デート・ア・ライブ ■■■の精霊   作:灰ノ愚者

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皆さんお久しぶりです‼︎ 灰ノ愚者です‼︎


今回も『最新話』を更新をさせていただきます‼︎
『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』を是非とも
最後まで楽しんで読んで見てください‼︎


【お気に入り】や【投票】、【感想】更に【しおり】
などの『応援』していただければと思います‼︎


『他の連載されている作品』もあるので是非、
見て『応援』していただければ豆腐のようにかなり
脆いメンタルである自分も本当にありがたいです‼︎



戦乙女の戯れ

 

 

『そ、総員退避‼︎ い、いや……‼︎ 撤退‼︎ 撤退‼︎』

 

 

遼子が慌ててASTの隊員たち全員に撤退するように

命令するが、

 

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁッ⁉︎』

 

 

『えっ?』

 

 

『な、なにが起きてるの?』

 

 

隊員たちが背後から、聞こえる悲鳴のような

叫び声が聞こえ背後を振り返ると───

 

 

『いやッ‼︎ いやぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

 

『た、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼︎』

 

 

背後には大量にいたASTの隊員たちが次々とまるで

雨のように落ちていた。

 

 

「い、一体、なにが……」

 

 

遼子は何故、隊員たちが次々と落ちていっている

のか訳かわからず困惑していると、

 

 

『きゃぁぁあああああああ‼︎』

 

 

「──ッ‼︎」

 

 

遼子は背後から悲鳴がする方を見ると近くにいた

AST隊員たちが落ちていた。

 

 

(これは……ッ‼︎)

 

 

遼子は近くいたからだろうか、隊員たちが何故

落ちていっているのか理解出来た。

 

 

「白銀の槍……?」

 

 

そう、あの『儚く穢れなき幻想的な白銀の槍』

はCR-ユニットのスラスターの機体を穿つように

投擲されたみたいで更には目の前を通り過ぎて

少し離れた場所に止まっていた。

 

 

間違いない‼︎ 『白銀の槍』を使う精霊なんて

『討伐するのを諦めて匙を投げられた精霊』と

呼ばれている『白銀の戦乙女』ッ‼︎

 

 

 

白銀の精霊、〈アテナ〉しかいない……ッ‼︎

 

 

 

遼子は思考を巡らせながら、武装されていた武器を

構えて警戒を強めるが、

 

 

しかし。

 

 

しかしそれどころではない。

 

 

 

(ど、どうしたら……)

 

 

 

───勝てない。

 

 

あの、白銀の精霊にどんな作戦や手段などを使った

としても自分たちには勝機がない。

 

 

理屈や精神的な話ではないのだ。

 

 

圧倒的な威圧感。

 

 

遼子自身、あまりの恐怖で彼女と戦うことすら

拒否している。

 

 

間違いなく、自分たちがあの大量の白銀の槍を

避ける自信など絶対にない。無謀にも挑めば、

絶滅どころか死亡者が間違いなく出てしまう。

 

 

 

一眼見ただけで理解してしまった。

 

 

 

しかし、ASTの隊長として精霊を討伐せずに逃走を

するなど決して許されない。

 

 

遼子は一度、冷静に判断をするために息を吸って

思考を巡らせていると、周囲から聞こえていた

隊員たちの叫び声が聞こえなくなった。

 

 

(悲鳴が、無くなった……?)

 

 

遼子が周りを見ているとあれ程たくさんいたASTの

隊員たちは今では『折紙も含めた残り一〇人』しか

いなくなっていた。

 

 

 

すると遼子の目の前にあった『白銀の槍』は白銀の

輝きを放ちながら目に追えないほどの物凄い神速

とも呼べる速さで、まさに閃光とも呼べる速さで

移動しはじめた。

 

 

 

そして──

 

 

 

「…………」

 

 

白銀の鎧を纏い、(ヘルム)を被った精霊〈アテナ〉が

あの閃光のような速さで動いていた白銀の槍を

右手に掴んで、くるくると慣れた手付きで綺麗な

円を描くように回転させていた。

 

 

『め、目の前に……精霊〈アテナ〉をか、確認‼︎ 

日下隊長だけでも、急いで逃げてください‼︎』

 

 

撃ち落とされてないAST隊員達はガタガタと全身

を震わせて恐怖で震える声で遼子に撤退するように

通信機で言うが、それを目の前で見てた〈アテナ〉

は槍でCR-ユニットを穿つために無言の構えの態勢

を取っていた。

 

 

 

すると───

 

 

 

 

『〈アテナ〉ななななぁぁあああ‼︎』

 

 

 

その識別名を叫びながら呼ばれた〈アテナ〉は

その声が聞こえてきたので背後に振り返ると、

ブレードを持った折紙がもの凄いスピードで

〈アテナ〉に目掛けて、斬り掛かっていた。

 

 

「折紙‼︎ 今すぐ撤退しなさい‼︎ 隊長命令よ‼︎」

 

 

遼子は通信機で必死になって折紙に撤退するように

『ASTの隊長』として命令をするが、今の折紙の

視界には、〈アテナ〉にしか見えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〈アテナ〉……ッ‼︎ 殺す……殺す‼︎ 殺す‼︎ 殺す‼︎

殺す‼︎ お前を今ここで殺す‼︎」

 

 

「…………」

 

 

折紙の『その(ひとみ)』には『(にく)しみ』しか写っておらず

それどころか『憎悪(ぞうお)』や『殺意(さつい)』などの複数の

ドロドロとした黒い『()感情(かんじょう)』が混ざり合って

CR-ユニットのスラスターを最大火力の噴射の

物凄いスピードを出して腰に携えていた接近戦闘(せんとう)

の対精霊レイザー・ブレード〈ノーペイン〉を

すぐに引き抜いて、何度も何度も力任せに〈アテナ〉

に目掛けて打ち込んでいた。

 

 

「ぐっ‼︎ クソッ……‼︎」

 

 

「…………」

 

 

だが、〈アテナ〉は折紙が繰り出すそんな無数の

〈ノーペイン〉の斬撃をまるで大した事ないと

言わんばかりに白銀の槍で軽々と捌いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「椎崎‼︎ 現在の状況は‼︎」

 

 

ラタトスクの艦橋にいた琴里は〈アテナ〉を確認

したからなのか余裕がなくなり座っていた艦長席

から勢いよく立ち上がった。そのせいか艦橋中には

ガタンと艦長席の椅子が倒れた音が響き渡って

いた。

 

 

「司令、お気持ちは分かりますが……少し冷静に

なってください」

 

 

「神無月……アンタ、今の状況を見ていて冷静に

なれると思う?」

 

 

琴里は隣に控えていた神無月をジロリと睨み付ける

ように質問をする。

 

 

「──ッ‼︎ そ、それは……」

 

 

確かにそうだ…精霊はこの世界に現れるだけで

空間震を起こす厄災であり化物なのだから

 

 

そんな中でも彼女、〈アテナ〉は発見された

精霊の中でも特に世界から危険視されてどの国の

魔術師(ウィザード)たちも討伐することすら不可能だと各国から

彼女を『討伐することは絶望的に不可能だとされて

いるぐらい』と呼ばれている精霊が目の前にいるの

だから琴里にとってこのようないきなりの予想不能

の事態に落ち着けるはずがない。

 

 

「……それで琴里、これからどうするんだい?」

 

 

令音が冷静な声で琴里にそう問うと琴里は冷静さ

を取り戻して「そうね……」と言ってこの予想外の

状況を見て右手をあごに添えてチュッパチャップス

を咥えながら次どう動けば良いかとかつてないほど

の真剣な表情をして思考を巡らせながら考えていると

 

 

『おい‼︎ 琴里‼︎』

 

 

 

モニターからある人物の声が聞こえた。

 

 

 

「何かしら……士道? もし、この場でつまらない

内容だったりしたらそうね……士道が中学のころに

こっそりと書き溜めていた『士道のポエムノート』

や『オリジナルキャラクターの設定資料』などの

他の黒歴史満載の『黒歴史集(くろれきししゅう)』をあなたが通って

いる来禅高校(この学校)のありとあらゆるところにばら撒く

ことになるわよ?」

 

 

琴里が士道にそう言うと士道は『うぐっ‼︎』と

琴里のそんな言葉に士道は躊躇っているそんな声

が聞こえた。

 

 

「それで一体、何かしら? 士道?」

 

 

いくら毛蟹に負けるくらいの脳しかない阿保兄

である士道でも時と場合を読むことが出来る

だろう……。

 

 

 

『俺が〈アテナ〉をどうにかする……』

 

 

 

「…………はぁ?」

 

 

士道の言葉を聞いて琴里の予想を裏切る内容に

つい知らぬ間に琴里は間の抜けた声を出して

しまっていた。

 

 

この阿保兄は一体、何を言っているのだろうか?

〈プリンセス〉の保護を第一にって言ったのに

〈プリンセス〉を放置してAST達と戦闘中である

〈アテナ〉を攻略しに行くと言っているのだろうか?

それでもしも〈プリンセス〉の機嫌を悪くなったら

どうなるかこの阿保兄はそんなことすらも分かって

いないのだろうか……ッ‼︎

 

 

「駄目よ…そんな無謀なこと許可出来ないわ……

士道はこれを機に〈プリンセス〉を連れて一緒に

一刻も早くその場を離れなさい‼︎」

 

 

『琴里‼︎』

 

 

琴里が士道の考えを冷たく却下すると、士道は

納得いかないと言った声で琴里に反論する。

 

 

「士道‼︎ よく考えてみなさい‼︎ もし、貴方が

死んだら精霊を……十香を助けられないわよ‼︎」

 

 

『──ッ‼︎』

 

 

「それに……あのASTと戦闘状態の中で一体、

どうやって、〈アテナ〉と接触するつもりなの? 

まさかドンパチしている真正面から突っ込んで助け

に行くなんて無策を言うつもりじゃないでしょね?

それこそまさに自分から自殺しに行くものよ? 

それを分かっていて言っているの?」

 

 

『それは……ッ‼︎』

 

 

「分かったら〈プリンセス〉を十香を連れて今すぐ

にでもその場から離れなさい‼︎ すぐにでも二人を

〈ラタトスク〉で回収出来るようにこちらでも

急いで準備するから‼︎ 絶対に勝手なことはする

んじゃないわよ‼︎」

 

 

琴里は士道が勝手な行動をしないようにいつもより

厳しい言葉で言った。

 

 

確かに琴里の言う通りだ……今すぐ十香を連れて

ASTがいるこの場から逃げるべきなんだろうと

思うけど……ッ‼︎

 

 

「十香‼︎ すまない‼︎ ここで待っていてくれ‼︎」

 

 

いくら十香を助けるためだからとはいえ、あの子を

〈アテナ〉を救わないでそのまま逃げてしまうのは

いくらなんでも、それは絶対に違うだろうッ‼︎

 

 

「おい‼︎ 一体、どこに行くのだ‼︎

シドー‼︎ シドーー‼︎」

 

 

『待ちなさい‼︎ 止まりなさい‼︎ 士道! 士道‼︎ 

お願いだから‼︎ 止まって‼︎ おにーちゃんッ‼︎』

 

 

十香と琴里が俺の名前を呼ぶ声が聞こえるが、その声

を聞くたびに胸の奥がドクドクと鳴って、身体中から

大量の汗が出てくる。そんな中、二人への罪悪感で

心が痛くなるのが分かった。

 

 

それでも士道は迷うことは一切なく崩壊した校舎の

さらに奥へと向かって、白銀の少女がいる場所へと

向かって走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィン‼︎ ガキィィン‼︎ ガキィィィィン‼︎

 

 

 

「ぐっ‼︎ クソ‼︎ クソ‼︎ クソ‼︎ クソッ……‼︎」

 

 

「………」

 

 

折紙は無謀にも〈アテナ〉となんとか打ち合いを

続けているが、〈アテナ〉は白銀の槍で折紙の斬撃を

軽々と往なしてるそんな状況にとても悔しそうな表情

を浮かべながら、悪態をついていた。

 

 

どうして、こいつを〈アテナ〉を精霊を討伐する

ことが出来ないのだろう……ッ‼︎

 

 

無力な自分自身が本当に嫌になる……

 

 

それでも……ッ‼︎

 

 

 

「くたばれッ‼︎」

 

 

 

こいつは今、この場で殺さなければ……ッ‼︎

 

 

 

折紙はそう言った後、CR-ユニットに搭載された

大量のミサイルをなんの躊躇いなく発射させようと

トリガーに指をかけていた。

 

 

「ッ‼︎」

 

 

何かに気付いたのか〈アテナ〉は右手には

白銀の槍を持ってミサイルに向けて構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ……」

 

 

士道が息を切らしながら、慌てて校舎の階段を

駆け上がって、三階にある隅っこにある教室の

扉を開けた瞬間、

 

 

 

「くたばれッ‼︎」

 

 

 

折紙は己の感情に身を任せてCR-ユニットに搭載

されていたミサイルのトリガーに指をかけて、

なんの躊躇いやなくトリガーを引いた。

 

 

「えっ?」

 

 

数発のミサイルが自分へと飛んでくるのを見た

瞬間、士道は驚きながらも琴里の言う通り自分は

ここで死んでしまうのだと理解して自分が目を瞑り

死ぬのを覚悟をした瞬間、

 

 

 

「Λόντινους」

 

 

 

〈アテナ〉がそう言うと、数発のミサイルは

〈アテナ〉が槍を持っていない手を軽く上にやると

障壁を展開をさせると届く事はなく、途中で数発の

ミサイルが空中で爆発した。

 

 

「えっ? た、助かったのか……?」

 

 

士道はミサイルの爆発音を聞き目をゆっくり開き

確認してもう大丈夫だと理解した瞬間、安心した

のか膝がガクガクと震えて破片が散らばった地面

に尻餅ついていると

 

 

「Εντάξει?」

 

 

「えっ? えっ⁉︎」

 

 

士道は〈アテナ〉の言葉を聞いた瞬間、何を言って

いるのか分からなかったのか困っていると

 

 

 

「あ、そうだった……ごめんね? これじゃあ

何を言っているのか全く分からないよね?」

 

 

〈アテナ〉はそう言って視線を士道に向けては士道

の顔を見て困ったような表情や反応で気付いたのか

先ほどの分からないギリシャ語の言葉から日本語を

話し始める。

 

 

 

「さて、少年。わざわざこんな危険な所まで来て

一体、何のようなのかな?」

 

 

〈アテナ〉は不思議そうに目の前にいる士道の前に

降り立ってそう問いかけると

 

 

「お、俺は五河士道って言うんだ‼︎」

 

 

「ふーん。で? その五河君が一体、何の用で

こんなところまで来たのかな? わざわざこんな

ドンパチしている危険地帯にまで死ぬ思いしてまで

やって来るなんて、君はただの自殺願望者ってわけ

じゃないんでしょ?」

 

 

「あ、ああ‼︎ そうだ‼︎ じ、実は……君を

『士道‼︎ 待ちなさ──』助けにきたんだ‼︎」

 

 

「ふーん。そうなんだ。助けに来た、ねぇ……」

 

 

士道が琴里の静止を振り切って〈アテナ〉に

そう言うと〈アテナ〉は士道の顔を見ながら

「ふむ、なるほど……」と右手を(ヘルム)越しにあごに

当てて頷き小声で呟きながらも士道の提案に少し

考える仕草をしていた。

 

 

 

そして───

 

 

 

 

 

「じゃあ、悪いけど断らせてもらおうかな」

 

 

 

 

〈アテナ〉はきっぱりと士道の申し出を断った。

 

 

 

「そ、そんなっ‼︎」

 

 

士道にとってそれは予想外の内容だった。

 

 

〈アテナ〉は自分が最善だと思える申し出を

受け入れてくれると思っていたからだ。

 

 

「ど、どうして……ッ‼︎」

 

 

それに〈アテナ〉が申し出を受け入れてくれれば

琴里たち、〈ラタトスク〉がどうにかして保護を

して解決策を出してくれる筈だからだ。

 

 

士道は〈アテナ〉の考えが理解出来ないでいると

 

 

「説明したいけど……今、目の前で殺意を向き出しに

している彼女をそのまま放置しておく訳にもいかない

と思うからね?」

 

 

「…………」

 

 

「お、折紙……?」

 

 

いつも通りの無表情で無口ではあるが目の前の

〈アテナ〉しか見えていない折紙の殺意と憎悪に

染まった光を映さない漆黒の瞳を見た瞬間、士道

は腰が抜けたのか立てずにいた。

 

 

 

「──〈断罪槍(ロンギヌス)〉!」

 

 

 

〈アテナ〉はそう言って白銀の槍、〈断罪槍(ロンギヌス)

をくるくると綺麗な円を描くように振り回した。

 

 

「な………」

 

 

『士道、離脱よ! 一旦〈フラクシナス〉で

拾うわ。出来るだけ二人から離れなさい!』

 

 

士道が呆然としていると、士道が付けている

インカムから琴里の叫び声が聞こえてきた。

 

 

「んなこと言ったって……っ」

 

 

「はぁぁあああああああッ‼︎」

 

 

 

士道が琴里にそう言っている間、折紙は叫び声を

上げながら再度、対精霊レイザー・ブレイドの

〈ノーペイン〉を〈アテナ〉に目掛けてありったけ

の全力で振るう。

 

 

〈アテナ〉も折紙が全力で振るってくるその光の刃に

対応するように〈断罪槍(ロンギヌス)〉を折紙に向かって

振るう。

 

 

 

その衝撃波で、士道のいとも簡単に、校舎の外に

吹き飛ばされた。

 

 

「のわぁぁぁ⁉︎」

 

 

『ナイスっ!』

 

 

琴里の声が響くと同時、士道の身体が無重力に

包まれる。

 

 

そして不思議な浮遊感を感じながら、士道は無事に

〈フラクシナス〉に回収された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そりゃそうだよな、普通に考えりゃ

休校だよな……」

 

 

士道は後頭部をかきながら高校前から延びる坂道

を下っていた。

 

 

士道が名前のない精霊の少女に十香という名前を

つけて、そして〈アテナ〉という討伐することが

不可能だと言われている白銀の精霊と遭遇して

会話をした次の日。

 

 

普通に登校した士道は、ぴたりと閉じられた校門と、

瓦礫の山と化した校舎を見て、自分の阿保過ぎる行動

と愚かしさため息を吐きながら赤く腫れた右頬を右手

でさすっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この阿保兄(あほにい)‼︎ あんな自分勝手な行動なんかして‼︎

あの時、一歩でも間違えていたら死んでた可能性が

あったかもしれないのよ‼︎ そのことわかってるの⁉︎

もっと自分の命を大事にしなさいよ‼︎」

 

 

士道が〈フラクシナス〉で回収された後、琴里の

指示を無視して、自分勝手に単独行動をしたせいか

かなり怒られて、そして右頬を思いっきり平手打ち

をされて頬に刺激が走って艦橋内に響いた。

 

 

「確かに……琴里、お前の言う通りだ。すまん……」

 

 

当然だ。あの白銀の彼女、〈アテナ〉を救いたい

からってあの子を……十香を放ったらかしにして

良い理由にはならないだろう……

 

 

「……シン、君が精霊達を救いたいというその

一生懸命な気持ちは分かる。だが、琴里の言う通り

今回みたいな勝手に予想外の行動をされたら此方も

対応に困ってしまう」

 

 

「はい、すみませんでした。令音さん……」

 

 

その後、昨日の夜ずっと十香との会話や攻略ビデオ

や〈アテナ〉との会話を見ながら、反省会などを

させられていたため、少し寝不足で思考力が落ちて

いたというのもあるかもしれない。

 

 

「はあ……ちょっと買い物でもして行くか」

 

 

溜息ひとつこぼし、一応、念の為にポケット辺りに

入れていたインカムを耳に付けて家へのそんな帰路

とは違う道に足を向ける。確か卵と牛乳が切らして

いたはずだったし、このまま帰ってしまういうのも

何だった。

 

 

 

だが──数分と待たず、士道は再び足を止めること

になった。

 

 

 

道に、立ち入り禁止を示す看板が立っていた

のである。

 

 

「っと、通行止めか……」

 

 

だがそんなものがなくとも、その道を通行

できないことは容易に知れた。

 

 

何しろアスファルトの地面は滅茶苦茶に

掘り返され、ブロック塀は崩れ、雑居ビルまで

崩落している。まるで戦争でもあったかのような

有様だったのだから。

 

 

「──ああ、ここは」

 

 

この場所に見覚えがあった。初めて十香に会った

空間震現場の一角である。

 

 

まだ、復興部隊が処理していないのだろう。

一○日前の惨状をそのままに残していた。

 

 

「………」

 

 

頭中に少女の姿を思い浮かべながら、細く、

息を吐く。

 

 

 

───十香。

 

 

 

昨日まで名前が持たなかった、精霊と、災厄と

呼ばれる少女。

 

 

昨日、前よりずっと長い会話をしてみて──士道

の予感は確信に変わっていた。

 

 

あの少女は確かに、普通では考えられないような力

を持っている。とくに〈アテナ〉は誰も傷付けずに

無傷でASTをまるで赤子を捻るかのように軽々と

無力化してしまうほどのもの凄い力を持っている。

各国の機関の権力者たちが危険視をするのも頷けて

しまうほどに。

 

 

今士道の目の前に広がる惨状がその証拠である。

確かに、こんな事象を野放しにはしておけない

だろう。

 

 

「……ドー」

 

 

だけれどそれと同時に、彼女たちがいたずらに

振るう、思慮も慈悲もない怪物だとは、到底

思えなかった。

 

 

「……い、……ドー」

 

 

そんな彼女、十香が、士道が大っ嫌いな鬱々とした

顔を作っている。それが、士道にはどうしても許容

できなかったのである。

 

 

「おい、シドー」

 

 

……まあ、そんなことを頭の中をぐるぐる巡らせて

いたものだから、気づいて当然の事態に思考が

いかず、校門前まで歩く羽目になってしまった

のであるが。

 

 

「……無視をするなっ!」

 

 

「───え?」

 

 

視界の奥──通行止めになっているエリアの向こう

側からそんな声が響いてきて、士道は首を傾げた。

 

 

 

凛と風を裂くような、美しい声。

 

 

 

どこかで……具体的には昨日学校で聞いたこと

あるような声。

 

 

……今、こんなところでは、聞こえてくる

はずのない、声。

 

 

「え、ええと──」

 

 

士道の記憶と今し方響いた声音を照合しながら、

その方向に視線を集中された。

 

 

そしてそのまま、全身を硬直させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁ……無事なんとかなったかな……」

 

 

白銀の精霊〈アテナ〉が白銀の槍、〈断罪槍(ロンギヌス)〉を

右手に持ちながら、誰もいない別の建物の屋上から

校門にいる士道と十香の二人がやり取りする光景を

暇をつぶすかのように一人でその光景を眺めながら

呟いていた。

 





最後まで読んでいただきありがとうございました‼︎


これからも皆さんからの『感想』や『応援』などを
してもらえれば更に『創作意欲』が増してやる気が
出る可能性があるかもしれないので皆さんどうか
よろしくお願いします‼︎


他にも『投稿している作品』があるので、是非とも
そちらも読んでみていただけたらありがたいです‼︎

十香と士道が出会う前の四月九日の話を書いた方がいいか

  • 書くべき
  • 書かなくていい
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