ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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後段がある程度判明したことで欧州艦を惜しみなく使える…松、すまない。


wiki見たら戦時急造艦は戦時急造艦だったけど竹だった、助かった!!

誤った情報で混乱させてしまい申し訳ございません。以後気を付けます。


横七海戦

「航空隊、発艦」

 

 空母機動部隊の旗艦『飛龍』から発進命令が出る。搭載機は艦上戦闘機と艦上爆撃機。他にも艦上攻撃機もいたが現在の横七が水上艦隊を保有していないと判断し載せていない。

 

 僚艦『蒼龍』の艦載機も相まって第一次でありながら80機近い戦爆連合が横七本島に向っていた。

 

「始まりましたな、山口司令」

「そうですね」

 

 自動化によって艦橋の人数はかなり少ない。その人のいない中で艦長である山口と整備服姿の男は隣に立って航空隊を見送る。

 

「貴方のおかげで日本の航空機は生まれました。もし貴方がいなければ私達はここに立っていませんでしたし」

「そう言うな山口司令。我々は皆『造られた』子。私はそれらの子の最期を見届けたいのです」

「…やはり、気が進みませんね、負け戦というものは」

 

 航空隊の前方の空間が、不意に歪む。光の反射が怪しくなり、そこに鏡でも置いてあるのかと疑問に思う光り方をする。

 

「!!各機散開」

 

 黒い大きな機体がポツンと一機空に現れる。

 

「来たな、ブラックサレナ…黒百合」

 

 ブラックサレナは自身を素通りして横七本島を目指す隊に銃を抜き、連射する。一発一発が丁寧な軌道を素早く描き、航空隊に命中。爆散したり砕けたりして次々と墜ちてゆく。

 

「長官から増援の部隊を出せとのことです」

「全く、死者を増やすことを厭わないとは…」

 

 山口は近くの戦艦艦隊を見る。日米連合艦隊の為国旗は様々だが、中央の日本国旗を掲げる艦、戦艦『加賀』。その付近には松型の一つ前の型の防空巡洋艦がうじゃうじゃしている。

 

「戦闘機を全てだ。爆撃機は装備換装、爆弾を外し身軽にしてやれ」

「ワシも自分の居場所に戻らねばな」

 

 甲板に戦闘機が上がる。

 

「すまない、後で俺も行く…」

—―

「敵機接近!!」

 

 突然現れた機体が虎の子の航空隊を散らし海面すれすれを機動部隊目指し一直線に飛行する。

 

「山口に回避命令、護衛艦隊は本艦の前に出て敵機に攻撃。本艦は下がるぞ」

 

 巡洋戦艦に改装された加賀は素早く護衛艦隊の陰に隠れる。第二世代型防空巡洋艦が前に出て砲撃を開始する。初弾から至近弾と艦や飛行船に比べれば比較的小さな目標にも有効弾を出す。

 

「ウルセブ艦技研の自動照準は良いな」

「敵速度変わらず、目標をこちらに変更した模様」

「構うな、撃て!!」

 

 横七機ということはあの忌々しいシールドを積んでいるのだろう。おそらく、第二世代や松型、加賀ですら破れはしない。だが武器はどうだ。あの携行銃のようなものにもシールドは張られているのか?答えは否だろう。使い捨ての銃にシールドを積む余裕は、流石の横七にも無いはずだ。

 

「敵が撃ったタイミングで撃て」

 

 連合艦隊の集中砲火を浴びながらも尚直進をやめない。

 

「近くで爆発している…」

「ダメか」

 

 砲弾はやはり近くで爆発している。それこそ機体の数メートル範囲で。だが、その数メートルが常に一定だ。目を凝らせば半透明のフィールドがあれを守っていた。

 

「…巡洋艦は敵とぶつかれ」

「なんと?」

「巡洋艦は敵に衝突せよ」

  

 あの機体を倒すには砲弾や銃弾では足りない。防空巡洋艦でフィールドを破り、本体にもダメージを与える質量攻撃以外通用する気がしない。

 

「高電圧砲を開発するべきだったな」

 

 命令に忠実な部下が敵に突撃する様子を見ながら、鷹宮という男が開発した対横七シールドの兵器を思い出す。金と時間の無駄と馬鹿にしたが、あれほど今必要なものはない。

 

「ああ…淀が…」

 

 思わず目を見開いてしまう。

 

 突撃した防空巡洋艦の上部構造物が全てなくなり、甲板が割れていたのだ。

 

「あれでも倒せないのか!!」

 

 敵は爆発する淀をバックにこちらへと進み、比較的前方にいた蒼龍の横をブレードを出しながら通り過ぎる。数秒後、横一文字に切られて爆炎が上がる。

 

「山口に緊急電、至急戦闘海域から離脱しろ!!」

 

 これでこちらは空母を一隻失った。ここでさらに飛龍も失えば、日本にある航空機は全てなくなる。元から数が少なかった試験機を『月光』や艦戦、艦爆に改装したのだ。設計図は改装や未熟な修理工の為飛龍に積んでいる。設計者も同乗しているのだ、もしあれが沈めば大型正規空母…大和型以上の損失になる。

 

「全艦隊は飛龍の前に。あの機体を絶対に沈めるんだ!!」

「長官、加賀も…突撃しますか?」

 

 艦長の質問に思わず止まってしまう。淀を見るにぶつけても意味はないだろう。だが他に手がないのも事実だ。

 

「…突撃しろ」

 

 航空隊が必死に攻撃し進路変更を繰り返している今がチャンスだ。

 

「加賀はこれより敵機に対し〇距離の砲撃を敢行する」

 

 これまでの敗因はフィールドに阻まれたからだろう。砲弾も銃弾も淀も、全てシールドではないものに阻まれていた。

 

 全てのものを弾き、潰す。だがそれに例外もある。銃を使うときだ。敵は銃を使う時、先端がフィールドの外に出ていた。つまり攻撃時は物体を潰すほどの出力は出ないのだろう。

 

「山口に命令。艦爆を横七本島へ向け発艦。敵に銃を抜かせろ」

「機動部隊は既に艦載機を全て放出しています」

「なら一部戻して爆装、飛ばせ!!」

 

 敵と飛龍と本島の位置関係上、もし爆撃隊が上がればそれを追う為態々奥まで来たのに引き返すか撃つしかなくなる。真面な軍人なら撃つだろう。そのときこそが〇距離射撃のチャンスなのだ。

 

「爆撃隊、横七本島へ発艦」

「敵、銃を抜きました!!」

「今だ突っ込めーッ!!」

 

 温められたセブン機関が一気に高まり、風を切って艦を奴の目と鼻の先に出す。

 

 距離は正しく0。砲口と敵の装甲が触れる。

 

「撃てーッ!!」

 

 響く35.6㎝の轟音、放たれる砲弾、貫かれる装甲。

 

 敵は甲板に落ちてくる。

 

「戦闘員はあの機体のパイロットを逮捕しろ!!」

 

 ドタドタと小銃を持った部隊が動きを止めた機体に群がる。

 

「動きがない…ロケットランチャーで炙り出せ」

 

 甲板を見ながら命令する。筒を持った兵士数名が一斉にロケット弾を撃つ。

 

 黒い装甲が剥がれ落ちる。

 

「もう終わりじゃなかったのか」

 

 黒の装甲が剥がれ落ち、中から赤に塗装された人型兵器が出てくる。

 

「に、逃げないと」

「よせ艦長…」

 

 間に合うものか

 

 そう言う間もなく、奴は腕を艦橋にぶち込んだ。

—― 

「司令長官はどうなった!?」

「空母二隻が沈み、航空隊が混乱している?」

「中枢艦隊が全滅し上陸が中止になったと」

「静かにしろ!!」

 

 謎の横七機が連合艦隊に突撃し戦闘になったことで戦闘に参加していない上陸舟艇の準備をしているこちらも混乱している。

 

 双眼鏡を覗いて連合艦隊の様子を見るが、あちこちで煙が上がっている。ついさっき大きな爆発があったから戦艦がやられたのだろう。

 

「…撤収する」

「艦長!?」

「連合艦隊が敗れた今、旧式の改インディペンデンス級は危険だ。その為一度この海域を離れ上陸した部隊から回収要請があるまで待機する」

 

 防空巡洋艦や加賀を中心とした連合艦隊や機動部隊でダメだったなら、さらに旧式のこの艦で勝てる可能性はない。

 

「面舵一杯、面舵170°」

 

 尻尾を巻いて逃げるようでカッコ悪いが、それしか出来ないのも事実だった。

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