ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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鋼材、頼む。息を吹き返してくれ、鋼材、こうざいいいいい!!




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横七本島 昼~日没

研究開発F

 

「やはり、誰も来なかったか」

 

廊下を見て彼女…鏑木美波は言う。

 

さっき班ごとの人数で見た時も思ったが、航空機に乗せてくれる訓練施設に人気がある。

他にも機関長や主計課などの一部は違う場所を選んでいてが、一人なのは私だけだ。

 

海洋医大始まっての才と謳われていた彼女は、

体験などの『遊び』よりも見学による『学び』を取った。

この選択に後悔はしていないものの、

『ヘリウムなどを使わない空を飛ぶ物』を

体験できないのはやはり何処かに思う所があった。

 

「あなたは鏑木美波さんですね。私は研究開発部の矗です」

美波「よろしくお願いします!」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

扉の前に立っていたのは人だった。

 

恐らく妖精が人のサイズになったものだろう。

小さいまま研究開発をしてサイズを人用に直すのは難しい。

小さな体を活かして細かい作業もできるが力仕事になると難しいのだろう。

 

そんなことを思いながら扉を開けると中は資料室だった。

 

矗「ここは一般公開されている研究の資料保管室です。

  医学や薬学などは向こうの棚にあります」

 

私の専門分野に関連するものの場所を教えてくれてたので、ありがとう。

そう言おうと思ったのだが、少し不思議に思う。

教官は深海棲艦に関する物、それこそ砲弾一発、血液一滴全てを回収し、

現地政府などが回収できないようしていた。

これは深海棲艦の残り香から横七に対抗できるものを作らせないためだろう。

しかし私は今、「公開された」研究データに触れようとしている。

4月になって初めて存在が知られた横七が5年前に研究を公開していたのには驚いた。

しかしそれは横七のことを知られる可能性に繋がるのではと思った。

私は矗さんにこのことを聞いてみた。

 

矗「確かに、そう思うよね。けど、なにも不思議はないのよ。

  世界には今までの常識を覆す研究が昔から発表されてきた。

  それで人類は飛躍的な発展を遂げたでしょ?

  発表された研究は横七に害はなく、

  寧ろあなた達が発展することで横七にも恩恵があるものなのよ」

美波「確かにそうですが…一体どうやって発表しているのですか?」

矗「あなたなら知っているとこだらけだと思うけど、様々な研究団体の傘下や

  それ自体が横七から派遣された妖精達によって運営されているの。

  呉造船技術研究所、佐世保飛行船研究所。

  あなたが密接に関係しているのは海洋医大の義肢開発部」

美波「義肢開発部!!、確かにあそこは難関の一つとも言われているが30年前から」

矗「そう。そこが横七の得意なこと。数年かけて研究員を徐々にそして全て変えるの」

 

少し頭痛がしてきた。義肢開発部は異常者が多いと噂されている。

授業のノートには義肢の設計図を書いたり休み時間でも考えている。

言われればなるほどと納得できるがそんな人物は世界中にいる。

それが全てではないにしろ横七の関係者だとすれば

世界一の諜報機関は横七かもしれない。

 

矗「満足したら呼んで。次は見学をさせるから」

 

嬉しいが溜息を吐きそうになった。

こんな場所に一人で後何時間もいなければいけない。

そんな思いを忘れるよう努力して本棚をめぐる。

どうやら50音順に並べられているようだ。

「あ」から順に見ていく。

 

「個別指導か集団指導か」「サ◯ザーの技の原理考察」

 

些か変わったものがあったが、内容は普通のものが多い。

そこで私はあることに気付いたが、聞いてもどうにもならないのであきらめた。

――

私は今、北極海を越え、アリューシャン列島のとある泊地にいる。

先日の北極海海戦で大勝したがこちらも手痛い反撃を貰い傷を癒したり補給のためここに駐留している。

 

「あのう、総帥。ですからその案には少し賛成できません…」

 

腹が立つ。何なのだこいつは。

 

「この戦争はもう間もなく終わる。その時、無駄に資材を持っていても意味は無い。

 太平洋全域で供出に戸惑いを感じているのはお前だけだ。アリューシャン司令」

「ですがぁ、戦争終結後の秩序維持を考えると、やはり全ては」

 

なぜこんな未来の見えない奴が方面軍の司令の座にいるのだ。

次の戦い…横須賀で決戦をしロイを討ち、横七の残党を狩る。

そうなれば世界には我々に対し刃向かう意思も力も無くなる。

保身に忙しい政治屋共は潜伏している部下の誘導で降伏文書にサインするだろう。

 

「これは命令だ、アリューシャン司令。全ての貯蓄物資と人員を本軍に譲渡せよ」

「で、ですからぁ、そんなことしたら戦後人類の治安維持が出来なくなりますよぉ」

 

だからこいつは何を言っているんだ。

勝った後、人類を管理する必要はない。治安の悪化で殺人が起きるなら大歓迎だ。

態々上陸して集めて殺す必要が無くなるのだからな。

そもそもこいつは我々の理想を履き違えている可能性が高い。

 

「我々の理想はなんだ。18年以上前から胸に宿す志はなんだ」

「はいぃ。人類と共生することで深海棲艦をより先の進化した存在にさせることですぅ」

 

懐かしい言葉を聞いた。最近は言ってなかったが昔は結構使ったやつだ。

 

「そうか。アリューシャン司令。私は酷く勘違いをしていたよ」

「えっ?どうしたんです急にぃ」

「君は深海棲艦だ。だけど、私の率いる新深海棲艦ではなかったようだ」

 

一々癇に障る喋り方をするので、なにか言う前に殺す。

 

『人類と共生することで深海棲艦をより先の進化した存在にさせる』

 

昔の、本当に大昔の私が演説に使い、同志募集のポスターに使い、

 

 

 

そして徴兵に使った。

 

初めは人類との共生で暗い闇の中から光の表舞台に出ることで

私達は進化できるという意味で使った。

 

そして今では拒絶する人類を屈服させ奴隷として…いいや滅ぼしその亡骸を踏みしめることで

我々は進化することが出来るという意味で使った。

 

それは当然、あの女王から非難され宮殿に私の居場所は無くなった。

少数の兵士で何十億にも膨れ上がった人類を屈服させるなど私でも不可能だと考えた。

 

しかし違った。元より信頼を置いていた近衛連中はともかく、共存の同志まで私に賛成したのだ。

尤も、先の司令のように誤った理解のまま付いてきた物もいるが。

 

それでも私は離反した。深海棲艦から。女王の統治から。

 

前世では負けたが、今回は違う。

 

勝ちは見えている。敵はSoFを中心とした主力を失った。

こちらの刃は既に相手の喉元に迫っている。

 

調査によるとまだマニラか迷っているらしい。現にブルーマーメイドはマニラに展開している。

横七もその援護のためマニラに行くだろう。横須賀にロイがいるのは確認済みだ。

 

「もう、終わっているんだ。この戦争は。後はどちらが多く傷付くか」

 

 

円卓状の部屋にいるのは二人。

一人は息もせず、机に伏している。

そしてもう一人は大きく笑い、勝利を確信していた。




本来は前半部の鏑木パートだけにしようかと思ったのよ。
だけど「短くね」って思っちゃったのよ。
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