小説の林堂 二次創作 小説「キノの旅」   作:イバ・ヨシアキ

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 皆様こんにちわ。
 イバ・ヨシアキです。
 キノの旅の小説を投稿いたしました。魔術士オーフェンはぐれ旅・無謀編もアップいたしましたので、読んでいただけたなら幸いです。
 今回の作品は少ない文章でどれだけストーリーを構成できるのか、それを念頭に置いて書きました。
 よく学生時代に言われたのですが、

「長く説明を書きすぎて読み手が退屈する」

 と、指摘されたのを覚えております。
 うまくかけているか不安ですが、読んでいただけたなら幸いです。
 では、最後までお付き合いを。
 


 決闘の話 Story of duel

 

 それはそれは昔、昔。

 とある国でのお話です。

 そのとある国には絶対の法律と伝統がありました。

 それは一年に一回、ハンド・パースエイダー(注意・拳銃のこと。この世界における銃火器を呼ぶ総称)の名手を選ぶ決闘が、国を挙げて行われることです。

 無論、弾丸は正真正銘の本物の実弾を使い、本当に互いが、自分の命を懸けて真剣に殺し合う決闘を行っていました。

 中には相手を殺すことに躊躇して、殺さないでおこうとする者もいましたが、相手をちゃんと殺さないと両方が決闘の習わしで家族もろとも殺されてしまうので、互いは必死になって、真剣に殺し合いをします。

 たとえ相手が長年ともに育った友達であろうとも、心から愛している恋人であろうとも、大切な家族であろうとも、例外なく決闘では殺し合いをします。

 何故その国ではそんな決闘が行われるようになってしまったのか、その国では昔から、建国当初からハンド・パースエイダーで相手と決闘する早撃ちの名手が、より優秀な人物と尊ばれ、その国の王様として立ち振る舞える古い伝統があったからです。

 その国の建国の主たる王が、一丁のハンド・パースエイダーで暴力と略奪に荒れたその土地を平定し、まとめあげた一国の国家を建国しました。

 その際に王は、

 

『ハンド・パースエイダーに強いものが国を守ることができる!』

 

 と、声高々に国民たちに宣言し、以来この国ではハンド・パースエイダーの名手が、この世で最も優れている人物であるとの、考えが生まれました。

 学校の授業にもハンド・パースエイダーの授業があるくらいに、この国ではハンド・パースエイダーの名手が尊ばれていました。

 そして建国の王がやがて寿命で死に、次の王を決めるためにどうすればいいのかと、政治家はもちろん国民すべてが悩みました。

 幾日の夜が過ぎ、幾日と陽が昇っても、考えはまとまりませんでしたが、ある子どもが何気に言いました。

 

「王様はハンド・パースエイダーの名手だったんだから、次の王様もハンド・パースエイダーの名手にすればいい!」

 

 その子どもの考えに国民すべては、

 

『なるほど、それはいい考えだ!』

 

 と、納得し、それ以来この国では、一年に一回の命を懸けた決闘の大会が開かれるようになりました。

 毎年、雨が降ろうが嵐がこようが、誰がこの国で早撃ちの名手なのかを決める大会がちゃんと行われていきました。

 途中国民の中には、

 

『この考え方は間違っているのでは?』

 

 と、疑問を持つ声が上がることもありましたが、異端者だと、国家反逆だと、

 

 建国から50年を迎えたある年。

 天性の才能を持った早撃ちの名手が生まれました。

 その早撃ちの名手は抜き撃ちを0、5秒で行い、ホルスターから構えるまでの動作を一秒もかからずに行い、確実に狙った相手の急所に弾丸を当てることのできる凄腕の名手でした。

 まだ10代にも関わらずに大会に出場し、多くの人を撃ち殺しては勝ち進み、その名手はその年の英雄──王様になりました。

 でもそれはこの国始まって以来の災事を生んでしまいました。

 その名手は早撃ちでは誰にも負けたことはなく、名手と呼ばれるようなってから、誰にも負けたことはありません。

 その神がかりな早撃ちで女子供を平気で殺す悪人を撃ち殺しては、強い自分に挑戦する相手も躊躇なくに撃ち殺し、その仇だと肉親や恋人も何の葛藤もなくに容赦なくに撃ち殺し、今まで自分に向かってきた相手全てを撃ち殺しながら、毎日を生き抜いてきました。

 次の年も。

 その次の年も。

 大会は開かれましたが、誰も勝つことができませんでした。

 毎年、その毎年ごとに勝つのはその名手だけとなり、もう大会は必要がないと名手は宣言し、大会は行われなくなってしまいました。

 もう誰も殺し合わなくて済むとホッとする国民もいれば、この国の伝統が失われたと嘆く国民もいましたが、

 

 そんなある日の事。

 もう相手になる人間はいないと退屈していたその名手は、早撃ちの決闘がしたく、毎日を決闘の日と決め、その国に立ち寄った旅人や商人を相手に決闘をし始めました。

 中には、

 

「決闘なんてしたくはない!」

 

 と、言う相手もいましたが、そんなのはお構いなし名手はその相手を撃ち殺し、中には、

 

「助けてください!」

 

 と、命乞いをしてくる者もいましたが、そんな言葉を聞く事すらなく名手は撃ち殺し、

 

「財産の全てを上げますから!」

 

 と、言う相手もいましたが、名手はそんな相手も撃ち殺し、

 

「せめて家族だけは命は助けてください!」

 

 と、懇願する相手もいましたが、そんなのはお構いなしに次から次へと撃ち殺していきました。

 名手は楽しくて仕方がなかったのです。

 自分に挑戦してくる相手をハンド・パースエイダーで撃ち殺すことが、楽しくて仕方がなかったのです。

 無論その国の警察はもちろん国民すべてがその名手の所業に困り果てていましたが、国の建国から存在する絶対の法律と伝統に逆らうことができません。

 そしてその名手に撃ち殺されたくなかったので、皆は見て見ぬふりをしていました。

 むしろ、見て見ぬふりをすることしかできません。

 国民の皆が、その男を恐れていたからです。

 やがて外から悪い人間が集まるようになり、国は荒れていきました。中には他所の国からハンド・パースエイダーに強い人物を雇い、その名手を殺させようとしましたが、あっさりと殺されてしまい、依頼した本人、その家族、はたまた知り合いまでもが殺されていきました。

 もう、誰もその名手に逆らうことができませんでした。

 そんな暗い日が続いたある日。

 ボロボロの黄色い車に乗った黒髪の美女と、女性みたくハンサムな青年が、その国に訪れました。

 美女は男性物の服装で身を固め、スーツにズボンとブーツを履いた姿で、美しく整った顔立ちもあってか、入国するなり周りの目を引きました。

 そのボロボロな小型車を運転していた青年も、その美女と同じように顔立ちが整っており、どこか頼り気のなさそうな雰囲気がありましたが、その美貌で周りの目を引いてしまいます。

 そして二人は、腰にそれぞれ一丁ずつのハンド・パースエイダーが下げられてしました。

 美女の腰にはリボルヴァータイプのハンド・パースエイダーが下げられ、青年の腰には、オート・マティックタイプのハンド・パースエイダーが下げられています。

 そのパースエイダーはよく使い込まれ、よくしっかりと手入れがなされていました。

 名手は久しぶりに楽しめると、喜びながらその二人に決闘を挑みます。

 周りを自分の部下で固め、逃げられないようにしてから決闘を挑まれ師匠は、

 

「なぜ決闘をしなければいけないのですか?」

 

 と、当たり前の事を尋ねます。

 

「やめておいた方が良いと思いますよ?」

 

 と、青年が忠告しますが、名手はそんなこともお構いなしに、決闘をしろと進めてきます。師匠に向かって無礼千万な物言いをし続ける名手に、青年は慌てて、

 

「あんまりそんなこと言わない方が良いですよ。あなただって言われて嫌でしょ?」

 

 まるで子どもを叱責し解らせようとするような言い方で忠告しますが、名手はそんなことはお構いなく、関係なしに師匠を愚弄し続けます。

 師匠は、

 

「……」

 

 何も言わずに名手からの挑発的な言葉を聞いていましたが、その何も言わない沈黙はどこか重く、そしていつ爆発するかわからないような緊張感に包まれた空気でした。

 青年は少し離れて様子を見守っています。

 まるで対峙するように二人向き合う師匠と名手。言葉をまくしたて、師匠が感情に任せてハンド・パースエイダーを抜くのを待っています。

 抜こうとしたらそのまま撃ち殺してやろうと、名手は自分が一番楽しい殺し方を想像していました。

 とくに好きだったのは、家族を殺されて仇をとろうとした相手を追い詰めて、何もできないまま絶望の淵に落とすようにとどめを刺す殺し方です。 

 師匠が怒りながら感情のままにハンド・パースエイダーを抜いたら、自分のこのハンド・パースエイダーの早業で師匠を撃ち殺し、そのままジワジワとなぶり殺してやろうと考えていました。

 そして師匠は、

「わかりました。その申し出を受けます」

 と、その一言を言った後。

 師匠は腰に下げていたハンド・パースエイダーを何の躊躇もなく、まるで椅子から立ち上がるような自然な動作でパースエイダーを引き抜き、狙い構え撃つ動作もなくに引き金を引きました。

 液体火薬がさく裂した銃声の後、45口径の弾丸は名手の腹部に命中し、名手はその場に両膝をつきます。

 いきなりの事で、名手は困惑していました。

 油断していたとはいえ、あんなに早く、自然と抜くことができるなんてと、まして女性があんな風にハンド・パースエイダーをと、思考が混乱していきます。

 いつもなら女は命乞いをして泣き叫び、必死になって助けを乞う筈なのに、なんでなにもうろたえていなかったのか、例えハンド・パースエイダーを抜いても、自分ならそれを見抜いて、それより先にハンド・パースエイダーを引き抜いて撃ち殺せた筈なのに、なんで自分が撃たれてしまったのか、まるでわかりません。

 なんで自分が撃たれてしまったのか。

 なんで地面に自分が倒れてしまっているのか。

 なんでこんな風になってしまったのか。

 考えても、まるでわかりません。

 そんな思考がうまく働かないまま、腹部にジワリジワリとにじみ出てくる流血に腹部が濡れ、弾丸の熱に焼かれていく腹部の痛みに悶絶していると、名手に最後は訪れました。

「私の勝ちですね」

 と、師匠は両膝を折り、苦しがっている名手の頭部に二発目を撃ち込み、しごくあっさりと、とどめを刺してしまいました。

 頭がパリンと花瓶が割れたかのように弾け、名手の頭の左側がパッカリと空いてしまい、名手はそのまま地面に倒れてしまいます。倒れた拍子に内のモノがドロドロと砕けた果実みたく流れ出し、あたりを真っ赤に染めていきました。

 周辺を取り囲んでいた名手の取り巻き達は大騒ぎをし、混乱していたのか、純粋なかたき討ちなのかはわかりませんが、名手を殺した師匠にパースエイダーを向けようとしますが、

「あっと、駄目ですよ」

 注意されるように青年にあっさりと撃ち殺され、それに続くように他の取り巻き達も撃ち殺されていきます。

 無論師匠も青年と同じように、いやそれ以上に取り巻き達を撃ち殺していきます。

 中には、

 

「こ、降参する!」

 

「こ、殺さないで!」

 

「ゆ、許してください!」

 

 と、命乞いをする者もいましたが、師匠と青年はそんな相手からの必死の命乞いすらも無視して、全員を撃ち殺していきます。

 そしてすべての取り巻き達が死に、かすかに息がある者も、

「すいませんね」

 と、青年が軽く謝りながら、申し訳なさそうにとどめを刺します。

 師匠も同じように、

「失礼します」

 と、礼儀正しい声で、とどめを刺していきます。

 そして誰も息をする者がいなくなり、この国を支配していた名手とその取り巻き達が全員死ぬと、国民は大いに喜びました。

 今まで苦しめられていた憂さを晴らすように、国民たちは名手の死体を吊し上げて、ハンド・パースエイダーの的にして、弾丸を何発も何発も撃ち込んでいきます。

 取り巻き達の遺体も同じように吊し上げられ、名手と同じように的にされ撃たれていきます。

 いままでの恨みを晴らすかのように、国民たちは名手の豪華な屋敷を焼き払い、その取り巻き達の家族すらも皆殺し、今まで鬱積していた全ての恨みを晴らしていきました。

 一日もたたないうちに名手の死体は跡形も無く砕け散り、粉々になった血まみれの骨と肉の塊になり、やがてカラスや野良犬の餌になり、名手の死体は跡形も無くなくなってしまいました。

 取り巻き達の死体も同じようにカラスと野良犬の餌になりました。

 師匠と青年はこの国を救った英雄だと、国民すべてから感謝を受け、まるで国賓みたく豪勢な食事と豪華な寝床で数日ほど過ごして、高価な報酬を持てるだけ貰い、国を後にします。

 国民は、

「ぜひ、この国の新しい名手になってください。あなたならこの国を正しく導いていけるはずです」

 と、お願いされましたが、

「いえ、興味がないので結構です」

 と、師匠は言い、

「じゃあ、お邪魔しました。お土産ありがとうございます」

 

 そう言い、弟子と師匠は国を後にしました。

 

「いやはや、本当にすごい国でしたよね。ハンド・パースエイダーなんかで自分の考えが押し通せる国なんて」

「それだけ世界は広いということですよ」

「でも、あの国これからどうなるんでしょうね? もうパースエイダーの名手なんか選ばないのかもしれませんね」

「いえ、たぶんそれはないでしょう。今頃国を挙げてまた決闘を始めているのかもしれませんよ」

「ええ、あんなにひどい目にあったのに、また名手を決めるんですか?」

 

「伝統と法律はそう簡単に変えることはできませんからね」

 

 決闘の話 END

 

 




 いかがでしたか?
 
 時間があれば手直ししてみたい作品ですが、やはり説明を増やしてみた方がいいでしょうか? 
 それともストーリーを長くしてみた方がいいでしょうか? 
 と、色々と悩みますが、今後の課題にしてみます。

 読んでいただきありがとうございます。

 では、また次の作品で。

2014年12月31日に改稿しました。
 最初の話とは違うようになりましたが、この方がしっくりくるような気がするのでしょうかいかがでしょうか?
 また感想などお待ちしております。
 
 では、よいお年を!
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