『ギャアアアアア!!』
『こんなもんか? 怪人軍団ってのは?』
手にした武器を腰のホルダーに取り付けながら、手を払うディケイド。
彼の周りには様々な姿の平成ライダー達と、昭和ライダー達が勢揃いしていた。
阿修羅谷に集結しライダー達と相対する怪人軍団だったが、ライダー達の攻勢に苦戦を強いられているのは明白だった。そこかしこで爆発や消滅する音が鳴り響いている。
『キサマナゾ【大首領】デハナイ!』
そう言いながら、火のエルが叫ぶ。
【ファイナルアタックライド……ディディディディエンド!!】
『グッ! グアアアアアッ!!』
天使の輪を浮かべながら爆発四散するエル。
何者かの正確な射撃で火のエルが打ち抜かれた。
『ふぅ、そうはいかないよ? 士は僕の獲物なんだからね』
ディケイドの後方でディエンドライバーを構え、ディエンドはディケイドである門矢士に猛アピールしている。
『フン、相変わらずうっとおしいな、海東』
そう言いながらも、ディケイドの仮面の下の表情は笑っているようにも聞こえた。
『本郷先輩、俺が突破口を開きます! 先輩達は先に向かって下さい!!』
V3がディケイドの近くにいた1号に叫んだ。
『風見、無理はするな! アレは最期まで使うなよ!』
1号も応える。
『わかりました! 結城、巻き込まれるなよ!』
V3は、近くで戦っているライダーマンに声をかけた。
『あぁ、いくぞ、マシンガンアーム!!』
右手のアタッチメントを切り替え、マシンガンアームでV3が進むべき道にいる怪人達にマシンガンを掃射する。その攻撃と同時にV3は構えると大きな声で叫ぶ。
『レッドボォォンリング!』
V3は自身のボディにエネルギーを集中している。
『よし! いくぞ!!』
パワーが溜まったのか、正面の怪人軍団に回転するように突撃していく。
『ギャアアアア!』
自身の必殺技で怪人達を駆逐しながら、赤い軌道を描いて突き進む。
V3が進む道には彼以外何も残っていなかった。
『よし、士。突破口が開いた。あとは俺達に任せて、先に行ってくれ!』
近くの怪人にライダーパンチを繰り出しながら、1号が叫ぶ。
『言われなくても、そうさせてもらう! あとは任せたぜ、本郷センパイ』
ディケイドの後をディエンドも追いかけて走り去っていった。
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玉座に座る大首領。じっと目を閉じている。
その奥には怪しげな装置が発動する直前の状態だった。横にはバダンニウム84のラベルが描かれた箱のようなものがいくつも並べられていた。
『待たせたな、大首領!』
ディケイドは部屋に入ると即座に腰のライドブッカーから目の前の大首領に向けて、何発も射撃した。
「………」
無言で攻撃を受ける大首領。目の前に謎のバリアのようなものに阻まれ、攻撃は一発も当たっていないようだった。
『まさか、ここは…』
何かに気づくディケイド。
『士、そこはダミーだ! 早く出るんだ!』
部屋の入り口に遅れてやってきたディエンドが叫ぶ。
「……フフフ。こちらこそ待っていたぞ、門矢士」
そのやりとりを知ってか、大首領の目がゆっくりと開くと不気味な笑い声をあげた。
玉座から立ち上がり、大首領は指を鳴らす。すると、大首領のホログラフはゆっくりと消えていき、部屋全体が大きく揺れ始めた。
「さあ、プロジェクトダークネスも終焉を迎え、この世界でディケイドとしての物語も終わりを告げるのだ! 時空破断システム起動!」
士と同じ顔をした大首領の顔が変わっていく。その顔はよく見知った鳴滝のようだった。
赤い雷が天井や地面から発生し、ディケイドに襲いかかる。
『ぐっ! ぐああああっ!!』
雷に捕らえられたディケイドは電撃を浴びながら、立ったまま意識を失ってしまう。
『士!』
ディエンドは自身のドライバーにカードを差し込もうとする。
「そうはさせん!」
鳴滝が手をかざすと、ディエンドの動きが止まった。
(この力は…!?)
意識はあるが、時間が止まったかのように身動きがとれない。ディエンドはこの力を使う者の顔を思い出していた。
「そう、時を止める能力だよ。ある者から、もらったものだ。今この時間で動けるのはおそらくこの世界にいないとあるライダーぐらいなものだ」
(いけない、このままでは士が!)
「さぁ、ディケイド。おまえの物語はコレで終わりだ!」
鳴滝はそう言いながら、再び指を鳴らすと、赤い雷の前に不思議な魔法陣を出現させた。
魔法陣の中央からは強風が吹き荒れ、周囲のものを関係無しに吸い込み始める。
赤い雷に捕まったディケイドもゆっくりと動き出した。
(いけない! 間に合わない!)
徐々にディケイドの身体が魔法陣に吸い込まれていく。
その様子を見つめるしかなかったディエンドだったが、背後から何者かが近づいてきたのか、駆け足が聞こえた。
『そうはさせんぞ! 衝撃集中爆弾!』
魔法陣めがけ、ZXが爆弾を投擲していた。爆弾はディケイドをすりぬけ、魔法陣にぶつかると、大爆発した。
その衝撃で、赤い雷が消滅していく。
「なぜだ! なぜ動ける!?」
ZXの行動に驚く鳴滝。
だが、対応した時間が遅かったためか、ディケイドの身体は半分以上が入ってしまっていた。
『くっ、間に合え!』
バダンの合体怪人との戦闘で負傷していたZXは満身創痍な状態にみえた。
ZXがディエンドを通り過ぎ、ディケイドの元にたどり着いた頃にはディケイドの手だけが魔法陣から出ている状態だった。迷わずディケイドの手を掴むZX。
『士!』
ZXの声も虚しくディケイドは目を覚まさない。ZXもゆっくりと魔法陣に吸い込まれていく。吸い込まれる直前、ZXはディエンドに向けて叫んだ。
『海東君、すまないが本郷先輩と合流してくれ! 先輩ならきっと判るはずだ!』
魔法陣はディケイドとZXを飲み込むと何事もなかったかのように消えたのだった。