ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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参上した者

晴風

 

「これに修理した箇所を纏めた。後で確認してくれ」

 

そういうのは、靴の踵を踏み、

少々独特な感性の持ち主であることを示す

マンボウに人生と書かれた服を着ている明石艦長、杉本 珊瑚である。

 

「珊瑚ったら、潜水艦も修理したいって、言ってたのよ」

珊瑚「おい、それは言わない約束じゃなかったのか、優衣」

 

その隣に立つのは間宮艦長、藤田 優衣である。

 

明乃「あはは・・・潜水艦は裕・・・ロイ教官の所有物だから、

 学校に管理とかする権限が無いみたい」

珊瑚「個人財産で潜水艦か、着任して数年のブルーマーメイドの給料を、

 全て捧げても購入できるかどうか、買えてもメンテ費がな」

優衣「それなら教官にお願いすればいいじゃない、

 『潜水艦のメンテさせてください』、って」

珊瑚「そうしたいのは山々だが、肝心の教官の場所が分からなくてな、

 時間も無いし、残念だがここでお暇する」

優衣「美味しいご飯やスイーツが食べたくなったらいつでも呼んでね」

 

そう言って二人は自分の艦に戻っていく。

それを見届けた明乃は、振り向いて直ぐに艦橋へと戻る。

 

艦橋

 

明乃「一人・・・」

 

艦橋には珍しく、人が居ない。結構頭は抱えるが、もう一度言おう。

明乃以外、人間が誰もいない。

唯一、野良猫の五十六だけが舵の上で器用に寝ている。

だがその五十六も艦橋の上に出て行ってしまう。

明乃はそれを追いかけて、上に出ると、

 

兄が猫に対し、土下座をしているという状況を目撃する。

 

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明乃「・・・それで、五十六に土下座してたの?」

ロイ「ああ。猫に関することに遭うと碌なことにならない」

 

碌なこと、横七では猫が現れると運営が出来なくなる、という噂がある。

前世では妖精さんは鼠の生まれ変わりとの説があったが、

確証の無い話である。

しかしながら、ロイは違う。

横須賀で生活中、猫パンチで潜水艦に自動緊急攻撃命令が発令され、

街が火の海になる寸前だったことがある。

だがこんなことは言えないので、先程のような有耶無耶な説明をして誤魔化した。

 

明乃「左腕・・・治ってないんだね」

ロイ「こればかりはまあ、医者も学者も治せないって言われたね」

 

明乃が見ているのは、ロイの義手。

先日の聴取で右腕マジックを見たが、左腕は治っていない。

 

ロイ「遭難して、漂着して、前世の仲間たちと合流して、まず最初にやったのが全身手術。

 人間を深海棲艦に・・・対抗できる、艦娘という存在にしたんだ。

 お陰で謎のバケツを被れば傷は治るけど、手術前のこの大怪我は、義手でしか無理だって」

明乃「漂着してさ、何やってたの。数年前まで本土とか行ってないんでしょ」

ロイ「前世の仲間がホントに有能でな。

 半日あれば島を丸ごと巨大建造物にしたんだよ。それからは農業に漁業に工業に、

 何故か鋼鉄も石油も湧かせてくるからな。生きていけたんだよ」

明乃「島を丸ごと・・・見てみたいな・・・」

ロイ「良いぞ、一段落着いたら案内するよ。横七には色々あるぞ。

 前世の年表とか現世には無いものもあるからな。

 観艦式もやるか。戦艦に空母に巡洋艦。驚かせてやるよ」

明乃「ホント?、楽しみにしてるよ」

ロイ「待っとけ。・・・そろそろ砲術長の聴取が終わるな。先に行って様子を見てきてくれ」

 

明乃は艦橋に戻って行く。

それを見届けたロイは、義手のメンテを再開した。

 

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艦橋

 

ロイ「なんだなんだ。肉の配給時間か?」

ミーナ「分からん。さっきからワシら嫌われてるんか」

 

つい数分前、艦橋前の広場に集合と明乃から言われた。

何も知らされず、集まったのはいいが、何も無い。

 

明乃「い、今から・・・ミーちゃんと教官の歓迎会をやります!!」

ワーー パチパチパチパチ

 

ガラガラと運んでこられたのはケーキ

 

ロイ「俺!?」

ミーナ「ワシもか」

美甘「今火を点けるからねえー」

 

明乃「じゃあここで教官とミーちゃんから何か一言」

 

突然の指名。少し驚きながらも、ロイは話す。

 

ロイ「あー、人に礼を言うのは、何分不慣れだ。 

 だが、このようなパーティーを開いてくれてありがとう」

 

昨日の聴取とは違う姿。

誰もが ああ、やっぱり彼も優しい人間なんだ なんて思った。

 

ミーナ「晴風乗員諸君。全く、この船は変だ。

 規律はいい加減。態度はだらしない。艦長は、天然で甘すぎる」

明乃「やっぱり?」

真白「異議なし」

ロイ「右に同じく」

 

ミーナの辛口の評価に、少しへこむ明乃。

 

ミーナ「だが、それでも、そのー、まあ、・・・」

ロイ「長くなるな」

ミーナ「う、うるさい・・・」

 

感謝の言葉を探すのに一苦労しているミーナだった。

 

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パーティーを楽しんでいた所に、無線が入る。

それに出た後、明乃は焦った様子で指示を出す。

 

明乃「皆急いで。目的地はアスンシオン島近海。武蔵が東舞鶴校教員艦と交戦しているの!!」

ロイ「パーティーはここでお開きか。皆急いで配置に就け。グダグダするなよ。

 俺は潜水艦に乗って付いていく。晴風は任せたぞ」

 

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アスンシオン島近海

 

駆け付けたはいいが、そこには教員艦は無い。

あるのは小さな穴が沢山空いた鉄板のようなものが、プカプカと浮き、やがて沈んでいくだけだった。

 

明乃「もかちゃん!!」

真白「酷い・・・、教員艦があんなにも無残に」

幸子「でも・・・、武蔵であんな小さな穴を空けるのは少し無理があります」

楓「右舷に浮上する潜水艦がいらっしゃいますわ」

芽依「?、何か青いのが載ってるよ」

鶫「潜水艦から打電。我、粉砕すべき目標を発見せり。貴官らは本艦ヨーゼフの後に続き、離脱せよ、

 なお、スキッパーによる脱出、移動を禁ずる、とのことです」

真白「粉砕すべき標的・・・まさか!!」

まゆみ「青い人型のものが、潜水艦から飛び出しました!!」

マチコ「同時に潜水艦から発光信号。貴官、後に続け」

 

ロイSIDE

 

ロイ「敵戦力は・・・大方空母棲姫を中心とした空母機動部隊か」

妖精「晴風、後ろに付いてます」

ロイ「よし。安全圏まで退避しろ。・・・にしても、この格好にはいささか興奮するな」

 

ロイの今の恰好。いつものトレンチコートではなく、

青い装甲を全身に付け、背中にジャイアント・バズ、腰に専用ショットガン、

膝にシュツルム・ファウスト、大腿部にはビーム・サーベルがあり、

さらに手にはガトリング砲を装備している。

前世の人間なら、こう言うだろう。

AAAAAAAKAMPFER

「重武装の闘士」と

 

その機動力で、まるで銃弾の如く進むケンプファー。

そして、あるものを見つけた瞬間にガトリングの引き金を引く。

発射された弾は、空に浮かぶ、とても不気味な物に命中し、それを墜とす。

 

ロイ「深海棲艦の艦載機だ。たこ焼きではない。余剰人員を武装させ、対空戦に備えよ」

空母棲姫「来なさい。何ででも、沈めてあげるから」

 

介入された電波。

そしてその後、千を優に超える艦載機の群れが、ロイ目掛けて攻撃を開始した。

 

ロイ「来てみなさいな。撃ち落としてやるからさ」

 

ガトリング砲が火を噴き始める。

すると艦載機はみるみるうちに減っていく。

漸く射程に入ったと思えば、撃つ前に墜とされる。

 

空母棲姫「くぅ・・・。艦隊突入」

タ級「艦隊、突撃する・・・」

ロイ「御家族、兄弟、友人。全部まとめていらっしゃいだ。俺が纏めて吹き飛ばしてやる」

 

タ級指揮の水上打撃艦隊もまた、ガトリング砲によって蜂の巣にされ、散っていく。

 

ナ級「げやあああ!!」

ロイ「弾切れか」

 

しかし弾はいつか尽きる(∞型の弾倉を除き)。

よってガトリング砲も弾切れになり、これ見よがしに近づくナ級だが、

投げられたガトリング砲によって、死んでゆく。

 

しかし、一時的に丸腰になったロイを仕留めようと、

浮遊要塞が接近してくるのを、シュツルム・ファウストで塵にさせる。

 

ロイ「こちらから行くぞ!!」

 

そう叫ぶと、スラスターを全開にして、ショットガンを左手に、

ジャイアント・バズを右手に持ち、突撃する。

空母棲姫に向かって。道中にいる重巡洋艦以下をショットガンで。

戦艦・空母クラスをジャイアント・バズで、沈めていく。

そして空母棲姫に接近する。

空母棲姫は危ないと感じたのか、予備の航空隊を垂直に、ロイに向けて発艦準備をするのと同時に、

偵察機を自分の目の前に壁の様に密集させて出し、盾にしようとする。

 

ロイの攻撃が先か、空母棲姫の守りが先か。

結果として、先に動けたのは空母棲姫だった。

しかし、コンマの差でロイも攻撃した。

ショットガンに加え、余っていたジャイアント・バズも全て撃ち込んだ。

だが、空母棲姫は耐えた。何とかして、ロイの総攻撃に耐えた。

そう思って防御陣形を解除し、予備航空隊を発艦させる。

しかし、見えたのは、何か紐の様な物に何かが付いた物を回すロイだった。

 

ロイ「チェーン・マイン、貰っときな」

 

投げられたチェーン・マインは、空母棲姫の体に巻き付き、

最期の一個まで付いた瞬間、大爆発を起こし、空母棲姫を沈めた。

 

ロイ「・・・電探に反応。増援か!」

 

それらが来るのは、武蔵の方向から。

 

アベル「はぁーい、ロイ。お嫁さん、元気?」

ロイ「アベル・・・」

アベル「全攻撃隊、発艦開始。砲撃も実施せよ」

 

満身創痍、とまではいかないが、これ以上の戦闘は残弾の関係上、不可能である。

だが、それと同時に、何としてでも突入しなければならない理由も生まれた。

 

ロイ「ミケ・・・晴風から飛び出したのか」

 

明乃のスキッパー。それが今、武蔵に向かっている。

 

ロイ「ヨーゼフに通信。晴風を脱出ルートから逃がすな。何としても連れていけ」

妖精「ですが、提督は」

ロイ「何とかする。離脱急げ」

 

再びスラスターを最大出力にする。

それと同時に、大腿部からビーム・サーベルを取り出す。

スキッパーが座礁した。明乃が海に投げられた。

・・・ロ級が近づいている。

 

ロイ「伏せていろおおおぉぉぉ!!」

明乃「えっ?」

ロ級「ぎえええぇぇ」

 

間に合った。ビーム・サーベルはロ級を縦割りにした。

 

アベル「ここまで来て退くか?、奥さんを殺したこの私から逃げるのか」

ロイ「ぐぅっ・・・」

明乃「裕兄・・・」

 

退くか悩む。退けば明乃と自分は助かる。だが敵は調子に乗る。

突撃すれば、敵と自分と明乃が死ぬ。

一先ず距離を取るため、後ろに下がる。

明乃を忘れない、落とさないよう、抱きかかえる。

 

明乃「ゆ、裕兄!!」///

ロイ「あれは・・・」

アベル「何だあれは!!」

 

空が、一部だけ真っ黒に染まっている。

そして放電も起こしている。

一同が注目する中、それは出てくる。

 

空を飛ぶ戦艦が。戦艦 スピリットオブファイアが。

 

ロイ「スピリットオブファイアに命令。アーチャーミサイル発射。敵を滅ぼせ」

アベル「ロイ!!、総員対空戦闘。あの戦艦を沈めろ」

 

スピリットオブファイアと深海棲艦が互いを撃ちあう。

 

ロイ「じゃあなアベル。また会おう」

アベル「逃がすかあ!」

 

少ししかない隙を突いて、脱出しようとする。

しかしそれをアベルが追いかける。

 

ロイ「土産だ。くらえ」

アベル「しまった!!」

 

だがそれは、残り一発だけのシュツルム・ファウストによって、阻止されたのだった。




ケンプファーって、カッコいいよね
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