シズ様編でございます。
ティーも登場しております。
では、ごらんくださいませ。
樹海の話c
──Talk of an ocean of foliagec──
季節が彩り澄んだ夏へと移り変わろうとしていた。
春の眠気にまどろんだ暖かな陽射しが終わり、空の色彩が夏の彩りに染まりを見せ、湖面のような蒼さをした空が、さらに色合いに染め合いを見せている。
眠気まどろむ春の日差しにも夏の暑い熱気が混じり合いを見せ、激しく差し込む陽光が大気をじりじりと焼いていく。焼かれた大気に世界はゆっくりと熱せられ、かつての染められていた冬の微かな寒さの全てを溶かし、季節の色をそのまま夏へと変えようとしていた。
そんな熱せられゆく季節の移り変わりとは無縁の深く鬱蒼と覆い茂る深緑の樹海の中に、バギーの荒々しくも力強いエンジン音が、少し蒸し暑くなった澄んだ蒼空飛び交う野鳥の鳴き声と混じりあいながら、高らかと鳴り響いていた。
荒々しい力強いエンジン音が鳴り響く樹海の中は、濛々とした深い苔と雑草にまみれた巨大な木々が周囲に怏々と生えわたり、柔らかい黒い腐葉土の地面にも、樹海に生えわたる木々の根がびっしりと絡み這いつくしている。
世界が唸るように蒸し暑い季節へと変わりゆく時期にも関わらず、暑く差し込む筈の暑い陽の光は、全てを覆い尽くす緑の枝葉の屋根に鬱蒼と遮られ、樹海の中は、変わらず湿った涼やかな大気に深く包まれていた樹海に、エンジン音を咆哮のように唸らせ、走り進んでいた一台のシエノウスバギー。
低い車高の後ろに組み立て設けられた、後部パイプキャリアに衣類や食料、手榴弾や一本の刀と一丁のグレネードランチャーなどが置いてあり、それをガチャガチャと揺らしながら、荒々しく苔にまみれた巨大な木々の根が這う、起伏の激しい凹凸の悪路にタイヤを力強く弾ませ、緑に染まりきった樹海の中を走り進んでいる。
バギーには、両肩、両肘に当て布のついた緑の長袖セーターと、古びたズボンを身に着け、運転座席に座っていた。
青年は穏やかな優しそうな面持ちに薄汚れたゴーグルを掛け、その助手席には、茶色を基調とした長袖の丸シャツと灰色のショートパンツを着こんだ、肩まで伸ばした真っ白な髪と緑色の相貌を持つ、無愛想な面持ちをした少女と、その両手と両足の中には、ふさふさの白い毛を生やした一匹の犬も乗っていた。
長く樹海の悪路に揺らされていたせいか、少し疲労に曇った眼差しで、走り進む樹海の悪路をじっと陰鬱そうに見詰めながら青年は、
「……それにしても……ひどい道だな……」
うんざりしたように言い、先程の朽ち荒れ果てた分かれ道を思い出し、
「……どうやら道を間違えてしまったようだ……」
落ち込んだように表情を暗くし、疲労感が溜まった幅の広い両肩をコキコキと鳴らしながら、にわかに疲労感を解すが、ずしっと重く溜まっていた疲労が悪路の揺れと重なり、余計に身体を重くしていく。
先程から何も変わらぬ鬱蒼とした樹海の景色が延々と続く中、重々しい疲労感に、ずっしりとした眠気が圧し掛かってくる。
眠気を払おうと青年は、隣の助手席に座っていた抱いていた犬の頭を枕に前を見据えていた少女に、自分の重い疲労を隠すように優しく微笑みながら、
「ティー、退屈しないかい」
と、聴き訊ねると、ティーと呼ばれた茶色い長袖の服を着込んだ少女は、
「……ううん……」
と、無表情のまま、首を左右に振り一言だけ返答した。そして変わらず、流れ行く樹海の景色を見据え直した。
だが何も変わらぬ樹海の景色に飽きてしまったのか、細い自分の両脚の間に細々と座っていた、ふさふさの軟らかい白い毛を生やした、犬の後頭部の毛に、
「む!」
むずっと小さな両手を沈め、そしてそのままぶっきら棒にわしゃわしゃとかき乱していく。朝方にしっかりとシズにブラッシングされ整えられた、柔らかい地毛を滅茶苦茶にかき乱され、
「……ティー、止めてくれませんか?」
にこにことした屈託のない笑顔の地顔を複雑そうに崩し、困りながらもどこか笑っているかのような、把握が困難な複雑な表情をしながら悲痛な声音で喋り訴えかけてくる。
そんな犬に、ティーは大して驚いた様子も見せずに、素直に言われたまま毛を弄るのを止めたが、今度は毛にも劣らない程に柔らかい、犬の両耳を鷲掴み、引っ張り、押し込んだりしながら弄び出した。
「やわらかい」
「……シズさま」
耳をあれやこれや弄られ、退屈しのぎの遊び道具にされながら、運転席の青年──シズに視線をやるが、正面を見据えたまま、
「……すまないが陸、もうすこし我慢してやってくれないか」
小声で申し訳なさそうに言うシズの言葉に、仕方がないなとあきらめた表情で陸と呼ばれた犬は、
「……仕方ありませんね」
と、抱いた心中をありのまま語り、しぶしぶと了承しながら、ティーのされるがままになったが、
「あ?」
「ん? どうしましたティー?」
いきなり手を止めたティーに、陸は振り向き訊ねてみると、ティーは返答もせずに、じっと正面を見据えたまま、一心に何かをじっと見詰めていた。
そんなティーに、陸は疑問符を浮かべ、
「前に、何かあるんですか?……」
訊ねるがやはり返答は無く、仕方なくティーが見据える正面を吊られるように見据えてみると、
「……?……」
苔が彩る太い巨木の根が何重にも這う、凸凹の悪路の真ん中に、なにか、白い塊らしきものが落ちていた。遠目のせいか、それが何であるのかが判断できず陸は、
「……シズさま」
「ああ……あれは一体なんだろう?」
ずっと黙りながら運転していたシズも、一足先にそれを見つけたのか、じっと、その白い塊を凝視していた。そのせいでティーは黙ってしまったのだろうと思いながら陸は、危なくないかなと一瞬心配してしまったが、速度も大して出ておらず、一律に安定していたので、その事は気にしない事にした。
とりあえず、苔に塗れた白い塊らしきものを見ながら陸は、
「……苔の塊ですかね」
と、何気に自分の、見たままの見解を入り混じりながら、主に聴き訊ねてみるが、
「……よく解らないな」
シズは困った口調で言葉を返し、疑問符を浮かべながら何かを考えていた。そして、
「……ちょうど通り道だし、調べてみるか……」
隣でじっと、その苔塗れの塊を見ていたティーに、
「停まっても良いかい」
そっと訊ねてみると、シズの方に視線を向け、
「……いいよ」
と、無表情な視線をやり一言だけポツリと言うと、陸も同じようにシズの方に視線を向け、
「私も構いません」
と、一人と一匹はシズの考えに、素直に同意した。
「よし、じゃあ近づいてみよう」
ティーと陸の同意を聴き入れると、シズはブレーキをゆっくりと踏み込み、バギーのスピードを徐々に落としていく。四つのタイヤが二本の轍を苔の上に刻み、ガタゴトと激しく揺さぶられながら、〝苔の塊〟へと近づいていく。
すると、
「シズさま、あれは……」
「ああ……」
話しかける陸に言葉を返し、ブレーキの全てを踏み込み、ききっと響く音を唸らせながら停車させると、シズはバギーのエンジンを切りながら、
「見れば解るさ」
何か一人思うかのように寂しそうに呟く。
それに呼応するかのように、
「……ほねだ……」
ティーも感慨もなく呟いた。
停車したバギーのすぐ手前にある苔の塊の正体は、ティーの呟いた言葉どおり、寝転ぶように仰向けに倒れた、素性も知れぬ行き倒れた人間の白骨死体だった。
自殺なのか、遭難したのかは解らないが、周囲には手荷物らしいものは何もなく、一糸の衣服すら身に着けてはいないそれは、ただ深緑の苔に侵食され埋もれ朽ち果て、樹海に住まう虫の住家になりながら、そのまま自然の中に消え去ろうとしていた。
身体の半分以上は既にバラバラに崩れ果て、苔がびっしりとその身体を蔽っていた。
そんな白骨死体を見詰めながら陸は、
「どうします、シズさま?」
「そうだな……」
前にある白骨死体に瞑目していたシズは、瞼を開き、苔の絨毯に野ざらしにされたままの白骨死体を見詰めながら、
「ほっとくわけにもいかないな……」
シートベルトを外し、ドアを開け、バギーから降り出す。
そしてシズは一人後部キャリアの旅荷物に積んであった荷物の中から、折りたたまれていた携帯スコップを取り出し、カチャカチャと音を鳴らしながら組み立てていく。
それを片手に持ちながらシズは、後部キャリアから使わなくなったボロボロになった布の袋を取り出し、それをスコップを持つ手の脇に挟み、助手席に座ったままのティーと陸に視線をやりながら、
「陸、ティーそこで待っていてくれ……あの人を弔ってくる」
「おともしなくて宜しいので?」
「ああ、その代わり陸はティーをしっかり守っていてくれ。ティー、陸の言う事を聞いて待っていてくれるね?」
緑色の相貌でシズをじっと見ていたティーに問いかけると、
「……わたしも、いく」
ティーは呟き、バギーのドアを開け、脚の間に座っていた陸を睨むように見詰めながら、
「りく、おりろ」
言うと、陸は困りきった顔をしながら、深々とため息をつき、
「……ティー、降りてはいけませんよ。ここに残るようにと今、言われたばかりでしょ? シズさまの邪魔をしてはいけませんよ」
優しくそれでいて強い口調で言い聞かせるかのように言うが、それでもティーの決意は変わらないのか、もぞもぞと上半身だけを動かし、シートに這い蹲るようにして外へと出ようとする。
「……おりる……」
「だから降りては──わぁ!」
無理やり身体を動かし降りようとするが、案の定バランスを崩し、陸ともつれるようにして、ごろっとバギーから転げ落ちる。
「……むぎゅ!」
ティーに押しつぶされ、苔と根の這う地面に倒れながら陸はむぅと呻き、
「……ティー、大丈夫ですか?」
背中におぶさるように倒れていたティーに潰され、情けない体勢のまま陸は慌てて訊ねるが、
「だいじょうぶ、か? りく?」
訊ね返されてしまい、陸は怒るべきか迷いながら疑問符を浮かべ、
「……え、いえ、私は大丈夫ですが……」
差し障りのない返答をし、その後に注意をしようとするが、
「……そう……」
毛をかき乱すかのように、わしゃわしゃと頭を撫でられてしまう。
複雑な気持ちで頭を撫でられていると、
「陸、ティー、バギーから降りるときは気をつけないといけないよ」
転んだティーが気になったのか、わざわざ助手席へと様子を見にきたシズは、携帯スコップと袋をバギーのボンネットの上に置き、しゃがみながら陸の上に寝そべるかのように倒れていたティーを、そっと優しく抱き起こす。
軽くなった背中を押し上げ、申し訳なさそうにしながら寂しそうに立ち上がった陸の傍ら、シズはティーの服や袖に付いた苔をパタパタと手で払い落とすが、
「……」
じっと顔を見詰めていたティーの視線に気づき、シズは手を差し出し、
「……ついて来るかい」
「うん」
ティーは差し出されたシズの手をしっかりと握り締める。
「よろしいので?」
毛についた苔を振り落としながら陸が訊ねてくると、
「仕方がないさ」
言いながらシズは、ボンネットに置いた携帯スコップと袋を片手に持ち、白骨死体の元へと歩み出す。
また転ぶのが怖いのか、ティーはずっとシズの手を両手で握り締め、陸もその傍らでハラハラとティーの歩みを見守っていたが、二度と転ぶ事無く白骨死体の元へ辿り着くと、仰向けに横たわった白骨死体を見ながらシズは、手を握り締めていたティーに、
「怖くないのかい」
心配そうに訊ねるが、ティーは何も言わず、じっと白骨死体を眺めていた。シズはそれ以上何も言わず、瞼を閉じ黙祷を捧げ、陸もそれに倣うように瞼を閉じ、頭を垂れ、数分間黙祷を捧げる。
がさがさと葉木のざわめきが樹海の中に響き、やがて葉木のざわめきが鳴り止むと、黙祷を終えたシズは瞼を開き、手を握り締めこちらを見ていたティーに、
「ティー、今からこの人を埋葬するから、しばらく陸と一緒に待ってくれるかい」
言うとティーは無言で頷き、掴んでいたシズの手を離し、未だ黙祷を終えていなかった陸の背中にぎゅっと抱きつく。
少し驚いた様子で陸は重いです。あまり引っ張らないでと、訴えかけるが、それでもティーはぎゅっと陸にしがみついていた。
そんな朗らかな雰囲気の陸とティーを背に、シズは白骨死体の傍に跪き、携帯スコップを地面に置き、
「少し、失礼します」
深々とした声音で謝りながら、薄汚れた亀裂の走った頭蓋骨を拾い上げる。拾い上げたと同時に、頭蓋骨に巣くっていた気色の悪い幾種の虫がバラバラと、まるで雨のように苔の上に零れ落ちていくが、それをたいして気にした様子もなく、シズは頭蓋骨を袋の中にいれ、残された肋骨や背骨などの骨を、丁寧に一部一部の欠片を拾い集めていく。
一つも取り残す事無く回収した骨を、シズは零れ落ちないようにと袋の淵をしっかりと閉め、ガラガラと音を立てながら片手に持ち上げる。
「さてっと、この辺で掘れそうな場所は」
周辺を見回し、根の這っていない土だけの地面はないかと辺りを探す。
上下に曲がり根付いた歪な巨大な根っこが、所狭しに地面に喰らいつき、成長しきった威厳でも示すかのように、どこもかしこもに張り付き、苔に塗れた石などが無数に散乱し、掘り易い所などはどこにも在りはしなかった。
「……困ったな……」
悩みながら何気に、シズは陸に抱きつくティーの方に視線をやると、一人と一匹の立ち位置に、丁度根が這っていない黒い腐葉土の地面があった。
バギーの通り道からも逸れた、その地面に、シズは立ち上がり、スコップを片手にティーと陸の傍へと戻った。
ティーに抱きつかれた陸に終わったのですかと訪ねられ、まだだと言いながらシズは、遺骨を入れた袋を足元に置き、シズは陸の足跡とティーの靴跡が幾つも残る腐葉土の地面に、ざくっとスコップを突きたてる。
柔らかく湿っているせいか、それとも大した不純物が混じっていないせいか、綿のように腐葉土は柔らかく、ズブズブと面白いほどにスコップの先が入っていく。そのままスコップで腐葉土を掘り上げ、そしてものの数分も掛からずに、袋が丸々入る穴を一穴を簡単に彫り上げてしまう。
その作業をじっとティーは興味ありげに見ていたことに気づかず、シズは腐葉土がこびり付いた汚れたスコップを地面に強く挿し込み、傍に置いてあった遺骨が纏められた袋を、粗相無くゆったりと手に取り、そっと穴の中に横たえた。
「……これで安らかに眠れますね」
袋に納められた遺骨に話しかけ、挿していたスコップを手に取り、掘り上げた土をかけ、穴を埋めていく。
その作業をじっと見詰めていたティーの傍らにいた陸が、猫の毛づくろいみたく、ティーに引っ張られ乱れた毛を前足で直している間に、穴は埋め終わり、シズは近くに何気に転がっていた手頃な岩を墓標として差込み、一通りの埋葬を終えた。
それを見計らい、陸は歩き出し、
「シズさま、お疲れ様でした」
シズの元へと身を寄せると、
「……おわったの?……」
ティーが訊ねてくる。
シズはズボンのポケットに入れていたハンカチを取り出し、汚れた手を拭きながら、
「ああ、終わったよ……でも、まだやらなきゃいけないことがある」
言うと、シズはハンカチをポケットにしまい込み、墓標に視線をやりながら、
「……この人の冥福を祈ろう」
「わかりました、シズさま」
陸が言葉を返すと、背中にしがみついていたティーも、
「ん」
了承した返事を一言返し、とたとたとシズの隣に並ぶ。
二人と一匹が、墓標の前に横一列に立ち並び、墓標の前に佇みながらシズは胸に手を合わせ、ティーもそれを真似するかのように、自分の胸に手を合わせ、重く瞼を閉じる。
陸は手を──もとい前足を合わす事はできないので、頭を垂れたまま、祈りを捧げた。
すると、
「──!」
ぶわっと、樹海に生える葉木が一斉にざわめきだし、不気味な音を周囲に奏で騒ぎ出す。
そんな中、ティーは急に瞼を上げ、
「……だれ?」
疑問符を浮かべながら墓標の方を見詰める。
シズと陸も同じように視線を向けるが、そこには誰もいなかった。
「……ティー、誰か居るのかい?」
シズは訪ねるが、
「……どういたしまして」
ティーは何も答えず、何故か手を振りながら空を見上げながら、
「……ばいばい」
木漏れ日が射す方へ、何かを見送っていた。
「……?」
そこには誰もいないのにと、シズと陸は頭をかしげるが、ティーは最後まで何も訊ねずに黙祷を終え、瞼を開き、まだ手を振っていたティーに、
「……それじゃあ、そろそろ行こうか」
「うん」
手を振るのを止め、シズに返事を返すティーの後に、
「はい、シズさま」
陸も黙祷を終え、言葉を返した。
そして行きと同じように自分の手を両手で握り締めてくるティーに、優しく微笑みながらシズはきびすを返し、地面に挿していた携帯スコップを片手に陸を連れ、畳んだスコップを荷台に戻し、バギーへと戻り乗り込む。そのまま深々とシートに腰を預け、アクセルとブレーキに左右の足を交互に乗せ、野太い力強いエンジン音を高らかと唸らせながらシズは、ハンドルを握りしめたまま、最後にと墓標に一瞥一礼し、
「それでは失礼します……どうか、安らかにお眠りください」
瞑目しながら頭を上げ、すっと正面に向き直り、そのままゆっくりとアクセルを踏み込み、バギーを走り出させた。
そしてバギーが根に這う苔を湿った大気に撒き散らしながら荒々しく走り去った後、樹海の中に建てられ設けられた墓標にうっすらと、暖かな眩い木漏れ日の光が、じっと差し込んでいた。
途中。
ガタゴトと激しく揺れ動く中、陸の頭を丁度良い使い慣れた枕代わりに、頬を深々と埋め、ぐっすりと寝入っていたティーを見て、シズは疲れも癒してくれるその寝顔に優しく微笑みながら、
「よく寝ているな」
「シズ様、重いです」
「すまないがティーは陸の頭がお気に入りみたいなんだ。しばらく我慢してやってくれないか」
「それは、しかたありませんね。もうしばらく、こうしておきましょうか」
「それにしてもよく寝ているな。陸の頭はそんなに寝心地がいいのかな、私もあとで試してみるか」
「……別にかまいませんが、あまりお勧めは致しませんよ」
「はは、冗談だよ」
「ところでシズ様お尋ねしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
「なんだい陸」
「はい、先程ティーはいったい誰と話をしていたのでしょう? 確かに誰もいなかったはずなんですが……」
「……そうだな……」
「後でティーに聞いてみますか?」
「……いや、別にいいさ……」
「……そうですか」
大きな疑問を残しながらも、バギーは何事も無かったかのように鬱蒼と、どこまでも続く樹海の中を走り進んでいく。
樹海の話c end
いかがでしたか?
シズ様なら然るべきやるだろう行為と、ティーなら然るべきある行為だと思い書かせて頂きました。
その立ち位置にいる陸の中間的な役回りをどうしようかと迷いましたが、今回は陸の語りではなく、第三者的な語りで書かせて頂きました。
ご感想、お気軽に御残しくださいませ。
では、最後までお読みになってくださった方々。
誠にありがとうございます。
では、また。