W01地区、そこは崩壊液の被害を受けながらも再興中の小規模な漁村と富豪たちの別荘によって塗り分けられた風光明媚だったであろう地区だ。
最も現在は黒い崩壊液の海を湛えたさびれた地になってしまったが、そんな環境の中でも人間に付きまとうように鉄血はいるもので、当然のごとく政府御用達の民間軍事会社グリフィンが警備を任されている。
しかし言ってしまえば鉄血からもELIDからも近い最前線も最前線、結果、毎日のごとくジュピター砲に吹き飛ばされ火山弾に爆撃され謎の特異ELIDの天候操作に晒され続けた結果、W01地区は(一応試験を通ったという意味で)優秀な指揮官であるソラリドをもってして制圧不可能地区と判断されるほど環境や地形が”歪んで”いた。
だからこそソラリドたちは後退したS30地区に仮設的にW00と称した基地を作った。
午前五時、
その日の仮設W00地区の天気は快晴だった。
ソラリドとVectorはヘリの吹き降ろす風に目を細めながら見上げる。
ヘリによって豪風が吹き付けるなかゆっくりとヘリは着陸しヘリのドアが開く。
その中から降りてきたのは灰茶色の左目に傷のある少女と茶髪の右目に傷のある少女だった。
「404部隊ただいま着任しました。隊長のUMP45です。よろしくお願いますね♪指揮官さん。」
灰茶色の少女が挨拶する。どうやら資料にあった通りこの子がUMP45らしい。
「ビッチのにおいがする」
「やめい、聞こえたらどうすんだ。」
Vectorが余計なことをつぶやき(もちろん聞こえないように小声で)、指揮官が小突き、またUMP45達に向き直りまだ終わってない部隊紹介の続きをする。
「えーっともう大丈夫ですか?UMP9です!みんなこれからは家族だ!」
「HK-416、着任しました。ちゃんと覚えてくださいね、指揮官。」
「Gぃぃ、、、じゅう、じゅう、、、、いち、、、、いち、、、、、眠い」
「こら、G11、ちゃんとおきて~、でないと」
UMP45は打って変わったように冷たい声になる。
「どうなるか、わかってるよね。」
UMP45のその言葉一つで指揮官はその時電撃が走ったようなうすら寒さを覚えた。
G11も同じだったらしい。ビクっとしたあと急いで訂正するように自己紹介をする。
「ジッ、G11ですっ!ごめんなさいぎょしゅじんさまっ!」
「アハハ、ほらほら落ち着いてG11。45姉もやりすぎだよ。」
「そんなことないわよ、これくらいやらないとG11は起きないから。」
指揮官はUMP姉妹、それとG11とHK-416の404部隊に基地を案内もそこそこに、
作戦室へ招き入れる。
シロが皆の席にお茶を配りながらモニターでの作戦会議が始まる。
ノイズと雑音が徐々に取り除かれるとともにモニターに映ったのはクルーガー社長の姿だった。
”おはようW01とS30の諸君、そして”あの作戦”の後ご苦労だった、404部隊。しかし私たちはまだ予断を許すような状況ではない。諸君も聞いたことがあるだろうクロノスの妨害だ。崩壊液から物質を自由自在に取り出せるのは政府だけの特権でなければならない。しかしより簡易的にだが崩壊液から物質を取り出せる技術を持っているロクロ博士がそちらで研究を行いたいと要求された。
再生されたテープが終了した。しかし明るくなる室内とは真逆におそらく全員の心に暗雲が広がっているだろうと指揮官は思った。本来四六時中ついて回る要人警護は人形が得意とする一番の分野だ。しかし今のクルーガー社長の発言は軍用人形との戦闘もあり得るということだろう。軍用と民間改造の人形ではスペックが違いすぎる。これではさしもの404部隊もしり込みするのではないか、そんなことを思いながらそちらを見ると
「ワクワクするねぇ!45姉。」
は?指揮官は開いた口がふさがらなくなった。何をいっとるんじゃこの人形はとソラリドは思った。
「そうそう、面白くなってきたわね?」
「チッ、こんな屈辱...落ち着きなさい私。(そう、例えばこの指揮官に渾身の金的をするイメージをするのよ、私、落ち着いて。)イメージ、イメージよ。」
(なんか今ヤベー感覚感じたんだけど、気、気のせいだよな?)
「うう、もう嫌だよぉう」
一部一名がハイテンションになっていて416にまるで金玉を引きちぎられるような(大体その通りなのだが)感覚の恐怖をおぼえて気味の悪さと恐怖の間で指揮官は非常に嫌な空気を味わった。
それ以降指揮官は404部隊に苦手意識を持つのだがそれはまた別の話。