なんとかすぐに『最新話』を無事に更新をすることが
できました‼︎
今回は『11315文字』まで頑張って書きましたが、
豆腐のようなクソナメクジメンタルの自分はきちんと
面白く書けているのかとても心配になります……(汗)
少なくて本当にすみません……(笑)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】、【感想】
などいただければ、豆腐のようなそのメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます。
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただければありがたいです‼︎
『デート・ア・ライブ0』も更新をしていますので
是非そちらも見ていただければありがたいです‼︎
【報告】がありますので、そちらが気になる方は
下の方に書いてありますので見てください。
次回の更新は『新年度』の予定となりますので
よろしくお願いします‼︎
時穿つ炎
何の比喩ではない。時刻は一七時、傾き始めたとは
いえ、未だ太陽は空に輝いている。加え、彼の恒星と
地上の間に、光を隔てる雲を見ることもできない。
だというのに、五河士道がいるその場所は、まるで
そこだけが辺りの景色から切り取られかのように、
薄暗い色が蟠っている。
今ならばわかる。──それは。士道たちが世界を殺す
厄災の大きく開けられた口の上に立っていることを
示しているのだと。
影の主の気まぐれか心変わりなのか、あとはまあ、
不慮の過失。そんなもの一つで容易く存在を食い尽く
されてしまいかねない危険をはらんだ領域なのだと。
「……ッ」
そんな世界と隔絶された空間の中で。士道は目を
見開き、息を詰まらせていた。
身動きはおろか、身じろぎ一つさえできない。
否、それどころか、言葉を発することさえ困難
だった。
理由は至極単純。士道は今、幾人もの少女に手を、
足を身体を拘束され、そのまま地面にうつ伏せに
押さえつけられていたのだ。ご丁寧に口の中には
細い指が差し込まれ、あごと舌までもしっかりと
固定されている。
──明らかに、異様な光景だった。
屋上を埋め尽くす幾人もの黒衣の少女。
それらが全て、全く同じ貌をしていたのである。
左右不均等に結われた黒髪に、ともすれば病的にさえ
見える生白い肌。そして──文字盤と長身と単身針の
ある、時計のような左目。
その少女たちは全員が、一分の狂いなく『
その人であった。
辺りには、十香と折紙の姿も見える。二人とも士道と
同じように幾人もの狂三に取り押えられて、苦しげに
顔を歪めていた。
士道の位置からは見取ることができないが、先ほど
撃ち落とされた真那もまた、狂三の壁の向こうにいる
はずである。
絶対絶命。こちらの戦力は完全に無力化している上、
圧倒的なまでの兵力差がそこにのし掛かっていた。
──だが。
「……ぁ」
そんな状況の中、士道は全く違う別のモノに
目を奪われていた。
舌を指で挟み込まれる中で、どうにかのどから
言葉にならない声だけを絞り出す。
狂三が片手を高く掲げ、空間震を起こそうとした
その瞬間。
届かない影の領域を照らすかのごとく、空には突如
として、濃密な炎の塊が出現したのである。
それだけでも士道の目を釘付けをするにはとても
十分だった。
だが……その焔の正体を認識した瞬間、士道の脳幹に
電流を流れたかのような衝撃を覚えた。視界には花火
が激しく散り、鋭いその痛みが頭の奥底に生まれる。
まるで視覚が得た致命的な情報を、脳が拒絶でもする
かのような感覚だった。
小さな少女が、身体の周囲に焔を纏わせながら
空に立っていたのである。
袖が半ばから揺らめく火焔に変貌した、白い和装。
天女の羽衣のごとく身体に絡みついた炎熱の帯。
そして、側頭部より伸びた、二本の無機的な角。
その姿。その力。それら全てが、少女がただの人間
ではないことを、如実に表していた。
──
士道の知識の中には、それ以外に、少女を示す言葉は
なかった。
否──正確に言うのであればもう一つだけ。
彼女のことを一言で表す名を、士道は知っていた。
「
舌を動かせない状態で、その名を発する。
琴里。五河琴里。何年もの時を共に過ごした少女の顔
を見間違えるはずはない。
その精霊は、どこからどう見ても士道の妹──
琴里だった。
「っ……
意味がわからず、士道は眉根を寄せた。琴里は士道の
大切な妹。当然のごとく人間である。精霊であるはず
などがない。
だが、今視界に展開された光景が、その思考を全て
真っ向から否定していた。
そして、それだけではない。
士道は必死に否定をしながらも……どこかでこの琴里
の姿を見たことがある気がしていたのである。記憶に
靄がかかってはっきりとは思い出せないが、琴里を
目にした瞬間、頭の中で何かが弾けるような感覚が
襲ってきたのだ。そう、確か、これは──
「……どォなたですのォ?」
と、そんな士道の思考を遮るように、不意に前方から
声が響いた。
巨大な時計を背にし、右手に歩兵銃、左手に短銃を
握った狂三が、不機嫌そうに眉を歪めながら上空の
琴里を睨んでいる。
「邪魔をしないでいただけませんこと? せっかく
いいところでしたのに」
「悪いけれど、そういうわけにはいかないわね。
あなたは少しやりすぎたわ。───
愛のお仕置きタイム開始よ」
右手に出現させたその巨大な戦斧を肩に担ぐように
しながら、琴里が鼻を鳴らす。
狂三は琴里のその言葉がさぞ予想外だっただろう、
しばしキョトンと目を丸くしていたのだがすぐに
堪えきれないといった様子で哄笑をのどの奥から
漏らした。
「く、くひひひ、ひひひひひひひッ……面白い方
ですわねぇ。お仕置き、ですの? あなたが?
わたくしをォ?」
「ええ。お尻ペンペンをされたくなかったら、
琴里が言うと、狂三はさらに可笑しそうに嗤った。
周囲立ち並んだ無数の狂三たちも、それに合わせる
ようにけたけた身を捩る。
「ひひひ、ひひ。随分とご自分の力に自信がおありの
ようですけど、過信は自身の身を滅ぼしますわよォ?
わたくしの〈
「
琴里が面倒そうに息を吐くと、楽しげに笑っていた
狂三の頬がぴくりと動いた。
屋上中に展開した無数の狂三が、一斉にぎろりと上空
の琴里を睨め付ける。
そしてそれと同時に、前方から苦悶の声響いてきた。
どうやら十香と折紙が狂三の分身体に延髄を撃たれ、
気絶させたらしい。
「上等ですわ。一瞬で食い尽くして ───
差し上げましてよォッ!」
狂三がのどを震わせる。瞬間、屋上を埋め尽くしてた
狂三の分身体は一斉に足を縮め、空高く跳躍して琴里
に迫った。
空に向かって放たれる、無数の黒いシルエット。
それは突進とか突撃というよりも、無慈悲な機銃掃射
や散弾銃の連射と言った方が適当に思えた。圧倒的な
物量で相手を圧殺する暴虐なる数の悪魔。人間大な
弾頭が、次々と琴里に迫る。
「──ふん」
しかし琴里は鬱陶しげに鼻を鳴らすと、担いでいた
戦斧をゆっくりと持ち上げた。
琴里の身の丈を優に超えるその漆黒の棍の先端に、
空気を焦がす焔が蟠って、刃の形を作っている。
それは琴里の動作に合わせて赤い軌跡を残しながら、
さらにその輝きを増した。
「──〈
そして狂三の大群が目の前にまで迫ったその瞬間、
琴里は静かに言葉を発し、焔の戦斧を凄まじい勢いで
前方に振り抜いた。風を薙ぐ音が、士道のところに
まで響いてくる。
「あッははははは! 無ゥ駄ですわよう!」
それに応ずるように、狂三がまたも哄笑を上げた。
如何に巨大な戦斧とはいえ、全方位から迫った何人
もの狂三たちを薙ぎ払うことなどできるはずがない。
前方の数体を屠ったところで、一瞬あとには他の狂三
に噛み付かれてしまうであろうことはそう想像に難く
なかった。
だが。
「きひひ──ひィ……?」
不意に、狂三の笑みが歪んだ。
琴里が〈
生えた焔の刃が揺らめき──それと同時に、狂三に
迫ってた無数の狂三の首が、あるいは腕が、あるいは
その上半身そのものが。一斉に宙に躍ったある。
『ぁ、ぇ……?』
幾人もの狂三が切り離された自分の部品を見つめて、
呆然と発する。次の瞬間にはそれら全てがその炎に
包まれ、地に触れる前に燃え尽きた。
「…………」
琴里が無言で視線を下に─── 士道の方へと視線を
落とし、もう一度〈
のようにのたうち、士道に群がっていた狂三たちの
身体を切り裂いていった。
凄まじい断末魔とともに、身体にかかっていた負荷が
消え去る。
「──っ」
士道は口の中に差し入れられた指を吐き出すと、
幾度か咳き込んだ。
次いで〈
身体が、先ほどと同様に炎に包まれる。
「ぅ熱っつ……」
士道は慌てて身を起こすと、制服に落ちた火の粉を
バンバンとはたき落とした。
と、そんな士道と狂三の間に、空からゆっくりと琴里
が降り立ち、狂三に向かって〈
── まるで、士道を守るかのように。
「こ、琴里……これは一体── 」
「大人しくしてなさい、士道。可能ならば狂三の隙を
衝いてこの場から逃げて。今のあなたは── 簡単に死んじゃうんだから」
「は……? それってどういう……」
しかし士道の問いは、前方から響いた狂三の哄笑に
よって掻き消された。
「ひひ、ひひひひひひひひひ……ッ!
やるじゃありませんの」
銃を握った狂三が眉を撥ね上げ、唇を端を歪める。
「でェもォ、まさかこれで終わりだなんて思っては
おられませんわよねえ?」
言って、狂三が巨大な文字盤の前で二丁の銃を構えて
みせる。
士道は息を詰まらせた。そうだ。狂三にはまだあの
天使── 時を操る〈
「琴里、気をつけろ、あれは……!」
「ふふッ、士道さん、無粋な真似はよしてください
── ましッ!」
言うと狂三は〈
漏れ出た影を装填したその短銃で、自分のこめかみ
を撃った。
瞬間、狂三の姿が霞のように掻き消えた。
と、その動作と同時に琴里が〈
頭の上にやった。すぐに、その位置から甲高いそんな
音が鳴り、微かに〈
先刻── 狂三と真那が戦っていたときも見た光景だ。
〈
である。
影すら追いつかないような速度で、狂三が幾度も琴里
に猛襲を仕掛ける。
しかし琴里の〈
蠢かせると、目にも止まらぬそんな攻撃をことごとく
防いだ。
「あッはははははは! とても素晴らしいですわ!
素晴らしいですわ! さすがは天使を顕現させた
精霊──ッ! 高鳴りますわ、高鳴りますわッ!」
「ふん……! 鬱陶しいわね。あなたもレディなら、
少しは落ち着きを持ったらどう?」
棍を薙ぐように振り抜いて、琴里がそう言う。そこで
ようやく士道の目に、〈
狂三の姿が見えた。
空中に躍った狂三は不安定な姿勢のままけたけたと
笑うと、銃を構え、叫び声を上げる。
「ご忠告痛み入りますわ。ではご要望にお応えして、
わたくしも淑やかに殺らせていただくとしましょう。
〈
すると、〈
狂三の銃口に吸い込まれっていった。
そして狂三が引き金を引くと同時、漆黒の弾丸が軌跡
を描きながら琴里に迫る。
姿勢、速度、距離、どれを見てもわかせるような一撃
ではないが、琴里の〈
焔の刃で撃ち落とした。
「琴里!」
が──駄目だ。士道は思わず叫んでいた。
【
最悪の一撃である。
防ごうと打ち落とそうと関係ない。その弾に触れた
瞬間に──
「ふふ、はははははははッ!」
狂三の笑い声とともに、琴里の身体がぴくりとも
動かなくなった。
手足はもとより、幻想的に揺らめいていた霊装の袖や
〈
その場制止してしまっている。
「ふふふッ、如何な力を持っていようとも、止めて
しまえば意味がありませんわよ?」
狂三が言うと同時、周囲に残っていた無数の狂三が
一斉に銃を構え、琴里に向かって引き金を引いた。
「やめ──」
士道の制止が間に合うはずもない。狂三たちの放った
弾丸は無慈悲に琴里に吸い込まれていった。その彼女
の柔肌に、痛々しい銃痕が刻まれていく。
「それでは、ごきげんよう」
そして最後に【
に立ち、琴里の眉間に銃口を押し当てて、何の逡巡も
なく引き金を引いた。
次の瞬間、琴里の身体が動き取り戻す。
「……ッ!」
琴里の全身に刻まれた傷から、一斉に血が噴き出す。
だが琴里には、それに反応を示す暇さえも与えられは
しなかった。最も至近距離から放たれた最後の一撃を
眉間にに受け、小さな身体を仰向けにその場に倒す。
「琴里……ッ‼︎」
悲鳴じみた声を上げてその場に駆け寄り、倒れた琴里
の身体を起こそうとする。
だが、できなかった。全身を狂三の弾丸で穿たれ、
夥しい量の血の海に沈んだ琴里は、触れるだけで
崩れてしまうのではないかと思えるほどにぼろぼろ
になったのである。
生存の望みなど一縷とてない惨状。士道は妹の変わり
果てた姿に呆然と手を突いた。
「あ、あ……」
「うふふ、ふふふふふふッ、ああ、ああ、終わって
しまいましたわ。せっかく見えた強敵でしたのに。
無情ですわ。無常ですわ」
狂三が、芝居がかった調子でくるくると回りながら、
可笑しそうに嗤う。
「さあ、さあ今度こそ士道さんの番ですわ。
わたくしに──」
と、そこで狂三は言葉を止めた。
訝しげな顔をして、視線を仰向けに倒れた琴里の方へ
向けて見つめている。
狂三の視線を追って琴里を見やり、士道もまた、
目を見開いた。
「こ、れは──」
呆然と、声を漏らす。琴里の身体に刻まれたその無数
の銃痕から
広がっていたのである。
この光景には見覚えがあった。否、正しく言うので
あれば──体感したことが、あった。
「……まったく。派手にやってくれたわね」
踵を支点にするように、ぐん、と琴里が不自然極まる
動作で身を起こす。
焔が通ったあとには、傷も、血のあとも、霊装の綻び
さえも、一切がなくなっていた。
一瞬前まで瀕死の重症を負っていたとは思えない。
今攻撃を受けたのが士道の錯覚だったのではないかと
思ってしまうくらいに平然と、頭を数度左右に倒して
みせる。
「な──」
さすがにこれには驚いたらしい。狂三が一歩後ずさり
ながら眉を歪める。
それに気がついたのか、琴里が〈
直して、狂三を睨み付けた。
「私としては、あなたが恐れ
くれるのがベストなのだけど」
「……ふん、戯れないでくださいま──しッ!」
狂三が身を反らし、両手の銃口を背後に向ける。
すると狂三の左目の時計がくるくると高速回転し、
〈
漏れ出て、狂三の銃に吸い込まれていった。
「【
狂三が叫ぶと、両の手に握った銃の引き金を連続して
引き絞った。屋上に残った狂三たちに、【
吸い込まれていく。
数十発の【
を押し当て、引き金を引いた。
「──ちッ」
琴里は面倒そうに舌打ちをすると、左手を後方にブン
と振り、士道の脇腹を蹴った。
「ぐぇ……っ⁉︎」
突然の衝撃に間の抜けた声を発しながら、後方にへと
蹴り飛ばされる。士道は背中と後頭部で地面を擦って
なんとか停止したのち、頭をさすりながらなんとか
身を起こして声を上げる。
「な、何すん──」
だが非難の言葉を最後まで吐くことはできなかった。
恐ろしい速度を得た何人もの狂三たちが、琴里を囲う
ようにびゅんびゅんと飛び回って、拳打を、脚蹴を、
あるいは弾丸を浴びせかけていたからだ。
そう。琴里は【
猛攻が届く寸前に、貴重なワンアクションを消費を
して、士道を安全圏までに逃したのである。
「切り裂け──〈
琴里が吠えると、〈
にも膨れ上がらせ、さらに広範囲にその身を伸ばして
いった。
次々と、無数の狂三たちが焔の刃に薙がれ、貫かれ、
その身体を灰と化されていく。
「くッ……」
と、そんな苦悶とともに、狂三に琴里の周囲から
離脱する。
どうやら〈
肩から腹に掛けて、火傷のような切り傷のような、
奇妙な傷跡ができていた。
「一体──なんなんですの……あなたはァッ!」
すぐに短銃を掲げ、叫ぶ。
「〈
同時、〈
銃に影が放たれる。
そして狂三が自らのこめかみに銃口を当てて引き金を
引くと、まるで時間を巻き戻すかのように、狂三の
身体から傷が消えていった。
それとほぼ同時に、琴里の周囲に飛び交っていた
狂三の分身体たちが、悉く燃やし尽くされてしまい、
灰となって風に消えていく。
「あら、もう打ち止めかしら? それにしても案外と
少なかったわね。もう少し本気出してもいいのよ?」
琴里が戦斧を肩に担ぎながら、ふふんと鼻を鳴らす。
そのもの言いに狂三が凄絶に歪ませ、歯をぎりと
噛みしめた。
「その言葉──後悔させて差し上げますわ!
〈
言った瞬間、狂三の左目が、今までよりもさらに
速く回り始めた。
「ッ! させるかっての……!」
その様子に不穏なものを感じたらしい。
琴里が〈
「──ぁ」
小さな、本当に小さな声をのどから発して、
その場に膝をついた。
〈
支えながら、もう片方の手で苦しげに頭を押さえる。
「く……こ、これは……」
「こ、琴里⁉︎」
一体何が起こったのかわからないが、それが琴里の
窮地であることは容易に理解できた。思わず大声で
叫んでしまう。
「あッはははははははははは! どうやら悪運尽き
ましたわ・ねェ!」
狂三が高らかに笑い、〈
歩兵銃を琴里に向ける。
「く──」
士道は考えるよりも先に駆け出していた。今狂三の
銃に込められている弾にどのような力があるのかは
わからない。しかし、それが琴里の命を刈り取ろうと
する必滅の一撃であることは想像に難くなかった。
狂三が引き金引く瞬間、琴里の身体を掴んでどうにか
その弾から逃れさせる。それが叶わないのであれば、
最悪、士道が盾になれればいい……!
──だが。
「…………」
狂三が琴里照準を合わせた瞬間、琴里がすっとその場
に立ち上がった。
「っ、琴里! 大丈夫なのか⁉︎」
問うも、琴里は答えなかった。
ただ静かに──爛々と光る真っ赤な眼で、狂三を
ジッと睨め付ける。
見慣れたはずのその顔は、なぜだろうか、まったく
士道の見知らぬ少女に見えた。
「琴、里……?」
琴里は〈
離した。
すると〈
のみその場に静止する。
「〈
琴里の声に応えるように刃を失い棍のみになった
〈
柄の部分が本体に収納され、琴里が掲げたその右手を
包み込むように装着される。
肘から先を長大な棍に覆われた琴里は、その先端を
上空の狂三に定めた。
──その姿はまるで、戦艦に備えられた大砲を思わせた。
〈
そして琴里の周囲にまとわりついていた焔が、
その先端に吸い込まれていった。
「 ────⁉︎」
その様子を見てか、琴里に銃口を向けていた狂三は
眉をひそめた。今までに見たことがないそんな表情。
士道の知識と語彙から相応しい表現を充てるなら──
それは、恐怖とか戦慄に近いのかもしれなかった。
「
狂三が叫ぶと同時、狂三の影から分身体たちが、
二人の間を遮るように這い出できた。
「──
その声は、何年も一緒に暮らしている士道が一度も
聞いたこともないような、冷たく、平坦なそんな
ものだった。
次の瞬間──琴里の構えた〈
凄まじい炎熱の奔流が放たれた。
巨大な火山の噴火を数十センチ範囲に凝縮したかの
ような圧倒的な熱量が、高校の屋上から空の彼方に
まで一本の線を引く。辺りが一瞬、一足早い夕日に
彩られたかのように真っ赤に染まった。
「ぐ……」
士道は思わず腕で顔を覆った。わずかに空気を吸った
だけでも、鼻から口から入った熱気が粘膜を灼いて、
呼吸を阻害する。琴里の背後にいるのにも拘らず、
肌が火に炙られているかのようにちりついてきて、
目を開けているのも困難なものだった。
数秒ののち、空を灼く炎熱の光線が段々とその体積
を減らしていき──琴里の右手に装着された大筒が、
過酷な作業を終えた機械のように白い煙を勢い良く
吐き出した。
「けほ……っ、けほ……っ」
軽く咳き込んでから視線を上げる。
視界を覆う煙が晴れ──士道は小さく肩を揺らした。
屋上の床やフェンスが凄まじい熱によって溶かされ、
砲の通ったあとには何も残っていなかったのだが──
そこには未だ、狂三と〈
だがその狂三を護るように這い出た分身体たちは
一体残らず灰燼と消え、狂三自身もまた、左腕を
失っていた。恐ろしいほどの熱量で消し飛ばされた
だろうか、断面は黒炭のように煤け、血一つ流れて
はいない。
また、狂三の背後に浮遊していた〈
その巨大な文字盤の四半を貫かれていた。
『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』の数字があったと思しき場所が、
綺麗に抉り取られている。
「く──ぁ……」
狂三が絞り出すように息を吐き、その場にがくりと
膝をついた。
誰が見ても、戦闘を続けられるようなそんな状態では
なかった。
──しかし。
「……銃を取りなさい」
琴里が低い声で唱えながら、再び大砲に姿を変えた
〈
「まだ闘争は終わっていないわ。まだ戦争は終わって
いないわ。さあ、もっと殺し合いをしましましょう、
時崎狂三。あなたの望んだ戦いよ。あなたの望んだ
争いよ。──もう銃口を向けられないというなら、
死になさい」
「琴里……? な、何を言ってるんだ?」
士道は琴里のもと駆け寄ると、その肩を掴んだ。
「それ以上やったら、本当に死んでしまうぞ!
精霊を殺さずに問題を解決するのが〈ラタトスク〉
なんだろ⁉︎」
しかし、琴里は士道の言葉に耳を貸さなかった。
再び〈
「……! お、おい、琴里!」
士道は琴里の前へ回り──息を詰まらせた。
「な……」
──違う。士道は戦慄した。明らかに、いつもの
琴里ではない。
それを察した瞬間、士道は駆け出した。──力無く
膝をついた狂三の方へ。
「狂三!」
「士──道、さん……?」
狂三を連れて逃げるような猶予はない。せめて少し
でも狂三へのダメージを減らそうと、狂三の前に
バッと立ちはだかる。
それと同時に、〈
灼き尽くす紅蓮の咆哮が放たれた。
瞬間──
「っ!」
〈
見開いた。
「おーにいちゃん……ッ! 避けて!」
叫び、右手の〈
だがそこから放たれた火は軌道を変えられず──
目の前の視界が真っ赤に染まって士道も直撃を覚悟
しながら狂三を庇っていると
「【
そう声が聞こえた次の瞬間、士道の目の前には白銀の
盾が現れ、万象すらも灼き尽くしてしまうほどの紅蓮
の咆哮を軽々と防いでいた。
「これは……」
士道は驚いていた。なぜなら、自分の目の前に現れた
この白銀の盾には見覚えがあるからだ。
「随分と物騒なことになっているね」
背後から声が聞こえたので、振り返って見ると、
「あ、〈アテナ〉……どうしてここに……?」
「相変わらず、ボロボロになってばかりだね」
の精霊で〈ナイトメア〉、時崎狂三以上に危険で討伐
不可能と言われてるそんな白銀の鎧の霊装を纏った
精霊〈アテナ〉は”天使”である〈
握りしめながら、琴里によって放たれた〈
の炎の熱によって、融けて焼き爛れてしまっている
そんな屋上に視線をゆっくりと見下ろしながらも
屋上に降り立った。
「
なく、対話によって精霊を助けることが目的なのだと
少年は言ってたけど、その結果がこれか……」
「そ、それは……」
「まあ、期待はしてなかったけどね」
〈アテナ〉はそう言いながらも、まるで予想していた
かのように軽いため息を吐いて、視線を士道たちへと
向けて
なさそうにそう言っていた。
「悪いけど、彼女を連れて行かせてもらうよ」
「な、何を勝手なことを……ッ!」
〈アテナ〉が狂三を連れて行くというその言葉が納得
できなかったのか、琴里は〈
警戒をしながら〈アテナ〉を睨み付けた。
「
なるほど……
「そ、それ、は……」
〈アテナ〉は冷たい声でそう言いながら、戸惑ってる
琴里を無視してさらに言葉を続ける。
「その
「わ、私は、そんな……」
〈アテナ〉がそう言った瞬間、琴里の表情は真っ青に
なって、〈
しめて後ずさりながらも、膝を地面に突いて全身を
震わせていた。
「そんなふうに飼い慣らされて利用される可能性が
あるのに、DEMの
精霊を救うだなんて上っ面の言葉なんて並べて、
笑わせないでよね」
〈アテナ〉にとって武力を持って精霊を殲滅をする
ことを目的として掲げている
一番に不快と嫌悪をしている。
たちにもだが、DEMインダストリー社に所属をしてる
真那に対してそれが特に一番に見て取れた。
「結局、救うというそんな言葉とは程遠いくらい、
偽善者以下の行いだったね」
〈アテナ〉は士道と琴里の二人に冷たく拒絶の言葉を
言った後、軽々と狂三を抱き抱えて床やフェンスなど
の周辺が凄まじい炎の熱によって融けて焼き爛れて
しまったそんな屋上を後にした。
「と、とりあえず、狂三が死なずに済んで本当に、
よか、っ……た……」
士道は安心をしたのか、意識が徐々に遠くなって、
(あ、あれ……?)
うつ伏せになるようにして勢いよくその場に倒れて
途絶えてしまった。
「おにーちゃん……ッ! おにーちゃん……ッ‼︎」
その場に倒れてしまったそんな士道の姿を見た琴里は
急いで士道のもとへと駆け寄り、必死になって何度も
士道の名前を叫んでいた。
最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも皆さんが『応援』をしていただければ、
『更新』をする頻度が更に上がる可能性があるかも
しれません‼︎
『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも
楽しんで見ていただければ本当にありがたいです‼︎
2025年の最後に新しく更新をしてる投稿作品は
『落第騎士と幻影の騎士』、『殺戮者が斬る!』、
さらには『五等分の花嫁 繋がり合う絆』そして
『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』を
していますのでそちらも良ければ、お願いします‼︎
それでは、2026年の新年もよろしくお願いします‼︎
【報告】
『新しい投稿作品』を作ろうと企画などをしてます。
時間は掛かってしまうと思いますが、仕上げられる
ように一生懸命に頑張りますので、よろしくお願い
します‼︎