小説の林堂 二次創作 小説「キノの旅」   作:イバ・ヨシアキ

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 第3話です。 
 どうかごらんください。
 キノの旅の小説作成技法は難しく、二次創作とはいえ時沢先生の表現力に感服します。
 うまく表現できたらと幸いです。
 では、お読みください。


 「目標の話」

 

 目標の話 

 

 ──Target talk──

 

 

 ──それは、キノとエルメスがある国に立ち寄った時のお話です。

 

 その国には国民すべてから尊敬され、偉大な人と称えられ人物がいました。

 彼はもともと何者と知れぬ、身分の低い産まれの出で、幼い頃から両親と共に肉体労働に日々を過ごし、それでも尚に努力を怠らず学業を修め、その国で一番難しいと言われる大学を実力で入学し、そして卒業し、成人し社会に出ては、身分による差別や蔑視などをものともせずに、強いては国の為に、そして全ての国民の為にと、身を粉にして働きました。

 まず、この国の主産業であった農業の仕組みを変え、季節ごとに安定した作物の収穫ができる方法を見つけ、その方法を独占せず、身分に関係なく分け隔てなく全ての国民にその方法を教え、不安定だったこの国の食料問題と経済事情を解決しました。

 また車やモトラド(注意・二輪車の事)などの乗り物も全くなかったこの国に、外の技術を独学で学び、いくつかの乗り物を独自で発明し、それを新たな産業として興し、貿易や交易を発展させ、国をさらに豊かにしました。

 また一番難しい大学に通っていたこともあってか、優秀な医学の知識も持っており、医者としても活躍し、貧富の差も関係なく、ただ死を待つことしかできなかった、多くの人々を分け隔てなく救いました。

 やがて多くの国民が彼を尊敬し、神のように称えられるようになり、そしてそのまま押し上げられるように、国の政治に関わるようになりました。

 そして政治家として政に身を置くと、決して権力に奢ることなく、国民が平和にかつ平等に暮らせる政策を次から次へと立案、発案し、不可能であった、この国に古くから根付いていた差別や格差をも無くし、多くの人々を幸せにし、国を発展させました。

 その彼の偉業に、国民の全員は彼をとても尊敬し、悪口や悪評などはまるでなく、入国したら、まずその偉業の全てを、訪ねてもいないのに旅人に教え広めるほどに、彼は国民すべてから愛されていました。

 買い物と観光の為に入国した旅人のキノとモトラド(注意・二輪車の事)のエルメスも、入国前に、丁寧かつ熱心に入国管理官は、その偉大な彼の偉業と歴史を1時間以上にわたって熱弁、説明をしてくれました。

 キノとエルメスがその長い長い説明を終え、ようやくに入国を果たすと、その褒め称えられている人物本人から、是非旅人さんとお話がしたいとの申し出があり、豪華な食事つきと聞いてキノは断ることなく、その申し出を快く受けました。

 

 そして豪華な食事を終えた後。

 久しぶりにお腹いっぱいに豪華な御馳走を食べれて、とても満足していたキノは、向かい側に座る白髪の優しそうな顔をした彼──大統領に、

 

「とても美味しいお食事でした。こんな豪華なお食事にお誘いして頂き、本当にありがとうございます。大統領閣下」

「ええ、喜んでいただいて良かったです。旅をしていれば、そうおいそれと、おいしいものは食べれませんからね。遠慮なく次のデザートもお楽しみください」

「はい、ありがとうございます」

「そうそう。キノは特にそれを一番にして生きてるからね。こんな御馳走なんか、めったに食べれるもんじゃないから、遠慮なんかしないもんね」

「はは、それはよかった。あと、もし今日の宿泊先も決まっていないのなら、わたしの方で手配いたしましょう。それと我が国でした、お買い物も全て無料にさせていただきます。それにエルメスさんの整備も無料でさせていただきましょう」

「うわー〝オーバーなフルマラソン〟だねキノ」

「……?」

「もしかして大盤振る舞い?」

「そうそれ」

「……その大統領閣下、御好意ありがとうございます。でも、その、なんで見ず知らずの旅人のボク達に、そこまでしてくれるのですか?」

「こんなによくしてくれているってことは、何かキノに頼みたいことでもあるの? 今のキノなら結婚以外なら何でもしてくれると思うよ」

「頼みたいこと……そう、出来ればキノさんとエルメスさんのいままでの旅の経験を、差し支えない部分でもいいから、いくつか聞かしてはもらえないだろうか。わたしは外から来た人の話をなるだけ聞く様にしているんだ」

「え、そんなのが聴きたいの? キノの旅の内容なんかおもに食べることがメインだよ。あんまり重要な情報は無いけど──いた!」

「いや、キノさんやエルメスさんが今まで経験してきた全てを、どんなことでもいい出来うる限り教えてほしいんだ。些細なことでもいい、わたしはまだ未熟で、色々な経験が少ないんだ。だからわたしは、この国に訪れてくれた旅人には必ず、外の国の事や、その人が経験したであろう人生を聴くことにしているんだよ」

「へえ、りっぱな話だね。キノも見習って、どこかの国で大統領になったら」

「なれたらなりたいかな」

「はは、今はこうして大統領の地位には着かしてもらってはいるが、そう、ほめられるようなことでもないよ。わたしはまだ、なんの目標も果たしてはいない駄目な人間さ」

「? 目標を果たしていないって? 大統領になって、国民みんなから尊敬されてるじゃん。それにこんな立派なお屋敷に住んでるし、お金持ちだし、それって、けっこう立派なことじゃないの」

「確かに、みんなわたしの成した事を偉業として認めてはくれるよ。でも、わたしのほんとうの目標はね、大統領なんかじゃないんだ。まだ本当の目標の端にまでたどり着いてもいない。まったくダメな男さ。決してほめられるような人物ではないよ」

「……その、差し支えなければ教えていただけませんか。大統領の目指されている、その目標を」

「ああ、キノさんの事だけを聴くのはフェアじゃないからね。教えてあげよう。わたしはね、ある目標のために、いままで苦しい生活を耐えていたんだよ。そのためなら、どんな苦しい事も我慢できたし、どんな大変な仕事もできたし、難しい勉強もできたし、発明も思いつくこともできた。そして色々なことをたくさん経験できた。これも全て──わたしが小説家になる為の目標があったからこそ、成しえたことなんだ」

「……?」

「小説家……ですか?」

「ああ、わたしは小説家になりたいんだよ」

「じゃあ、なればいいじゃん。大統領なら好きに本が出せるんじゃないの」

「それは駄目だよ。そんなのは小説家のわたしではなく、この国の大統領としての本になってしまうじゃないか。みんな小説家のわたしとしてじゃなく、大統領としてのわたしを見てしまっては駄目なんだ。わたしは、あくまで小説家として面白い話を作り、みんなに見てもらいたいんだ。だからこそ、人生の経験を積むために毎日を努力をし、外から来た旅人からも、外の情報やその人の経験を集め、自分の知識として経験として集めているんだよ。これもすべて小説家になる為になんだよ」

「小説家になる為に、ですか」

「ああ、わたしは読み書きをおぼえた頃から小説家を目指していたが、持ち込みをしていた出版社の人に〝君はまだ若いから、ちゃんと学校に行って勉強した方がいい。人生経験がすくないと面白いものは書けないよ〟と言われ、人生の経験を積むために、毎日を必死に過ごして行ったんだ。だからこそどんな難しい勉強も頑張れたし、どんなつらい仕事もこなすことができた」

「で、いろいろな事を頑張って経験して、結果、今の大統領になれたってことなの」

「ああ、これもすべて小説家になる為の土台だよ。そのためにわたしは、毎日を必死に働いた。辛い肉体労働の日々も貴重な体験が出来ると思えば全然つらくはなかった、勉強もこれが小説家になる為に必要だと思えば、どんな難しいことも覚えることが出来た。身分の違いで不条理で理不尽な扱いも受けたが、それも小説家としての経験ならばと容易に我慢ができた。これもすべて私が小説家になる為の目標があってこそ、成しえたことなんだ」

「では、あなたは大統領の任期を終えてから、小説を書かれるのですか?」

「そうだよ。この大統領の任期を終えてから、わたしは一般人に戻る。ひっそりとどこかで隠居しながら余生の全てを使い、今までの経験の全てを書きまとめ、小説を発表し、小説家になるんだ」

 

 ──それが、わたしの人生の目標だよ!

 

 そう大統領は笑顔で、自分の人生の目標を熱く語りました。

 語り終えた後、デザートが運ばれてきて、キノは遠慮なく豪華なデザートを堪能しながら、出来うる限りの自分が経験した旅の話をしました。

 エルメスもいつも以上に色々と話します。

中にはごまかした話や、はぐらかした話などもいくつかありましたが、大統領は気にせずに、キノとエルメスの話をまじめに、楽しそうに、聞き入っていました。

 話が終わった後。

すっかりとご機嫌な大統領に何度も感謝され、指定された無料の豪華なホテルに泊まり、約束されたタダの買い物と観光を思う存分に堪能し、三日目に、その国を出国しました。

 途中道中で、

 

「あの人、小説家になれたらいいよね」

「うん、その時は是非に読んでみたい」

「キノの事も書かれるかな」

「書かれたら書かれたで、それはそれでうれしいかな」

「たぶん、キノ事は、とても食いしん坊なちゃっかりした旅人だったって書かれるんじゃないのかな?」

「じゃあ、エルメスのことは、とてもお喋りな、よく寝て、よく喋るモトラドだったになるのかな?」

「いったいどんな風に描かれるんだろうね、楽しみだね」

「この後の旅先で手に入るといいね。ま、いつになるかはわからないけど、どこかの国の本屋さんで売られていたなら、その時は買おうかな」

「キノもさ、いつかどこかで旅を終えたら小説家になってみたら? けっこうおもしろい話になると思うよ」

「じゃあ、その時は、エルメスが朝寝坊なことを書くよ。あと、よく喋ることも書いていた方が面白いかな」

「じゃあ、こっちはキノが食いしん坊なことを書くね。もちろんタイトルは〝腹ペコキノの大冒険〟で決まり」

「? どうやって書くのさ?」

「キノに代筆を頼みます」

「じゃあエルメスの作品を代筆する前に、ボクが書く作品は〝ねぼすけエルメスの昼寝日記〟にしようかな」

「じゃあこっちはね──」

 

 そんな楽しそうな会話をしながら、キノとエルメスの旅は今日も続いていきます。

 

 目標の話 end

 




 いかがでしたか?
 会話のみの表現は一見簡単そうに見えましたが、実際にやってみると難しいです。
 キノの喋り方やエルメスの喋り方に気をつけて書いてみました。
 時沢先生の文章表現には脱帽します。
 あれだけの文章力に近づくように努力していきたいです。
 ご感想、ご意見の方随時募集しております。
 
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 
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