ワーク田村   作:Monster ohige

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第8話

「タイミングが悪いな…」と

バトルレヴォリューションAE86ワンメイクレースまで1週間を切った日の夜、外見からは全く判別不能なCNE規格EN-B7相当の防弾仕様(銃口-標的間距離15m±1mで発射された7,62mmNATO弾クラスのフルサイズ・ライフル弾を防げる)のワイド・ロング・ハイルーフボデーのトヨタ・ハイエースの左後部座席で揺られながら田村は思う。

今夜は久し振りの田村が最も得意とする「お仕事」なのだ。

今回のミッションの内容は至極単純、目標を皆殺しだ。

徳島に本拠を置き、警察の民営化と同時に急激に勢力拡大、成長したジャパニーズ・マフィア、石川田興業と癒着している県警のマル暴の人間だ。

今夜、石川田が持つ屋敷でマル暴への接待パーティーが行われる。

そこを田村が強襲、皆殺しにするのだ。

報酬は軽く豪邸が建てる事ができる程らしい。

また現地で金品が入手できればそれらも報酬になる。

今、大蔵春子が運転する特殊仕様のハイエース、窓はフルスモークで外から内部は見えないが戦闘用機材でてんこ盛りになっている。

まずは前から、フロントバンパー内には高性能カメラ・ユニットと一体になった米国GE社のM134ミニガンが装着されている。7,62mmNATO弾を使用、6本の銃身を持つ電動式ガトリングガンだ。

射撃速度は毎分2000~4000発で調整でき弾薬は3000発搭載されている。

ステアリングに付いたボタンにより操作、照準は高性能カメラ・ユニットによりフロントガラスにHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)で投影される。

銃身向きは常時は車体同軸だが運転者が装着するヘッドセットが眼球の動きや脳波の読取り、水平方向には左右各20°垂直方向にも上下各20°電動ターレットにより動く様になっている。

平常時はバンパーに隠れているが使用時はバンパーを撃ち破る。

このミニガンと弾薬により本来のエンジンルームは圧迫され、エンジンは車体中央にミッドシップマウントされる。

4トンを軽く超える車体に可能な限り機動性を持たせる為にオリジナルの直列4気筒ディーゼル・ターボ・エンジンの1GDのヘッドを2基使用し、クランクケース、シャフトをワンオフで製作した水平対向8気筒ツインターボが搭載されている。

最大出力は450馬力、トルクは100kg/mにも達する。

政府の極秘設計局が設計~製作した物だ。

ミッションはこれも政府の設計局の作で7速ATギアボックスで電子制御センター・デファレンシャルを内蔵、全輪を駆動する。

前後デファレンシャルも電子制御で状況により効かせ方を調整できる。

最大の駆動力が必要な時は全デファレンシャルを完全にロックする事も可能だ。

搭乗人数は運転者含め3名、運転席、助手席と今田村が座る左後部座席のみだ。

後のスペースは全て戦闘用機材だ。

後部座席の真ん中と右側はフロントバンパー内の物と同じM134ミニガンと同軸搭載されるの40mm口径の米国サコー社Mk19オートマチック・グレネードランチャーの複合ターレットだ。

使用時はルーフが開き電動ターレットがせり上がり360°攻撃可能なリモート銃座になる。

ミニガンの弾薬は6000発、グレネードランチャーの弾薬は100発搭載される。

これも運転者が操作できるが、運転しながらの射撃は難しいので基本的に後部座席に座った者が操作する。

後部座席の後ろの荷室部分にはこれもルーフからターレットが飛び出すリモート・ミサイルランチャーが装備されている。

FGM-148 ジャベリン歩兵携行式多目的ミサイルのシステムを流用した物だ。

基本的には対地攻撃用のミサイルだが低空、低速飛行時のヘリコプター等なら限定的に攻撃可能性だ。

既にランチャーに装填されている1発とリボルバー式自動装填装置に搭載される8発の計9発の多目的ミサイルを搭載している。

この車体後部のミサイルランチャーも車体中央の銃火器同様運転席か後部座席で操作する。

車両が停車状態ならば支援型AIのサポートも有るので、全ての兵装を一人で運用する事も出来る。

銃火器以外にも偵察、戦闘支援用のリコン・ドローンも多数搭載、テールウィンドウや車体底から飛び立てる様になっている。

春子はこの最新鋭の兵装を満載したハイエースの扱いに長けていていつもこの車内から田村をサポートする。

今回のミッションは警察、マフィア共に見せしめの意味も込めて行うので田村を潜入させ目標をすべて殺害、そのままにしておく予定だ。

出来るだけ残虐に殺害せよとの事なので今回はそれを考慮した装備選択を田村はした。

メインアームにはベルギーのFNハースタル社製の7,62mm口径のアサルトライフル、SCAR-Hだ。

本来なら室内での使用なので取り回しも良く射程的にもじゅうぶんな5,56mmNATO弾使用のSCAR-Lやそれ以下のサブマシンガンで良いのだが前述の通り残虐、オーバーキルする為にフルサイズのライフルを用意した。

なので弾薬も通常のフルメタル・ジャケットでは無くソフトポイントだ。

人体に命中すれば弾頭先端はマッシュルーミング…変形、破砕し、目標内部で運動エネルギーを効率的に伝えることにより、致命的なダメージを与える。

その上、只でさえ有効射程300Mを超える7,62mmNATO弾だ。近接戦闘、CQBの距離でヒットすればひとたまりもないだろう。

少しでも取り回しを良くする為に330mmのショート・ヴァレル仕様を選んだ。

強襲時は屋敷の電源を落とし暗闇になるので位置を悟られない様にフラッシュ・サプレッサー(消炎器)を銃口に装置している。

マガジンは標準の20連仕様からサードパーティー製の30連ロング仕様に変更、後部が透明のポリマー製で残弾数の確認が容易に出来る。

振り回し易くする為に各種オプション取り付け可能な20mmピカティーニ・レールには非可視赤外線レーザーサイトとホログラフィック・サイトのみを装着した。

田村はまだ米軍や自衛軍の一部のエリート部隊にしか支給されていないヘルメット兼戦闘支援デバイス搭載のヘッドセットが支給されている。

無線機機能は勿論、360°全周モニタリング可能な通常カメラ/暗視機能(ナイト・ヴィジョン)、振り向く事無く背後の確認が可能だ。非可視レーザーサイトはナイト・ヴィジョンで可視化できる、それをヴァイザーに投影する事によりナイト・ヴィジョンはもちろん、非可視レーザーを普通のレーザーサイトと同じ様に使える。

またリコン・ドローンとのデータ・リンクにより遮蔽物等で自分からは見えない敵の位置を補足したり、外見で分かる範囲に限られるが敵の装備品の把握。

3機以上のドローンが必要となるが自分の姿をサードパーソン・シューティング・ゲームの3人称視点の様に後ろから見る事も出来る。

そしてレーザーサイトを使用する事により、照準位置をドローンに確認させ、着弾点をヴァイザーに表示する事が出来る。

室内戦闘ではこれが一番有り難い機能かもしれない、銃だけ遮蔽物から突き出し、照準~射撃できる。

これらのデバイスを持たない者に対して特に暗闇では一方的に照準、射撃できる。

サイドアームには米国Z-Mウェポンズ社製のストライク・ガンを選んだ。ベストセラーの1911を基に近代化された2011プラットフォームがベースのカスタムガンだ。

弾薬は1911と同じ45ACP、弾頭はホローポイントだ。

これも人体に命中時、弾頭先端は変形、破砕する。

このストライク・ガンは近接戦闘に特化されており、銃口を押し付けたり押しのけられたりしてもスライドが後退せず作動するスパイク付きの銃口になっており、グリップ底部にも格闘用のスパイクが付いている。

オリジナルの1911の弱点であるマガジン装填弾数をダブル・カラム化により克服、1911の7発から12発に増えている。

俗に言うハイキャパシティ・ガバメントだ。

SCAR-H同様フレーム前部にある20mmピカティーニ・レイルには非可視レーザーサイトが装着されている。

これを右腰のカイデックス・ホルスターに納める。

そして最後の砦のバックアップ・ガンはサイドアームと同じ2011プラットフォームのSTI社のタクティカル3,0だ。

弾薬、マガジンはストライク・ガンと共通する。

銃身長95,2mmのショート・ヴァレルのそれはサブ・コンパクト・カテゴリーに分類される。

コンパクトなそれを田村は左右どちらかの手でも抜けるようにほぼ腰の位置の背中側左右のバックサイド・ホルスターに1丁ずつ持つ。

田村には利き手は無く基本的には銃は右手で持つが、どちらの手でも同じパフォーマンスを発揮できる。

計4丁を携行と大袈裟かと思われるが、油断してる敵を闇討ちするとは言え室内での1対多数の戦いになる、あらゆる可能性を想定した結果だ。

今回のミッションは夜なので夜間迷彩服に身を包み、上半身には防弾プレートキャリアを着ける。

今回の敵はライフル等は使用してこないと思われるのでクラス3A、44マグナム程度までの拳銃弾に対し防弾効果がある物にした。

プレートキャリアには各種装備を状況に応じて装着できるモジュラー・システム付きなのでSCAR-Hのスペアマグを携行するポーチを付けている。

身体の正面、腹の前にSCAR-Lのスペア・マガジンをファスト・マグポウチで携行する。

従来型の布やナイロン製のマグポウチとは異なり、樹脂製のオープントップ型のマグポウチなのでフラップ(抜け止め)を捲り上げる手間が要らない。

マガジンはゴムバンドのテンションで保持されているので、引っこ抜くだけでいい。

更にファスト・マグポウチ同士は重ねる事が出来るので限られた面積のモジュラーでも重ねる事により重ねた倍数のマガジンを携行できる。

これを腹の前のモジュラーに3列×2層に装着、6本のスペアマグを携行。

左腰にもSCAR-Hのマガジンを1本、サイドアームのストライク・ガン、バックアップのタクティカル3,0用のマガジンを3本、これら腰に付ける物も全てファストマグポウチで携行する。

ファスト・マグポウチはライフル用からハンドガン用まで各種マガジンに合うマグポウチがライン・ナップされている。

右腰のストライク・ガンを納めているカイデックス・ホルスターにも1スロットだけモジュラー・システムが有るのでそこにファスト・マグポウチを装着、サイドアーム兼バックアップのマガジンを1本。

銃器、弾薬は以上だ。

プッシュ・タガーナイフを2本、バックアップ・ガンと同様にどちらの手でも使える様にSCAR-Hのスペアマグの上のモジュールにカイデックス製のシースをマウントしそれに納める。

今回のミッションは短期決戦な戦闘を想定しているので機動性を重視し足首等にコンシールド・キャリー(隠し持つ)装備は全く無しだ。

市内郊外の安っぽい住宅街に1件だけ威圧感のある豪華な屋敷が建てられている。

監視カメラやセキュリティーシステムの類は既に政府の工作により正常に作動していると見えるが無効化されている。

その屋敷まであと200M程度の所で特装ハイエースは停車した。

春子は複数のリコン・ドローンを射出し侵入する予定の勝手口周辺を偵察する。

リコン・ドローンは良くイメージされるローターが4つ4端にあるクアッド・ローター機では無く、テニスボール程の大きさ、丸さの胴体内にローターはある2重反転ローター機だ。

丸い外核の上下に貫通する穴が開いており、その中に2重反転ローターがある。

下側の穴には十字にフラップが付いており、それの向きと2つのローターの回転差で姿勢制御をする。

ローターは穴の中で回転するダグデット・ファン状の配置の為、効率に優れておりローター先端で発生する衝撃波の発生を抑え静音化にも貢献している。

また障害物と接触してしまった時にローター破損のリスクもクアッド・ローター機より少ない。

外核部に各種カメラ、センサー類が装着されていて情報収集をする。

勝手口付近はクリアだ。

換気扇排気口からもリコン・ドローンが侵入しパーティー会場の様子をファン越しにだが確認する。

全員私服なので石川田興行の人間とマル暴の人間の見分けはつかない…皆殺し予定なので関係ないが。

しかし両陣営の重要目標は確認できた。

石川田興行の社長の息子の石川田陽介とマル暴の部長、瀬川龍太だ。

石川田の父親はこのような宴会事が苦手なのか、用心しているのか顔を出す事はない。

石川田はガリガリでひょろ長い細身長身の男だ。

瀬川は中肉中背といった具合だ。

石川田と瀬川の席は隣同士だ、ニヤニヤしながら談笑している。

更に隣には石川田の女が一人、自分に無い物に惹かれたのか整った顔だが太い女だ。

この女は民間人なので殺害許可は出ていない。

確認できただけで20人程居た。

盗聴を警戒しているのか派手なBGMを大音量で流しているが、逆に好都合だ。

一応は警戒しているのかバックアップ電源設備も有るのに完全に電気を切られても完全に真っ暗闇にはならない様に各テーブルにロウソクに火を灯している。

田村が降車、勝手口に接近。

同時に爆薬を抱えた自爆型のドローンが特装ハイエースから飛び立つ。

こいつが電線を吹き飛ばす。

非常時用バックアップ電源設備は特装ハイエースのジャベリン・ミサイルで破壊する。

直接照準が不可能な位置なのでリコン・ドローンからの誘導となる。

田村が勝手口のドアノブに手をかけた…鍵はかかってない。

トラップを警戒し、ドアの全周にプッシュ・タガーナイフを注意しながら通したがどうやらかけ忘れの様だ。

少し開き、リコン・ドローンを1機侵入させる。

パーティー会場までの廊下はクリアだ。

換気ダクトから侵入したリコン・ドローンからも田村の装着するヘッドセットに情報が送られてくる。

SCAR-Hを構え、パーティー会場のドアの前まで行く。

セレクター・レバーがセミ・オート(半自動)になっているのを確認、

「電源、カット(破壊)してくれ」

春子に指示する。

「OK」

特装ハイエースのルーフ後部からせり出したミサイル・ランチャーから現行主力戦車の上面装甲すらも貫く成形炸薬弾頭が発射される。

着弾と同時に電線に張り付いた自爆型ドローンも自爆、爆発の轟音と共に電源が落ちる。

その瞬間から0,2秒足らずのタイミングで田村はパーティー会場入り口のドアを蹴破った。

爆発音と照明が消えた事に気が取られた中の人間達は誰一人と僅か0,2秒足らずのタイミングでドアを蹴破った田村に気づけなかった。

蹴った足が接地するまでに照準は田村に一番近かった男の頭部に合っていた。

僅か4m…

引き金が引かれる。

ハンマー・スプリングの張力がシアによって開放され、ハンマーは勢い良くファイアリング・ピンをブッ叩く。ファイアリング・ピンはプライマーをド突きパウダー(火薬)に点火、燃焼開始。ケース(薬莢)内の圧力が一気に上昇、弾頭が押し出されてヴァレル(銃身)内で加速、マズル(銃口)から飛び出した時には音速の2倍以上、710m/sまで加速していた。

田村から見て真横に向いていたその男の頭部にソフトポイント弾頭は0,006秒足らずで到達、この至近距離において7,62mmNATOの前では頭蓋骨など紙同然、容易く頭蓋骨を貫通、脳ミソに到達。弾頭はマッシュルーミング(変形)を開始し加害面積を増やす。衝撃で眼球は破裂しながら飛び出し、鼻の穴と口からも色々と飛び出す。脳ミソはグッチャグチャに掻き回され、着弾時よりずいぶん前投影面積が増えた弾頭は反対側の頭蓋骨の大部分を吹き飛ばす。そして中身を盛大にブチ撒く。

文字にすると非常に長いが屋敷の電源落としてからこの時点で0,215秒程、呆気なく1人はあの世へ逝ってしまったが生きてる人間はまだ誰一人として状況把握ができていなかった。

その流れと平行してリコン・ドローンが7機、田村が蹴破った入り口から侵入、換気扇に侵入していたリコン・ドローンも換気扇の羽をブチ割りパーティー会場に侵入、全8機が瞬時に目標を捕捉し田村のヘッドセットに位置等の情報を送る。

一人目が逝ってから約0,8秒、何割かの人間が襲われてると認識した時には更に4人が田村に近い順に頭部の一部を吹き飛ばされ中身をブチ撒いていた。

強烈な反動のショートヴァレル7,62mmライフルのSCAR-Hを田村は見事に操る。そもそもこの用途に使うには誤った銃なのにも拘わらず。

更に次の目標へ照準を合わせる頃には全員がパニックに、6人目が脳ミソをブチ撒ける頃には皆パニックになりながらも腰や脇に携帯している拳銃に手を伸ばしたりテーブルに隠れたりしだした。が、ロクな実戦経験も訓練も積んでいない連中みたいで拳銃に手を伸ばした奴らにはホルスターの留め具を外さないまま必死にグリップを引っ張っていたり、無事抜けたもののマガジン・キャッチ・ボタンに触れてしまいマガジンを脱落させてしまったり、セーフティー(安全装置)の解除をすっかり忘れている奴が半数近く居た。

そうしている間にも田村は姿勢を低くし、一番近くのテーブルからSCAR-Hだけを出しドローンとヘッドセットのデータ・リンクをフル活用して次々と仕留めては別のテーブルへと移動していった。

マトモに拳銃を握れた者もロウソクの明かりのみが頼りな上に田村はフラッシュ・サプレッサーを使ってる為、どこから撃ってるか正確に分からず、つい先程までは明るかったので目が暗闇に追いつかないという最悪の状況なので見当違いな所に乱射するだけだった。

既にリコン・ドローンで捕捉されている上にマズル・フラッシュにより目立つので良く撃つ者から田村に撃たれた。流石に動きながら動く相手に撃つので確実にヘッドショットを決めれない時は数発使い胴に撃ち込んだ。それも悲惨なモノで血と内臓を派手にブチ撒けた。

残弾マガジンに3発、チャンバーに1発、手首のスナップを利かせSCAR-Hを捻る様に回転させながらマガジンキャッチボタンを押し、遠心力を使って勢いよくマガジンをリリース、そのマガジンが床に落ちるまでにフレッシュ・マグ(フル装填の予備マガジン)をSCAR-Hに叩き込む、射撃再開。映画で良くある撃ち切ってからのリロード(再装填)など以ての外だ。

いくら相手が素人だからといっても銃を使う戦闘だ、少しの油断、1発の弾丸が状況を逆転させる事がある。

故に田村はどんな相手であろうとも全力で戦う。

会場に居た2/3以上が逝った頃、田村から一番遠い位置に居た石川田とその女、瀬川の3人は暗がりの中、何とか田村が侵入したドアと反対側のドアから会場を脱出した。

「糞がーぁ」

呻く様に吐き捨てながら石川田はスマートフォンのLED照明を頼りに女の手を引っ張り2階の自室に向かう。

こんな事になるなど予想もしていなかった為、石川田は何も武器を携帯していなかったので拳銃が有る自室に急ぐ。

「あんなのナイって」

瀬川は伊国ベレッタ社製の拳銃、M92Fを抜き後方を警戒しながら石川田に続く。

また一人、また一人と石川田と瀬川の部下が死んでいく中、8機も必要なくなったリコン・ドローンの内2機が石川田と瀬川を追う。

石川田と女と瀬川が2階への階段を上がり終えた頃にはパーティー会場に居たパーティー参加者は全員、田村があの世へ送り終えていた。

2度目のマグ・チェンジを行い、リコン・ドローンからの情報で石川田と瀬川を追う。

まだ石川田も瀬川も暗闇に加えローター音が小さいリコン・ドローンに追われている事を把握してない。

田村も階段を登る。

銃声が止んだのに気がついた瀬川は階段を登りきった所から10m程の石川田の自室前の廊下で左手にLED照明を点灯したスマートフォンを持ち、右手でM92Fを構えて階段の方を警戒する。

しかしスマートフォンのLED照明では10m程離れた階段を満足に照らす事はできていない。

石川田は何とか机の中からゴールドのメッキの施された、イスラエルIMI社製のデザートイーグル・オートマチック・44マグナム・ハンドガンを引きずり出した。

その状況を田村は全て把握していた。

一気に階段を駆け上り、廊下の端まで飛ぶ。

勿論SCAR-Hは瀬川の方へ構えながらだ。

黒い何かが飛び出したのが見えた瀬川はM92Fの引き金を引く。

しかし田村は階段を登った所から一気にその反対側の廊下の端まで飛んだ為、弾は階段側の方に着弾した。

素人が片手で撃った為、反動で跳ね上がったマズルが戻るまで0,4秒程…田村にはじゅうぶん過ぎる時間だ。

瀬川が2発目を撃つまでに田村が撃った。

瀬川の右腕の肘から先が吹き飛び、M92Fと共に床に転がる。

「糞おぉぉ」

瀬川は左手に持ったスマートフォンを放り出し、左手を背中に伸ばす。バックアップ・ガンを持っている様だ。

アドレナリンでまだ痛みは無いのだろう。

田村は冷静に狙い続ける。

瀬川は何とかバックアップ・ガンを抜いたが次は左手首から先が吹き飛んだ。

言葉にならない絶叫が響く。

田村は何故即死させないか…ここに現金が有るならそのまま頂戴できるから在処を聞く為だ。

ワンオフ高級パーツのオンパレード、かつランニング・コストも非常にかかる田村のAE86、金はいくら有っても困らないのだ。

ようやくデザートイーグルを構えれた石川田、目の前で瀬川が使い物にならなくなったのが分かったのか完全なパニック状態で可能な限り早く引き金を引きまくる。

田村は廊下の途中にあるトイレに一旦身を滑り込ます。

石川田も片手でスマートフォンを持ちながらの射撃な上、完全に見栄っ張りで選んだ44マグナム拳銃、反動制御が全く出来ておらず2発目から天井や壁に着弾する。

隠れなくてもいい程の命中精度だ。

しかも細身のヒョロい身体だ。6発目で肘がグネっとなり、7発目であろうことか目の前でのたうち回る瀬川の頭を撃ち抜いてしまった。

44マグナム弾を至近距離で食らった瀬川の頭は上半分程フッ飛び中味をブチ撒いた。

「あー、ヘタクソが」

現金の在処を知ってるかもしれない人間が一人減り残念がる田村。

デザートイーグルの44マグナムの装填弾数は8発、ついに撃ち切った。

「おいよぉ!」

慌てて銃だけ出してきたので予備マガジンを持ってない石川田はワンテンポ遅れて予備マガジンが有るのだろう、机の所に戻ろうとする。

が、リコン・ドローンからの情報により全て把握していた田村はスリングでSCAR-Hを背負い、右腰のホスルターからストライク・ガンを抜き、トイレから飛び出して全力で走り、もう石川田の背後に迫っていた。

田村の渾身のタックルで石川田は机を飛び越えてフッ飛ぶ。

持っていたデザートイーグルもスマートフォントも吹っ飛ぶ。

田村は机の上に立ち、ストライク・ガンを床に転がっている石川田に向けて構える。

女は更に奥の寝室に逃げた様だ、リコン・ドローンが捕捉している。

落ちたスマートフォンのLED照明が田村を照らし、石川田は初めてはっきりと田村の姿を見る。

「そこまでだ」

いつもより低い声で田村は言う。

「はぁああああ」

ヤケクソなのか先程乱暴に引き抜いた引き出しが床に落ちていて、それにもう一丁、シルバーのメッキのデザートイーグルが入っている。悪趣味だ…

それに石川田は手を伸ばす。

田村は拾い上げたところを肩でも撃とう思っていたが田村すら予想外の事が起こった。

石川田はあまりにも力んでグリップを握ったせいか、親指が滑り、しかし人差し指はしっかりトリガー・ガード内に入っていたのでデザートイーグルは西部劇ばりのガン・スピンを開始、マズルが石川田の顔に向いた瞬間、引き金に人差し指指が触れ発射。

44マグナム弾の弾頭は石川田の前歯をブチ割り、後頭部を吹き飛ばし即死させた。

「なんだよソレ」

全く狙いとは別だが石川田は最期まで田村の企みの邪魔をした。

残るは石川田の女だ。

春子からの情報によると一応一般人の為、殺害は許可されていない。

この後政府の後処理部隊が連行予定らしい。

作戦終了目標時間も迫っているので追加報酬が欲しい田村は急ぐ必要がある。

田村は石川田のスマートフォンを寝室に蹴り込む。

ストライク・ガンを構え、寝室に向かった。

女は壁際でガクガク震えていた。

武器は持っていない。

女の足元だけびっしょりと濡れている、死の恐怖を目の当たりにして全て出てしまったのだろう。

スマートフォンのLED照明で田村の姿が女にも見える。

「金はどこだ」

「絶対に教えない、私にはあの金が全て!あの金が無くなるなら生きている意味なんか無い」

あー、面倒いパターンのヤツだ…

「殺すなり犯すなりしなさいよ、金庫の番号は教えない」

まだ良かった…この女も知っているな。

女の横には頑丈そうな金庫があった。

今持っている弾薬は全て軟弾頭だ。人体にはダメージを与えれるが金属には弱い、この金庫に全弾叩き込んでも破壊できないだろう。

ならば…

「じゃお望み通り犯してから殺してやる」

「ふん、男って皆そうなのね」

田村は右手のストライク・ガンを女の首に突きつけ、左手で女のスカートを引きちぎり続いてショーツも引きちぎる。

女の秘部が丸裸となった。

そして田村は自分自身の凶器を取り出した。

すぐさま戦闘状態となる。

ソレが女の腹に触れる。

ほぼ真っ暗なので良く見えないが、その感触のみで女は理解した…バケモノだと。

本能がそうさせたのか急速に女の蜜壺は潤う。

田村は女の片足を左手で抱え上げる。

ストライク・ガンは突きつけたままだ。

ノーハンド、腰遣いのみで当てがい一気に侵入。

女の身体中に今までの人生にない衝撃が走る。

特装ハイエースの運転席…「クソ」

晴子も田村のヘッドセット、リコン・ドローンからの情報で全てを把握している。

右手がズボンの中に伸びる。

田村に仕事仲間以上の何かを抱きはじめている春子には不快ながらも興奮する状況になってきた。

一気に侵入した田村は一度引き、再度侵入、今度はもっと奥にだ。

女の身体は電気ショックを食らったかの様に跳ね、更に床を濡らす。

そこで一気に田村は凶器を抜き去る。

「さて、じゃあ死ぬか?」

わざとらしく、セーフティーを瞬時にオン~オフしカチっと金属音を響かす。

「待って、もう一度挿れて!もっと!お願い!殺さないで」

最早特殊能力と言っても過言では無い、田村のスキルだ。

「じゃ金庫を開けろ」

「わかった」

金庫のボタンを操作し、金庫はすぐに開いた。

そこそこ有るな。

左手で女の首を掴み、再び挿れてやる。

今度は後方からだ。

僅か5~6往復で女は絶頂に、それに合わせて軽く首を締める。

いとも簡単に女は気絶した。

女を床に捨てる。

前からも後ろからもそれぞれから出る物全てを吐き出し痙攣している。

ひどい臭いだ。

凶器を仕舞った田村は石川田の自室から適当なカバンを数個持ち出し、入るだけ金庫から現金を押し込む。

そしてカバンを持ち、石川田の屋敷から脱出、春子が運転する特装ハイエースに拾ってもらう。

すれ違う様に後処理部隊が到着した。

帰宅した。

リコン・ドローン、ヘッドセットで録画した全てを政府に送信する。近い内に報酬が振り込まれる筈だ。

田村は武器弾薬を今日のところはって程度にザッと片付け、部屋着に着替えた。

お気に入りエナジー・ドリンク、モンスター・エネルギーを飲みながらリビングのソファーに座る。

警察やマスゴミも騒いでるかな?

とテレビのリモコンを右手に持った瞬間、音も無く接近していた春子の鋭いチョップによりリモコンはフッ飛び壁に当たりバラバラに。

左手に持ったモンスター・エネルギーの缶もまだふた口しか飲んでないのに弾き飛ばされ床にブチ撒ける。

反射的に立とうとしたが、肘で体重の乗った一撃を胸部に食らいソファーに沈む。

次の瞬間にはスウェットごとパンツを引き破られ、田村の凶器が露わに。

そのまま春子は田村に馬乗りなる。

春子はTシャツは来ていたが下には何も着けていなかった。

先程の何とも形容し難い感情を田村の上に乗り貪る様に発散させる。

田村も戦闘後の高揚した気分なのもあり、快感に身を委ねた。


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