て安心するミーナ。
真白「どうやって戦うんですか、相手は二隻、こっちには爆雷は一発しか・・・」
ロイ「序に言えば対潜迫撃砲もソ連製のマーブⅥも無いしな」
真白「対潜迫撃砲はともかく、まあぶしっくすって何ですか!?」
ロイ「まあ普通に撃って当てるしかないよね」
真白「だからどうするんです!?」
どう潜水艦を撃退するのか聞くが、聞きたい答えは返ってこない。
芽依「撃つ?、撃つ?、もしかして撃っちゃうの!?」
志摩「うい!?」
芽依「主砲?。主砲なの?」
ロイ「いいや・・・あれを使う」
マチコ「海面から何かが射出されました」
真白「なんだ!?」
ロイ「来たな」
ロイは甲板に出てその落ちてきた物を掴んだ。
そしてそれを指で少しなぞるとそれは変化し8.8 cm FlaK、
クルップ社製の対航空機銃となった。
ミーナ「アハトアハトが・・・しかもそれを持って・・・」
アハトアハトの全長は5791㎜。重量は7407㎏。
普通は台車などを用いて動かすが、ロイはそれを片手で持っていた。
勿論妖精達の魔改造によって重量は減っているが、それでもかなり異常である。
ロイ「そこか!!、くらえええぇぇぇ!!」ドンドン
ミーナ「アハトアハト、まさか本物が撃っている所を見れるなんて」
芽依「私も早く撃ちたい♪」
志摩「ういうい」
海面に撃ち込まれた8、8cm。それは一瞬海を裂き、海中に沈んでゆく。
それを見た砲雷科の術長は、いつかは自分が撃つと決める。
幸子「そんなことよりも当たるんですかね?」
鶫「伊201、及び伊202より国際的救難信号の発信と応答を確認」
記録員はロマンと共にあれが潜水艦に当たるのかという不安を抱く。
何しろ海中にいる潜水艦をソナーも無しに発見し、撃破しようというのだから。
しかしそれも、傍受した通信で要らぬ心配だったと分かるや否や、タブレットを弄る。
ロイ「もうこの海域に留まる理由は無い。退避開始」
幸子「さ、最短コースは既に選定済みです」
明乃「リンちゃん」
鈴「機関、だ、出せるだけ最大で~!!」
東舞校の直教艦二隻を行動不能にさせ、晴風とそれに続く潜水艦は離脱した。
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海上安全整備局
日本の海の安全を守る組織のトップ。
その中でもさらにトップが今、暗い部屋で円形の机を囲みながら座っている。
「報告です、晴風を追撃していた伊201、202がバラストタンクと機関部が破壊され、
緊急浮上。これ以上の追撃は不能。現在は近くを航行していた一般船に救助されたとのことです」
若い一人の男が伊号潜水艦とロイとの戦いの結果を報告する。
するとさっきまで黙っていた老人達が大声を出して喋り始める。
「クソ、やはりあの男には潜水艦を使った攻撃は無意味だったか」
「ならば使用可能な大型艦を集結させ包囲してみれば・・・」
「いいや、奴のドイツ演習を見る限り大型艦を出せば逆にこちらの被害が増すだけだ」
「じゃあどうするというのだね、ロイ討伐隊志願者は、圧倒的に少ないのだぞ」
晴風反乱の原因はロイにある、という風に結論付け、
ロイがいると思われる晴風を撃破する為に志願者を募ったが、あまり来なかった。
命令を出そうとしても、途中から内容が少しずつ変わっていき、
最終的には無かったことになる。そのため学生を将来の保証を報酬に募り、出撃したのが伊201と202だった。
しかし練度が不十分な学生がドイツの主力を破った男に勝てるはずなく、敗北した。
もう戦うための戦力が少ない。そう思っていた所に一筋の光が舞い降りる。
「そんなにロイを倒したいなら、私達が力を貸すわ」
「お前さんは・・・米国最新科学戦闘隊司令官ルーウィ中将」
ルーウィ「私達は既にロイの現在地をある程度把握しています。
殲滅及び確保を行うので、あなた達には輸送艦の護衛と情報操作をお願いしたい」
「そんなことをして、君達に何のメリットがあるのかね」
ルーウィの提案は、日本には大きなメリットがある。
テロリストと思われるロイと晴風を殲滅し国内の危険を減らせるが、
アメリカには何のメリットが無いように思える。
ルーウィ「今、祖国はロイの人を超えた戦闘力に注目しています」
「なるほど・・・君達の目標は戦闘データの回収か、それとも新兵器のテスト」
ルーウィ「ですがあなた達にメリットがあることには変わりありません」
老人達のリーダー格が黙って悩む。だがそれは数秒で終わる。
「了解した、我々は貴官の部隊を護衛し、一定の出来事なら闇に葬る」
ルーウィ「perfect、直ぐに部隊を招集するわ」
伊号潜水艦との戦いをあっさりと終わらせたロイに、次の刺客が迫る。
晴風内でも物資が不足してしまい横須賀へ直行することが不可能に、
そんな中、最新科学戦闘隊との戦いに突入してしまう・・・
次回『乙女と転生者のピンチ』
最後の最後でふざけてしまった・・・、許してクレメンス。
もしかしたら次回も同じことやるかも、多分やらないと思うけど。
艦これのイベント関係で投稿頻度は落ちます、ごめんなさい。
それでは、良い日を。