ダンジョンに賢王がいるのは間違っているだろうか?   作:ひまわり先生

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う~ん、難しい


episode 10 転生 

「さぁ、洗いざらい吐いて貰うでポロン」

 

「僕としても気になる点がいくつもあるからね」

 

「ふむ、賢王か・・・詳しく聞かせてもらおうじゃないか」

 

「私も気になる」

 

 

昨日と同じ部屋にポロンを中心にロキ、フィン、リヴェリア、アイズと囲まれている。

 

 

「別に気にしなくてもよくない」

 

「「「「よくない」」」」

 

 

声をそろえて四人は否定した。

ポロンはめんどくさいと思いつつも話すことを決意した。

 

 

「・・・こことは違う世界で命を落とし、なぜか別の世界で新たな命として生まれた男がいた」

 

「それが君なんだねポロン」

 

「異世界からの転生か」

 

 

ポロンがゆっくりとまるで物語を読み聞かせるように話した。

 

 

「前の世界はこの世界と同じように魔物と呼ばれるモンスターがいてそれを率いる王、魔王が存在する世界だった」

 

「魔物を率いる王・・・」

 

「しかも一体だけじゃなく四体もいてさ、そいつらとまぁ当時の俺は戦ってたってわけよ」

 

 

ポロンは次々と語っていく。

共に旅した仲間のことや、壮絶な冒険、魔王たちとの壮絶な戦い。

 

 

「まぁ、そんなこんなで俺は賢王ポロンとして世界の命運を分けた戦いに参戦してってだけさ」

 

「ちょっとまちぃや」

 

「ん?なに?」

 

「ポロン・・・まだ隠しとることがあるやろ」

 

 

ポロンの話してる内容は全て嘘偽りないことはロキには分かっていたが嘘ではなくポロンが話そうとしない内容に気づく。

 

 

「・・・」

 

「自分から言いにくいんやったらウチが聞くで、・・前世の死因はなんや」

 

「本当にそれ聞いちゃう?」

 

 

ポロンはこの時、自身の死因については話したくなかった。

いくつか理由があり、一つはマダンテが知られること。

 

マダンテはポロンの中で最強の技の一つであり、自身の命をも削ってしまう究極の呪文。

この世界での切り札として誰にも明かさずにいたいという理由。

 

二つ目の理由はそのマダンテが原因で死んだことを知られたくなかったからだ。

ポロンはこの世界でも仲間を救うためだったら惜しげもなくマダンテを使う。

それが知られるとフィンはまだしも過保護なリヴェリアは絶対にずっと目を光らせることになると考える。

 

それが一番まずいとポロンは感じていた。

リヴェリアに知られることでダンジョンはおろかプライベートまで監視されることになってしまうと考えた。

 

 

(それだけは絶対に嫌だ!!!!)

 

「・・・実は魔王たちが真の敵じゃなくてその魔王たちに力を与えていたやつがいたんだよ」

 

「なんだって!?」

 

「魔王より強い存在・・・」

 

 

これまで話した内容から4体の魔王がどれだけ凄まじかったのかを理解しているからこそ、それよりも上位の存在がいることに四人は驚愕した。

 

 

「異魔神、名の通り魔王を動かしていた神様だったんだがこいつが強くてな」

 

「大地を一瞬で凍結させたり、星を落としたり、傷つけても再生すると大盤振る舞いでさ」

 

 

ポロンが話す敵を想像し、全員顔を青ざめる。

 

 

「俺も頑張ったんだけどさその時に・・・ね」

 

「魔神との戦いで戦死したというわけか」

 

「こんな空気になるから話したくなかったんだよ・・・はい、この話はこれでおしまい」

 

 

パンッと手を叩き、そのまま部屋を出ようとするポロン。

しかしポロンの両肩に手が置かれる。

 

 

「まだ用は終わっていないんだが」

 

「魔法見せて」

 

 

リヴェリアとアイズに肩をつかまれる。

当然レベル5とレベル6につかまれたら振りほどくこともできない。

 

 

「・・・はい」

 

 

ポロンは渋々と部屋を出て練習場に足を運ぶことになった。

 

 

 

~黄昏の館:練習場~

 

ところ変わってここはホーム内にある練習場だ。

レベル1などの初心者をいきなりダンジョンで行かせる前にここで戦い方を指南してからダンジョンにチャレンジさせている。

 

ポロンも随分お世話になった場所であった。

 

 

「それじゃあ準備した的に対して魔法を使ってくれ」

 

「はーい」

 

 

フィンの指示により的の付いたかかしに手をかざす。

 

 

「じゃあ、『メラ』」

 

 

ポロンが呪文を唱えると手のひらから火の玉が出現し、すぐさま目標の的めがけて放たれる。

 

 

「ふむ、無詠唱とはいえ上層なら牽制では使えそうか」

 

「ゴブリンぐらいなら気をそらせそうだね」

 

「あ?」

 

 

弱い魔法だと遠回しに言われ、少しカチンッときたポロン。

 

 

「だったら見せてやろうじゃないか賢王の魔法を!!!」

 

「メラの五つ重ね『メラ×5』じゃ!!!」

 

 

特大の火炎を先ほどの的めがけて放つ。

そして当然のごとく、的だけではなくかかしも燃え尽きそこには高い火柱が立つ。

 

 

「ガハハハッ、どんなもんだい!!!」

 

「やりすぎだ馬鹿者!!!」

 

「アデッ!!!!」

 

 

リヴェリアから拳骨を食らうポロン。

 

 

「これがスキル『賢王』に書かれていた魔法を合体させるっちゅうことか」

 

「ああ、これは強力すぎる力だね」

 

 

ロキとフィンはポロンのスキルの重要度を改めて思い知り、今後のファミリアとしてどのように対処するかを考え始める。

 

 

「まぁ少しやりすぎちまったが安心してくれ」

 

「どこに安心する要素がある」

 

「まぁまぁ、俺も馬鹿じゃないからさ、なるべく魔法も制限しながら使っていくよ」

 

「そうしてもらえるとこっちも助かるよ」

 

「さすがに神達に知られたらたまったもんやないしな」

 

 

この世界では珍しいスキルや魔法を持っている者は神々のいいおもちゃとされてしまうケースが多い。

一応ロキファミリアという最大派閥のファミリアに所属してはいるが誘拐などの被害を考え、珍しいステータスは秘匿にするほうが好ましいのである。

 

 

「一応この世界の俺はキラやヤオの力も使えるみたいだからな、そっちを鍛錬して技をものにしてみるさ」

 

「前世の仲間であるケンオウの二人の事か」

 

「そそ、剣術に格闘術をマスターすればダンジョンでも通用するだろ」

 

 

その考えにフィンとリヴェリアは頷く。

 

 

「おっと、俺はこれから行くとこがあるんで失礼するぜ」

 

「ん?どこに行くんや」

 

「一緒に特訓してるヘスティアファミリアのベルってやつのとこ、昨日別れたっきりでってどうしたロキ?」

 

「・・・そうやったドチビのとこか」

 

 

ロキはイライラとしながらも前回の神の宴でヘスティアから聞いた話を思い出した。

 

 

「ちゅうことはこれからヘスティアファミリアのホームに行くんか?」

 

「ああ、そのつもりだったけど・・・」

 

「よし、うちもつれてけ」

 

「・・・は?」

 

「あのドチビに話があんねん、ちゅうわけで案内せぇ!!!」

 

「わぁぁとと、引っ張るなよロキィィィ!!!」

 

 

ロキはポロンの腕を引っ張り、ホームの門へと向かった。

 

 

「仕方ないね、アイズもポロン達についていくんだ」

 

「うん、わかった」

 

 

アイズは二人の後を追うようにその場を後にした。

 

 

「さて、僕らはこれからのことを考え直すとしようか」

 

「フィン、まさかポロンを」

 

「ああ、『遠征』に連れて行こうかと考えている」

 

 

オラリオのバベルの地下にあるダンジョン。

まだすべて攻略されておらず、今もなお冒険者が日々潜り、ダンジョンを解明しようとしている。

 

遠征とは最大派閥ファミリアのロキファミリアをはじめ、多くのファミリアからの協力を得ながらまだ足を踏み入れていない未開拓階層を攻略することを言う。

 

 

「ポロンはまだレベル1だぞ!!!」

 

「しかし彼は無詠唱でハイポーション以上効果がある回復魔法が使え、さらにはレベル3以上の扱う魔法だって放てる」

 

「だとしてもダンジョンの深層は危険すぎる!!!」

 

「確かにそうだが僕はもう一つ気になっている魔法があるんだ」

 

 

その言葉に眉を動かすリヴェリア。

フィンはロキから受け取っていたポロンのステータスをリヴェリアに渡す。

 

 

「脱出呪文『リレミト』、まだ確証はないけどこれがどうも気になってね」

 

「まさかダンジョンから脱出する魔法だとでもいうのか!?」

 

「どうだろう?でもそれが本当だとしたら今後の遠征の流れが大きく変わる」

 

 

遠征では数日、数週間をかけてダンジョンを潜りに行くことになる。

当然、行きだけでも命懸けだがより危険なのは地上に戻る際だ。

休憩などは取るにしても心身共に遠征中はすり減っていく。

そんな中、地上に戻る際にも強力な魔物と対峙することがあるのだ。

 

もし、『リレミト』という魔法がダンジョンを脱出する魔法だったとしたら、帰りの安全を確保でき、地上に戻る時間も短縮され費用の出費も抑えられる。

ファミリアにとっては利益にしかならない魔法だ。

 

 

「まだ遠征までには時間がある、それまでポロンについてもっと詳しく知らないとね」

 

「私は・・・」

 

 

フィンの言葉にリヴェリアは何も言い返せず、フィンとはその場で別れ自室へと戻った。

 

自室に戻ったリヴェリアは窓際まで移動し外を見つめる。

もうそこにはポロン達の姿はなかった。

 

 

「何が・・正解なのだろうか」

 

 

フィンの言い分はリヴェリアにも分かってはいる。

しかし割り切れることでもなかった。

彼女にとってポロンは親代わりのように育ててきた存在だ。

 

 

「ポロン、私はどうしたらいい・・」

 

 

彼女はその一言をつぶやき、目線を窓から外した。

 

 

 

~episode 10 end~

 




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