本作もあと一、二本となりました。
後わずかではありますが、今後ともよろしくお願いいたします。
え?一日遅い?
――――この記録はバーナード・マッケン殺害計画に関するものである。
離反したマッケンを殺害する為、ソマリアBM基地を爆破。マッケンの殺害には失敗したものの現地に潜む協力者を抹殺することに成功する。この際使用した爆弾は一つ。救助活動を阻止する為世界全体に通信妨害電波を発信。作戦参加者はアメリカ籍の艦艇で退避した。
マッケンはその後日本籍の艦艇で逃走。その為ワームホールを用いて部隊を派遣。強化脊椎除去手術の為南極基地に移送。しかし駆け付けた仲間の海賊により脱出、高速艇で離脱する。
この段階で横七のみの対応は本隊が火星にいる関係上不可と判断、偽の核ミサイル発射計画で日米の関心を惹く。
また、同時進行で深海棲艦の遺物である深海鋼鉄の回収も行う。内容としては深海鋼鉄を提供されたアメリカの民間銃器会社をテロリストに扮し襲撃、占領。深海鋼鉄の確保と設計図や資料、関連した品々の回収を行う。またアベルや深海棲艦と接触した者、開発に関係した者も抹殺する為、自宅に潜伏。帰宅したところを、刺殺。また社長は情報収集も兼ねて日本に呼び寄せ、横七傘下のビルにて殺害。
マッケンが横七本島に侵入したことを察知。協力者に部隊の派遣を命じる。尚、提督の意向で知名もえか、岬明乃、宗谷真白の参加が決定されたが北極海底要塞の調査活動に参加していた知名もえかは不参加。護衛として最新式のアーマーを装備した精鋭スパルタンを一名横須賀に派遣。
他参加者
鷹宮龍介陸軍大佐 陸軍が国防の為の最低限度に達していない為、一般人に扮した海兵隊員を陸軍に入隊させることで同意。シールド技術の普及した時代に備える為兵器開発をしたことで政府関係者と関係悪化。既婚者。子供が二人いる。作戦完了後少将に昇進すると辞職し『最低限の力を軍に』をスローガンに掲げ政治家になる。軍の現状を理解した人々が票を入れ無所属ながら当選。
新島孝也陸軍中尉 鷹宮龍介の推薦で参加。マッケンに殺害される。
島崎晴雄陸軍軍曹 鷹宮龍介の推薦で参加。マッケンに殺害される。
ジェントルマン・ジョニー ジョニー副司令が変装し参加。基地内の情報の消去と部隊が辿り着くよう支援する。
ジョージ・ディロン 元アメリカ陸軍特殊部隊所属 現職のCIA 横七を調査しており、独自の調査で横七と接触を図り一員となることを希望。その為アメリカでの横七調査活動の妨害若しくは成果の偽造を命令、見事こなす。余談ではあるがジョニーに対しかつて協力して仕事をしたような振る舞いをしていたが全て彼が考えたことである。銃火器は提供。
アラン・ダッチ・シェイファー アメリカ陸軍特殊部隊大佐 麻薬カルテルや武器商人、海賊などの非合法組織を幾度となく亡き者にした特殊部隊隊長。優れた身体能力やサバイバル能力を持ち、単独で敵地に侵入・潜伏し、要人の殺害や麻薬の焼却を行う。戦闘能力が精鋭スパルタン並であり、ジョージ・ディロンの知り合いのため選出。横七と関係はなく、作戦完了後ジョージ・ディロンが伝えたことで全てがバーナード・マッケンを殺害する為のものだったと知る。
その他の協力者として国土保全委員会及び海上安全整備局の大半。宗谷真冬艦長始め連合艦隊の日本艦の艦長、空母機動部隊司令長官。巡洋艦「桜」水雷長、龍驤。機関長、ラー・シン・バーン。
ウルセブ艦技研を代表する横七関連組織は機体名ブラックサレナを用い襲撃を装った火災や爆発で消去。
横七本島も再度海底に没した後に太陽へ移動、観測艦隊より蒸発したとの報告。
これをもってマッケン殺害計画は完了した。
尚、バーナード・マッケンは新生ドイツの海軍元帥として反乱に参加する予定であり、新生ドイツの蜂起とEUとの大戦争は横七の管轄ではない。
—―
「…これが、南極で回収したカセットテープの内容」
「はい。何も記録されていないようで裏コードや修復をするとこれらの音声が流れました」
再生機器の前で座りながら、横七が唯一残した作戦記録を聞く。
「ですが、なぜ今の事を。回収されたときにはまだ何も終わっていませんでした」
さっきも言ったように、このカセットテープを拾ったのは南極の地下基地。計画のことは記録されていても結果は記録されていないはずだ。何せあの時は横須賀襲撃でてんやわんやしていたのだから。
すると技術者は少し間を置き言う。
「更新されたんです。回収された当初は本当にただの雑音だけでしたが、横七が消えてから急に雑音のバリエーションが増えたんです」
「それを弄くり回したらできたと」
テープを取り出して外見などを見る。南極で報告を受けた時に見たのとあまり変わっていなかった。唯一変わっていたのは、解析中に付けたタイトルだろうか、『一人で聞くもの』と書いてあった。
「すみませんがなんですこのタイトル?」
「ああ。それはあまりにも雑音が酷すぎて他の作業している人の集中を邪魔するから、そう付けられました」
時計がピアノの音を奏で、正午になったことを告げる。
「すみません、私もう行きます」
技術者は頭を下げながら部屋を出て行った。
私もご飯を食べる為、テープを機材に戻す。そして部屋を出ようとするが今度は先程と違う言葉が言われる。
「待て、シロ坊」
振り返り、音の主を探すとテレビが点いていた。ビデオ電話のような感じで相手は黒い椅子に座っていた。
「…ロイ兄さん!!」
「よお」
同僚に休日バッタリ会ったみたいに、右手をすこし挙げて答える。
「私、てっきり死んだとばかり…」
あの日、横七本島で裕兄と再会した。だがその姿は面影は残しているものの大きく変わり、身長もかなり縮んでいた。筋肉もほとんどなく、掴んだときはまるで骨と皮だけだと思ったほどだ。
だが、今テレビに映っているのは紛れもなく昔そっくりの健康なロイ兄さんだ。
「いやー、実はあの後死んでね。けど色々あって生きてるよ」
「い、色々?」
「そうだな。まず、本当なら俺はあの後太陽によって蒸発させられるはずだったが、運ばれて海洋医大の特別室で記憶や意識、思考や思想といったあらゆる脳のデータをバンクに移された。体はそこで死に、部下が回収した。後はスパルタンや海兵隊といった人造人間の生産技術からこの体を作成。AIにバンクで保管されてた俺のデータを移せば復活というわけだ」
そう言うと左手でピースサインをする。あのときは完全な機械だったが、見る限り今は本物の手だ。
「あとそうそう、皆に紹介したい人がいるんだ。明日そっち行くから、ミサともえかに伝えといて。それと、テープはこの会話が終わったら自動で中身がリセットされる。コピーは録られたはずだ。じゃあな」
「ちょ、ちょっ…」
私の静止を聞かず、テレビはプツンと音をたて、黒い液晶画面に戻る。
この時間で私は完全に昼休憩の時間を失ったが、決して不幸だなどとは言わない。なぜなら死んだと思っていた、想い人に会えたからだ。
—―
「それでシロちゃん、どうして急に第二次深海戦争の慰霊碑に行こうって言ったの?」
長いあまり整備されていない階段を上りながら、昨日の夜突然来たお誘いについて質問する。
「あ、あまり行けてないなって…」
「そうかもですね。私自身、あの日以来行くのは多分初めてです」
もかちゃんにはロイが知名裕一であることは伝えてない。仮に伝えたとしても、きっと余計に傷つけてしまうだけだ。そんなRATsに巻き込まれただけの人は、慰霊碑が作られたときしか行かなかっただろう。
かく言う私も、年に一回行くぐらいだった。
長い階段を上り、石碑が見える場所に着いたとき、カップルと見られる男女が石碑の前で立ち話をしていた。
「それでな、あいつったら…」
男は私たちに気付いたのか、話をやめ、こちらに振り向く。
「不幸だ…」
シロちゃんがそう言いながら涙を流す。私も同じように、涙を流してしまう。
「どうしたのミケちゃん、ましろさん!?」
もかちゃんは私たちが泣いて立ち止まったことに驚き、肩を揺らして質問してくる。
その間に二人はこちらに近付き、足を止める。
「久しぶりだね、皆」
白い提督服を着た、銀髪の青年は、幼少期の頃と変わらない口振りで話しかける。
「え…兄…さん…?」
面影を雰囲気で感じたのか、もかちゃんも自然と涙を流し始める。
「ただいま、もか」
そう言うと裕兄はもかちゃんを抱きしめる。
「おかえり、兄さん」