俺は、普通の人間と違うかもしれない……
いや、おかしい。
それだけじゃない、俺の家族には隠された秘密がある。
その秘密と言うのは、名前だ。
と言ってもファーストネームではない。
俺たちクルーガー家は代々、本当の苗字を隠して生きている。
その名は──
イェーガー
この名前を隠す理由はわからない。
だけど、母さんは必ずこの名前は絶対に喋ってはならないと言っていた。
そして、なぜ普通の人間と違うのかと思ったのは……
時々、同級生の首筋を噛もうとする衝動に駆られるからだ。
そうはいっても昔からその衝動にかられるわけではなかった。
あれは、12歳の頃だった───
当時、小学六年生の俺は授業で球技をしていた。
同級生「そっちにボール行くぞー!!」
エレン「わかった!」
同級生がこちらにボールを蹴った時、偶々相手のチームの女の子にぶつかってしまった。
痛みに耐え、腕をさすりながら目を開けると偶然彼女の首筋が目の前にあった。
うっすらと浮き出る血管……血液の流れや脈拍、健康状態が一瞬でわかった。
全ての感覚が研ぎ澄まされていた。
その時、ふと思ったんだ。
《噛みたい》
これだけ聞けばただの変態だが、これには続きがある。
俺の脳裏にこの娘の首筋を噛みちぎり、赤黒い何かを啜るところを今起きているかの如くフラッシュバックした。
それが鮮血だとわかった頃には俺の理性は飛んでしまった。
滴る鮮血、ビクともしない彼女、叫ぶ同級生達
あの事が今でも忘れられない……
あれからかな……軽く人間を遠ざけるようになったのは……
そのあと俺は、授業中にも関わらず校庭を飛び出してしまった。
走っても走っても息は途切れなかった。
そして、走りに走った俺の行き着いた先は自宅だった。
玄関を開け母さんを探した。
母さんはリビングにいた。
驚いた顔をして俺を見つめて、問い詰めた。
「学校はどうしたの?」
「……逃げてきた」
俺のその返事に母さんは肩を落とした。
そのあと、学校に連絡し事情を伝えた母さんは言った。
「あなたが17歳になったら話す事がある。だからそれまでは我慢してね」
あの時、母さんが何を言っているのか理解できなかったが、今になってわかる。
それは、人を噛もうとする衝動を我慢しろという事だったのだ。
あれから5年経った。
そして、明日が俺の17回目の誕生日
これが何を意味しているのかわかるはずだ。
今まで待ち焦がれていた、母さんの話が聞ける時がきたのだ。
とても待ち遠しい、今までその衝動を我慢していた甲斐があった。
いったいどんな話しするのだろうか、俺には到底予測できない。
明日に備えて寝るとしよう。
どうも、軌条れあと申します。
今作は、別サイトで書いていた作品を少し修正したものです
ちなみにですが、ダレン・シャンに登場するバンパイアにかなり影響されています。新たに付け加えたり多少改変しているかもしれないのでご了承ください。
なんと、お気に入り登録が2つも!?どうもありがとうございます。