デート・ア・ライブ ■■■の精霊   作:灰ノ愚者

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どうも皆さん‼︎ 灰ノ愚者です‼︎


なんとか『最新話』を更新することができました‼︎


今回、自分なりに納得がいかなかったので、再度
『最新話』を見直して『書き直し』と『修正』を
すぐにさせてもらいました。


何から何までこだわり過ぎて本当にすみません。


【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐メンタルで脆い
自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎


面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。


最後まで読んでいただければありがたいです‼︎


軽蔑と敵意の銃口

 

「な、ななななななな……」

 

 

「あーあ……」

 

 

突然の事態に、士道は目を剥いて戦慄する中、

〈アテナ〉はそんな士道の様子を呆れながら

見ていた。

 

 

普通の女子高生は、地団駄を踏んだぐらいで

床をへこませたりはしない。

 

 

無論十香は普通の女子高生ではないのだが……

精霊としての力を封印されている状況では、常識的

は範囲内の身体能力しかないはずだった。

 

 

「ど、どういうことだ、琴里……っ」

 

 

インカムに問うと、琴里がため息交じりに

返してくる。

 

 

『だから……前々から言ってたでしょ。

士道と十香の間にはパスが通ってるから、十香の

精神状態が不安定になると、力が少し逆流する恐れ

があるって』

 

 

「は……はあ? なんだよそれ、十香の精神状態が

不安定だってのか?」

 

 

『ええ。状態が悪化する前に、なんとか十香と

〈アテナ〉の機嫌を直しなさい』

 

 

「そ、そんなこと言ったってどうすりゃあ……」

 

 

そんなことを言っている間に、十香は士道と

『よしのん』と〈アテナ〉のもとに到達した。

 

 

そして鋭い視線で二人を交互に見たあと、

「むむむ……」と唇を引き結んでから、士道に

キッ! と視線を、『よしのん』と〈アテナ〉

にビッ! と指を向けた。

 

 

「……シドー。おまえの言っていた大事な用とは、

この(むすめ)たちと会うことだったのか?」

 

 

いやまあ、〈アテナ〉に対してはまさかの予想外

ではあったが『よしのん』に関してはその通りなの

だが、ここでイエスと言って、こちらの真意が十香

に伝わるかどうかは疑わしかった。

 

 

『……いやぁー、はやぁー……そぉーいうこと

ねえ……』

 

 

今の今まで十香の登場にキョトンとしていた

『よしのん』が、甲高い声を出した。

 

 

一体どうやっているのだろうか、ウサギの顔が、

いたずらっぽい笑顔になっている。

 

 

『おねーさん? ええと──』

 

 

「……十香だ」

 

 

パペットに言われ、憮然とした様子で十香が返す。

 

 

『十香ちゃん。君には悪いんだけどぉ、士道くん

は君に飽きちゃったみたいなんだよねぇ』

 

 

「な……っ」

 

 

「……⁉︎」

 

 

「ちょっとよしのん‼︎」

 

 

十香と士道が、同時に息を詰まらせ、〈アテナ〉

はよしのんに注意しながらパペットの方に向く。

 

 

『いやぁ、だってさぁ、なんていうの?

話を聞いていると、どうやら十香ちゃんとの約束

すっぽかしてよしのんたちのとこに来ちゃったみたい

じゃない? これってもう決定的じゃない?』

 

 

「……っ」

 

 

十香が肩をぴくりと揺らし、今にも泣き出して

しまいそうな顔を見て作る。

 

 

「少年、最低だね」

 

 

「ち、違うぞ‼︎ それによしのん、お、おまえ、

何言って──むぐっ⁉︎」

 

 

〈アテナ〉は兜越しではあるが冷めた声で士道に

視線を向けながらそう言うと士道は〈アテナ〉に

反論しながらもパペットの発言にも声を上げる──

が、十香にがッ、と口元を掴まれた。

 

 

「シドーは少し黙っていろ」

 

 

有無を言わせぬ迫力を発しながら、万力のような

力でギリギリと頬骨を締め付けてくる。

 

 

「……! ……!」

 

 

パペットはそんな様子が愉快で仕方ないという

ような調子で、言葉を続けた。

 

 

『やー、ねー、ごめんねぇ、これもよしのんが

魅力的にすぎるのがいけないのよねぇ』

 

 

「ぐ、ぐぐ……っ」

 

 

『別に十香ちゃんが悪いって言ってるわけじゃぁ

ないのよぅ? たぁだぁ、十香ちゃんを捨てて

よしのんの元に走っちゃった士道くんを責める

こともできないっていうかぁ』

 

 

「う……うがーッ!」

 

 

しばしの間、士道の顔を掴みながら肩をぷるぷる

と震わせていた十香だったが、もう我慢の限界と

ばかりに叫びを上げた。

 

 

ようやく、士道の顔から手が離される。

 

 

「う、うるさい! 黙れ黙れ黙れぇっ!

駄目なのだ! そんなのは駄目なのだ!」

 

 

『ええー、駄目って言われてもねぇ。ほらほらぁ、

士道くんもはっきり言ってあげなよぅ、十香ちゃんもういらない子、って』

 

 

「……っ!」

 

 

「よしのん、それはさすがに彼女に言い過ぎ

なんじゃ……」

 

 

〈アテナ〉がそう言った瞬間、十香はガバッと

パペットの胸ぐらを掴み上げた。

 

 

無論小さなパペットである。少女の手から容易く

外れ、上空に上げられてしまう。

 

 

「………⁉︎」

 

 

と、パペットを取り上げた少女が、目を丸くした。

 

 

次の瞬間には眼球がぐらぐらと揺れ、顔面が蒼白

になり、顔中にびっしりと汗が浮かんだ。ついでに

目に見えて呼吸も荒くなり、指先がぷるぷると震え

始める。

 

 

「よ、よしのん……?」

 

 

士道は、未だ痛む頬をさすりながら、急な変化を

見せた『よしのん』に、怪訝そうな視線を送った。

 

 

だが、十香はそんな『よしのん』の様子に気づいて

いないようだった。両手で掴み上げたパペットに、

ナイフのごとく鋭い視線を向け、詰め寄っている。

 

 

「わ……ッ、私は! いらない子ではない!

シドーが……シドーが私に、ここにいていいと

言ってくれたのだ! それ以上の愚弄は許さんぞ!

おい、何とか言ったらどうだ⁉︎」

 

 

パペットが声を発していたと思っているのだろう

か、ウサギの首元を掴み上げながら、ぐらぐらと

揺する。

 

 

「……! ……!」

 

 

そんな様子に、『よしのん』が声にならない悲鳴を

上げていた。

 

 

先ほどまでの悠然とした調子が嘘のように、全身を

チワワのごとく震わせている。

 

 

そして『よしのん』が、視線を避けるようにフード

を目深にに被り直しから、おっかなびっくりといった

調子で、十香の服を引っ張った。

 

 

「ぬ。な、なんだ? 邪魔をするな。今私は、

こやつと話をしているだ」

 

 

「──かえ、して……っ、くださ……っ」

 

 

十香の両手で高々と吊り上げられたパペットを

取ろうとしてか、『よしのん』がぴょんぴょんと

と飛び跳ねる。

 

 

そういえば、彼女の地声を聞いたのは昨日会った

とき以来初めてかもしれなかった。

 

 

「十香ちゃん、その子はあの子にとってはとても

大切な存在なんだ。だからその子をあの子に返して

あげられないかな?」

 

 

「うるさいうるさいうるさいっ! これは私と

こやつとの問題だ‼︎ それを貴様などにとやかく

言われる筋合いはないのだ‼︎」

 

 

〈アテナ〉が十香に『よしのん』にパペットを

返してあげるようにと説得をしてみるが十香は

〈アテナ〉を睨み付けながら提案を拒否して

駄々っ子のように癇癪を起こした。

 

 

『──何してるの士道。よしのんの精神状態まで

揺らぎまくりよ。早く止めなさい!』

 

 

と、右耳に、琴里の声が響いてくる。

 

 

士道は頬をかきながら、恐る恐るのどを震わせた。

 

 

「な、なあ、十香。その……それ、返してやって

くれないか?」

 

 

「…………っ!」

 

 

「少年、その言い方は良くないよ」

 

 

「えっ?」

 

 

士道が十香に言うと〈アテナ〉が士道に注意をする

が言っている意味がわからないといった表情をして

いると十香が、士道の言葉に、愕然とした様子で

目を見開いた。

 

 

「シドー……やはり……私よりもこの娘たちの

方が……っ」

 

 

「は、はぁ? いや、そういうことじゃなく──」

 

 

 

と、それとほぼ同時に。

 

 

 

「……っ、〈氷結傀儡(ザドキエル)〉……っ!」

 

 

 

『よしのん』がバッと右手を上げたかと思うと、

それを真下に振り下ろした。

 

 

瞬間──床を突き破るようにして、この場に巨大な

人形が現れる。

 

 

「な……⁉︎」

 

 

全長三メートルはあろうかという、ずんぐりした

ぬいぐるみのようなフォルムの人形である。体表は

金属のように滑らかで、所々に白い紋様が刻まれて

いた。

 

 

そしてその頭部と思しき箇所には、長いウサギの

ような耳が見受けられる。

 

 

「に、人形……ッ⁉︎」

 

 

「──なっ、これは──⁉︎」

 

 

「よしのん‼︎」

 

 

士道と十香と〈アテナ〉が、同時に声を発する。

 

 

『よしのん』は、自分の下から出現した人形の背に

ぴたりと張り付くと、その背にあいていた二つの穴

に両手を差し入れた。

 

 

次の瞬間──人形の目が赤く輝き、その鈍重そうな

体躯を震わせながら、グォォォオオオオオオオオォォォォ──と、低い咆哮を上げる。

 

 

それに合わせて、人形の全身から白い煙のような

もうが吐き出された。

 

 

「冷た……ッ⁉︎」

 

 

思わず足を引っ込めてしまう。

 

 

 

その煙は、まるで液体窒素から発せられている

もののように非常に低温であったのだ。

 

 

『──このタイミングで”天使”を顕現……⁉︎

士道、まずいわ、逃げなさい!』

 

 

「は、はぁ……っ⁉︎ て、天使って何だよ!」

 

 

突然右耳に響いた琴里の叫びに、思わず大声を

上げてしまう。

 

 

『目の前に現れたでしょう! 精霊を護る絶対の盾

霊装と対を成す最強の矛! 精霊を精霊とたらし

める「形を持った奇跡」よ! 十香の〈鏖殺公(サンダンルフォン)

や〈アテナ〉の〈断罪槍(ロンギヌス)〉を忘れてしまったの⁉︎』

 

 

 

鏖殺公(サンダンルフォン)とそして断罪槍(ロンギヌス)〉。その名に、

士道は眉をぴくりと動かした。

 

 

先月。十香が精霊の力を有していたときに顕現

させた、巨大な玉座。そして剣である。さらに

〈アテナ〉は儚くて幻想的に光輝く白銀の槍。

そして白銀の楯を顕現させている。

 

 

それが示す事象。それは非常にシンプルであった。

 

 

つまりは──キスをしたのに、精霊の力が、

封印できていない。

 

 

と、『よしのん』が小さく手を引いたかと思うと、

人形──〈氷結傀儡(ザドキエル)〉が低い咆哮とともに身を

反らした。

 

 

すると、デパート側面部の窓ガラスが次々と割れ、

フロア内部に雨入ってくる。

 

 

否──正確に言うのなら、少し違う。

 

 

窓が割れて雨が入ってきたのではなく、まるで、

雨粒が凄まじい勢いで以て、外部から窓ガラスを

叩き割ったかのような感じだった。

 

 

「いぃ……っ⁉︎」

 

 

士道は驚愕に目を見開くと、足を震わせながら、

前方に聳える人形を見た。

 

 

 

──ギロリ、と十香の方に顔を向ける人形を。

 

 

 

「……ッ! 十香!」

 

 

士道は、言うが早いか十香の手を引き、その身体を

抱き込むようにして床に倒れ込んだ。

 

 

「な……っ、シドー⁉︎」

 

 

十香の声が、鼓膜を震わせる。と、それとほとんど

同時に、今の今まで十香の身体あった位置を、

夥しい数の弾丸のようなものが通り抜けていった。

 

 

それらは周囲の商品棚を派手に穿ったのち、

透明な液体となって床に流れていく。

 

 

「あ、雨……⁉︎」

 

 

そう、割れた窓から、雹のように固まった雨粒が、

重力を無視して十香に放たれたのだ。

 

 

と──そこで、『よしのん』の駆る〈氷結傀儡(ザドキエル)

が動いた。

 

 

「……っ」

 

 

士道は咄嗟に十香を守るように、自分の背を

氷結傀儡(ザドキエル)〉の方に向ける。

 

 

 

「ッ‼︎ 【戦乙女の楯(アイギス)】……ッ‼︎」

 

 

 

〈アテナ〉も急ぎながら士道と十香の前に立って

唱えると〈アテナ〉や士道達の周囲に白銀の障壁の

楯が現れて雹のように固まった雨粒を防いでいく。

 

 

だが、〈氷結傀儡(ザドキエル)〉は鈍重なシルエットに似合わぬ

俊敏な機動で地をけると、先ほどまで十香がいた

位置を通り抜け、そのまま割れた窓から屋外に

飛び出していってしまった。

 

 

途中───十香の手から床に落ちたパペットを、

口に当てる部分でくわえて。

 

 

 

「よしのん…ッ‼︎」

 

 

〈アテナ〉は『よしのん』の名前を大きな声で

呼んで急ぎ【戦乙女の楯(アイギス)】を解除して士道に視線

を向ける。

 

 

「すでに彼女がいるはずなのにそうやって

他の女の子をいきなりナンパ紛いの言葉を使って

口説いて最後は唇を奪うなんて本当に最低だね……

正直、少年のこと見損なったよ」

 

 

「ま、待ってくれ……ッ‼︎

俺は別にそんなつもりなんかじゃ……‼︎」

 

 

〈アテナ〉は士道に冷たくて低い声でそう言うと

士道は慌てて〈アテナ〉に弁明してそう言うが

 

 

「悪いけど、今の少年の言葉は信用出来ない」

 

 

〈アテナ〉はそんな士道の言葉と慌てた態度を

見て信用どころか更に疑惑の目を向けてそう言う。

 

 

「それじゃあ、失礼させてもらうね」

 

 

「あっ…‼︎」

 

 

士道はその場を去ろうとしている〈アテナ〉に

向けて引き留めようと小さな声を出して手を伸ばす

が〈アテナ〉はそんな士道を気にもせず背を向けて

『よしのん』が割った窓からデパートを出て行く。

 

 

「…………」

 

 

士道は『よしのん』と〈アテナ〉背を視線で追って

から、小さく口を開いた。

 

 

「た、助かった……のか?」

 

 

『……ええ。反応は完全に離脱したわね、士道』

 

 

 

『それにしてもね……』と琴里の呆れた声とため息

が士道の鼓膜に聞こえる。

 

 

『あんなにも散々と言われてしかも言い返さない

なんて馬鹿なの? 悔しくないの?』

 

 

右耳に、そんな声が聞こえてくる。

 

 

「それは……でもなんでいきなり──」

 

 

と、言いかけたところで、

 

 

「いいから早く離さんか……ッ!」

 

 

顔を掴まれ、士道はその場にごろんと転がされた。

 

 

「のわ……っ⁉︎」

 

 

原因は考えるまでもない。今の今まで士道の腕の中

いた、十香だ。

 

 

彼女は頬を紅潮させ歯を食いしばるという、

駄々っ子のような表情を作りながら、肩を

いからせるような姿勢でその場に立ち上がった。

 

 

「と、十香……?」

 

 

「……っ! 触るなっ!」

 

 

「いて……っ」

 

 

士道が思わず顔をしかめ、手を引っ込めると、

十香は一瞬ハッとした顔を作った。

 

 

しかしすぐに「むむむ……」とうなり、ぷいと顔を

背けてしまう。

 

 

「ど、どうしたってんだよ、十香……」

 

 

「うるさいっ! 話しかけるな! わ、私より、

あの娘たちの方が大事なのだろう……っ!」

 

 

「は、はあ……っ? 何言って──」

 

 

士道が呆気にとられたように声を発すると、

十香が苛立たしげに地面に地面を蹴り始めた。

 

 

「う、う、う、ううううう───ッ‼︎」

 

 

「ちょ……ょ、うわっ……⁉︎」

 

 

そのたび、地面に亀裂が入り、陥没していく。

 

 

士道はバランスを保ちきれなくなり、その場に

転げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『───AST各員に通達。精霊に動きがあったわ。

反応でき次第攻撃を再開』

 

 

全身ワイヤリングスーツで覆った折紙の鼓膜に、

そんな通信が聞こえてくる。

 

 

「──了解」

 

 

折紙はそう返すと、両手に装備した対精霊

ガトリング〈オールディスト〉を構えて直した。

 

 

現在の装備は、相手の射程外から、とにかく手数

多くばら撒くことを目的としたアレンジ型だ。

 

 

〈ハーミット〉出現と同時に降り始めた雨が、

随図領域外面弾かれる様を見ながら、油断なく

ビルディングと、網膜に直接表示された精霊反応を

注視する。

 

 

 

瞬間。

 

 

 

──ゴッ、という音とともに、ビルの壁が

吹き飛び、砂埃が上がる。

 

 

 

それと同時に、網膜投影された精霊反応が

点灯した。

 

 

『──撃てッ!』

 

 

隊長たる遼子の号令が響いく同時、折紙たちは

一斉にトリガーを引いた。

 

 

けたたましい音を立てて、幾百もの弾丸がビルに

吸い込まれ、凄まじい土煙を上げる。

 

 

「………」

 

 

折紙は、トリガーを固定したまま目を細めた。

 

 

 

随意領域によって研ぎ澄まされた超視力が、

土煙の中を高速で移動する影を捉えたのだ。

 

 

折紙は無言のまま、脳内に指令を出した。

 

 

それに応ずるように、脚部に装着されていた小型の

ミサイルポッドが展開し、左右からそれぞれ一〇

発、〈ハーミット〉目がけてホーミング弾が発射

された。

 

 

「──ッ⁉︎」

 

 

対精霊ガトリング弾の雨の中を抜けてきた精霊

──〈ハーミット〉が、すぐ目の前に迫っていた

ホーミング弾を目にして、驚愕の表情を作る。

 

 

「……!」

 

 

〈ハーミット〉が両手を引くと、人形が軽やかに

宙を舞い、ホーミング弾の追尾を振り切って

いった。

 

 

だが、そのときにはもう、折紙以外のAST隊員も、

精霊の姿を捉えている。

 

 

後方からはホーミング弾、そして、他の全方位

から夥しい量のガトリング弾が浴びせられる。

これを全て避けるのは不可能だろう。

 

 

「きゃ──」

 

 

小さな悲鳴のようなものが、折紙の超聴覚に

聞こえてくると同時、全弾が一斉に着弾。

凄まじい爆音を上げる。

 

 

恐らく精霊の纏った霊装ではほとんどの攻撃は

無力化だろうが───〈アテナ〉や〈プリンセス〉

ならまだしも、〈ハーミット〉では無傷というわけ

にもいくまい。

 

 

実際、着弾位置から、巨大な人形が下方に落下して

いくのが確認できた。

 

 

 

『──よし! 攻撃の手を休めるんじゃないわよ!

撃てッ! 撃てッ!』

 

 

 

遼子の命令が響く。が──

 

 

 

折紙はトリガーにかかった指を動かそうとした。

 

 

 

そんな瞬間、

 

 

 

「やれやれ……大勢で寄ってたかってこんな小さな

女の子をそんな物騒な物で弱い物イジメするなんて

君たち心とかはないの?」

 

 

〈アテナ〉が『よしのん』を庇うように前に出て

〈アテナ〉が顕現させておいた〈断罪槍(ロンギヌス)〉ですべて

飛んでくるホーミング弾やガトリング弾を軽々と

無力化しながらそう言っていた。

 

 

『〈アテナ〉ですって……? そんな……

観測機だって反応を示さなかったのに一体、

どうして……?』

 

 

遼子は『白銀の戦乙女』と呼ばれている精霊

〈アテナ〉のいきなりの出現に驚いて動揺を

隠せなかった。

 

 

「そんな事はどうでも良い」

 

 

折紙そう言ってガトリング〈オールディスト〉を

握りしめての脚部に装着されていた小型のミサイル

ポッドを更に展開させて

 

 

 

「精霊は全て倒す。それだけ」

 

 

 

折紙は低い声でそう言いって左右からそれぞれ

左右からそれぞれ一〇発を〈ハーミット〉と

〈アテナ〉に目がけてホーミング弾を今にも発射

しようとした。

 

 

「さてと……四糸乃ちゃん。ここは自分に任せて

急いでこの場所を離れなよ」

 

 

「わ、分かり……ました……ッ‼︎」

 

 

〈アテナ〉は『よしのん』こと四糸乃にそう言うと

四糸乃は人形──〈氷結傀儡(ザドキエル)〉を使って急いで

その場を離れるかのようにその場を後にした。

 

 

『た、隊長‼︎ このままでは〈ハーミット〉が逃げて

しまいます‼︎ 〈ハーミット〉と〈アテナ〉一体、

どちらを優先して対処すればいいのですか⁉︎』

 

 

 

『そ、それは………』

 

 

 

ASTの隊員の一人がASTの隊長の遼子に指示を

求めるが隊長である遼子は突然のことで迷って

しまったのか思考が停止しまっていた。

 

 

 

『隊長‼︎ どうか指示を‼︎ ご指示をください‼︎』

 

 

 

『ッ‼︎ そ、そうね……まずは──』

 

 

 

遼子が急いで全隊員達に指示を出そうとするが

 

 

 

「〈断罪槍(ロンギヌス)〉……ッ‼︎」

 

 

 

〈アテナ〉は自分の”天使”の〈断罪槍(ロンギヌス)〉の名前を

呼んで〈断罪槍(ロンギヌス)〉を躊躇いなく上に投げ飛ばす。

 

 

「〈アテナ〉……ッ‼︎」

 

 

「やあ、久しぶりだね。折紙ちゃん」

 

 

〈アテナ〉を見た瞬間、折紙は〈アテナ〉を睨み

つけながら対精霊ガトリング〈オールディスト〉

を向けていた。

 

 

『折紙。分かっているとは思うけど勝手な行動を

して部隊の作戦の場を乱すんじゃないわよ』

 

 

「分かっている」

 

 

遼子は折紙にそう言うと折紙は低い声で返事を

しながらも〈アテナ〉から視線を離さないでいた。

 

 

 

「いきなりで悪いんだけど、ここにいるASTの

全部隊を撤退させてくれないかな?」

 

 

「なんだと……?」

 

 

〈アテナ〉の言葉を聞いた瞬間、折紙の眉がピクリ

と動いた。

 

 

「そうしてくれたら、君たちには手は出さないから」

 

 

 

〈アテナ〉が折紙にそう言って提案すると

 

 

 

『折紙‼︎ そいつの言葉に耳を傾けたらダメよ‼︎』

 

 

 

遼子が折紙に注意するようにそう言っている中、

 

 

 

『どうして、槍を上に投げ飛ばしたんだ?』

 

 

 

『だけど、槍を手放した今ならチャンスだわ。

あの女を確実にぶっ殺すことが出来るわ!』

 

 

同じAST隊員である友原と加賀谷はそう言って

〈アテナ〉に両手に装備した対精霊ガトリング

〈オールディスト〉を向けてトリガーに指を

掛けて引こうとした。

 

 

 

「余計なことはしない方がいいよ」

 

 

 

〈アテナ〉はそんな折紙達に警告するように

そう言うが

 

 

 

『構わないわ! 全隊員撃ちなさい‼︎』

 

 

 

このままではマズイと思ったのか遼子は急ぎ折紙を

含めたAST全隊員に発射命令を出すと周囲のASTの

隊員達は遼子の指示に従って両手に装備した対精霊

ガトリング〈オールディスト〉の銃口を〈アテナ〉

に向けてトリガーに躊躇いなく手を掛けようと

する。

 

 

 

 

 

だが、残念なことにそのトリガーは引かれることは

なかった。

 

 

 

 

そうか……そっちがその気なら、仕方ないね。

 

 

 

 

 

「【■■】」

 

 

 

〈アテナ〉がそう言った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォーーン‼︎

 

 

ドガァァァーーーン‼︎

 

 

ズガガガーーーン‼︎

 

 

 

 

周囲からたくさんの激しい爆発音が鳴り止まず

に響き渡った。

 

 

 

「一体、なにが……」

 

 

 

折紙が今起きていることが理解が出来ないと

いった表情を浮かべていると

 

 

 

『きゃああああああ‼︎』

 

 

『いやぁ…‼︎ いやぁあああああ‼︎』

 

 

『や、やめ…ッ‼︎ やめてぇぇええええ‼︎』

 

 

 

ワイヤリングスーツで覆った折紙の鼓膜に先程、

話していた友原や加賀谷、更に他の隊員達の叫び声

が響いてきた。

 

 

『折紙‼︎ 大丈夫⁉︎』

 

 

「こっちは問題はない。そっちでは一体、

何が…?」

 

 

 

遼子の声を聞いて折紙が現在、起きているのかを

確認するように聞くと

 

 

『い、いきなり大量の白銀の槍が空から

降ってきたわ……』

 

 

「大量の白銀の槍……」

 

 

折紙は遼子の言葉に驚きながらそう言うと

 

 

「自分の天使である〈断罪槍(ロンギヌス)〉の能力を使って

君たちの使っているすべてのその物騒な対精霊武器

を破壊させてもらったよ」

 

 

〈アテナ〉が平然とそう言うと更に続けて言う。

 

 

「それにどうやら四糸乃ちゃんも無事に逃げ切れた

みたいだし、更に形勢逆転したようだね」

 

 

 

「ッ‼︎ しまった…ッ‼︎」

 

 

 

〈アテナ〉のその言葉で折紙は討伐対象である

精霊〈ハーミット〉の姿がないのが今になって

気づいた。

 

 

どうやら〈ハーミット〉はこの騒ぎに乗じて

この場から逃げて消失(ロスト)したらしい。

 

 

そのせいか曇って随意領域を叩いていた雨が、

ぴたりと止んでいて空が雲の切れ間から日の光

が差し込んでいる。

 

 

「もう一度、言うよ。撤退してくれないかな?

でないと……」

 

 

 

 

今度は手加減が出来ないかもしれないから──

 

 

 

 

〈アテナ〉はそう言いながらいつの間にか手元には

断罪槍(ロンギヌス)〉が戻ってきており、鋭くて白銀に輝く

断罪槍(ロンギヌス)〉の鋒を両手に装備した対精霊ガトリング

〈オールディスト〉を持っている折紙に向けて

いた。

 

 

 

だが、

 

 

 

 

「ふざけるな……」

 

 

 

折紙は〈アテナ〉を睨みつけながら低い声で言って

対精霊ガトリング〈オールディスト〉に握っている

手が更に力を込めて銃口を〈アテナ〉に向ける。

 

 

 

「お前たち……精霊なんかに……ッ‼︎」

 

 

 

折紙がガトリング〈オールディスト〉のトリガーを

引こうするが──

 

 

 

『折紙。残念だけど、作戦失敗……撤退するわよ』

 

 

 

ASTの隊長である遼子のいきなりの撤退の指示

が折紙の鼓膜に響いた。

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

「その指示には納得がいかない」

 

 

折紙は遼子の撤退の指示に納得ができないのか

遼子の指示に反対する。

 

 

「精霊を倒すのが、ASTの役目のはず」

 

 

『折紙、あんた……』

 

 

遼子は折紙のそんな言葉を聞いて予想通りだった

のか遼子は言葉を失ってしまった。

 

 

 

「それに、今すぐ優先して討伐しなきゃいけない

精霊はまだ目の前にいる」

 

 

 

折紙はそう言って〈アテナ〉を睨みつけながら

遼子にそう言う。

 

 

 

どうやら折紙はここで引く気はないらしい。

 

 

 

『前にもあれほど言ったはずよ。あれは化物で知性

を持ったハリケーンだってあんたもそれは分かって

いるはずよ』

 

 

「しかし、目の前にいるアイツをこのままにして

いていい理由にはならない」

 

 

遼子は諭すように言うが折紙の意志が硬いのか

納得しようとしない。

 

 

 

「それに撃退していない。たとえ一人になっても

〈アテナ〉を──」

 

 

 

『折紙‼︎ いい加減にしなさい‼︎』

 

 

 

とうとう折紙の言葉に痺れを切らしたのか遼子の

大きな声で折紙を嗜める声が折紙の鼓膜に響き

渡る。

 

 

『そもそも、対精霊の武器をすべて壊された私達

に精霊を……ましてや、あの〈アテナ〉を相手に

どうやって討伐しようというの?』

 

 

「それは……」

 

 

実際、遼子の言う通りである。遼子と隊員の折紙

以外のASTの隊員達が装備していた対精霊の武器

は〈アテナ〉の〈断罪槍(ロンギヌス)〉ですべて容赦なく破壊

されてしまって戦えるのはASTの隊長である遼子

と隊員である折紙だけだがそんな勝算がとてつも

なく低い状態で戦いになるはずがない。

 

 

 

それでも〈アテナ〉と本気で戦うと言うのであれば

そこに待っているのは、間違いなく

 

 

 

 

『理不尽な大量の犠牲の屍』がその場に積み上がって

しまう未来だろう。

 

 

 

だが自分達ASTがそうなっていないのは目の前に

いる白銀の精霊、〈アテナ〉がその気になって

いないからである。

 

 

 

折紙もそのぐらいは分かっているはずだ。

 

 

 

 

では、なぜそうしないのか?

 

 

 

 

それをしない理由は幼い頃、折紙の両親を目の前

で殺した『精霊への復讐心と誓い』がそれを決して

許さないからだ。

 

 

 

更には噂では以前の精霊〈プリンセス〉討伐作戦中

に〈アテナ〉が現れて精霊を殲滅することが目的で

あるASTの隊員である折紙を助けてあろうことか

情けすらかけられたらしい。

 

 

ASTの隊員として所属して復讐を心の糧にしている

折紙にとってその時はかつてないほどの悔しさと

屈辱だったようだ。

 

 

『それに何をするにも命があってこそよ。

あんたが今するべきことはここで命を捨てること

なんかじゃないのは分かっているはずでしょ?』

 

 

「………」

 

 

遼子の言葉で折紙は口を閉ざして黙ってしまった。

どうやら遼子の言葉を聞いて考えているようで

あった。

 

 

 

そして、

 

 

 

「分かった……撤退する」

 

 

折紙は絞り出すような声でそう言って〈アテナ〉

から視線を一切離さず両手に持っていた対精霊

ガトリング〈オールディスト〉の銃口をゆっくりと

下ろしながら今までにないほどの悔しさで歪んだ

表情を浮かべていた。

 

 

「どうやら撤退してくれるようだね。おかげで

無駄な血や犠牲を出さずに済んでよかったよ」

 

 

〈アテナ〉は折紙に向けていた天使〈断罪槍(ロンギヌス)〉を

下ろしながらそう言うが

 

 

「勘違いするな」

 

 

折紙は絶対零度の如き冷たい敵意の視線を

〈アテナ〉に向けながら

 

 

「今の被害が多い状態ではお前達、精霊を討伐

出来る可能性が低いから一時的に撤退して態勢を

整えるだけだ」

 

 

〈アテナ〉のそんな言葉を否定するように低い声

でそう言うと

 

 

 

『──総員、撤退するわよ』

 

 

「了解……」

 

 

遼子の声が再び折紙の鼓膜に響くと折紙は

そう一言だけ言って更に警戒しながらも臨戦状態

を強めた。

 

 

折紙は〈アテナ〉から視線を逸らさず遼子を

追ってその場を撤退する際──

 

 

「……?」

 

 

随意領域で強化された視界に、気になるものを

発見したが折紙は撤退命令に従いその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ…やっと、退いてくれたか……

自分も急いでこの場から去るとしようかな」

 

 

一人になった〈アテナ〉は溜め息を吐きながら

誰もいない場所で独りで呟いていた。

 

 

「にしても、十香ちゃんは大丈夫かな……?」

 

 

なぜならあれだけ仲良かった二人が突然、仲が悪く

なってしまったからだ。

 

 

 

「まあ、仮にも少年がいるから大丈夫だろうと

思うけど……」

 

 

 

そんなことより問題は四糸乃である。

 

 

 

四糸乃は感情が不安定になってしまったせいなのか

精霊を精霊とたらしめる天使を顕現させてその場で

暴走してしまったからだ。

 

 

その結果、ASTの隊員達は容赦なく四糸乃に敵意

と銃口を向けられる姿を見ていて同じ精霊である

〈アテナ〉にとってもとても気分が良いものでは

なかった。

 

 

 

だから、誰よりも優しいあの子をASTから助ける

ことにした。

 

 

 

だって、あの子が■■のような■■の■■になって

しまうのは嫌だから……

 

 

 

〈アテナ〉はそんなことを思いながら自分の姿を

誰にも見つからないようにその場を後にした。

 





最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎


これからも皆さんが『応援』をしていただければ
『投稿の頻度』が更に上がる可能性があるかも
しれません‼︎


『他の投稿作品』もあるので、是非ともそちらも
楽しんで見ていただければ、ありがたいです‼︎

十香と士道が出会う前の四月九日の話を書いた方がいいか

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