ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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「松可愛いな~、輸送作戦だし、欧州艦の温存も兼ねて出すか」

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「次は春風船団多号作戦…多号作戦!?」

 多号作戦をうろ覚えながら覚えている為、特攻艦(になるであろう)松を既に切ったことに絶望が…

「丙じゃだめだ丙じゃだめだ丙じゃだめだ丙じゃだめだ丙じゃだめだ丙じゃだめだ」


司令室へ

「ダメです、人っ子一人いません」

「…付近を捜索する。付いてこい」

 

 何もなかった建物を後にする。目指すはロイ、おそらく今世紀最悪の犯罪者になるであろう男。

—―

「ダッチ!!あいつら一体何なんだ!!」

「分からん、だが敵であることは確かだ!!」

 

 壁をカバーにしながら、開いた扉から先を見る。

 

「大佐からの命令だ、ここを通すんじゃないぞ!!」

「おお!!」

 

 5,6人の兵士が扉の前にいる。二人は機関銃の銃座につき、残りは丈夫そうなハーフカバーでこちらに弾幕を張ってくる。

 

「もう司令部フロアだ、おそらく敵はここに戦力を集中させてきたんだ!!」

「そんなことは分かっている!!ジョニー、何かいい武器はないのか!?」

「生憎、このサプレッサー付きハンドガンしかない」

 

 言うやジョニーは意を決して奥から出てきて、数回発砲する。奇跡的に被弾はしなかったが、彼が死ねば機械に疎い俺はミサイル発射を阻止できなくなる。

 

「ジョニー!!お前何考えてやがる!!」

 

 同じことを思ったのか、ディロンは声を大にして叱る。だがジョニーはそれに納得がいかないのか、同じ大きさの声で言い返す。

 

「俺だってあんな危険なことはしたくないさ、だがな、悠長にしている時間はもうないし、後ろの御嬢さん方にカッコ悪い姿は見せれない」

 

 チラッと視線を後ろの扉に送る。そこには銃撃戦から身を守るため隠れさせた岬隊の二人がいる。

 

「俺達は誇り高きアメリカ陸軍の出身だ。確かに肩身は狭くなってきたが、それでも世界を守るのは俺達の仕事なんだ。こんなとこで指咥えて突っ立ってるなんてできない」

 

 なぁ、そうだろ?

 

 口にこそ出していないが、俺の耳にはそう言っているように思えた。

 

 この場にいるアメリカ人は皆陸軍に所属していた。ディロンや扉の外で二人を護衛しているベネット、それに多分ジョニーやクック、俺を除く全員が元軍人だ。

 

 アメリカは日本と違い海軍国家であると同時に陸軍国家だ。だから日本陸軍のような大規模な軍縮はされていないが海軍はBMやWDへの転換、陸軍は軍縮と軍人の総数は減っている。ディロンやベネットがCIA勤務なのは政府なりの失業対策だった。

 

 俺も上の連中からは退職を迫られている。だが辞める訳にはいかない。戦うこと以外で飯を食う方法を知らない訳ではない。その気になれば何だってやれるだろう。だがそうはならない、何故なら正義を持っているからだ。

 

 可憐な乙女たち、それこそ岬隊の二人のような者達に銃を握らせ麻薬組織や犯罪組織の拠点を潰させるわけにはいかない。

 

 

 

 銃を握れば皆地獄に堕ちる。地獄に華はいらない、俺達だけで充分だ。

 

「ダッチ!!考え事してるとこで悪いが、状況は悪くなったぞ」

 

 肩を揺らされ、思考の海から拾い上げられる。見れば敵の増援が来たのか、10人に増えていた。

 

「手榴弾とかないか?」

 

 スパルタンの渡したショットガンは一回のリロードで全弾装弾される優れものだが距離減衰の関係上カバーに隠れている敵を倒せない。

 

 ジョニーなら或いはと思い声を掛けてみる。

 

「すまないが、ない。だがこれはどうだ?」

 

 ジョニーが指を指したのは、床の剥がれかけている塗装だった。あのスパルタンがまだこの島で訓練を受けていた頃は綺麗だったであろうそれは、辛うじて読めた。

 

「隠し武装、アドヴィクトリアム?」

「聞いたことがある、横七は施設の各地に爆薬や武器を仕込んでいると」

「じゃあこれも」

 

 つまみを引いて開ける。中には筒とロケット弾が入っていた。

 

「ふんっ!!」

 

 弾を込め、敵を吹き飛ばす。早すぎて見えなかったが、ロケット弾が3発に分裂しているようにも見えた。

 

「何処で使い方を習った」

「説明書と勘だ」

 

 奪取や盗難を恐れてか、弾は一発で筒も壊れた。これを利用する方法は思いつかないので捨てる。

 

「ジョニー、4人を呼んできてくれないか?俺とディロンで見張るから」

「お任せ」

 

 ジョニーが下がっていく。それを見て俺はディロンに近付き、ジョニーについて言う。

 

「奴は信用できるのか、お前は以前一緒に仕事をしたそうだが、その時はどんな様子だった」

「ダッチ…まぁそうだな。ジョニーは確かに怪しい男だが、ハッキングと変装で右に出る奴はいない。それに仕事…任務はきちんとこなす。オフのときは知らないが、任務中なら安心して背中を預けれる…服と武器を除いては」

 

 バババッ

 

 這って奥へ逃げようとした敵を振り向いて始末する。

 

「少し先を見てくる」

 

 死体撃ちをしながらディロンは敵が守っていた扉に入っていく。

 

「容赦ないな」

 

 死体を見るとロケット弾とディロンの死体撃ちで顔の判別が付かなくなっていた。

 

「確実だが身元確認が取れないな…」

 

 近付いてみても煤であったり破片の切り傷であったりで細部もぐちゃぐちゃになっている。

 

「これを見たら二人がやばいな、片付けるか」

 

 事後処理班の仕事をやったことがないので少し粗さが出てしまったが、それでも戻ってくるまでに隠すことはできた。

 

「ダッチさん、大丈夫でしたか?」

 

 心配そうな顔でミサキさんが走ってくる。爆発音は向こうの部屋にも届いたのだろう、傷がないかを入念に見ている。

 

「この程度の数、造作もない。それよりそっちはどうだった」

「大丈夫でしたが、この部屋から聞こえてきた銃声で心配になりました」

「それはすまない」

 

 奥の方から残りのメンツも走ってくる…なにやら必死な顔で。

 

 ベネットが荒い息のまま言う。

 

「大佐!!奴だ、奴が生きていやがった!!」

「奴ってタイラントか!!」

 

 ショットガンを〇距離で喰らって死んだと思っていたが、横七の生物兵器は思いの他丈夫で復帰に時間はかかったがそれでも殺せるに至らないらしい。

 

「ダッチ!!こっちに来い!!」

 

 奥を見てきたディロンが戻ってきて手を振っている。きっと奥の司令室に辿り着いてそこで籠ろうとしているのだろう。見れば全員がディロンの方に走っていく。

 

「ダッチ、お前も早く来い!!」

「いやダメだ、ここで奴と戦う、じゃないと生きて帰れない!!」

 

 スパルタンの託したショットガンはまだ使えるしランチャーのような隠し武器も幾つかはあるだろう。なら危険な籠城戦を挑むより生存する可能性が少しでもある戦う道を選ぶ。

 

「ああくそ、分かったよ。扉は閉じるからな!!」

 

 そう言ってディロンも走って消える。

 

「グガバァァァ!!」

「さぁ来い!!」

—―

「この部屋が…横七の司令室」

 

 とある人型決戦兵器のアニメのような司令室、そこが横七の頭脳である本部司令室…総司令部であった。

 

「ジョニー、扉を閉めれるか?」

 

 最後に入ってきたディロンさんがジョニーさんに話し掛けている。ダッチさんはタイラントの相手を引き受けて戦っている。

 

「待ってくれ…よし」

 

 自動で扉が閉まる。ガッチャンと壁から音が聞こえ、扉が完全に閉まったことを教えてくれる。

 

「ミサイルの方も頼む」

「扉は簡易ロックだったから早かったんだ、同じようには出来ないぜ」

—―

「空母機動部隊、漸く到着しましたな」

「全く、長いこと待たせてくれたもんだな。シロと一緒に来ると思ったら、遅れてだなんて」

 

 横七本島近海、日米連合艦隊の集結ポイント。そこに2隻の飛行船支援母艦…いや、大型正規空母が現れた。

 

「発光信号…横七本島に航空攻撃を行う、海兵隊は上陸艇にて待機」

「横七本島近海の防衛システムは攻略済みです。いつでも行けます」

「よし、司令長官に『可』と送れ」

「了解!!」

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