ダンジョンに賢王がいるのは間違っているだろうか? 作:ひまわり先生
「神様ならバイトに行きましたけど」
「だってさロキ・・ってロキ?」
「ふひゃひゃひゃ、神なのに売り子のバイトって、さすがドチビやwww」
ロキはヘスティアがバイトしてることを知り、盛大に爆笑していた。
「はぁ~もうほっとくか、それより昨日は悪かったな」
「ううん、モンスターに追われて大変だったけど見ての通り平気だよ」
「そいつはよかった」
怪物祭では途中で分かれてからモンスターの脱走騒ぎがあったため、少し心配していたポロンだったがベルの安否を確認できて安心した。
「そうだ、ベルに会わせたい人がいるんだ」
「会わせたい人?」
「ほら、約束しただろキューピットになってやるって」
「えっ!?それって」
ポロンが合図すると金髪の女性が顔を出す。
「久しぶり・・・」
「あっ・・あいっ・・」
金髪の女性、アイズが顔を出すとどんどんと顔を真っ赤に染め上げるベル。
そしてベルはアイズとは反対の方向へ体を向け走り始めた。
「逃がすか!!!『ボミエ×2』!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
「どうしたベル、そんなゆっくり歩いて」
「うわぁぁぁってなにこれ!?」
ベルは走ってるつもりだったが全然前に進まず普通に歩いてるぐらいの速度だった。
「ベル、急に女の子見て逃げ出すのはどうかと俺は思うんだがね」
「だっ・・だって」
「ほら、振り返ってアイズの顔見てみろ、しょぼくれてるぞ」
ベルは足を止め、振り返るとそこには見るからにしょんぼりとしているアイズを見た。
「あっ・・・」
「まだミノタウロスの時の礼も言えてないんだろ、今がチャンスだぞ」
「でっでも・・・」
まだもじもじとしているベルを見て、ポロンはベルの背中をたたく。
「おまえは男だろ!!好きな女に顔も向けられないんじゃ恋人どころか友達にまで発展しねぇよ!!!」
「ポロン・・・」
「いいか、勇者とは勇気あるもの、最初の一歩を踏み出せる者のことだ」
「最初の一歩・・」
「ああ、お前の最初の一歩はアイズに対して面と向かって礼を言うことだ、それができればお前はもう立派な勇者さ」
ポロンは何となくそれらしいことを言い、ベルを勇気づける。
そんなベルは勇者という言葉に反応し、自身の思い掲げる理想を思い出す。
「お前は何のためにオラリオに来たんだ!!!」
最後の一押しといわんばかりにポロンがたたみかける。
「僕は・・・英雄になって・・・ダンジョンで出遭いを・・・」
「そうだ、お前が目指してるのは目の前にあるんだ!!!」
「ポロン!!僕、行くよ!!」
「ああ、行け!!!勇者ベル・クラネル!!!」
ポロンはベルに『ピオラ×2』をかけて速度を戻し、アイズのもとへ向かわせる。
「へへっ、手のかかる弟分だぜ」
鼻をこすり、微笑むポロン。
「恋のキューピットはここでクールに去るぜ」
「いや、帰さへんよ」
がっちりと腕をロキにつかまれる。
「いや、若い者通しでゆっくりと」
「アイズたんをドチビのとこの子に渡すわけないやろ」
「ははは、ですよね~」
基本、結婚等は同じファミリア内で行うことが基本であり、他のファミリア同士ということはまずない。
理由としてはファミリア間のいざこざであったり、生まれてきた子供をどっちのファミリアに所属させるかなど問題があるからだ。
特にベルの恋はぜつぼうてきといってもよいだろう。
ロキとベルの主神ヘスティアはとてつもなく仲が悪く、お互い敵視している。
さらにはヘスティアはベルのことをまるで恋人かの如く愛しており、ロキもまたアイズのことは嫁に出したくないとまで思うほど愛していた。
「ロキ、今回は見逃してくれ、ベルはこの間のアイズ達が逃がしちまったミノタウロスの被害者でもあるんだ」
「あ~、あのベートが言ってたトマト君の事か」
「そうそう、お礼を言いたいって言ってたから頼む」
「まぁ、ミノタウロスに関してはうちのファミリアの責任やしな、今回は見逃したる」
ロキはポロンの話を聞き、怒りの矛を沈めた。
(ベルよ、これから俺がお前とアイズをくっつけてやるぜ)
「せやけど、今度あのドチビの子にアイズたん関係で協力したらお前さんの黒歴史がオラリオにしれわたるで」
「ベル・・・俺には無理だったわ」
ポロンはこれ以上ベルのキューピットを続けられないと悟ったのであった。
~閑話休題~
「げぇっ!!なんでロキが僕達の家にいるんだい!?」
「この前の神会で話したいことがある言うたやろドチビ」
「だ~れがドチビじゃこのまな板!!」
「やんのか~!!」
「「んぐぐぐぐ~~~~~!!!!」」
ヘスティアがバイトから帰ってきてからロキがいることに驚愕していたがすぐさまお互いがいがみ合いいつもの空気になってしまう。
「ねっねぇ、これって止めたほうがいいよね?」
「よく言ったベル、さぁ行ってこ~い!!」
「え?」
おろおろして止めたほうがいいとベルがポロンに提案するとポロンはすかさずベルの背後に移動しいがみ合ってる二人の神めがけてベルの背を押した。
「いててて、ポロン急に何す(むにゅ)る?」
ベルはポロンに背を押されて倒れこんでしまい、起き上がろうとした際に右手に何やら柔らか感触があった。
「ベっベっベルくん!?たたっ確かに、きっきっ君に触られるのは嫌じゃないがきゅきゅ」
現状を説明しよう。
現在ベルはヘスティアに覆いかぶさるように倒れこみ、起き上がる際に思いっきりヘスティアの胸を右手で触ってしまったのである。
ちなみにロキは嫌な予感を感じ取って避けていた。
「ひゅ~やるなベル」
「・・・大胆」
「やっぱ胸か!!やっぱり胸なんか!!!」
原因を作ったポロンはその光景に感心し、アイズも少し顔を染め今の光景を見ている。
ロキは・・・触れないでおこう。
「ベルくん、みんなも見てることだし、続きはあとでって・・・ベルくん?」
「------------」
全く反応してこないベルに違和感を感じたヘスティア達。
ポロンがすかさず確認する。
「あっ・・気絶してる」
「「「・・・・・」」」
もはやみんな何も言わずポロンとアイズで協力し、ベルをベットまで運んだ。
~閑話休題~
「それで僕に用って?」
「前回の神会での話、ベル坊のスキルや」
「あ~・・・」
ベルの持つスキルに関して前回の神会でロキに相談しようとしていたのをヘスティアは思い出した。
ちなみにこの話をするにあたってポロンとアイズはいったん地上で待ってもらっている。
「いや~ボクの勘違い・・・ってことにはならないよね」
「当たり前や、全ステイタスは見せんでもええけどスキルの名前と詳細は聞かせてもらうで」
「はぁ~しょうがないか」
ヘスティアがいつもステイタスを移す用の紙を棚から取り出し、そこに神聖文字を書き込む。
「はい、これがベルくんがポロンくんとの修業をしてから発現したスキルさ」
「!?」
ロキは紙に書かれたことに驚愕した。
その紙にはこのように書いてあった。
【ロト】異世界の勇者と・・・
~episode 11 end~
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