転生者のG41と指揮官の些細なる会議
こんな世紀末の世の中に雲なんて見上げてる奴なんてほとんどいないだろう。
下と周囲を物騒から自分を遠ざけるために目を凝らしている奴ばかりだ。
しかしここにそんな世紀末を御構い無しに自分のペースで歩く者もいる。
雲はどこからやってくるのだろう?
ふとそんなことをvector は空を見上げて考えていた。こうしてこの場所で考え事にじっくりふけるのは何年ぶりだろう。
病院の屋上で古びたベンチに両手を預け、はるか彼方の掴みようもないガンシップをつかみ、昔あった映画のサルみたいにビルにたたきつけるジェスチャーをしてみる、その腕の勢いのままに屋上から三本の火炎手榴弾をビルから放り投げ、そのあとを追うようにVectorはビルを飛び降りる。ビル下のELIDと鉄血の戦いに水を差すように彼女は
「やっぱりみんなバカばっかだ。」
爆発が時折遠くで聞こえる平原地帯の片隅、グリフィンマークの塗装されたトラックが停車しており、一中隊がそれを囲うようにキャンプを設営している。
その中心の車の車内にて、二人の人物が会話していた。
「で、だ。」
「なにがで?っていうわけだよ?ほっとんど報酬引かれてんじゃないか!ハァー、、、、なんでお前指揮官試験通ったの?”俺“がいうのもなんだけどさあ」
1人の名は、ソラリド。
かつて東欧と呼ばれたであろう、今グリフィンでは西端のW01と呼ばれている地区出身の指揮官だ。もう1人の名前はG41。少なくとも、G41の外見をしており扱っている獲物は一応、G41である。だが口を開けば一人称は”俺”と名乗る、誰が見ても訳ありの41の皮のかぶったサムシングである。
「今度はお前に聞くけどな!?お前のダミーが突っ込んでいた挙句何の成果も得られずに逆に鉄血のハイエンド5,6体連れて帰ってきたんだが?お前の脳クソ詰まってんだろ?!そうでなきゃ甘々のキャンディでできてんだろ!」
「まあまあ落ち着けグッドバディ、俺が誘導したおかげでへっぽこデストロイヤーちゃんがもろとも吹き飛ばしてくれたじゃん?ダミー数体でこんだけできれば上等じゃん?」
「単独行動でしかも防衛目標の車勝手に乗り回してぶっ壊さなきゃな!」
「まあまあ、最小限ですよ?ご主人様♪」
「......こういうときにだけまともなふりしても逃げられんぞ。」
いつも通りの疲れる会話に指揮官は大きくため息をつく。
「落ち込んでるところなんなんだけどさ、収支はどんな感じ?」
さすがに本筋から離れてしまったからかG41が収支について聞いた。
「当然の如くゼロだ。むしろこっちが車を貸さないといけないから赤字。」
指揮官はまた深くため息をつく。
「やっぱりですか...うちどれくらい配給は残ってるっけ?」
「シラネ、いや知りたくない。多分500ぽっち。」
勝利したはずの彼らは途方に暮れながらヘリアンからの連絡が来るまでの間これまた大きなため息をつき続けるのだった。
仮W00地区、一時後退したまたの名を仮設S30地区にて
「まったく!何という体たらくなのだ?!貴官の部隊は!物資と設備がどこからかき集められていいるのかわかっているのか?!」
「はあ、すいません。なにせ命令の利かない
「そんなことは倉庫にしまっておけばいい!!それは些細な問題でしかないぞ!!」
「う、すいません。」
「...さては、何かそうできない、重大な秘密を抱えているのか?」
ソラリドは心臓を鷲掴みにされたかのようだった。決して気づかれてはならない、秘密を持っている。それは真実だ。しかし、それを言い出したら頭がおかしいといわれるか、さもなくばG41が軍の研究機関行待ったなしなのだ。
G41を守らねばならない。
ソラリドはどうやり言い訳するべきか迷った。
「いえ、IOPのペルシカさんから・・・ほらあれでして、、」
決して嘘ではない、事実を誤認させるような話し方をもってごまかす。
ペルシカは口を苦そうにして考え込む。
「そうか、ペルシカの事ではしょうがない。しかし十分な改善と対策をしろ。それと、ここ最近反政府組織のクロノスが活発化してきている。どうも貴官の地区に逃げ込んだらしい。本地指揮官と協力して掃討してくれ。」
モニター越しにでもわかる怒りを抑えた有無を言わせない圧力ともに通話は切られた。と、指令室にへ小さな白色のレインコートの下にショートスカートとボタン付きのフレアスカートを着た少女が入ってくる。
「ん~......また叱られたの?」
「ああ、仮の住まいを提供されているのにうるさくてすまないな。」
ソラリドは頬をかきながらあやまった。彼女はシロ。ソラリドが間借りしているS30地区の指揮官である。
「んんん、ダイジョブ。それより気になることがあったの。実は404という部隊がうちに来るみたいなの」
「え?」
ソラリドは訝しむ。404という部隊自体は聞いたことがある。しかし、たしかその部隊はもっと汚れた場所を中心に活動しているはずだった。言い方は悪いがここはうまみがほとんどない地区だ。
心の底で嵐が来る予感を感じていた。