ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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明けましておめでとうございます。
今年もロイ一世を、宜しくお願い致します。


歓喜よりも大きい物

静まり返る艦橋、そして暫くした後大きな歓声。

 

晴風は、航洋艦でありながら高速戦艦である比叡を座礁させ、

ロイからの命令?である比叡を止めることに成功した。

勿論、トラック諸島を経由した

RATs拡散阻止にも(『にも』と言っているが、こっちの方が本命)成功している。

 

「第一主力戦隊に制圧してもらう。皆、よく頑張ったな」

真白「あ、あの~」

芽依「き、君は・・・誰かな?」

 

労いの言葉を掛けるのは、少しぶかぶかの服を着る少年だった。

誰もが誰こいつ状態の中、一人分かったのがいた。

尤も、そいつも現状を理解するのに時間が掛かったが。

 

明乃「裕兄?」

ロイ「何を不思議な顔してる。確かに多少やられたが、そんなものでもない」

幸子「あの~、自分の姿確認しました?」

ロイ「は?」

志摩「教官、鏡」

ロイ「ああ、ありがと・・・お・・・」

 

少年になった自分を見て、ロイは暫く固まっていた。

だが、そんなロイを色々とヤバい目で見る人もいた。

 

真白「可愛い…」

鈴「副長?」

真白「な、何でもない!」

 

――

幸子「なんです?、つまりそのナイフのせいで若返ったんですか」

ロイ「まあ正確に言えば、手術後は別の体だったけど、

 刺されてそれが破壊されたから

 成長せずに内蔵されていた手術前の体になったんだな」

明乃「けど腕とか治ってるよ?」

ロイ「俺が医者に見えるか?」

真白「可愛い子供に見えます!!・・・あっ」

幸子「副長・・・流石に犯罪に手は・・・」

真白「だ、出さん!!」

 

時間が出来て談笑している時に、ロイに通信が入る。

 

ロイ「すまない。少し席を外す」

明乃「分かった、皆にそろそろ配置に就くよう伝えて」

ロイ「そういえば、軽空母の奴は?」

幸子「ウォイルさんと一緒に保健室だと思います」

ロイ「ありがとう」

 

艦橋の外に出て、通信に出る。

相手はヨーゼフのようだ。

 

ロイ「よー、軽空母の奴に沈められたと思ってたけど大丈夫だったか?」

通信士「本艦は轟沈寄りの大破、艦内は74%も浸水。

 通信機の予備があったので、こうしてますよ」

ロイ「それは大変。回収班を寄越すから、本当に帰還しなさい」

通信士「ありがとうございます。

 それよりも、深海棲艦の中規模から大規模艦隊が

 接近しているとのことを、軌道衛星の電探が捉えました」

ロイ「参ったな。第一主力戦隊に急がせるよう伝えろ」

 

急いで艦橋に入る。

そして先程の内容を伝える。

 

真白「急ぎましょう。じゃないと比叡どころか晴風も沈みます!!」

明乃「だけど比叡の皆が直ぐそこにいるんだよ!!」

幸子「教官、その艦隊をなんとか出来ませんか?」

ロイ「今の俺はただの子供だ。まともに戦えない。

 ウォイルだけだと良くて牽制、悪くて特攻」

 

今まで何百もの深海棲艦を葬ってきたロイも、今はただの子供に過ぎない。

それにジーン改を持つウォイルでも、単艦では多勢に無勢、勝てるわけがない。

 

芽依「特攻って、死んじゃうってこと!?」

志摩「うぃぃぃぃ!?」

ロイ「取り敢えず、機関全速出せるよう準備、後退を開始」

鈴「きょ、教官!!」

ロイ「なんだぁ!!」

鈴「うっ・・・、幾ら何でも見捨てるのは」

ロイ「ここで後退しなければ、晴風も巻き添えを喰らう。それだけは御免だ」

鈴「けど、きっとなにかあるはずです」

 

普段臆病な鈴が、物怖じもせずに自分の意見を伝える。

それによって、少しではあるが空気が変わっていく。

 

ミーナ「晴風の砲でも深海棲艦は牽制できるのか?」

ロイ「一応は可能だ。だが少し改造しないとあまり効果は無い」

ミーナ「ならばすぐにやるべきじゃ。そこにウォイルさんの牽制もあれば・・・」

ロイ「さらに少しは余裕が生まれる。だが後退は続けろ。いいな」

 

逃げながら撃つ

これしか許されていないが、それでも少しは変化を誘えるはず。

そう誰もが思い、行動に移る。

 

主砲に行き、改造を始めるロイ。(どうやら資材は晴風に置いていたようだ)

缶に火を強く炊き、全速の用意を始める機関科。

事前にある程度の場所を撃てるよう計算を始める射撃指揮所。

ロイの改造完了を待つ砲手達。

ダメコンのための資材や道具を準備しストレッチする主計科。

美波教諭と一緒にワクチンの準備をする主計科。

そして魚雷を使わないので仕事の無い水雷科と喚き始める水雷長。

 

マチコ「接近する深海棲艦あり。数・・・数え切れません!!」

ロイ「主砲、敵狙え」

志摩「ういっ」

ロイ「撃てえ!!」

 

砲弾は、敵陣の中に入ると、その空間を丸ごと消し飛ばした。

物理的にではなく、空間ごと全て消したのであった。

 

芽依「凄い・・・これが横七の砲の科学力」

志摩「うい・・・」

ロイ「ぼさっとしている暇は無い。続けて第二射、敵陣先方」

志摩「う、うい」

ロイ「撃てえぇい!!」

 

続く砲撃も、同じように空間ごと消し去った。

だが敵の数が多い。いつしか海面を黒く染め上げる程まで浮上していた。

 

ロイ「多過ぎる。機関ホントにこれ全速か?」

麻侖「これ以上やったら機関から大爆発が起きちまうよ」

まゆみ「艦長達、危ない!!」

ロイ「ぐぉっ!!」

志摩「ういいいいいい!!」

 

駆逐艦が艦橋内部に侵入し、ロイの体を食べる。

だがまだ死んではおらず、徐にポケットを探り始める。

 

ロイ「早く・・・早く出てこい!!」

駆逐艦「GYAOOOOO!!」

ロイ「あった!!」

 

ポケットの中にあった拳銃を出し、

安全装置を外し、駆逐艦の頭に構える。

 

今までとは違う量の大出血。

 

こつん、と音を立てて落ちる拳銃。

 

 

 

ロイの瞼が閉じていく。

別におかしな話ではない。二桁に満たない年の子が、

ほぼ半分体を食べられ、死ぬのは。

寧ろ拳銃の安全装置を外せたこと自体が奇跡だとも言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だあああああああああ」

 

叫び、落ちた拳銃を拾い、駆逐艦に何度も発砲する。

明らかに死んでもなお、発砲するのを止めない。

 

ロイ「もういい…止めろ…ミケ」

明乃「裕兄ぃぃ」

ロイ「誰か…こいつの血を…俺の口に運んでくれ…」

ミーナ「くっ・・・」

 

ロイの願いをミーナは聞き入れ、深海棲艦の血をロイに飲ます。

その数秒後、ロイの瞼は完全に閉ざされた。

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