ハイスクール・フリート   若き人魚と転生者   作:ロイ1世

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メリークリスマス!!サンタさんから皆にプレゼントだよ!!

え?一日遅れ?








HappyNewYear!!(やけくそ


終結

「ダメだ、ミサイル関連のプロテクトが突破できない!!」

「もう一度やってみるんだ」

「何度やったって無駄だ、ミサイル関連のところに発射に関するプログラムがされた痕跡がない。ここじゃ止めれない!!」

 

 本島の全域を管理するコンピュータにハッキングをしている男の悲鳴のような報告が聞こえる。

 

「…艦長」

「うん…」

 

 ジョニーさんの報告が本当なら、これ以上この場所に留まる意味はない。ディロンさんに近付き、意見具申をする。

 

「ここに留まっても何も得られません。危険を冒してでも進むべきです」

「分かっている。だがタイラントの件もあるし、何処に進めばいいのか…」

「ちょっと待っててくれ。施設関連は分かっている。ミサイルに関係があるとするなら…ここだ」

 

 モニターに全体像が映し出され、徐々に拡大されていく。そしてとある建物を色で強調して動きは止まる。別のモニターにはその建物の詳細が並べられる。

 

「ここはミサイル発射指揮塔、どうやらミサイルサイロの開放や発射を行える。俺はここに残ってハッキングを続けるが、行くならここだ」

 

 経路が表示され、電子ロックやタレットシステムが解除されたと出る。

 

「メインジェネレーターが再稼働してワームホールが使えるようになった。誘導灯も点けておくから迷わない。タレットも止めたから安全だ。ほら、行けよ」

 

 投げやりな感じだが僅かな時間でそれ程のハッキングを行ったジョニーさんは優しい人であることは間違いないのだろう。

 

「ありがとうございます。ディロンさん、護衛願います」

「了解した、ジョニー…死ぬんじゃねえぞ」

「師匠様にそんなことを言うな。メグにまだ30万ドルの借りがあるからどのみち死ねないぜ」

「そうか…」

 

 振り向き扉に向うディロンさんが僅かに微笑む。扉が開かれ、走る。タイラントが暴れていたのか扉や壁が所々破壊されている。

 

 瓦礫や破片でケガをしないよう気を付けながらワームホール部屋に行く。

 

「ミサイル発射指揮塔」

 

 行き先を告げる。変化は特に感じなかったがプレートが司令フロアと違うため着いたことに気付く。

 

階段を駆け上がり扉を開ける。中からは外の景色が一望でき、ミサイルが地下格納庫から顔を出していた。

 

 水を踏み、足元を見ればそれは血だった。鷹宮隊全員が倒れており、鷹宮大佐のみが辛うじて息をしていた。

 

 そして様々なコンピュータをバックにこちらを見ているのは、兄と慕っていた人物だった。

 

「二着はお前らか…教えてくれよ、こっからじゃ監視カメラが妨害されて見えねえんだ。スパルタンは今どこにいる?」

 

 椅子から立ち上がりこちらに歩いてくる。手を伸ばしたその時、銃声が響き伸ばしかけた手を戻す。

 

「ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフ、貴様を緊急逮捕する。おとなしくしろ」

 

 ダッチさんだった。背中には見慣れない武器を背負っており、銃も来た時とは違う銀色のロングマガジンの銃だった。

 

「三等賞か…ディロン、大佐を担いで外に出ろ」

「分かっていると思うがダッチ…あいつは」

「分かっている。だが負傷者は助けなければならないだろ」

 

 ディロンさんは頷き、鷹宮大佐を担ぐと扉の外へ運び出す。裕兄に対抗できる火器を持っていない私も外に出ようとした時、シロちゃんが言う。

 

「どうして…どうして世界を滅ぼすんですか!!」

 

 涙を流しながら叫ぶ。

 

「あなたは世界を救ってくれた。多くの人の命を救った。世界があなたに感謝している、なのになぜ」

「そこのお前、うるさい」

 

 シロちゃんが裕兄に恋していたことは知っている。それはきっと今も変わっていないのだろう。私と同じように。

 

 だけどその片思いの叫びは、あっさりと潰されてしまった。

 

「誰だか知らないが…死ね」

 

 腹部から発砲音が聞こえた。風を切る銃弾がシロちゃんに届こうとした時、195㎝の巨体が間に割って入る。

 

 銃弾でうめくも咄嗟にさっきまで背負っていた武器をランチャーを構えるように持ち、赤い線が裕兄に照射される。

 

「くたばれ!!」

 

 赤い線が一気に太くなり、裕兄を照らす。

 

「スパルタンレーザーか!?」

 

 転がって避けようとするも、ダッチさんは逃がさず当てる。

 

 当てる…当たった…筈だった。

 

「なぜ当たっていない!?」

 

 左胸を直撃したはずの光線だったが、改めて見ても穴はあいておらず、苦しい表情もしていない。

 

「危なかった…」

 

 裕兄も当たった筈の左胸を触っている。だがすぐに姿勢を正し、再び腹部から銃声が響く。

 

「ぐわっ!!」

 

 ダッチさんが撃たれる。腕を重点的に撃たれ、銃を構えることすら難しくなる。

 

「邪魔者は、失せろ!!」

 

 マガジンを何の動作もしていないのに交換している音が聞こえる。

 

 ダッチさんの銃を構えようと拾ったとき、扉が荒く蹴破られ小銃が連射される。

 

「ダァッチ!!」

 

 ディロンさんが撃ち続けているが裕兄は怯まない。そこに新たな人が現れる。

 

「突入する」

 

 スパルタンが青い銀色に輝きながら入ってくる。

 

「スパルタン!!待っていたぞ!!」

「いいや、ずっと待っていたのはこっちだ」

 

 構えていたランチャーを撃つ。噴進音は着弾してから聞こえた。

 

「スパンカープライムだったか、まだこの島にそんなものがあったとは…だが、その体ではな」

 

 スパルタンは確かに立っていた。だがそれは辛うじてのものに過ぎなかった。

 

「神経ユニットは停止、各部アーマーも修復不可なまでに剥がれ、四肢も大きく損傷している…それが最大の戦力とはな」

「…」

 

 無言で空になったロケットの弾倉を捨て、リロードをし、再び狙う。

 

「無駄だ!!スパルタンレーザーもこの体には無意味!!」

「その体のマジックの種は既に割れている」

 

 ランチャーを裕兄の足元に向け、発射する。すると裕兄は慌てて跳び、走り回りながら逃げる。リロードのタイミングになると、また腹部から発砲音がし、スパルタンが負傷する。

 

 先程よりも動きが速くなり、直撃弾どころか至近弾も出なくなった。

 

「グゥッ!!」

「スパルタン!!」

 

 ダッチさんを部屋の外に運び終えたディロンさんが、倒れたスパルタンに近寄ろうとする。しかし裕兄は進行方向に銃弾をばらまき、救出を許さない。

 

「ここで終わりだな、スパルタン」

 

 醜い笑みを浮かべ近付く。スパルタンはヘルメットを外し、ハンドガンで応戦しようとするが肩を叩きつけられ落としてしまう。

 

「奴は何処だ」

 

 裕兄がスパルタンに問う。

 

「ここにいる」

 

 スパルタンは答える。

 

 しかしそれに腹を立てたのか、首を絞めてスパルタンを殺す。

 

「くそ、くそ、くそ!!」

 

 ディロンさんはこれ以上は拙いと思ったのか退く。私達もそれに続こうと思ったが、扉が電子ロックされる。

 

「なんでこんな時に!!」

「艦長、ロイ兄さんが、ロイ兄さんが二人います!?」

 

 艦長に背中を叩かれ振り向いてみると、そこには巨大なタンクに入った裕兄がいた。体の各所が欠損しており、死体ではないかと思ってしまう。だがその眼はぎょろぎょろと動き、私達を懐かしむ目で見つめる。

 

「そこにいたのか!!」

 

 先程から戦っていた裕兄はタンクに近付き、叩く。だが頑丈なそれはへこむことすらしない。

 

「待っていた。お前が横七を離れたあの日から、ここで待っていた」

 

 スピーカーから声がする。

 

 タンクに入っていた培養液が排出され、ロックも解除される。

 

「ここは私の庭だ」

 

 服は着ているものの、欠損している腕や足の部分が割れた窓から入ってくる風に吹かれて靡く。

 

「もうお前に未来はない」

「やられてたまるか!!」

 

 万全の状態の人間と四肢が欠損している人間か怪しい存在。ある意味対等と思えたその戦いは、技術や経験の差といったものであっさりと終わった。

 

「これで終わりだ」

 

 残された腕でタンクに入っていた裕兄は入っていなかった方の裕兄の股下を貫く。

 

 鮮血が辺りを染める。

 

「グハッ、分かっていたのか…」

「勿論、初めから分かっていたさ」

 

 倒れた裕兄の体が揺れ、砂嵐になる直前のテレビの画面のように本来の姿が保てなくなる。

 

「はあっ、はあっ、脊椎を抜きやがったな」

 

 そこにいたのは、横須賀の海で殺されたバーナード・マッケンだった。

 

「こいつはホログラムで私に化け、声帯も機械で調整した」

 

 腹部に大穴が開いて倒れているマッケン君の首にはチョーカーのようなものがあり、それは赤く点滅している。胸部には天球のようなものがあるが、割れてしまっている。これらがそれなのだろう。

 

「ミサイルに搭載されているのは核ではなく、細菌だ。それも感染力、殺傷力、繫殖力がとても強く、対抗できるものがない。もし広まれば動植物は死絶える…この島を除いて」

 

 外のミサイルにまだ火は点いてない。マッケン君が何を考えていたかは分からないが、裕兄は少なくとも発射しないだろう。

 

「本来、あれはミサイルではなく火星行きのロケットで積み荷を運ぶためのものだった。だがそれをこいつは姿はホログラムで、声はボイスチェンジャーと生体検査を突破し細菌を積んだミサイルに変更した」

「待ってください、生体検査には指紋や血液検査もあります。それらはとても突破できるとは」

「できる。こいつにならな」

 

 虫の息のマッケン君に近付き、屈む。

 

「こいつはもう一人の俺だ…正しく言えば、この世界線のロイ・ヴィッフェ・ヒドルフ」

 

 マッケン君の銀髪を横に払い、顔を見えやすくする。

 

 その顔は裕兄を幼くした感じだった。

 

「加古を探した長い年月の中、俺はあることに興味を抱いた。知名裕一として生まれたからにはこの世界にもロイ・ヴィッフェ・ヒドルフがいるはずだ、ってね。そして探したところ、マッケン家にいた。親戚は俺のときもそうだったが全員死んでるし家族は数年前に海賊が家のある住宅街を数度に渡り砲撃したことで死んだ。その日は丁度誕生日で遠いところにいる友達の家から帰る途中で幸運にも無事だった。そして孤児院で暮らし、引き取り先が出てきてそこで生きていた。だがその引き取り先も問題があって、家庭内暴力…子供への虐待がひどく、家から飛び出したときに保護した。それからはこの島で訓練をさせ、知識を授け、ドイツに送った。横七の諜報員兼世界をよくする為の一人として」

 

 だが、と続ける。

 

「こいつは抜け出した。完成したばかりの強化脊椎と航空技術のデータを持って。アフリカ、ソマリアのBM基地へ」

 

 立ち上がり、タンクに繋がっているコンピュータを弄りだす。

 

「共犯者は海賊。それもだいたい20年位前にインディペンデンス級をアメリカの技術試験隊の依頼で強奪した連中。それらと共謀しソマリアに長いこと潜んでいた。発見できたのは火星行きのロケットを発射する旨の暗号を世界に発信した時、部下がいないはずのソマリアで受信を確認したことからだった。おそらく世界を滅茶苦茶にしてやりたかったが手段がなかったんだろう。強化脊椎で俺や火星で開拓作業をしているスパルタンを除けば最強になり、横七の航空技術を手に入れても。生産すれば忽ち横七に見つかって御陀仏。だからロケット発射に釣られた」

 

 3Dホログラムのロケットとミサイルをこちらに飛ばしてくる。

 

「外見上特に大きな変化がないからエラーが出てもバージョン違いで騙せれる。積荷も直前に変更があったで押し通せる。だが発射だけは、俺とジョニー…横七のNo1とNo2のみ知っているコードを入力する必要があった。ジョニーのコードは既に入力されていたが、俺の方はまだだった…今しちゃうけどね」

 

「ロケット発射シーケンスに入ります。ロケット発射シーケンスに入ります」

「安心しな、地下司令部に残った我がジョニーが積み荷を換えてる」

 

 ロケットは真っ直ぐな軌道を描いて空に消えていく。これからおそらく火星に行くのだろう。

 

「かくして、バーナード・マッケンの計画は総崩れし、ただ共犯者を減らしただけでした。おしま…これ返してもらうね」

 

 盲腸あたりを拳で貫く。手の中にはチップが入っていた。

 

「じゃ、みんな帰りな。横須賀直行のワームホール出しとくから」

 

 指を鳴らすとワームホールが現れる。不思議なことに、体がこの出口は横須賀だと言っていた。

 

「待ってください、あなたは一体なにがしたかったんですか」

 

 シロちゃんが近づき、襟元を掴む。

 

「この八年間、あなたはみんなの前に姿を出さず、なにをやっていたんですか!!私は兎も角、知名もえかさんにも一度も会ってないそうじゃないですか。どうしてです、答えてください…答えろ!!」

 

 ついには掴み上げてしまい、裕兄は宙に浮いてしまう。

 

「シロちゃん!!」

「シロ坊…でかく、なったな」

 

 頭を撫でる。

 

 決して強くなく、かといって弱くもなく。大切なものを触るように撫でる。

 

「よく見てくれ、俺、結構背縮んだだろ?」

「ッ!!」

 

 シロちゃんが咄嗟に手を離す。確かに裕兄は縮んでいた。それもシロちゃんよりも小さい。

 

「8年前、教壇で倒れここに担ぎ込まれ手術や血液透析をしたが、完治は結局しなかった。そこで俺はタイラントや皆と一緒にここに来たスパルタンのような新たな体を作らせた…作らせてなんだが、使いはしなかったがな。もうあの培養液の中じゃないと長いこと生きれないんだ。情けないだろ?まるで水族館の魚だぜ」

 

 少し肩を震わせる。

 

「ホントはみんなと一緒にいたかった。もかの結婚式も見たかった。ミケのやる奇想天外な作戦をやられたかった。シロ坊の不幸な理由を探りたかった…だができない!!」

 

 大粒の涙を流し、叫ぶように言う。

 

「長いこと耐えたが、結局毒に勝てなかった!!皆と一緒にいる資格はなかった!!余所者がいることは許されなかったんだ!!」

 

 ワームホールが大きくなる。

 

「これ以上カッコ悪い所は見せれない…じゃあな」

 

 シロちゃんをワームホールの方へ突き飛ばす。待って、そう叫ぼうとしたが、迫りくるワームホールに呑み込まれ、横須賀の町…第二次深海戦争の慰霊碑のある丘に飛ばされた。

—―

「泣いちまったな、結局」

 

 全身に走る激痛に耐えながら、マッケンの傍に行く。

 

「如何して裏切っちまったんだ、この馬鹿野郎」

 

 肩を叩く。既にその体は冷たく二度と息を吹き返すことはないだろう。

 

「ジョニー、後は任せたぞ」

 

 力が抜ける。ジョニーにはことが済んだらこの島を太陽の近くにワープさせるよう命令させていた。

 

「あぁ、終わりかぁ」

 

 前回は糸が切れるようにプツンと逝ったからそう感じなかったが、寒い。

 

「怖い、怖いよ。加古、お前何処に行ったんだよ」

 

 迫りくる死に対し錯乱状態になっていると、電子ロックが掛かっている筈の扉が開く。

 

 そこに立っていたのは、眠り過ぎて眠気など消し飛んだ顔の、へそ出しセーラー服を着たややボーイッシュな娘だった。

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