を無事に更新をすることができました‼︎
今回は『14679文字』までの膨大な量を頑張って
書きましたが豆腐のようなクソナメクジメンタルの
自分はきちんと面白く書けているのかとても心配に
なります……(汗)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】、【感想】
などをいただければ、豆腐のようなメンタルで脆い
自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただければありがたいです‼︎
狂三と別れたあと、士道は十香を伴って、近所の
スーパーに夕食の材料を買いに行っていた。
ずしりと重いビニール袋を右手に引っ提げて、
もうだいぶ暗くなってしまった道を歩く。
「いやー、しかし今日はちょうどいいタイミングで
入れたな」
自然と顔が笑ってしまう。そう。ちょうどよく
タイムセールが始まったばかりの時間に店に入れた
ものだから、三割引きの合い挽き肉が大量に手に
入ったのだ。
「シドー! 今日の夕飯は一体、なんだ?
ハンバーグか?」
十香もここ数週間で、材料からメニューを推し量る
のに慣れたらしい。興奮気味に口を開いてくる。
『あ、私もそれに一票』
と、まだ通信の繋がっていたインカムから、琴里の声
も聞こえてくる。
士道は小さく肩をすくめると、にやにやと唇の端を
上げた。
「あー、どうすっかなあ。大根のそぼろ煮とか三食丼
って手もあるんだがなー」
「む、むう、まあそれも悪くないが、ハンバーグは
駄目なのか?」
『ちょっと何言ってるのよ。せっかく挽き肉が
いっぱいあるんだから、小出しにしないで一気に
使いなさいよ』
と、十香が眉を八の字にしながら言い、インカムから
琴里の声が響いたところで。
前方からざっ、と、スニーカーの底でアスファルトの
道を擦るような音が聞こえてきて、士道はふと顔を
そちらに向けた。
「ん……?」
そこには、ポニーテールに泣き黒子が特徴的な、
琴里と同年代くらいの女の子が、驚愕に目を見開き
ながら立っていた。
パーカーにキュロットスカートというラフな格好。
白いスニーカーには、なぜかついて間もないと
思われる赤い汚れが目立っていた。
「……?」
見知らぬ顔……のはずだが、士道は小さく首を
捻った。
なぜだろうか、妙な既視感があるというか……
どこかで会ったことがある気がしてならなかった。
と、そこで、少女が士道のいる方向をジッと見つめて
きているのに気づく。
士道は思わず、後ろを振り向いていた。何か少女の
ことを驚かせるようなものが、彼女の視線の先にある
のだろうかと思ったのだ。
だが──何もなかった。通い慣れた住宅街の道には、
規則的に並んだ電柱と、ネットのかかったゴミ捨て場
くらいしか見受けられない。
あとはそう、少女の視線の先にあるといえば、士道
くらいのもので──
と、士道がそこまで思案を巡らせたところで。
「に」
少女が、震える唇を動かした。
「に?」
士道が訊き返す。しかし少女は答えず、バッとその場
から駆け出すと、士道の胸に飛び込んできた。
「な……」
そのまま身体に手を回して、感極まったように
ぎゅぅぅ、と抱きついてくる。対象が士道、犯人が
この少女だからいいようなものの、もしも立場が逆
だったなら、警察沙汰は確実なそんな絵柄である。
……いや、もしかしたらこの状況でも、士道が捕まる
かもしれない。
だがそんな考えは、途中で妨害された。
少女が、士道の胸に顔を埋めながら、こう言ったのだ。
「──兄様……ッ‼︎」
『は……はぁっ⁉︎』
その瞬間、路上と〈フラクシナス〉艦橋で、五河兄妹
の声が見事なまでにシンクロした。
「おお、ここが兄様の住んでいる今のお家で
いやがりますかっ!」
五河家の前に辿り着くなり、少女が
には少し短いその髪をブンブンと振りながら、敬語に
なってるんだかよくわからない言葉を弾ませた。
自称・士道の妹。 名前は
胡散臭いことこの上ない少女であったが……路上で
突然士道に抱きついたあと、その場にへたり込み、
目に涙を浮かべながら自分がどれだけ士道に会いた
かったかを切々と語りだしたため、仕方なくここに
連れてきたのである。
無論、琴里にもとってある。というか──真那を
五河家に連れてこいと言ったのは、他ならぬ琴里
なのだ。
「む、しかし驚いたぞ。シドーにもう一人妹が
いるとは……」
と、十香が、真那をまじまじと見つめながら
言ってくる。
「いや……そんな記憶はないんだけどな」
「そうなのか? シドーによく似ていると
思うのだが……」
「当然です! 妹でいやがりますから!」
十香が言うのに真那が自信満々といった様子で
腕組みする。
だが真那はすぐにハッとした顔を作ると、複雑そうな
表示で十香と士道見てきた。
「……しかし兄様。真那はあまり関心しねーです」
「は? 何がだ……?」
「決まってやがります! 鳶一──じゃなくて、
ええと、ね、義姉様というものありながら、他の女性
との関係を持つなどと……」
真那がこほんと咳払いをしてから、頬を染めて
言ってくる。
「は──はぁっ⁉︎」
士道は目を剥いて叫びを上げた。
「? どうしやがりましたか」
「つっこみどころ多すぎるわ! まず何だって?
おまえ、折紙と知り合いなのか?」
「ええ、まあ。ひょんなことから」
誤魔化すように目を泳がせながら、真那が言って
くる。まあどこで接点を持ったのかは非常に気に
なったが、今はもっと気に留めねばならないこと
があった。
「それで……その義姉様ってのは一体なんだ……?」
「いや、私もその呼び方に抵抗がなくはねーの
ですが、将来的にそうなるからと……」
「そんな予定はないからな⁉︎」
「そ、そうなのですか……?」
真那は困惑気味に眉をひそめた。
「しかし、そうだとしても兄様の二股疑惑は……」
「ふたまた。なんだそれは?」
十香が首を傾げる。また不穏な言葉に食いついて
くれたものだった。
しかし士道が弁明しに入る前に、真那が十香に
向かって声を発した。
「単刀直入に訊きます。十香さんでしたね。あなたは
兄様とお付き合いしていやがられるのですか?」
「な……っ!」
士道は顔を赤くして二人の間に入った。
「な、何言ってやがんだ、そんなわけねえだろ!」
真那が、十香に訝しげな目を向ける。
「……十香さん? 兄様とデートなどをしやがった
ことは?」
と、真那が士道の脇から顔を出し、十香に質問を
投げた。
「おお、あるぞ!」
「…………」
真那が、じとーっとした目で士道を睨んでくる。
「い、いや、そのだな……」
嘘ではない分否定がしづらい。士道が顔中に汗を
浮かべて後ずさった
と、真那が頬を染めながら、恐る恐るといった
調子で、十香に再度質問する。
「十香さん。もしかして、ちゅーも既に……?」
「ちゅー?」
「き、キスのことです」
「ん、したぞ?」
「……っ‼︎」
十香があっけからんと答えると、真那が目をくわっと
見開いた。
「ふ、不潔ですっ!」
「お、落ち着けって……」
「まさか兄様がジゴロになっていようとは……!
真那はとても悲しいです! 矯正です! 矯正が
必要です!」
「シドー、ジゴロとはなんだ?」
十香がまたも、興味津々といった様子で問いかけて
くる。士道は「あー、もうッ!」と頭を掻きむしる
と、十香の背を押して隣のマンションの前に移動を
させた。
「ぬ? シドー、なぜ押すのだ?」
「話がややこしくなるから、とりあえず自分の部屋に
戻っててくれ! な⁉︎」
「むう、だがしかし」
「今日の夕飯はハンバーグにしてやっから!」
「おお、本当か⁉︎」
士道が言うと、十香は目を輝かせて、手を振りながら
マンションに駆けていった。
「シドー! 上に目玉焼きもだぞ!」
士道ははいはい、と手を振り、その背を見送った。
「……随分と女性のあしらい方に慣れていやがる
ようですね」
真那が半眼を作りながら士道にそう言ってくる。
士道は聞こえなかった振りをしながら、五河家の門を
くぐった。
そしてノブに手を掛け、玄関を開ける。すると──
「──おかえり、
玄関で待ちかまえていた私服の琴里(無論、リボンは黒のままである) が、妙に『おにーちゃん』の部分に力
を込めて言ってきた。
客をもてなすために、〈フラクシナス〉で先回りして
待機していたのである。
「お、おう……ただいま」
士道は言い知れぬプレッシャーに大量の汗を滲ませ
ながらも、小さく手を上げて返した。
「あら、そちらはどなた?」
定形通りの質問。まあ仕方あるまい。ずっと家にいた
(ということになっている)琴里が、先ほどの路上の
出来事を知っているのはおかしい。
「あ、ああ……ちょっとそこで出会ってな。
なんでも──」
と、士道の言葉の途中で、真那が先に進み出た。
「お家の方でいらっしゃいやがりますか⁉︎
うちの兄様がお世話になっていやがります!」
満面の笑みでそう言い、半ば無理矢理琴里の手を
取ってわっしわっしと握手を交わす。珍しく琴里が、
辟易気味に汗を垂らした。
「兄様? 士道が?」
「はい! 私、崇宮真那と申します!
兄様の妹です!」
琴里は鼻から息を吐き出すと、真那の手を払って
家の奥を示した。
「まあ、とりあえず入って。詳しい話聞かせて
ちょうだい」
「はい!」
真那が元気よく返事をして、琴里のあとについて
いった。
「………はあ」
なんだか厄介なことになりそうな気しかない。
小さく息を吐くと、二人のあとを追って靴を脱ぎ、
リビングに入っていく。
すると既にテーブルにはお茶とお菓子が用意され、
向かい合ったソファにそれぞれ琴里と真那が腰掛けて
いた。
琴里にあごで示され、真那の隣に腰掛ける。なんだか
三者面談のような格好になった。
「──さて、と。じゃあ話を聞きたいんだけど」
「はい!」
琴里の言葉に、真那が快活に返事をする。
「真那、ってたかしら。あなたは……自分が士道の妹
だっていうのよね?」
「その通りです」
真那が深々とうなずく。琴里は口にくわえていた
チュッパチャップスの棒ピンと立てながら、真那の
反応を窺うように言葉を続けた。
「私は五河琴里。──私も、士道の妹なのだけど」
「……?」
琴里の言葉に真那は一瞬首を傾げ──
「はっ……! ということはまさか、姉様……⁉︎」
「違うわっ!」
「あ、これは失礼。──ごめんね琴里。お姉ちゃん
てっきり」
「妹でもないわよ⁉︎」
琴里が、司令官モードは珍しく大声を発する。
士道が驚いて目をやると、琴里はこほんと咳払い
をした。
「いやはは、てっきり私の記憶にねー姉妹がいやがる
のか思いました」
「まったく……」
琴里がため息混じりに頭をかく。随分とまあ、ペース
を乱されているようだった。
「しかし……妹、ね」
琴里が、半眼を作って真那を睨め付ける。
普通に考えれば、突然、「私はあなたの妹だ」なんて
言われても信じられるはずがない。
だが士道に関しては、そんなことあり得ないとは
言い切れない事情があったのである。
少なくとも、士道には琴里以外の妹がいたという
記憶はない。
たが──実は士道は、この五河家の本当の息子では
ないのだ。
幼少の頃に、実の母親に捨てられて以来、この家の
子供として育てられた。
だから真那の言葉を、完全に嘘や妄言と断ずることが
できなかったのである。士道が覚えていないだけで、
真那が本当に血の繋がった妹だという可能性だって
なくはないのだから。
……まあ、それにしたって士道でさえ記憶が曖昧な
幼少期に離ればなれになったことを、より年下の真那
が覚えているというのも信じがたい話だが。
「ええと……真那。ちょっと質問いいか?」
「はい! 何でしょう、兄様!」
士道が声を掛けると、真那は心底嬉しそうに、
飛び上がらんばかりの勢いで答えた。すると琴里が
なぜか不機嫌そうに、フンと鼻を鳴らす。
「その……すまん、俺は君のことを覚えて
ないんだが……」
「無理もねーです」
真那が腕組みし、うんうんとうなずく。
士道はごくりと唾液を飲み下すと、もっとも気に
なっていることを口に出した。
「一つ訊きたいんだが──君のお母さんって……
今は」
そう。
もし真那が士道の実の妹だというのなら──それを
知っているはずなのである。
士道を捨てた、実の母。
だが──
「さあ」
真那は首を傾げるとあっけらかんとした調子で
そう言った。
「え……?」
士道は眉根を寄せた。──まさか、真那も士道
のあと、捨てられたということだろうか?
と、士道の表情から思考を推し量ったのか、真那が
首を横に振ってくる。
「あ、ちげーますちげーます。そういうこと
じゃなく──」
真那は恥ずかしそうに苦笑すると、手元に置かれた
紅茶を一口飲んでから言葉を続けた。
「私──実は昔の記憶がすぱっとねーんです」
「……なんですって?」
その言葉に、不審そうな色を濃くしたのは琴里
である。軽く姿勢を直して真那に向かい、再び
唇を開く。
「昔のって、一体どれぐらい?」
「そうですね、ここ二、三のことは覚えてやがる
んですが、それ以前はちょっと」
「二、三年って……じゃあなんで士道が自分の兄
だなんてわかるのよ」
琴里が問うと、真那が胸元から銀色のロケットを
取り出し、中に収められている、やたらと色あせた
写真を見せてくる。そこには、幼い士道と真那の姿が
あった。
「これ……俺か」
士道は驚きの声を上げた。しかし──琴里は怪訝
そうな顔を作る。
「ちょっと待ってよ。これ士道一〇歳くらい
じゃない? その頃にはもう、うちに来ていた
はずでしょ?」
「あ……そういえば」
言われて頬をかく。だがこの写真の男の子が士道
にしか見えないのもまた、事実だった。
「そうなのですか? 不思議なこともあるもの
ですねえ」
「不思議って……他人の空似なんじゃないの?
確かに……かなり似てはいるけども」
「いえ、間違いねーです。兄様は兄様です」
「……なんでそう言い切れるのよ」
琴里が問うと、真那は自信満々に胸をドンと叩いた。
「そこはそれ、
「………」
琴里は話にならない調子で肩をすくめ、はふぅと
吐息した。……なぜだろうか、少しだけ安堵している
ようにも見える。
しかし真那は、感慨深げに目を伏せて言葉を続けた。
「いや、自分でも驚いてやがるのです。本当に
びっくりしました。兄様を見たとき、こう、ビビッ
ときたのです」
「何それ。安い一目惚れじゃあるまいし」
「はっ、これは一目惚れでしたか。──琴里さん、
お兄さんを私にください」
「やるかッ!」
琴里は反射的に叫んだあと、ハッとした様子でわざと
らしく咳払いをした。
「とにかく、よ。そんな薄弱な理由で妹だなんて
言われても困るわ。第一、士道はもううちの家族
なの。それを今さら連れていこうだなんて──」
「そんなつもりはねーですよ?」
「え?」
あっけらかんと答えた真那に、琴里が目を丸くする。
「兄様を家族として受け入れてくれやがったこの家
の方々には、感謝の言葉もねーです。兄様が幸せに
暮らしているのなら、それだけで真那は満足です」
言って、真那がテーブルを超えて、再び琴里の手を
取る。
「む……」
琴里が、ばつが悪そうに口をへの字に結ぶ。
「ふん……何よ、一応わかっているみたいじゃない」
「ええ。──ぼんやりとした記憶ではありますが、
兄様がどうかへ行ってしまったことだけは覚えて
います。確かに寂しかったですが、それ以上に、
兄様がちゃんと元気でいるかどうかが不安でした。
──だから、今兄様がきちんと生活できていることが
わかってとても嬉しいです。こんなにも可愛らしい
言って、真那にっと笑う。琴里は頬を染め、居心地
悪そうに目を逸らした。
「な、何よ、そんなこと言ったって──」
「まあ、もちろん」
と、真那が琴里の言葉の途中で口を開く。
「実の妹には敵わねーですけども」
「…………」
瞬間、ぴきッ、と、空気にヒビが入るような音が
聞こえた気がした。
「お、おい、琴里……?」
士道が言うも、琴里には聞こえてはいないよう
だった。ピクピクと頬の筋肉を収縮させながら、
やたら引きつった笑みを浮かべている。
「へえ……そうかしら?」
「いや、そりゃそーでしょう。血に勝る縁は
ねーですから」
「でも、遠い親戚より近くの他人とも言うわよね」
琴里が言った瞬間、今度は終始にこやかだった真那の
こめかみがぴくりと動いた。
そして一拍おいたあと、真那が握っていた琴里の手を
放し、テーブルに手を突く。
「いやっはっは……でもまあほら? やっぱり最後の
最後は、血の分けた妹に落ち着きやがるというか。
三つ子の魂百までって言いやがりますし」
「……ぐ。ふ、ふん。でもやっぱりあれよね、義理で
あろうと、なんだかんだで一緒の時間を長く過ごして
いるのって大きいわよね」
「いやいや、でも結局他人は他人ですし。その点
実妹は血縁ですからね。血を分けてますからね!
まず妹指数の基準値が段違いですからね!」
真那が高らかに叫ぶ。妹指数。あまり聞いたことの
ない単語だった。
しかし、琴里は疑問を差し挟むふうもなく言葉を
返す。
「血縁血縁って、他に言う事はないの?
義理だろうが何だろうが、こっちは一〇年以上妹
やってんのよ! どっちが妹指数高いかだなんて
明白でしょうが!」
「笑止! 幼い頃に引き裂かれた最愛の兄妹が、
時を超えて再開する! 感動的じゃねーですか!
真の絆の前には、時間など関係ねーのですよ!」
「うっさい! 血縁がナンボのもんよ! 実妹じゃ
結婚だってできないじゃない!」
『え……?』
士道と真那の声がハモる。なんだか、おかしなことを
聞いた気がする。
琴里はハッと目を見開くと、頬を真っ赤に染め、
誤魔化すようにテーブルを叩いた。
「と、とにかくよ! 今の妹は私なの!」
「何を! 実の妹の方がつえーに決まって
いやがります!」
「強いって何よ、妹関係ないじゃない!」
「ま、まあ落ち着けって、二人とも」
士道が頬に汗を滲ませながら二人をなだめようと
すると、琴里と真那は同時にバッ! と士道に顔
を向けてきた。
「士道、あなたは!」
「実妹、義妹、どっち派でいやがるのですか⁉︎」
「え、ええッ⁉︎」
突然予想外の問いを振られ、情けない声を発する。
「い、いや……どっち派って……」
『…………』
琴里と真那が、じーっと見つめてくる。どちらを
選んでもろくなことになりそうにないのは容易く
知れた。どうか話題を逸らすべく、思考を巡らせる。
「! そ、そうだ、真那」
「はい?」
ポンと手を打って声をかけると、真那がキョトンと
した様子で首を傾げた。
「おまえ、昔の記憶がないって言ってたよな」
「ええ、そうですが」
「じゃあ、今どこに住んでるんだ? 家族と暮らして
いるってわけでもないんだろ?」
「あー……っと」
と、そこで初めて、ハキハキとした受け答えを
していた真那が口を濁した。
「ま、まあ、ちょっと、いろいろありやがるんです」
「いろいろって……」
「えーと……ですね。こう特殊な全寮制の職場で
働いているというか……」
「職場……? 真那、今、歳はいくつだ?
琴里と同じくらいじゃないのか? 学校は?」
まあ琴里は琴里で秘匿組織の司令官なんぞをやって
いるわけだが……ちゃんと学校にも行っている。
真那は気まずそうに目を泳がせた。
「そ、そう……えーと……ま、またお邪魔させて
もらいますっ!」
「へ……? ちょ、待っ──」
真那はそう言うと、士道の制止も聞かず、脱兎の如く
去っていった。
「な……なんだったんだ、一体……」
頬をかき、真那が消えた扉を呆然と眺める。
と、そんな士道の横で、向かいの席から立った
琴里が、なぜか真那の使っていたティーカップを
回収していた。
翌日。キーンコーンカーンコーン、と聞き慣れた
チャイムが鼓膜を震わせる。
時計の針は八時三〇分を示していた。朝のホーム
ルームの開始時刻である。辺りで談笑していた他の
クラスメートたちがわらわらと席に着き始めていく。
「……あれ?」
そんな中。早めに席に着いていた士道は小さく首を
傾げた。
チャイムが鳴ったというのに、狂三の姿が教室に
なかったのである。
十香も同じことを思ったのだろう、キョロキョロと
辺りを見回している。
「むう、狂三のやつ、転校二日目で遅刻とは」
と、十香がそう言うと、
「──来ない」
士道の左隣から、そんな静かな声が響いてきた。
折紙が、視線だけを十香に向けて唇を開いている。
「ぬ? どういう意味だ?」
「そのままの意味。時崎狂三は、もう、学校には
来ない」
「え? それって──」
士道が言いかけたところで、ガラッと教室の扉が
開き、出席簿を両手で抱えるように持ったタマちゃん
教諭が入ってきた。すぐさま学級委員が、起立と礼の
号令をかける。
「おっと……」
折紙の言っていたことは気にかかったが、号令を無視
するわけにもいかない。士道は皆と一緒に一緒に礼を
してから着席した。
「はい、皆さんおはよぉございます。じゃあ出席を
取りますね」
言ってタマちゃんが出席簿を開き、生徒の名前を
順に読み上げていく。
「時崎さーん」
そしてタマちゃんが、狂三の苗字を呼んだ。
だが、返事はない。
「あれ、時崎さんお休みですか? もうっ、欠席する
ときにはちゃんと連絡を入れてくださいって言って
おいたのに」
タマちゃんが、ぷんすか! と頬を膨らませながら、
出席簿にペンを走らせようとする。
と、その瞬間。
「──はい」
教室の後方から、よく通る声が響いた。
「狂三?」
後ろを向き、目を見開く。そう、教室後部の扉を
静かに開き、そこに立っていたのは、穏やかな笑み
を浮かべながら小さく手を挙げた狂三だった。
「もう、時崎さん。遅刻ですよ」
「申し訳ありませんわ。登校中に少し気分が悪く
なってしまいましたの」
「え? だ、大丈夫ですか? 保健室に
行きます……?」
「いえ、今はもう大丈夫ですわ。ご心配おかけして
すみません」
狂三はぺこりと頭を下げると、軽やかな足取りで
自分の席に歩いていった。
「なんだ……ちゃんと来たじゃねえか」
ほうと息を吐き、何やら不穏なことを言っていた
折紙の方に視線を向ける。
「え……?」
士道は訝しげに眉をひそめた。
折紙が微かに眉根を寄せ、狂三のことを凝視していた
のである。
表情にそこまで劇的な変化があるわけではない。
だが──なぜか士道にはなんとなくわかった。
今、折紙は、間違いなく驚愕している。
「折……紙?」
士道が、小さな声でその名を呼ぶ。
折紙は微かに指先を揺らすと、狂三からふっと
視線を外した。
「──はい、じゃあ連絡事項は以上です」
ほどなくして、タマちゃんがホームルームを終えて
教室を出て行く。
と、その瞬間、ポケットに入れていた携帯電話が
軽快な着信音を響かせ始めた。なんともきわどい
タイミングである。あと一〇秒早かったら没収
されていたかもしれない。
画面を見る。そこには五河琴里の名が表示されて
いた。
「もしもし? 琴里か?」
『──ええ、士道』
「どうしたよ、こんな時間に。あと一〇秒早かったら
ヤバかったぞ」
『あら? 学校ではマナーモードにしろって、
私の優秀な兄が言っていたのだけれど』
「ぐ……」
『まあいいわ。……そんなことより士道、嫌な事態に
なったわ。控えめに言って最悪よ』
琴里らしくない苦々しい語調に、士道は唾液を
飲み込んだ。
「っ、何かあったのか……?」
『ええ。……困ったことになったわね。
まさかこんなことが現実に起こり得るだなんて』
もったいぶった言い方に、緊張感が高まる。士道は
声をひそめるように通話口を覆い隠しながら続けた。
「……一体、何があったんだ」
『ええ、実は──』
と、そこで士道の肩がつつかれた。狂三が、不思議
そうな顔で首を傾げている。
「何をなさっていますの、士道さん」
「……っ! あ、ああ……ちょっと電話をな。
少し待ってもらっていいか?」
士道が言うと狂三は大仰な動作で驚きを表現した
あと、ぺこりと頭を下げていた。
「これは失礼しましたわ。お邪魔をするつもりは
なかったのですけれど」
「ああ……大丈夫だよ。気にしないでくれ」
士道は余裕のない笑みでそう言うと、再び通話口に
意識を集中させた。
「──それで、琴里? 一体何が──」
「ちょっと待って士道。今……誰と話していたの?」
「え、誰って……?」
不意に深刻そうな声を発した琴里に、問い返す。
『だから、今、あなた近くにいる誰かと会話をした
でしょう。その相手が誰かを訊いてるのよ。十香?
鳶一折紙? 十六夜零? それとも殿町宏人?』
まるで罪人を咎めるような感でまくし立てる琴里に、
不満げな声を発する。
「な、なんだよ。そんなにも怒るこたねえじゃねえ
かよ。少し話しかけられただけだって」
『いいから、答えなさい』
有無を言わさぬ調子で、琴里が言ってくる。
士道はふうと息を吐くとその名を口にした。
「狂三だよ」
すると、琴里は急に無言になった。
「琴里? どうしたんだよ」
意味がわからず、問う。
琴里は何やら電話の向こうで誰かと会話を交わした
あと、言葉を続けてきた。
『士道。昼休みになったらすぐに物理準備室へ
向かって。見せたいものがあるわ』
「物理準備室……? なんでまた」
『いいから、絶対に来なさい』
そこまで言うと、琴里は士道の返答も聞かずに
電話を切った。
「な、なんだよ一体……」
士道は首を傾げると、ぼやくように呟いた。
午後一二時二〇分。四限目の授業の終了を告げる
チャイムが鳴る。
生徒たちは礼が済むと、先生が教室を去るよりも
早く、昼食の準備を始めていった。
無論、十香も例外ではない。待ってましたと言わん
ばかり目をキラキラ輝かせ、机をドッキングさせる。
「シドー! 昼餉にしよう!」
言って、ランチバックから弁当箱を取り出す。
と──そこで士道は首をひねった。
いつもなら左方からも机が迫ってきて、三体合体に
なっているのだが……今日は折紙が机を動かして
いなかったのだった。
不思議に思ってそちらに目をやる。折紙は難しげな
顔で、ジッと手元を見つめていた。
「……?」
気になることは気になったが、別に昼食をいつ摂るか
なんてのは折紙の自由である。士道は鞄から弁当箱を
取り出そうとし──そこで手を止めた。
「あ……そうだ」
そういえば、昼休みに物理準備室に行くように
言われていた。細かい時間までは指定されていない
ものの……琴里のことだ。遅れたら何らかしらの
ペナルティがありそうな気がする。
「ごめん、十香。ちょっと俺今日は行くところが
あるんだ」
「ぬ?」
既に弁当箱の蓋に手をかけていた十香が、きょとんと
した顔を向けてくる。
「どこに行くのだ? 私も行くぞ!」
「あー……」
士道は気まずげに頬をかいた。琴里が物理準備室
にすぐに来いということは、まあまず間違いなく
〈ラタトスク〉絡みだろう。十香に聞かせても
よい話ばかりが出るとは限らなかった。
「悪い。ちょっと今日は駄目なんだ。先に弁当を
食べててくれ。な?」
手を合わせてそう言い、士道は廊下へ向かって
足を動かした。
「あ! シドー……」
背後に、寂しげな十香のそんな声が聞こえてくる。
なんだかすごい罪悪感。士道は小さく首を振ると、
廊下へ出て行った。
そのまま校舎を上がって物理準備室へ辿り着く。
扉をノックすると、まるでその場で待ち構えていた
かのように扉がガラッと開いた。
「──遅い」
中学校の制服を着た琴里が、不満をさえずるように
唇を突き出しながら顔を出す。
「嘘だろ。弁当も食わねえで来たんだぞ」
「いいから、早く入りなさい。時間が惜しいわ」
琴里はそう言うとあごをしゃくり、士道を部屋の
中へ誘い入れた。
と、そこで琴里の胸にいつもの来賓許可証がない
ことに気づく。よく見ると、足下の来賓用のスリッパ
ではなく中学校の上履きだった。
「なんだ、今日は黙って入ってきたのか」
「そりゃあね。放課後ならまだしも、こんな時間に
中学生が高校にいちゃいけないでしょ」
「ああ、そりゃそうか」
士道は得心がいったようにうなずくと、物理準備室の
奥へと顔を向けた。
部屋の最奥ににある回転椅子には、既に予想通りの
人物の人生が座っている。〈ラタトスク〉
都立
「……ん、来たね、シン」
いつものように名前と何ら関わりのないあだ名で
士道を呼び(なんかもう訂正するのも疲れてきた)、
令音が自分の隣の椅子を指す。きっと、そこに座れ
ということだろう。
士道はその指示に従うと、椅子に腰掛けた。
次いで琴里が、士道を挟むようにその隣に腰を落ち
着ける。……二ヶ月前のギャルゲー訓練と完全に
同じ配置だった。なんか嫌な記憶が呼び起こされる。
「……それで、見せたいものって?」
士道が問うと、琴里が机の上に置かれたディスプレイ
を示した。
それに合わせて令音が手元のマウスを操作すると、
画面にとある映像が映し出された。
カラフルな色の髪をした美少女たちが順々に現れ、
画面上部に、『
「続編……ッ⁉︎」
「……ああ、間違えた。こっちだ」
士道が戦慄に身を震わせると、令音が再びマウスを
操作した。パッと画面が暗転する。
「ちょッ、ちょっと待ってください! 何ですか
今のは!」
「細かいことを気にしてるとハゲるわよ、士道」
はふう、と面倒そうに息を吐きながら答えたのは
琴里だった。
「細かくねえ! もうギャルゲー訓練はたくさん
だからな⁉︎ 大体──」
と、そこで士道は声を止めた。暗転した画面に、
別の映像が映し出されたのだ。
──狭い路地裏に、なぜか狂三と、ポニーテールの
女の子が向かい合って立っている。
「ん? これって……真那?」
そう、その映像に映っている少女は、狂三と真那
だった。
「ええ、昨日の映像よ。──周りをよく見て」
「な……っ」
士道は眉をひそめた。その何の変哲もない住宅街の
一角に、機械の鎧を纏った人間たちが、幾人も確認
できたのだから。
「AS……T?」
半ば呆然とのどを絞る。
AST。対精霊部隊。精霊を、人類に仇なす危険生物
を絶滅させるために機械の鎧を纏った超人たち。
幾度も目にしたその姿を見間違えるはずはなかった。
画面の端には、士道のクラスメートである鳶一折紙
の姿もある。
そしてそれら全員が、全身に仰々しいそんな武器を
装着していた。そう── まるで、空間震を伴って精霊が現界した際のように。
「ええ。── なぜか昨日、急にASTの反応が現れた
らしいの。クルーの一人が念のためカメラを飛ばして
みたらしいんだけど── 確認して驚いたわ」
琴里が足を組み替えながら首肯する。
「な、なんでASTが……」
「そりゃあ、精霊がいるからでしょうよ」
事も無げに言う琴里に、士道はごくりと唾液を
飲み込んだ。
「って言ったって……空間震は起こってないぞ。
周りの住民も避難してないじゃないか。もし精霊が
暴れたら──」
「……まあ、暴れる前に仕留める自信があった
んだろう」
「……っ」
令音の言葉に、士道は息を詰まらせた。
だが──それにしたってわからないことは
残っている。
そう。なぜかそこに立っている、士道の妹を自称する
少女・崇宮真那の存在だ。
「な、なんで真那が──」
士道が言いかけた次の瞬間。真那の身体が淡く輝いた
かと思うと、その全身に、白い機械の鎧が出現した。
「な……っ」
他のAST隊員のものとは少し形が違うが、間違いなく
ワイヤリングスーツである。
そしてそれに応ずるように狂三が両手をバッと
広げると、足下の影が狂三の身体を這い上がり、
ドレスを形成していった。
頭部を覆うヘッドドレス。胴部をきつく締め上げる
コルセットに、装飾過多なフリルとレースで飾られた
スカート。それら全てが、深い闇を思わせる黒と、
血のように赤い光の
そして最後に、なせか左右不平均等に髪を括られて
いった。
まるで── 時計の長針と短針のように。
「霊、装……」
士道は唖然と声を発した。
霊装。精霊が持つ絶対なる領地にして城。
精霊を守る神威の膜である
狂三が、右手を頭上に掲げる。すると再び影が彼女の
身体を這い上がり、右手に収束しちたいった。
が、そこで、狂三の身体が宙に舞った。
「え──?」
画面の中で起こったことが理解できず、間の抜けた
声を発する。
だが一瞬あと、士道は理解した。
真那が両肩のユニットから光の線を放ち、狂三の腹
を撃ち抜いたのだと。
──狂三が、身を震わせる。
でも、なぜだろうか。それは恐怖に怯えていると
いうよりも甲高い哄笑を上げているいるかのよう
だった。
あとは、数秒で片がついた。
狂三は反撃をしようとアクションを起こすのだが、
それを先んじて、真那の攻撃が狂三の身体に突き
刺さる。
そのたび、さして広くない路地に、真っ赤な血が
撒かれた。
そして──地面の上に仰向けに横たわり、完全に
動かなくなった狂三の首に、真那が光の刃を突き
立てる。
真那に攻撃を加える間さえなく。
狂三の命は、摘み取られた。
「ぐ……ッ」
思わず顔を押さえ、目を背ける。
あまりにも現実的ではないその光景ゆえに、実感が
伴うのが少々遅れたのだろか。真那が真那が狂三を
解体し終えた頃、ようやく士道はのどの奥に嘔吐感
を覚えた。
歯の根がガチガチと鳴って、寒くもないのに身体が
震える。
人が──厳密には人ではないとはいえ、外見は人と
変わらない存在が、殺される。
映像とはいえ、そんな光景を目にしたのだ。
士道の反応を咎められる者はいないだろう。
──画面の中の真那が、一仕事終えたといった調子で
首を回す。するとその身に纏っていたCR-ユニットが
消え去り、先ほどまでの装いに戻った。
士道は眉をひそめた。途方もない違和感。
臭いも感触もない画面越しのこの光景を見ている
士道でさえこんな有り様だというのに、当事者である
真那は、今自分がしたことに何の感慨も覚えていない
ように見えたのである。
罪悪感も。
焦燥感も。
絶望感も。
それどころか──達成感さえも。
ひどく事務的な作業。一言で言うなら──
幾度も繰り返した作業をなぞるだけ。それくらい、
真那は狂三の死に無関心だった。
「こ、これって……」
一分ほどかけてどうにか吐き気を抑え込み、士道は
声を発した。
「……見ての通りだ。昨日、時崎狂三はAST・
崇宮真那に殺害された。重傷とか、瀕死とかでは
なく、完全に、完璧に、一分の疑いを抱くそんな
余地もなく、その存在を消し潰された」
「そ、そんな──」
だが、士道にその言葉の先を継ぐことはなかった。
だって今、自分の目で見たばかりなのである。
狂三が、どうあっても助からないくらいに殺し
尽くされ──
そこで。士道はハッと肩を揺らした。
ショッキングな映像に気を取られて失念していた。
この映像には明らかな矛盾がある。
「でも狂三は今日、普通に学校に……」
士道が言うと、令音と琴里はまったく同じタイミング
で腕組みした。
「……そう。我々もそこがわからないんだ」
「士道が狂三と話してるって聞いたときは、とうとう
幻覚でも見え始めたのかと思ったわ」
琴里が、冗談めかすように言いながら肩をすくめる。
だが士道には、それに反応を示す余裕もなかった。
必死に考えを巡らせ、唇を開く。
「あの状態から……蘇生したってことか?」
ちらと映像を見やる。ちょうど、AST隊員たちが
狂三の遺体の血痕の処理を始めているところだった。
その中にいる折紙の姿を見て、ようやく今朝の彼女
の反応の意味を知る。
驚くのも当然である。昨日目前で死んだ少女が、
平然と現れたのだから。
「どうでしょうね。──現段階では何とも
言えないわね」
「そう……か」
未だ先ほどの映像が脳裏にちらついているものの、
どうにか呼吸と心拍は落ち着いてきた。膝の上で
拳の形になっていた手を解きながら、言葉を
吐き出す。
するとそれを合わせるよりに、琴里が足を組み
替えた。
「──でもまあ、何にせよ」
言いながら腕を解き、右手の指をビシッと士道に
突きつけてくる。
「狂三が生きている以上、作戦は続行よ。確か明日
って士道の学校、開校記念日でお休みだったわよね?
だったら今日中に、狂三をデートに誘いなさい。
かなりぐいぐい来てるし、運が良ければこの一回で
力を封印できるかもしれないわ」
「……は?」
士道は、目を点にしてのどを絞った。
「い、いや、こんなことが起こったのにそんな──」
「シャラップ」
士道の講義の声は、途中で琴里に遮られた。
「こんなことが起こったから、よ。さっき言った
通り、狂三の能力は〈アテナ〉同様に解明されて
ないわ。もしこれが、なんらかの条件に関わる
蘇生や、あのとき限りの奇跡だった場合──
次に殺されたらアウトっていう可能性も十分ある」
「う……っ」
確かにその通りである。今回こそ狂三は無事
(というのもおかしいかもしれないが)だったが、
次もまた生き返るかはわからない。
「だから、できるだけ早いうちに手を打たないと
いけないのよ。狂三の存命は鳶一折紙に知られて
いるわ。もうASTにも伝わっているでしょう。
──もちろん、崇宮真那にも」
その名を出されて、士道は顔をしかめた。
先ほどの光景が思い起こされる。昨日会ったばかり
とはいえ、自分の妹を自称する少女が、あんなにも
無感動に、慣れた調子で狂三を殺すのは──
たまらなく、嫌だった。
「……了解。やってみる」
次に狂三が殺される前に。
次に真那が殺す前に。
「──狂三を、デレさせる」
それは重い決意のはずだったのだけれど、言葉に
するとやはり間抜けなのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも皆さんが『応援』をしていただければ、
『更新』の頻度が更に上がるそんな可能性がある
かもしれません‼︎
自分的にはかなり難しかった件について……(汗)
『他の投稿作品』もあるので、是非ともそちらも
楽しんで見ていただければありがたいです‼︎
【報告】
『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』の
『最新話』を投稿しています。それとですが近い
うちに『東方墨染ノ残花』の『最新話』をする
予定ですので是非ともよろしくお願いします。
十香と士道が出会う前の四月九日の話を書いた方がいいか
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書くべき
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書かなくていい
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どっちでもいい