冒険者と少年
_____俺は自分の船の船室で目を覚ました。
窓にかけられた簾の隙間からは日の光が差し込んでいる。
目覚めると同時に船体に意識を巡らせるが、僅かな損傷を用いて異常は無かった。どうやらあの忌ま忌ましい魚類共はやっとこの船の追跡を諦めてくれたらしい。
船室の外へ出る。今日の天気は晴れ。
お日様の位置から考えるとどうやら俺は久しぶりに随分と長く船をこいでいたらしい。船からの眺めは意識を失う前より随分と穏やかに見えた。
船の進行速度から考えて、後一ヶ月もすれば人類世界に入ることが出来るかもしれない。僅かな期待から船体へ供給されるオーラ量が増して、船は一段とその速度を速めた。
_____少年、ゴン=フリークスがこのボロボロの船の残骸に気づいたのは日課の朝の散歩道の途中にある人気の無い砂浜を訪れた時の事だった。
砂浜に乗り上げて大破していたその船は、まるで船自体の耐久力を越えて何度も修理を重ねてきたかの如くどこもかしこも継ぎ接ぎだらけだった。
そして船の残骸に近付くと、瓦礫に一人のボロを纏った男が力無くもたれ掛かって居るのを見つけた。
ゴンにはこの男が生きているのかどうかも分からなかったが、ゴンは勇気を振り絞り男の肩を掴もうとして___ゴンの手は突然男に掴まれた。
「うわっ」
男は今ので目を覚ました様で、ゴンの手を掴んでいるその手は小刻みに震えていた。
「.........なあ少年...ここはどこだい?」
男は目覚めたとはいえ、その意識は曖昧であるようだった。
「えっと、ここはくじら島だよ。」
「......聞いたこと無い名前の島だけど、ようやっと人間の生活圏に帰って来たって事なのかな...」
男は力を振り絞って立ち上がろうとしたが、脚に力が入らなかったのかすぐに倒れてしまった。
「ちょっと少年よ...済まないけどゴハンを、ちょうだい...」
その言葉を最後に男は意識を手放した。
_____俺が陸地に乗り上げてから次に目を覚ましたのは柔らかいベッドの上だった。数十年ぶりに味わうこの柔らかな感触に目を覚ましてからしばらく魅了されていたが、部屋に漂って来た芳しい匂いによって俺は理性を取り戻した。
「あ、おじさん起きたんだ!これ食べる?」
「いただきます」
おいしい...身体に染み渡るおいしさだ...そういえば俺向こうを出発してから半年弱くらいずっと船を無理矢理動かしてたっけ、どうりでこんなにクタクタになる筈だわ。
少年から差し出された荒汁は二十秒足らずで消え去った。
「ふう...ごちそうさま。そういえば少年、君名前は何て言うんだ」
「俺はゴン。ゴン=フリークス。おじさんは?何処から来たの?」
お、おじさん?確かに髪は白髪だけど、おじさん.........ぐすん。
「...俺の名前はルカ。ルーカス=クエスト...冒険者だ。」
感想くださいな...