ドロップ祈願の前書き投稿をした次の日にゴトランドがドロップ
神威もその数日後にドロップしました。
明石と卯月はもういいです、はい。
明石は三回目だけどまだ許せる、しかし卯月貴様、何回目だ?
4-4クルージングのあの苦労はどこに逝ったんだ…
しかし後はコマンダンテスト、貴様だけだ、早く来てくれ頼む。お願いします
ドロップ祈願はこの辺にして本編をどうぞ。
横七本島 ロイ自室
「マジでお前言ってんの?」
「マジで」
「マジで!?」
部屋の中から聞こえてきたのは二つの声。
一つは嬉々とした、なんとも楽しそうな声。
もう一つは驚きと哀しみを存分に含んだ苦しそうな声。
互いの声のオーラが反対に位置するため、そのオーラはより強く感じれる。
――
明乃「裕兄まだかなぁ」
記録館の前で独り立っている少女は岬明乃という。
彼女は制服姿でとある人物…言わずもがなロイを待っていた。
しかし一向に来る気配はなく、代わりに変な人物がやってきた。
「あーっ、ようやく見つけたよ、ミケちゃん!!」
明乃「あ、あの~、誰ですか?」
「私?私はイロハ、横七のアイドル的な存在!!」
明乃「あはは…」
私、4日もここにいたけどあなたのこと見たことないよ。
それよりも早く裕兄に会わせてよ、どうせ場所知ってるでしょ。
イロハ「おお、怖い怖い。確かに知ってるよ。だけど来れないって」
私、なにも喋ってないんだけど。それなのにどうして分かったの。
しかも来れないって何よ、返事は行くって来たのに。
イロハ「ははは…まあアイドルは人の心を読むのが上手だからね」
明乃「…」
イロハ「嘘ってことバレちゃった?」
明乃「そんなことよりも裕兄が来ないってどういうことですか」
イロハ「そのままの意味だよ。逆に決戦間近な状況で遊びに行けると思う?」
…そうだったね。
ここにいると忘れちゃうけど世界はまだ新深海棲艦が猛威を振るっていたんだね。
それに裕兄は横七の提督、遊んでる暇なんか無いか。
そう思って明乃は一人で会場に足を運ぼうとしたがイロハが手を掴む。
イロハ「アイドルにはさ、お忍びで遊ぶときに引っ張ってくれる存在が必要なの」
明乃「はぁ…そうですか」
イロハ「そうなの!!、だから私を赤道祭に連れてって!!」
明乃「いや、あの…」
イロハ「私は道化役さ!!、さあ早く!!」
結局イロハさんを連れて行かなくっちゃいけなくなっちゃった。
――
会場についたイロハさんはとても楽しんでた。
特に射的屋で砲術科や水雷科が暴れた後に行って残りの景品をかっさらい、
「今日はもう閉店だ」
とやっていた娘達に伝えている様はアイドル業界の闇を知った気がした。
そうして今は教室で出し物をやっている。
航海科が後悔ラップを披露したときにイロハさんに質問して
「横須賀にいたとき告られたんだけど、普通にフッタことかな」
「えぇ~!!、如何して後悔しているんですか?」
「だって、すごく頭に来てるのに頭に一発撃ち込んで海にドボンさせなかったんだよ、
私。殺っといたらすっごくスカッとするのに」
この返しには誰もが戦慄した。
それから舞台でメイちゃんとタマちゃんがコントをして、私達艦橋メンバーが劇をした。
それから何かをマロンちゃんがやろうとしていたときに、再び舞台が盛り上がる。
音楽が流れると同時に煙が焚かれ詳しい様子が見えなくなる。
麻侖「なんでいなんでい、なにが起こってるんでい!?」
「横七のアイドル、イロハちゃんが歌うよ、皆聞いてね!!」
麻侖「イロハ?艦長が連れてきたあの娘か!?」
軽くパニック状態の聴衆を無視してイロハさんは歌い始める。
イロハ「聞いてください!!、『海色』」
タイトルを聞いても全く分からない。
恐らく裕兄の世界では有名なのだろうがこの世界では無名らしい。
現に皆が一様に首を傾げているのだから。*1
だけど歌声を聞いた瞬間に痺れるような感覚を受けた。
声が凄く綺麗で、透き通っていて、それなのに力強い。それに惹かれる。
そんなことを思っていたら如何やら違う曲を歌い始めていた。
やはりそれにも同じような痺れる程の良さを感じる。
そして最後を宣言した後、ピアノの伴奏が流れてくる。
チャララランチャラチャチャラランランチャラチャ・・・
イロハ「聞いてください!!…」
曲名が聞こえない。マイクが不調なのかずっとマイクを叩いている。
しかし一向に直る気配がしないので痺れを切らしたのかマイクを投げ捨て、
さらに後ろに高速移動?(HALO5の前向きで後ろにスラスタージャンプ)をした。
すると着ていたアイドル服が塵になっていき、顔も崩れ去る。
放送事故級のものを見たと思ったら中からはなんと、来ないと思っていた人…裕兄が来た。
ロイ「曲名は『哀戦士』、歌います」
驚きが溢れ騒ぎが起き始めたが、歌声を聞いて静かになる。
何処か悲しげな声色ながらも芯が強くて暖かい。
そんな声を聞いてしまった皆は無言でステージ上の裕兄を見る。
楽しそうに歌っているが悲しそうに歌っている。
訳が分からなかった。どうしてそう感じたのかは。
――
ロイ「ありがとうございました」
一礼してステージを降りようとしたが、そうは機関科が許さなかった。
留奈「待って!!なんで教官がここに、それもじょ、女装して…」
その叫びは晴風全体の総意を代弁していた。
来れないと伝えられたのに来ている。
それもアイドルの女装を完璧にして、怪しまれることなく。
ロイ「いやー、行かないと怒られると思って…」
留奈「それじゃあ女装の説明は!?」
ロイ「…どこぞの馬鹿な副司令官が『女装をしていったら楽しいのです』とか抜かしたから」
聡子「それでもすっごい可愛かったぞな」
順子「バキュンと男の人を射抜けそうに」
ロイ「それは…」
言えない、言いたくない。
前世で艦娘専用の訓練を受けるため全力で女装し、
艦娘が可愛いだけにLevelが高かったから順応したことを。
それでもバレて女装セットが全て破棄され結構ヤバかったことを。
悪戯で嫁に化けてさらに嫁を攻撃したら恥ずかしい言葉を連呼されたことを。
言えない、皆に対してはとてもじゃないが言いたくない。
ロイ「も、黙秘します。代わりに色々聞いて良いから…」
故にこの逃げの一手を打つ。
軍機に関わることは言えないがそれでもやるしかない。そう思って打った。
案の定それは興味津々で探求欲の尽きないお年頃の彼女達を刺激した。
芽依「あの6連装魚雷発射管晴風に付けてくれますか!?」
ロイ「それは…改装主任次第かな」
志摩「砲…」
ロイ「ああ、主砲は10cm連装高角砲から3連装コイルガンに換装したらしい。
再発射に必要な時間は10秒。威力は武蔵を一回の斉射で中破にまで追い込める」
幸子「教官と艦長と副長と奥様の関係を教えてください」
苦虫を嚙み潰したような顔をしたロイはその後、順に答える。
ロイ「ミケは妹繋がりだ。児童養護施設でできた友達というよりも妹だな。
その後は…JBIっていう名の客船があるんだけど、知ってるか?」
幸子「はい、
竣工当時は世界で一番を競う豪華客船で親の居ない子供を招待した航海で有名な奴ですよね」
ロイ「そうだ。そして俺とミケともかも乗った。最後の乗客達の一人として」
幸子「…ごめんなさい、こんなこと聞いちゃって」
JBI号、とある社長の名をとった豪華客船である。
それは子供達、特に貧しかったり親のいない子達を招待し航海する。
謂わば慈善事業に豪華客船を使った赤字覚悟の航海である。
しかしそれは僅か数年で終わる。
理由は単純、JBIは沈んだからである。
会社は貧しい子供を多く乗せても一部の富豪が利益を出すほど金を落とすと思っていた。
しかし現実はとてもじゃないが黒字…プラマイゼロとも言えない程の大赤字だった。
それでも利益を出し、慈善事業―という名の宣伝―を継続させるためあらゆる手段を投じた。
整備費を減らすためメンテナンス回数を月一から年一に変えた。
人件費を減らすため免許を取ったばかりの新人を大量に起用しベテランを使わなかった。
食事に違法な安い物を使ったという噂すらある。
それが祟ってJBIは沈んだ。数多の子供達を載せて暗くて冷たい海の底へ。
ロイ「俺もそれで死んだと思われていたらしいがこうして生きてる。腕は消えたけどね」
軽いノリで話す彼だが実際はとても重いことを皆は知っている。
ロイ「シロ坊は「シロ坊ってなんです!?」気に入ったから、シロ坊」
真白「こうなるなら台本修正しとけばよかった…」
先程の演劇で真白の事を「シロ坊」と呼んでいた。
作っているときも練習している時もなんとも思わなかったがまさかの人物が弄ってきた。
ロイ「話を戻してシロ坊は姉の真霜と母の真雪さん繋がりだな」
幸子「校長が?」
ロイ「ああ。一度真雪さんの乗っていた艦が偶々出先機関を訪れてな。
酷くやられてたから修理して日本に送り返した。
その後BMになって安全監督室直属の隊で活動。
真冬の指導で宗谷邸を訪れて通報されかけて、受験勉強の手伝いして今に至るな」
真白「ああ、懐かしいな。通報したのも受験勉強に必死になったのも。全部懐かしいな」
「通報って」「バキュンと刑務所送り?」「ていうか教官が教えてたって…」
ロイ「大丈夫、試験の内容は全く知らないし試験日はドイツにいたから」
真白に内容を教えたと思われるのを嫌ったロイは直ぐに付け加える。
これが原因でクラス崩壊になったら笑えない。
ロイ「さ、最後だ。俺の嫁、名前は加古だ。姿はこの前のパチモンで分かっただろ、あれだ」
幸子「どこで出会ったんですか!?」
ロイ「職場の横七…の正面海域。哨戒中に独りで付いて来てそれを助けたのが出会いか。
まず砲戦技術を叩き込んで、合格祝い送って、呉の第一鎮守府を荒らして勲章貰って。
それから前任者が深海棲艦と組んで襲ってきたから返討ちにしようとして。
衛星兵器使って、スペードに一緒に乗り込んでキスされて」
幸子「は、白昼堂々なんたることを!!」
ロイ「ケッコンして親衛隊に入れて迎撃の為共に出撃して…消息を絶たれた」
幸子「…はぇ?」
ロイ「迎撃自体には成功した、しかし大きな痛手を負った。
俺は約2週間寝込んだだけで済んだ。だがあいつは、加古は…
拷問の挙句殺された」
誰もが寒気を…人生の中で初めて体感した、異様な寒さを感じる。
勿論、気温が低いわけでもないし風速が強いわけでもない。
ここ横七はそれこそ凍る程寒い高さに浮いている。
しかし暖房が機能しているように暖かく、風は吹いていない。
だが、感じたのだ。15年しか生きていない少女達は気付けなかったそれ。
怒り 憎しみ 恨み
それらは全てたった一つ、そうたった一つのことからだ。
反逆者達の目的には全く意味の無かったことの所為で。
只、親衛隊だからという安易な発想に基づき、拷問し、殺害したせいで。
ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフに一度では満たされない程の殺害欲求が生まれた。
だからこそ、一部除き全ての兵器の使用を許可した。
存在しないと伝えられた深海棲艦に備えさせた。
ロイ「最期に会えたのは頭だけだ。既に腐っていた、死体だけだ」
天国で会っていると伝えたら精神病院に送られてしまう。
尤も正面玄関から堂々と出ていくが…
明乃「あ、あの!!」
ロイ「まだあるのか」
明乃「ミサッ…お願いです。ミサと呼んでください!!」
ロイは思い出す、昔の記憶を。
自分であって自分ではない記憶、知名裕一の記憶を思い出す。
昔の自分の声は妹のもかと区別するのが少し難しかった。
故に呼び方を変えることで誰が呼んだのかを分かるようにした。
俺はミサ もかはミケちゃん
この長い年月ですっかり忘れていたその呼び方。
それを今求められている。
要望は簡単だ。只日本語の『ミ』と『サ』を続けて言えばいい。
しかしそれが出来ない自分がいる。
「ミサ」と岬明乃のことを呼ぶことが出来るのは知名裕一だけだ。
なにがあったとしてもロイ・ヴィッフェ・ヒドルフではない。
ロイ「すまないがそれは出来ない、…もう時間切れだ。おやすみ」
それは逃げと捉えられた。
確かに日は沈みかけているがまだ暗くは無い。おやすみ、という言葉はまだ適していない。
だが、きっとこの後ロイは合流せずいなくなるのだろう。故のおやすみなのだ。
明乃「…」
返事を貰えなかった少女は悲しむ。
この後相撲とわれは海の子の合唱を経て赤道祭はお開きとなった。
晴風内の団結は高まった。あの黒木洋美ですら岬明乃と和解したのだ。
鏑木美波が12歳であることを知らなかった一同は大いに驚いたが、それでも良くなった。
「告白の話って嘘だよね、だって女装中にされたんだから…」
「いや、本当だぞ。成金趣味のクソババァがやってきやがった」
「」
ロイ君は男の娘だった(錯乱)
女装癖は我になし…ないからね!!
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