ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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報告、一か月位投稿していない未完シリーズを削除しました。
同時投稿は辛いんやなって。


少年兵?、いいえ。地獄製造機です

誰一人として、何も喋らない。

そして、誰一人として、目を離さない。

 

死んだ少年から。

死んだロイ・ヴィッフェ・ヒドルフから。

ウォイルは救援と共に晴風に突入するため、艦載機に引っ張られて脱出した。

詰まる所、晴風は深海棲艦との戦闘能力を失った。

 

ウォイルが脱出した10数秒後、晴風に深海棲艦が乗り込み、制圧した。

そしてその指揮官である、太平洋棲姫が艦橋に来た。

 

太平洋棲姫「ふ~ん。この娘達がね。それで、あいつの死体は?」

側近「それが、まだ発見できていません」

 

側近の人型と話しているが、どんどんと不機嫌になっていく。

それはやがて怒声となって現れる。

 

太平洋棲姫「死体が動くわけないでしょ!!、

 奴の気配はこの艦全体から伝わる。もう一度探してきなさい」

側近「分かっています。勿論、捜索は続行させます。

 機関は停止、海上には守備艦隊を40°ずつ配置。

 海中には潜水艦隊に加えソナーを装備した哨戒艦隊を急遽要請しました」

太平洋棲姫「そこまでやるのなら、当然その命…」

側近「…勿論です」

 

二人のやり取りが終わったと思ったら、今度は通信が入った。

 

側近「はい。…おい!、そんな馬鹿げたことを言うな‼」

太平洋棲姫「どうしたの…?」

側近「外を…御覧下さい」

芽依「えっ、外?」

明乃「これって…」

太平洋棲姫「やられた!!、急いで迎撃して」

 

外には、小さなワームホールの群れ。

そして、それから出てきたと思われる飛行物体。

多くは青や赤茶色の鯨の様なものであるが、中には銀や金色で塗装されたのもある。

だが色に関しては一つの共通点がある。

機体前方中央部

そこに描かれた双竜の絵。

横七の旗であるそれは、蜂起宣言でも見られた。

 

そして飛行物体。

搭載されている武器は違い、変な絵はあるが、あれはバンシーである。

知っている人はそう言うだろうが、些細な違いがHALOを生み出さず、知る者はいない。

 

 

 

 

 

戦闘機達による対空戦闘は頻りに行われている。

今さっきも深海戦闘機がバンシーのミサイルで撃墜されていた。

だが機銃などによる対空戦闘は全く行われていない。

それに加え深海側の航空機には増援が居ない。

 

志摩「あ…ああ…あああ…」

幸子「どうしましたか、立石さん」

志摩「あれ、あれ、あれ!!」

 

志摩の指差す先には、太い針で串刺しになった深海棲艦がいた。

そして深海棲艦は針に溶けていく様に消えていった。

辺りを見渡せば、深海棲艦などはいない。

だが40°ごとに血だまりはあった。

 

 

太平洋棲姫「奴は、奴はどこだ!!」

 

必死に周りを見回す。

するとチラリ、とガラスにロイの顔が映った。

だが振り返っても、奴の姿は無い。

 

ロイ「慌てるな、深海棲艦。…晴風に航空攻撃はしない」

太平洋棲姫「!!、貴様、どこにいる」

 

漸くロイの姿を目撃する。

だがそれは、実体などではなく、ただの幻影として。

 

ロイ「ガラスに映っているのは、私ではない。

 君自身がパレイドリア効果*1で私を映しているんだ」

太平洋棲姫「くぅ…」

ロイ「私はこの晴風のどこにでもいる」

太平洋棲姫「!!、まさか、あの航空機は『撃たない』じゃなくて『撃てない』…。

 私達は最初から発見していた。私達は、確保していた…」

 

太平洋棲姫が、床に向けて機銃を乱射する。

 

太平洋棲姫「ロイ自身が晴風だったなんて!!」

ロイ「御名答。だけど、そこはもう私じゃない」

太平洋棲姫「!!」

 

開いた床穴からは、開いた穴の数だけ細い針が出てくる。

それを悠々と躱すが、その視界の中で大きな絶望をする。

艦橋の外、針に刺され死んでいる制圧部隊。

そして針の先に立つロイ。

そのロイは、少年ではない。

ナイフに刺される前のロイだった。

ロイが銃を構えたので、後ろに跳んで逃げようとしたが、

その時に天井と床から今度は細長い針が何本も現れ、太平洋棲姫に刺さる。

 

側近「ひぃぃ…」

 

後ろを向いて走る人型は、壁から出てきた細長い針に追われ、曲がり角の先から現れた針と挟まれた。

二体はやがて、闇に消えるように段々と消えていった。

 

――

明乃「裕兄!!」

ロイ「うおっ」

 

ロイに勢いよく飛びかかり、ロイは少し仰け反る。

今のロイは少年ではないのだが、それでも衝撃は来たようだ。

 

真白「にしても、どうやって逃げたんですか!?私達、とっても心配して…」

ロイ「ああ、ああ。シロまで泣き始めた」

 

右には明乃、左には真白

両手に華とはこのことなのかもしれないが、泣き声が棘のように刺さっている、

 

ロイ「頼むから、泣き止んでく…れ…」

明乃「裕兄!!」真白「兄さん!!」

 

急にふらつき始めたロイ。それを見た二人は大騒ぎで、ロイの手を掴む。

 

ロイ「すまない。幾ら何でも流石に疲れた。少し休ませてくれ」

 

そう言ってロイは艦橋の外に出ていく。

気付けば日は暮れており、バンシーの母艦であるガウ級攻撃空母が比叡への突入作戦を行っていた。

 

――

「まさかまた縮むとは」

 

桟橋には沢山の人がいる。

しかし、そこにいるのは少女達と少年のみで、大人は誰一人としていなかった。

 

明乃「だけど普通に過ごせていたような…」

ロイ「体が辛いのよ。頭痛もガンガンするし」

真白「その状態なら大丈夫なんですか…」

 

夕日が沈みかけて、幻想的な景色が広がる中、一隻の黒い船が近づいてくる。

 

「何あれ…」

ロイ「趣味が異常と言えばいいのか、隠密を目指しているのか」

幸子「趣味に関しては…ねぇ?」

???「とうっ」

 

改インディペンデンス級から、黒い服を着た女が飛び降りてくる。

四回転半と綺麗な着地。

体操ならば高得点なのかもしれない。

 

真冬「ブルーマーメイドの宗谷真冬だ。比叡の護衛に…シロじゃねえか!!」

真白「姉さん!!」

ロイ「道中御苦労、真冬二等保安監督官」

真冬「あ?、ああ。君がこの艦隊の司令官か。

 横七のことはあまり知らないが、君のような少年もいるのか」

ロイ「…比叡に関する書類を持って来る」

 

少年が近くのガウに入っていく。

それを見届けた真冬は、真冬を見る。

 

真冬「なんか、お前少し気が抜けてないか?

 久し振りに姉ちゃんが根性を注入してやろうか?」

真白「やめてくれ!!」

明乃「あの、お願いしてもいいですか!?」

真白「おい馬鹿!!」

真冬「よ~し、後ろ向け」

 

明乃が深呼吸をして緊張しながら待っていると、

真冬は叫びながら両手を伸ばす。その先は…尻である。

近付いていく手、誰もが叫んでいると、その手は止まった。

別段、何かに当たったというわけではない。

蹴られただけだ。

腹を蹴られ、痛みを抑える為に手は帰っていった。

 

ロイ「人の家族に何をしているのかなぁ真冬?」

 

少年はとても良い笑顔で真冬を見つめる。

その笑顔の裏には怒りなどがあるかもしれないが。

 

真冬「き、君は…」

ロイ「これでお分かりか?、べんてん艦長」

 

少年は大人に急成長する。

一番の驚きは銃をその手に持っていたことだが。

 

真冬「ロ、ロイ教官!!」

ロイ「正解」

 

二回、発砲する。その銃弾は両耳のすれすれをほぼ同時に通過する。

 

ロイ「根性の前に技術を叩き込んでやる。付いてこい」

真冬「嫌だあああああああああ」

 

真冬は襟を掴まれてガウの中に消えていく。

 

 

その叫び声は遠く水平線の彼方まで聞こえたとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――『まだ少し続くんじゃ』――

 

ガウが何かを囲うように停泊している。

そこには小さなプレハブ小屋がある。

それは長期的な滞在どころか数時間いることすら考えていない程の粗末な作りだった。

その中にはロイと小屋の大きさ的に不釣りあいな柱があった。

ロイがそれを見つめていると、柱の表層に太平洋棲姫の顔が浮かんできた。

 

太平洋棲姫「こ、ここは!!」

ロイ「尋問室だ。お前にはかなりの量の聞かなければならないことがある」

太平洋棲姫「無駄だ。こんなことしても、アベル閣下が直ぐに気付き私を消去する」

ロイ「問題ない。その為にお前を一度食べた」

太平洋棲姫「やはりお前もか」

 

何を言っているのか分からないだろう。

これはロイとアベルのそれぞれの部下の操り方である。

ロイは妖精を何時でもどういう状況か知ることが出来て、何時でも消すことができる。

これはロイという存在を通して妖精が召喚されるので、媒体が拒否すれば直ぐにでも消せる。

例)社長(ロイ)がいるから会社にいる役立たず(妖精)

これと同じ事をアベルも行っているが、

太平洋棲姫が既に一度死んでいるためアベルは太平洋棲姫の状況を知れない。

 

太平洋棲姫「だがお前が死んでもあの航空隊が来たということは、保険役がいるのか」

保険役

ロイが死ぬと妖精は自分を維持できないので消滅してしまう。

だがとある術式を物や生物に仕込めば、ロイが死んでも妖精は消滅しない。

それに加え、管理者が増えるので妖精の状況を知る人物も増える。

この為ロイは作戦司令部などを保険役として素早い対応を可能にしている。

 

ロイ「…アベルの現在地は何処だ」

太平洋棲姫「さぁねー、今頃北極じゃない?」

 

ふざけた言い方だが、何も言わないし考えない。

質問の答えが返ってくればそれでいい。

 

ロイ「義明のあのナイフ。あれはなんだ」

太平洋棲姫「…」

ロイ「黙秘…か」

 

双方合わせて20秒の沈黙。だがそれは叫び声で終わる。

 

太平洋棲姫「GYAAAAAA!!これは…」

ロイ「お前は今、俺の胃袋の中にいるも同然。他に何が入っているかな?」

 

太平洋棲姫の顔がブツブツしたと思ったら、針が出てきた。

 

太平洋棲姫「分かった、分かったから」

ロイ「…」

 

言葉は返ってこない。だが針は消えていき傷も無くなった。

 

太平洋棲姫「あのナイフは深海棲艦に刺さると体が崩壊していく。作成方法は無い。

 私達が手に入れたときは実験の事故現場から撤収しているとき。

 それも最近だったし素材も複雑だったから分析も複製も出来なかった」

ロイ「…RATsの詳しい説明」

太平洋棲姫「はっ、お前、只の鼠と思って舐めてかかったな」

 

やはり言葉は返ってこない。

だが鋭い目付きで見られ、柱がプシュー、と音を立て始める。

 

太平洋棲姫「ああ…熱い!!、やめて、やめてえぇぇぇ!!」

ロイ「…RATsの詳しい説明」

太平洋棲姫「その前にこの痛みを止めてくれ!!」

 

叫ぶ程では無いが、全くという程でも無い程度の体感温度になる。

 

太平洋棲姫「RATsは元々アメリカの特殊生物研究所で発見された。

 閣下はそれを買収し、技術試験隊の下でさらに研究を進めた。

だが予算をかなり取られ計画破棄寸前だったが、日本の海上安全整備局局長に計画を委託。

最終的な結果としては効率的に大勢の人間を制御できるようになった。

後はRATsを直接管理できるようにするだけ。

そこで西ノ島新島で実験艦を沈没させ回収しようとした。

研究員はまだRATsがいると思っていたらしいが既に回収して学生艦に…」

ロイ「陸での活動には適していなかった。深海にいすぎたな」

太平洋棲姫「だけど、一人でも感染して陸地に揚がれば」

 

ロイは黙った。もう必要なことは聞けたのだ。

パチン、綺麗に指を鳴らすと柱には火が付いた。

プレハブ小屋も燃えていく。

後ろから聞こえてくる叫び声を無視してロイは出ていった。

*1
脳が視覚情報などからよく知ったパターンをだして誤認すること。 例としては夜中にカーテンのシミが人の顔に見えるなど

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