4速で最終コーナー出口を立ち上がった田村のマシンのエンジン回転は瞬く間に1万rpmのレヴリミットに到達、右側パドルを人差し指と中指でパンと弾く。
ECUがシフト操作を検知、ミリ秒単位でセッティングされた点火カットを行う。
ミスファイヤによりエンジン出力が途切れ、駆動力が抜けた瞬間にサーボモーターがシフトレヴァーを押す。
マフラー出口から火柱を上げ、一瞬で4→5速へのシフトアップが完了、メインストレート上での加速が続く。
再びレヴリミットが接近、マルチディスプレイメーターのLEDランプが激しくフラッシュ、レヴリミット間近なのをアッピールする。
6速へシフトアップ。
200km/hを超えたところで右の第1コーナーが迫る。
ステアリングのボタンを操作、リアウイングの可変フラップを起こす。
ダウンフォースが増加、僅かにリア車高が下がる
計測1周目、新サスペンションセッティングなのもあり少し余裕を持ったブレーキング。
4速までシフトダウン、ステアリング舵角を入れていく。
新しいセッティングはストローク初期の僅かなストローク量だけが以前より柔らか感じた。
いつもの走行時より少し早くインに付いた。
「これはいい」
田村のキリっとした口元が緩む。
すぐに迫ってくる左、2コーナーも同じ印象で通過した。
続いてフル・スロットルで通過できる超高速S時、そして急な登り勾配の右コーナー。
後でログを確認すれば分かるがコーナリングスピードは上がっている。
バックストレッチ、可変フラップを寝かし、最高速を狙う。
ここでこのサーキットで唯一7速まで使う下り勾配のストレート。
続いて右ヘアピンだ。
可部フラップを起こし、220km/hオーヴァーからのフル・ブレーキング、2速までシフトダウン。
ヘアピンに進入。
やはり回頭性が良い。
次の2連続90°左コーナーも調子良く駆け抜ける。
短いストレートの後、左→右の連続ヘアピン。
新セッティングの勝手が分かってきたところで少しずつ攻めていく。
回頭性がいいので少し速いスピードで進入でき、早いタイミングでスロットル・オープンできる。
中高速の、く、の字の右コーナー、僅かにスロットルを戻してクリア、ストレートと言えない様な僅かなストレートの後最終コーナー。
コース幅を最大に使い通過する。
再びメインストレート。
可変フラップを寝かしフル・アクセレーション。
タイムは、、、自己ベストに僅かに劣る。
が、計測1周目の調子を伺いながらにしては上出来だ。
以前までの悩みだったダウンフォースの少ない低速コーナーでのアンダーステアが改善されていて、なおかつ中~高速のハンドリングも良い。
計測2周目、1周目より攻める。
一段踏み込んだ新入、加速。
ダウンフォースのバランスからなのか低速ではオーバーステア気味、高速ではアンダーステア気味の挙動なのは以前と変わらないがほんの少し限界が高い。
タイムはベストを僅かに更新、ややブレーキとエンジンを労りながら3周目を走りピットイン。
「TAMさんやったね!更新だ!」
浅田の息子がタイヤのエア・チェックをしながら叫ぶ。
以前のセッティング時より少しリアタイヤの内圧が上がってる。
ベストな圧に合わせ、ピットアウト。2コーナー立ち上がりからはフル・スロットル。
リアの挙動が先程より安定した印象で更にアグレッシヴにスロット・オープンできそうだ。
裏ストレート前右コーナー入り口で同クラスの86、ライヴァルのマシンに張り付かれた。
アウトラップだった田村は最小限のライン変更でインを開け譲る。
ここ3年連続でシリーズチャンピオンのドライバーのスマイリー・メイだ。
本名は不明、このクラスでの紅一点でマシン、ドライバー共に非常に能力が高く、ハイレヴェルなこのクラスで3年連続のタイトルを手にしている。
エンジンはレギュレーション上限のV型6気筒3800ccだ。
日産のVQ37VHRがベースでビックボア、ショートストローク化、一通りのフル・チューニングにより軽く500馬力を超えてるとの噂だ。
車体側も田村のマシン同様、レギュレーションの許す限り、手が入っている。
レース前の練習、調整で走行しているのだろう。
「これは良い実戦テストになる」
そう思った田村は立ち上がり重視のラインでバックストレッチ前コーナーを立ち上がり、今度は逆に田村が張り付く。
上手くスリップに入れた。
可変フラップを寝かし、フル・スロットル。
しかしエンジンパワーの差によりジリジリと離される。
しかし田村は慌てずに加速し、ブレーキング・ポイントを睨む。
そしてブレーキング・ポイント到達、減速に入る。
重量バランスに優れる田村のマシンがブレーキングでは僅かに詰め寄る。
その後の右ヘアピンでもコーナリング性能の上がった田村のマシンに軍配が上がった。
続く2連続左コーナーでもベタベタに張り付く。
しかし相手はチャンピオン、抜くには至らず、短いストレートだが高度なアクセルワークと強力な加速力でまた離される。
連続ヘアピンで少し詰め寄る。
そのまま差は変わらず最終コーナー立ち上がり。
メインストレート、再び離される。
ダウンフォースの良く効く速度域の1コーナー、2コーナーでは重量バランスの差が大きくは出ず、少し詰めよるだけに留まる。
高速S字はつかず離れず。
バックストレッチ前右コーナーでは詰め寄る。
立ち上がり、前周より早いタイミングで可変フラップを寝かし、接触寸前まで接近してスリップの恩恵を前周の時より更に受けようとする。
バックストレッチ、前周より離されない。
そのままスマイリーに張り付いたままコントロールライン通過、ベストタイムを更に更新。
田村はこの楽しいドッグファイトを続けたかったが、まだレース前だ。
お互いここで力んでつまらないトラブルが起きても良い事は無いし練習走行での勝敗はリザルトに残らない。
「勝負はレース当日だ」と思いを込めながら、ヘッドライトスイッチを押す。
パッパッとパッシング、少しペースを落とす。
スマイリーもそれが見えたのか、1コーナーのブレーキングでブレーキランプを3回点灯させ1コーナーに進入した。
ピットイン、浅田の息子が
「TAMさんやっつけれそうじゃん!何でヤメたの?」と走行してる他のマシンの排気音に負けじと叫ぶ。
「今日なんかあってハデにメゲたらウチはオレとお前しか居ねぇのにレースまでに直せねぇだろ、楽しみは取っとけ!」
と親父が怒鳴る。
田村はその後、練習走行枠を2枠走行した。
ピットイン・アウトのタイミングからか、この日再びスマイリーとランデブーする事はなかった。
セッティングを繰り返し、僅かだが更にベストタイムを更新した。
タイヤも3セット使用。
走行枠は全て午前中で11時過ぎには全走行が終わった。
3人でサーキットクラブハウスのレストランへ行く。
様々な料理揃うビュッフェ・スタイルのレストランで食事する。
1コーナー~2コーナーが眺めれる席でガラス張りの席で皿にてんこ盛りにしたミートソースパスタを頬張りながら、2輪走行枠で走行している2輪レーサーを眺める。
「アレも楽しそうだ、チャレンジしてみたいな」
と思いながらパスタを平らげる。
ビュッフェ・スタイルなのをいいことに、次々と料理を喰らう。
満腹になった所でレストランを出る。
「汗だくになったろう?風呂入ってこいよ撤収の準備しとくよ」
と浅田の親父に言われる。
「ありがとう、行ってくる」
と会員のみが立ち入れるVIPエリアへと行く。
広大とまでは言えないがまぁまぁ豪華な個室浴場が多数あるのだ。
脱衣場で着けてる物を脱ぎ浴室へ。
頭から身体と順に洗い、湯船に浸かる。
2輪レーサーの1万4千rpmを超える心地よいエグゾースト・ノートを聞きながらの風呂は格別だ。
浴室のガラス張りの天井を眺めていたが気配を感じ、振り向く。
1枠目でランデブーしたスマイリー・メイが入ってきていた。
風呂だから当然だが何も着けてない。
同じ日にサーキットに居て浴室を使ってる時は、どうやってるのか脱衣場入り口の鍵を開けて入ってくる。
「後輩くん、めっちゃ速くなってるじゃん~先輩がヒントあげすぎたかな?」
メイは湯船に入ってくる。
半回り程年上のメイはサーキットにおいても田村の先輩だ。
そして今となってはライヴァルでもある。
初戦において4位入賞して大型ルーキーとして界隈を賑やわせた田村はメイの目に留まった。
それからはコース上ではテクニックとマシンの性能をぶつけ合い、VIPエリアの浴場では身体をぶつけ合う仲となった。
田村に向かい合う向きで湯船の中の田村に跨がる。
「バックストレッチのスリップ、見事だったわ、それとあのコーナリング、セット変えた?」
「うーん、まぁチョイと、、、」
メイは唇で田村の唇を挟み、軽く引っ張る。
開いた田村の口の中に舌をねじ込み、中の舌を突っつき回す。
田村も応戦開始、メイの舌をえぐり取るように自分の舌ですくい上げ、絡める。
メイは田村の凶器に花芯を擦り付ける。
瞬く間に田村の凶器は戦闘モードに。
メイの身体は引き締まっているが、メリハリがあり有るモノは充分に有る。
田村は並列ツインで装備されるそれの片方を揉み上げる。
湯船の中でも分かる程にメイの蜜壺からはラヴジュースが溢れ、潤滑準備が出来てきている。
「でも、まだ負けないわよ」
メイは田村の凶器を蜜壺にあてがい、飲み込む。
田村の顔面に熱い吐息を掛けながらアイドリング・スタート。
お互いに、ストロークを楽しむ。
アイドリングから始まり、レッドゾーン寸前まで様々な回転域を、様々なドライヴィング・スタイルで楽しむ。
メイはレヴリミットが作動したかの如く震え、田村は盛大にアフター・ファイヤーしそうになる。
メイは密壺から田村の凶器をリリース、湯船に潜り込み、凶器を含みストロークする。
田村は盛大にアフター・ファイヤー。
メイは田村の放ったモノをそのままインテークする。
「TAM、貴男と競走するのも、こうするのも好き」
「当日は真剣勝負楽しもうね」
「ええ勿論、大先輩」
メイは少し湯船に浸かった後、立ち上がる。
「勝っても負けても、またこうシてね」
メイは浴室を去った。
田村はもう少し湯船を楽しんでから脱衣場に向かった。
メイは既に居なく、入り口の鍵は掛かっていた。
合い鍵でも持ってるのだろうか、、、